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夜蜘蛛
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夜蜘蛛の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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物語は、新聞に作家が、自殺についてのエッセーを書いたがために、興味を持ったというある男(A氏)から、編集部経由で面会を求められ、会うもうまく話せず後日、手紙が送られる。 この手紙には主に、男(A氏)の明治生まれという親父のことが自殺するまで書かれていた。 こういった手紙形式は漱石の『心』ですでに書かれており、読めばこの『夜蜘蛛』が『心』のオマージュか、剽○作と言えるかもしれない。 戦時中、親父は戦場で死んだふりをして生き延びたという。その情景を子供の私(A氏)がのちに聴かされ、「ある一言」を言い放つ。 忠臣蔵、乃木大将の殉死、天皇陛下の崩御、戦争、日本高齢化問題、介護社会などをネタに描いているものの、読後感はどれも中途半端で、消化不良、文中P138にもある「なんの深い意味も込めず、ただ勝手に頭の中で話と話、戦争と戦争を結びつけただけ」のような単純なレポート小説になっている。もう一歩、文章芸術としての深みが感じられない。介護福祉について取材でもした記述もないのはレポート以下とも言えるのだが(文中の「老人施設」は「老健施設」が正しい)。 親父の遺書には、自殺するのは子供の私(A氏)が言い放った「ある一言」とある。が、私(A氏)は親父の自殺は「理解不能の行為」P140とし、戦時中、子供の私(A氏)が壕だか押入れで見た蜘蛛を殺さなかったためだ、ともいう。(「親に似た夜蜘蛛」て、どんな蜘蛛? ) そして、「本人(A氏)の気づかぬ真実を発見」してもらいたいと、作家に手紙を送りつけるのである。 『夜蜘蛛』の親父の自殺は、漱石の『心』のKよりは謎めいてなく、単に、私(A氏)やその妻、そして娘と(A氏)の姉が、親父に冷たく厄介払いにしたのが原因のように思えるのは、私だけであろうか? 息子(A氏)が言い放った「ある一言」は、単に自殺への理由付けに過ぎない。もちろん、親父の天皇観へ関連付けもできぬではないが、如何せん、この筆力不足ではそこまで至るには少し無理があるように思う。 戦争とは? 乃木大将とは? 天皇陛下とは? これを読者にでなく、筆者自身がまず向き合い書かずして、一体何を書こうというのだろう? そういう意味では、この『夜蜘蛛』は個人的にはつまらなかった。 しかしエッセーを読んだくらいで、こんな長ったらしい手紙を作家に送りつけてくるとは、なんと迷惑な人(A氏)であろう。 | ||||
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