ベルリンは晴れているか
評判
ベルリンは晴れているかの評価:
3.53/5点 レビュー 77件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全152件 121〜140 7/8ページ
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ベルリンは晴れているかの評価:
3.53/5点 レビュー 77件。 B ランク
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2019年の直木賞候補作であり、本屋大賞ノミネート作です。終戦直後のベルリンの崩壊ぶりを日本人作家がここまで精緻に描き出すことができるのかと驚きをもって読みました。
瓦礫の山と化したベルリンで被占領国民の哀しく理不尽な日々が果てしなく続きます。わずか2日間とはいえ、まだ10代の少女に過ぎない主人公とともにする、謎めいた追跡の旅の道行きは大きな緊張を強いるものでした。
また「幕間」と称して5度にわたって差し挟まれる戦中回想シーンで描かれる、ユダヤ人やツィゴイナー、同性愛者や東欧移民などへの虐待の様子は苛烈を極め、目を覆いたくなるほど微細な描写が幾度も登場します。その抑圧された少数派側の憤怒と焦慮が、アウグステに同行する“ユダヤ人俳優”カフカ、ツィゴイナーとユダヤの血を引くヴァルター、同性愛者のアーリア人ハンスの関係を大きく揺さぶっていくのです。
彼らの姿の向こうに、戦争のむごさがくっきりと見えてくる物語です。
しかし、戦中・戦後のベルリンがあれほど詳細に描かれる一方で、殺人事件の被害者であるクリストフがその死を招くきっかけとなった背景そのものには霞がかかったかのようではっきりしません。クリストフの行動の動機が曖昧なまま物語が閉じてしまった印象が拭えないのです。クリストフ殺害犯もそこを明らかにする努力をしていないことにも納得がいきません。
謎解き物語としては、最後の意外な犯人像も含めて楽しめはしましたし、戦争終結直後のドイツをあたかも海外ミステリーを読むかのような気持ちで味わえたのも事実ですが、被害者の実像が不鮮明なままに終わった点に不満を感じたこともまた否定できないのです。
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*131頁:「リヒテンベルグ」という街の名が出てきますが、Lichtenbergは「リヒテンベルク」とするほうがドイツ語の原音に近いと思います。
*258頁:「帝国文化院」に振られたルビが「ライヒスカルチュアカンマー」となっていますが、Reichskulturkammerは「ライヒスクルトゥアカンマー」とするほうがドイツ語の原音に近いと思います。
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作者・深緑氏自身、この小説を執筆する上で参考にした文献を巻末に多数掲げていますが、そのリストに載っていない書で、お勧めの書を以下に紹介しておこうと思います。
◆臼井 隆一郎『』(石風社)
:『ベルリンは晴れているか』の中で「代用コーヒー」を口にする場面が幾度か出てきます。コーヒーとは名ばかりで、「栗を砕いて炒った」もの(57頁)や、「タンポポの根」を代用したもの(370頁)など材料は様々です。その一方でフレデリカが「陶器のカップで本物のコーヒーを飲む」(417頁)場面も出てきます。
代用コーヒーと戦争の関係について描いたノンフィクションが『アウシュヴィッツのコーヒー』です。
◆ローラン・ビネ『』(東京創元社)
:『ベルリンは晴れているか』の中で「ベーメン・メーレン保護領のプラハで襲撃され、死亡したラインハルト・ハイドリヒの葬儀が昨日あったばかり」(296頁)と記されます。
ナチ高官としてユダヤ人問題の“最終的解決”計画の推進者であったラインハルト・ハイドリヒの暗殺計画を描くフランスの小説が『HHhH (プラハ、1942年)』です。
2014年本屋大賞翻訳小説部門で第1位に選出されています。
◆ハラルト ギルバース『』(集英社文庫)
:1945年4月、ソビエト軍が進攻してくる中、帝都ベルリンでユダヤ系の元刑事オッペンハイマーが、旧知のギャングであるエデから奇妙な依頼を受けます。ディーターと名乗る男とそのカバンをかくまうようにというのですが、ディーターは終戦を目前に殺害されてしまいます。一方、進駐してきたソ連軍もそのカバンを探していて…。
1944年5月に始まる『』、1945年1月を描いた『』に続くドイツのミステリー・シリーズの第3弾です。ソビエト駐留軍との微妙な関係を背負って敗戦直後のベルリンで謎の解明に走る点で、『ベルリンは晴れているか』と共通するところが多い物語です。
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