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(短編集)

憤死



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【この小説が収録されている参考書籍】
憤死

憤死の評価: 3.23/5点 レビュー 22件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.23pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全13件 1~13 1/1ページ
No.13:
(4pt)

表題作がよかったけど

憤死未遂から復活して振った男を見返すぐらいまで書いてほしかった。ショートケーキの食べ方も前と同じではなく、再生して一口でまるごといくくらいの勢いがほしかったな。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697
No.12:
(4pt)

夏のホラー特集

子どもの頃の記憶の中の、うすら怖い心象風景は私にもあるけど、それを虚実ないまぜにして鮮やかに見せてくれるのはすごい作家さんだなぁ。
そこしかない閉鎖的な学校生活で、悪目立ちしないよう、スクールカーストや自分の立ち位置を意識して、こういう風に見られようとキャラを立てたり、移動教室の時一緒に行く子を確保したり、子どももなかなか大変です。
私も人生の折り返し時点をとっくに過ぎて、人からどう思われるか、とか、失敗したらどうしよう、とか無駄なことにエネルギーや時間を使う余裕はないと気付くと共に、人生の経験値からか怖いものもなくなってきて、大人になったな、と感じます。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697
No.11:
(5pt)

怒りって本来高貴なんだよな

森見登美彦は佳穂を「俗物」と表現しているけれども、実際はその逆。
俗物からみると佳穂の憤怒は大変滑稽なものに見える。私は冒頭こそ木嶋佳苗みたいなヤバい女きたーーー!とwktkして読んでいたが、佳穂の菅原道真やかつての帝王と比類する怒りに主人公同様感銘を受けてしまった。
現代社会では怒りというのは、押さえ込まなきゃいけないみっともない感情とされており、アンガーマネージメントの対象であるが、中世の欧州社会では男らしい英雄的な感情の爆発のさせ方で、怒ることの出来る女性は高貴であるとみなされていた。
佳穂は中世の貴婦人たちの末裔たる存在で、俗物などではない。むしろその逆で高貴な姫君なのだ。
木嶋佳苗のようなエセレブの印象からジュリエット姫のような高貴な姫君の印象にイメージをびっくり返した綿矢りさは凄い。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697
No.10:
(5pt)

心地いい気持ち悪さ!心の騒めきを味わえる作品

『トイレの懺悔室』『憤死』『人生ゲーム』3つのそれぞれのショートストーリーからただの気持ち悪さ以上の感覚を味わえた。それぞれ小学生時代のセピア色の思い出から始り3人の主人公たちと同時に年を重ねたキャストたちが再登場し不気味なやりとりが展開する。『トイレの懺悔室』では、同窓会で再会した旧友が思い出のトイレの懺悔室を乗っ取っていたことを知ることになる。旧友はかつて世話になった管理人の老人を虐待していたに違いなかった。懺悔室に閉じ込められる主人公。肉の脂、白い部分を「指で力いっぱいつぶしたくなる種類の欲望が、子どものころからあふれてきて、止まらない。」と意外な残虐性を一方的に告白される恐怖。底なし沼に落ちていくような主人公の心情を追体験し残骸が心に残された。『憤死』では「ただあの瞬間、身が焼き切れそうな怒りから逃れられればよかったの」と自分の飛び降り自殺未遂を振り返る地域限定お嬢様を見舞う主人公。かつて彼女が飼育小屋で暴れた思い出が蘇り憤死に違いないと確信する。ショートケーキを苺からむさぼる彼女を傍観しながら、皇帝を見上げるような主人公の視線に触れ笑える貧富の差をキャッチし楽しんだ。『人生ゲーム』では2人の親友がゲーム盤に謎の美少年が記したマークに予言されて自殺するストーリーは壮絶でドラマチックな展開だった。主人公は彼らに比べれば淡々と生き延びて孤独なアパートで老後を迎える。引き出しから例の人生ゲームを引っ張り出し一人でやり始めるラストシーン。そこにあの日の謎の美少年があの日のまま現れる。心温まる2人のやり取りが展開する。最後のマークから死の宣告を予見する主人公。しかし死を目前にした一般的な心情をどこかに溶かしてしまう不思議さに何となくうろたえてしまうのだった。積極的にキャッチして欲しいのはそれぞれの衝撃の結末で向き合う主人公の心情だ。飽き飽きした日常からゾワっと飛び出したい人、あるいは時計の針が早回りしていて止まらない日常を何とか力ずくでも逆回りさせたいような、そんな衝動がある人に楽しんで欲しい作品だ。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
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No.9:
(4pt)

