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ネクサス
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ネクサスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.26pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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後半は怒涛のアクションないしは暴力の連鎖を描いてスリリングだ。多くの方が一気読みの体験を描いているが、まさにそうだったことは保証できる。ポストヒューマンの旧人類に対する勝利がエリートによる独裁か、開かれた形か、というのが作者の関心事で、そのようなポストヒューマンの存在を許さないという立場は、本作では遅れた人々でそのために手段を選ばない残虐な人たちとして描かれているのだが、もう少し立ち止まって見てもいいのではないか、と読んでいる間に感じた。テクノロジーの進歩が必ずしも人々の幸福に繋がらない事例は多かったからだ。しかし一方で、新しい世代による社会はそのような想像を絶するようなテクノロジーの進歩にいとも簡単に適応してきたのも事実だろう。電話に驚いた世代、カラーテレビに驚いた世代、ネットの登場、スマホとwifiの世界は少し前なら想像もできなかった変化をもたらした。その功罪は後からわかるはずだし、功の方が多いと良いだろう、という希望を作者とともに持ちたいものだ。 | ||||
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上下巻一気読み。 まずネクサスというツールが素晴らしく魅力的。 世界と自分、他者と自分という境界を無くし、 記憶、体験、感情、あらゆるものを共感する。 自分とは有機的な集合体の一部である、という 悟りの境地を理解し受容するツールなのだ。 この、SFとスピリチュアリズム、行く先は全ては一なりの概念へと向けたSFは珍しくはない。 (利便向上、効率化の追求だけでは科学の進歩の意義が成立しなくなるリミットに人間は近づきつつあるのかもしれない) 決して珍しいテーマでは無いのだが、この作家は肉付けのセンスが抜群に良い。 これまで読んだどの作品にも似ていない。 全く独自のセンスが感じられる。 なんというか映画的。映像を見てるような躍動感、テンションの高さがあり、引き込まれる。切り貼りせずそのまま脚本にして映画化出来そう。 (個人的にタイバンコクの情景描写もとても好き。描かれているのは22年後のタイなのだが、タイを訪れたことがある人はあぁ実際こうなるだろうなと、非常にリアルに感じるのではないだろうか。近代的なデザインのコンドにモールがガンガン建つ傍らには陽気に日銭を稼ぐ屋台が並びマッサージ街があり、仏教とアジアハブ国のカルチャー、性風俗、なんでもアリの雑多でジャンクなタイの魅力。それが見事に描かれている) 広い普及と個人の選択があってこそ技術は有効利用される。エリートが独占したらそれはディストピアになる。という作中の重要な伏線となるイリヤの言葉は作家の一番伝えたい事なのではないかと思う。そして心から同意する。 久々の大当たりだった。 | ||||
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まさに上下巻一気読み!久々の大ヒット間違いなし! なんとか賞なんて冠は必要ありません。 オルタードカーボン以来の大傑作です! 何が凄いかって、とにかく読ませます。スピード感が実に良い、 話の展開がスムーズで良い、登場人物が全て魅力的、そして怒濤の アクションがこれでもかと続きます。 高次元のネクサスという神経通信システム(?)を創り上げた青年達が 艱難辛苦に巻き込まれ、とにかくハラハラの連続なんですね。 天才という言葉では足りないほどの頭脳を持つ正義感の強い青年が、 データや開発技術を欲する、米国の悪辣な機関、中国の高次元の神経管理機関、 その他有象無象の組織に、拉致誘拐されそうになるのですが、タイの高僧達が活路 を開いてくれます。主人公達の運命はいずこに・・・・ 帯や解説からはとても想像できないほどのバイオレンスの連続でページが止まりません。 戦闘能力を高次元に高められた米国機関の女性が鬼人のように強い。 主人公も「ブルース・リー」の身体能力を体内にダウンロードし軍人・殺し屋達と 互角の戦闘を発揮する。そして体内に取り込んでいるネクサス5を使って危機を脱出する。 