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きっと彼女は神様なんかじゃない
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きっと彼女は神様なんかじゃないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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百合系SF。 物語が進むにつれて世界観が明らかになっていく感じでどんどん引き込まれていきます。読み終えてプロローグを読んで凄い作品だったなと感じ入りますね。 好きという言葉は交わされないものの命の次に大事な槍を手放したり持て余した感情が抱き合う事で落ち着いたり感情の描写がとても素晴らしかった。また添い遂げる為なら人殺しも厭わない強力な気持ちもとても良い。 東の部族の「顔剝ぎ」が顔を剝ぐ理由を考えると想いが知れて結末も含めて切ないですね。 とても面白い作品でした。 | ||||
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ガール・ミーツ・ガール。他の型も指摘されてる通り、ラノベにしては結構エグいです。 とはいえただエグいんじゃなくて、その展開をしっかり消化します。作品を読み進めていく中で、いい意味で予想を何度か裏切られました。それにしても入間先生は百合を描くのが上手いですね… | ||||
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入間先生の作品によくある時系列、視点シャッフルが読みやすい範囲の中で行われていて、あだしま等他の作品から入った読者でもすんなり楽しめると思います。 | ||||
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表紙と入間さんというだけで購入したので、ふわふわのガールミーツガールでちょっとした日常ものかと想像していましたが、見事に裏切られました。胃が痛いです(いい意味で)後半に入ると前に読んだ内容をもう一度読み直したくなるような内容で、受ける衝撃は相当なものでした。えぐいぞ。 | ||||
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2017年に入ってからめっきり刊行ぺースが落ちた入間人間。 電撃文庫でのお目当て作品の一つ「あだしま」も刊行が一年近くストップしているので百合成分が不足気味の今日この頃。 またしてもミカンの山が大きくなるのかと苦々しく思っていた所に百合っぽい新作が出たので一も二もなく拝読。 物語は語り手である「わたし」が集落の長に呼び出される場面から始まる。 凶悪な東の部族の侵攻が活発化している状況で生き残るには彼らの用いる力と同等の力が必要だという長。 その力を持つ「神の岩」に近付かねばならないという事で「わたし」は選ばれたらしい。 もともと「大地を愛せ」という集落古来の教えに背いて海を愛することで浮いた存在だった「わたし」は 近付けば光に焼かれる「神の岩」に近付く「贄」として選ばれたらしい事を察する。 来るべき時が来たと覚悟し、海に飛び込み神の岩へと向かった「わたし」は巨大な大蛇の身体を盾にして 神の岩に接近、神の眠る場所として語り継がれてきたその神聖な場所に触れた瞬間、口を開けた神の岩の内部に転げ落ちる。 気が付けば辿り着いていた神の岩の内部は東の部族が用いる道具に似た雰囲気を持つ旧文明の建物に似ていた。 神の岩の内部を当て所もなく彷徨っていた「わたし」の目の前に広間が現れ、そこには細長い水の器が置かれていた。 器に満たされた水の中には「わたし」より頭半分ぐらいは大きい女が眠っていた。 不思議な服を着たその女を引き込まれる様に眺めていた「わたし」だったが、突如「神の岩」全体を激しい振動が襲う。 神の岩の光を避けるために盾にした大蛇が暴れているのだと察した「わたし」は手放さずにいた槍で女が眠る器を壊す事に。 目覚めた女は状況を確認しようとして「ここは船?」「あなたの船員番号は?」とわけの分からない事を聞いてくるが、 激しい振動で神の岩が長く持たないと察した「わたし」は状況が掴めないままの女を連れて一旦退散する事に。 神の岩が崩れる寸前に水中から脱出した「わたし」は集落に女を連れ帰るが集落の者は長を始め女を「神」として扱い始める。 だが「わたし」だけは自分が助けなければ我が身を守る事すらできなかった虚弱な女を神とは思えずにいた。 女が「神」として集落に迎え入れられて数日後、「わたし」は女に呼び出しを受ける。 女は集落の他の者と違う銀の神と褐色の肌を持つ「わたし」の容貌に興味を抱いた様子を見せた上で、 集落の中でも余所者である「わたし」に集落の周辺を案内してくれと頼み込んでくるが… 百合であるとも言えるし、「おともだちロボ チョコ」にも通じるダークな世界観はある種の「黒入間」っぽくもある。 