やっぱり的確な表現が素敵

読み始めて、もしかしてホラーかと思いました。「トイレの懺悔室」、これが一番長いですが、すぐに先が読めます、こうはう意外に鈍感で臆病な男はいるな、という気がして、怖いというより、やっぱりね、と思いました。「憤死」はこういう原型はよくあるし、「人生ゲーム」のラストが一番好きで、意外であることがどこかうれしかったです。この内容も面白いのですが、この作家さんの、要所、要所に、「返し針」が確実に入っているような安心感はやはりすごいと思いました。
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4309021697
No.8:
(5pt)

とっても怖くて、すごくいい。

トイレの懺悔室がとても怖かった。幽霊じゃなくて、人の怖さがある。
最初は地蔵祭りの話から始まる。思い出話かと思った。
読み進めて行くうちにわかる、あれこれは普通の小説じゃないぞ、と。
主人公の友人ゆうすけは近所の「親父」を高校生の頃から奴隷として周りにわからないように虐待している。
最終的に主人公に言う「実は親父は風呂場に置いている、動かせない」という言葉。
ゆうすけは親父の家に我が物顔で上がりこむ。家はゴミだらけ、流しからは悪臭がしている。病気をした親父の介護を他人だがボランティアでしているのに、そんな雰囲気はない家。
ぶっちゃけ尼崎の家に上がり込んで家族を破壊していった事件を思い出して怖かった。
高校生なのに、ゆうすけは恋愛や将来よりもジジイの虐待に精を出しているところがもう既に気持ち悪い。
表現も、言い切っていない。何でもない言葉で怖くさせる。これってひょっとしてそういう意味…?という風に。
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4309021697
No.7:
(4pt)

表現が好きなんである。

綿矢りさの本を読んでいるといつも自分に刺さってくる表現がある。感性がすごいと感動するんである。
今回の本では憤死の自殺未遂した友人に対する「自分の命に八つ当たりした」という表現が刺さった。視点が違うと思った。私は精神科方面に関心があり本も読んだが医学者が考えない発想だと思った。
中で一番怖かったのはトイレの懺悔室である。生きた人間で、自分と違う世界に入り込んでそこで生きている人間は怖い。狂気を内包した人間は怖い。隙を見せると牙をむいてくるから。そんな感想をもった。怖い怖い。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697
No.6:
(4pt)

世にも奇妙な物語っぽい

綿矢りささんの短編集。

おとな
トイレの懺悔室
憤死
人生ゲーム

が収録されている。

冒頭のおとなは毎日新聞夕刊 大阪本社版2012年8月2日夕刊に掲載。
著者自身の昔の記憶について。いや問題ありすぎだろ。
近所の夫婦!!と思った。

残りの作品のトイレの懺悔室と人生ゲームは世にも奇妙な物語の雰囲気と似ている。
人生ゲームに至っては終盤に既視感があったのだが世にも奇妙な物語っぽいと思えた。
個人的には人生ゲームが面白かった。

憤死は過去と今、心理描写中心の作品。純文学らしい作品でした。
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4309021697
No.5:
(4pt)

世にも不思議な話、作風、イメージチェンジか

短編初挑戦らしく、新鮮であった。短編は、それなりの流儀がある、
しかし、綿矢りさは、長い短編と短い短編とデコボコの短編集を世に
出した。それはそれで評価できるのかもしれない、が、作風の統一感
がどうもいただけなかった。
本人が、トワイライトゾーンやミステリーゾーン的な物語を描いてみ
たかったと言明していたが、なるほど、あり得ない恐い話が満載だ。
ひょとしたら、綿矢りさは、こういう話がお似合いなのかもしれない。
小泉八雲、ラフカディオハーンのような作家の生まれ変わりなのかと
妄想したくなる一冊であった。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697
No.4:
(4pt)

夏休みに良いと思う

かわいそうだね?の次に読みました。

内容は短編集でした。

それぞれに良い内容でした。綿谷さんの独特の感覚、価値観、感受性という所が随所に見られたと思います。

素直にこのような内容を書けるのはすごいなあ、と思いました。

特に、出てくる人物の青年時代の描写、出来事、お祭りとかが心に響く、すごく懐かしい感じがしました。

しかし、最終的には怖い内容になる・・・おお、ちょっと怖いなあ、と思いました。

これを長くしてくれたら絶対映画になるぞ、と思いました。トイレの懺悔室?でしたかね?

