自分を殺した男
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評論家としての業績でも名高い英国犯罪小説作家シモンズの名作が久々に翻訳出版されました。著者の作風は謎解きミステリーというよりも、人間の心理描写に重点を置いたクライム・ノヴェル風の物ばかりですので、好みと合わなかったのかこれまでの日本での人気と評価はイマイチといえるでしょう。本書も謎解きミステリーの愛好者の方には薄味に感じられると思いますが、英国本来のブラック・ユーモア的味わいに満ちた小説としての完成度は高いですので、また違った意味で楽しめるでしょう。零細企業の経営者アーサーはサリー州の郊外住宅地‘月桂樹荘’で女房と暮らしていますが、実は人相を変えてイースンビー氏としてロンドンで結婚相談所を開き違う女性と重婚して別宅で週の半分を過ごす二重生活を送っていました。常日頃、現状に不満を覚えていた彼は偶然発明詐欺に引っ掛かり、続いて美人局の被害にあって強請られるという不運に見舞われて、遂に妻を殺す決心をします。アーサーは妻を殺害して罪をイースンビー氏に被せ自分自身を抹消しようと考えるのですが・・・・。後半、転居して孤独に引きこもり自分の幸せについて懐疑的になるアーサーが憐れです。万全と思えた完全犯罪が偶然のきっかけで破綻していく結末ですが、作者の仕掛けた思いもよらない趣向が待っていて、そこには強烈な皮肉が漂います。徹底的に可哀相な男の人生ですが案外悲壮感は少なく、救いの感じられる穏やかなラストにしみじみとした読後感を味わいました。 | ||||
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