確実に言えるのはこの「胃にくる」感じの読み応えは間違いなく入間人間の作品だなあ、という事。 「どっしり感」の無い作品なんて入間作品じゃない…そういう意味では大いに満足。 「黒入間」は好みがかなり分かれる作風なので万人向けではないかもしれないが、従来のファンなら大いに「あり」かと。 上に書いた冒頭部分からもお分かり頂けると思うが、本作は結構ガチめなSF作品。 石器時代みたいな文明レベルの社会に集落のはぐれ者として生きる「わたし」が贄として向かった「神の岩」で 出会った奇妙な女と過ごす中でメイと名乗るその女の言動から少しずつ「わたし」を取り巻く状況が見え始め、 それと同時に各章冒頭に挿入される文明が崩壊する前らしい状況下での語り手である「皐月」とメイのやり取りを重ね合わせる事で、 「わたし」たちを殺そうとする異形の種族「東の部族」や旧文明の正体、東の部族に殺意を抱く集落の真実といった 殺伐とした状況の正体が「神の岩」の中で長く眠っていた「神」であるメイの素性も含めて見えてくる仕掛けとなっている。 キーとなるのは「わたし」や「わたし」が暮らす集落の人間が殺し合っている「東の部族」。 「角張った大きな背中」「岩壁の様な肌」「太く逞しい四つ足」「極端に短い首」「潰れた目元」「存在しない鼻」 …と、およそビジュアル化するのが難しいレベルのおぞましい姿を持ったクリーチャー的存在なのだが、 中でも凶悪さが知れ渡っている「顔剥ぎ」を含めて「わたし」たちには恐るべき敵でしかないこの「東の部族」の正体が メイの反応も含めて明らかになってくるにつれて、世界観の救いの無さに「うわあ…」と絶句させられた。 見えてきたものは…何というか星新一の「善意の集積」と筒井康隆の「幻想の未来」を掛け合わせたような状況。 (どっちも救いが無かったり、かなりグロテスクな部分があるので検索する際は注意) 特に異形の存在である「東の部族」とコールドスリープから目覚めた少女メイの関係は一ミリも救いが無い。 特に各章冒頭のメイの皐月との会話やプロローグ部分「暮れゆく星の五月に」の背景が見えてくるにつれて その悲劇性は一層強まってくる。 「望んだもの」が「望まぬ形」で手に入るという「猿の手」的悲劇はありがちではあるけど、 ここまでやるのは入間人間の黒さが全開というか…うーん…凄いな、何度読み返してもどこにも救いが無いw そんな絶望的な状況を突き付けられたメイに唯一の「救い」として現れるのが唯一人自分を「神」扱いしない「わたし」。 集落のはぐれ者で二十七人の家族との長い旅の果てに辿り着いた場所で海を愛した「異形」。 メイと「わたし」の関係はガール・ミーツ・ガールとも言えるし、悲惨な状況に置かれた孤独な存在同士が 惹かれ合う「二人ぼっち」的関係とも言える(「わたし」も冒頭で集落から良いように贄にされるぐらいには孤独なのだし) ただ、集落の中での扱いで諦観に囚われていた「わたし」の中にメイと喧嘩をすると「気まずさ」が生まれてきたり、 不仲である事に抵抗を感じたり、自分が弱くなっていく事に戸惑ったりする「わたし」の内面での変化には 「うん、これは確かに百合だ」と納得させられた上でニヤニヤした次第。 後半急転した状況の中で、「わたし」はメイと集落を離れ旅に出る覚悟をするのだけれども、 その後を追ってきた東の部族の中でも最凶の存在「顔剥ぎ」との命の奪い合いは…うん、これも百合の一形態かも知れない。 惚れた相手の「奪い合い」が描かれない百合作品は無いものなあ。 そして「わたし」と顔剥ぎの間で奪い合われる存在であったメイが最後に取った行動は望まぬ形で辿り着いた世界で 「わたし」と二人生きていく「覚悟」を表明するためのイニシエーション(通過儀礼)的行動だったのかな、と。 残酷ではあるが、それ故に気高くもある… ただ途中で明かされる「わたし」の本名が、うん、まあ入間人間作品だから「そうじゃないかなー」と思っていたけど やっぱりこういう形で入間ワールドにリンクさせちゃいますか…「これがあってこそ入間作品だ」という人もいるんだろうけど 今回、この作風でリンクを挿入するのは強引さが否めん様な気が。 欠乏しかけていた百合成分と「黒人間」成分をたっぷりと補充できたのは間違いない。 救いの無い世界観で出会った少女二人が旅に出るまでを内面での変化の細やかな描写も含めて描いた部分は間違いなく「百合」。 単巻完結作品としてきっちりまとまっている部分にも好感が持てる。 刊行ペースは多少落ちたかもしれないが、入間人間はまだまだ油断のならない作家である事を改めて思い知らされた一冊。 入間人間の新作に飢えている方であれば手に取って間違いのない作品であった。 | ||||
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