最近の小説では、綿谷さんが一番好きですね。

むかーし、蹴りたい背中?でしたかね。凡人には内容が理解しがたい、難しいなあ、と記憶がありますが、憤死は私にも分かりやすく、書いてくれているなあと思ってます。

次作も是非買いたいですね。一冊長編で書いてくれたら、もっと濃い内容になるだろうから、それを勝手に期待して待っています。
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No.3:
(4pt)

ここまでか

著者の作品にしてはひさびさに読めた感のあった作品。しかしここまでか。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697
No.2:
(4pt)

1人4役

綿矢りさは「インストール」「蹴りたい背中」「夢を与える」「勝手にふるえてろ」を読んでいたので私にとっては通算5冊目の綿矢作品。正直「勝手にふるえてろ」は読んで感想もあったんだけど今では内容も覚えてない・・・。ごめんなさい。私は「夢を与える」が好きです。にしてもほんとこの人には読むたび「あれ?自分は誰の作品を読んでいるのだっけ?」と思わせるほど書き方が達者というか変幻自在というか。若さゆえの文章力でしょうかね。今回の短編集もまるで全て別人が書いたオムニバスのような作品。表題作の「憤死」は最初「ん?」という感じでしっくりこないんだけど最後は「おぉ」とうならせるような作品。一方で暗喩的に主人公のアルバイトの「表面の華やかさ」が描かれていてそれが「憤死」をしようとした彼女に何か通ずるものを感じた。個人的なお気に入りは「人生ゲーム」。綿矢さんらしい書き分けのうまい作品。段々と歳をとるにつれ言葉遣いや漢字の量まで変えている。ただ少しおじいさんの書き方がなんとも不自然というか、それこそ「昔話の登場人物」のような言葉遣いに感じたのが残念。「トイレの懺悔室」も好き。久しぶりにぞっとする話だった。とにかくまだ彼女は若いので「色んな作家の顔」を持ってほしいなぁと思う。さてさて次回作が出たらまた「あれ?これ誰の作品だっけ」というのを楽しみにしますかね。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697
No.1:
(4pt)

怖い話ですーー!

全部少し不思議で怖い話。

最初の「おとな」は、とても短く、この短編集のプロローグのような話。
実話?とも思わせるところが、また怖い。
「トイレの懺悔室」
主人公が小さい頃の思い出である地蔵盆について語りだすところから始まる、怖い話。
近所にいた変わったおじさんと、その後のおじさんと幼馴染のだんだん浮き彫りになってくる奇妙な関係を、
読者も体験したことのあるようなエピソードを散りばめて語っています。
「憤死」表題作。
自殺未遂した友達をお見舞いに行く話。
この話は恐くはなかったですね。
「人生ゲーム」
3人の男の子が人生ゲームで遊んでいる時に現れた、一人のお兄ちゃんの友達。
その時の予言(?)が3人の人生に的中して…
これは、世にも奇妙な物語にできそう。

3つとも面白かったです!
怪談レベルに怖かった。
綿矢さんは、超常現象的ではないけどややあり得ない話を書くと思っていたんですが、
(部屋のもの全部捨てたり、男の子の背中蹴ったり、浮気相手の前で大暴走したり)
今回はそうではないですね。でもオススメ。
綿矢さん好きなら好きだし、今までのちょっと変人暴走苦手な人も面白く読めると思います。
ほんと、面白い話を書くのが上手くって、読みやすくって大好きです。

でも、共通しているのは、
意識して思い出しはしないのにも関わらず思わず既視感にかられる情景&心理描写と
人に対するやや歪んだ感情ですかね。

今までと違うのは、主人公の性別と年ですかね。男性主人公の話が2話ありますし、主人公の年齢も変化していきます。今までの話は、短い期間の感情の移り変わりを丁寧に書いていたかんじですが、今回のは物語の構成に焦点を当てているというかんじでしょうか。

話の内容については、あんまりネタバレしてしまうと、面白くないものばかりなので、とりあえず読んでみてください。
憤死Amazon書評・レビュー:憤死より
4309021697

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