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非実体主義殺人事件
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非実体主義殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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イギリスで犯罪小説を提唱し独自の道を歩んだ巨匠シモンズが1945年に発表したミステリーの処女作です。本書は帯に書かれている通りユーモア本格ミステリの範疇に入るかとは思いますが、爆笑を期待して読んで見ると完全に当てが外れてほとんど笑えない事に気づくでしょう。この小説の笑いの種類は些か高尚で冷静な乾いた可笑しさといえます。そこに存在しない物に価値を見出すというけったいで奇妙な芸術集団「非実体主義者」の展示会で死体が彫刻の中から出て来るという異常な事件が起こる。物語は罪のないアメリカ人ジョン・ウィルソン、私立探偵チーク・ウッド、本職の警察官ブランド警部の3人を語り手にして進むが、犯人解明の決め手を欠きもたもたする内に第二の犠牲者が出てしまい、事件の謎はますます錯綜して行くのだった。本書のミステリーとしてのトリックは、さほどびっくりするような物ではありませんが、怪しげで胡散臭い人物が多数登場して酒を飲んで酔って騒いだりの混乱状態の中で各人が他人に注意を払わない為に犯人を見つけるのが非常に困難になります。日本の古典ミステリーを例に取ると、きっと古い探偵小説ファンの方ならご存知と思いますが文豪坂口安吾氏の「不連続殺人事件」に似た雰囲気を感じました。物語としては男好きで複数の男性と浮名を流す独身女性ダイアナと最初の被害者である浮気性の夫に悩んでいた妻ブレンダの2人の女性を取り巻く男達の人間関係が大きな鍵を握ります。著者は最後に「えっ、まさか」と唸らせる大胆なサプライズを用意しますので、思わずクリスティー女史の有名な名作のトリックを思い浮かべましたが、そこからもう一度鮮やかなどんでん返しを決めて見せます。著者は犯罪者の心理に重点を置くクライム・ノヴェルの大家ですが、デビュー当初の3冊はブランド警部が活躍する本格ミステリーで、転向を惜しむと共にぜひ残りの2冊も紹介して頂きたいと望みます。 | ||||
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