ああ、私の語彙では、文章力では全然駄目だ。この作品はそれ以外にも驚くほどの 魅力に溢れています。 映画、ブレードランナーと甲殻機動隊とニューロマンサーとマトリックスを混ぜ合わせて 分かり易いお話にまとめました!そんな感じです!って全然わからないか?(-_-) 作者のラメズ・ナムさんはウィンドウズやアウトルックの開発に携わった方で知識の 裏付けは折り紙付き、何より文章が巧い、作り込みが深い、各処の造形が実に深いのですね。 コンピュータ用語満載ですが翻訳が見事なのであまり気にならない。 私の本年度ダントツのNO1作品です。 とにかく書き切れないほどの魅力に溢れた作品。読まなきゃ損ですぞ! リドリースコットさん!映画化して!お願い! | ||||
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ありうる未来像としてのポストヒューマンのいる世界。人知を越えるとは。 | ||||
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瞑想によって到達する精神の静寂と明晰さ。集合知は世界の課題を解決しうるのか。 | ||||
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この作品はフィクションです。 しかし、ストーリーのディティールが現代の科学に裏打ちされているので、 もっともらしいリアリティーが感じられ、引き込まれました。 特に情報技術関連のディティールには、 著者ラメズ・ナム自身の情報技術研究と開発の経験が盛り込まれています。 そして、本書のあとがきにあたる<付録>の「ネクサスの科学」は、 著者自身による科学的背景のノンフィクション的な解説となっています。 そのためか、「ネクサス」というポストヒューマン技術は、未来の人類に 軍事的脅威と麻薬的害毒をもたらすのではないか、という恐怖と不安を、 この作品から感じました。 本書のストーリーは、2040年という近未来の時点での脳コンピュータ・ インターフェース技術をめぐる、米国、中国、タイという国境を越えて 繰り広げられる、多国籍人の武闘の物語です。 2040年の米国は、この技術が世界に拡散すると軍事的に利用されて 脅威となると考えて、その研究開発そのものを規制し、技術の拡散を 防止しようと考えています。 この技術のリスクは、人類にとってどんなに驚異的であっても、 いったん社会に出てしまえば、この技術以前の状態には戻れない、 ということです。 かつて、人類が「原子力という火」を知ってしまったときのように。 「ネクサスは広範な人間の欲望を満足させながら、表面的には無害である。 ゆえにひとたびこの技術が一般社会に出たら、 魔法のように瓶にもどすのはきわめて難しいと思われる」 『ネクサスのリスク評価』(2033年) (314頁) <備考> ナノマシン「ネクサス」は、口から服用する薬物として描かれています。 「ナノマシンが血液脳関門を通って神経細胞に分け入り、すべてを記録する」 (311頁) しかし、この一文は、上巻の123頁の記載と矛盾します。 「CIAはその機会に劉総統の血液と脳脊髄液のサンプルを採った。 血液は異常なしだったが、脳脊髄液のほうに、ネクサスの存在を 疑わせる痕跡を発見した。 血液のほうに痕跡がないということは、ネクサスらしい物質は、 通常どおりに分解されて脳から排出されてはいないと考えられる。 つまり恒久的に脳に組み込まれている」(上巻 123頁) 「恒久的に脳に組み込まれている」という箇所が矛盾してます。 その理由は、次の通りです。 エタノールのような低分子は、血管の血液脳関門を通って脳内に入り込みます。 しかし、ほとんどの薬物は、この血液脳関門を通ることはできません。 脳は、この血液脳関門があるおかげで、いろいろな薬物の作用・副作用から 守られているのです。 ナノマシンが血液脳関門を通って脳内に入れる、ということは、 ナノマシンが血液脳関門を通って脳外に出れる、ということなのです。 ネクサスらしい物質は、口から呑んで消化管を経由して血液中に入り、 血流に乗って血液脳関門を通過して脳内に入り、そのまま血液脳関門を 通過して脳外に出られるのです。通常どおりに「分解されなくても」 ネクサスらしい物質は、脳から排出されると考えられます。 脳から排出されずに、恒久的に脳に組み込まれている、という記述は、 矛盾というより、誤りです。 現実には、脳の病気を治療する薬は、試験管の中では効果があっても、 経口投与や注射では脳の血液脳関門を通れないため、治療効果が出ない のが普通です。 薬物の分子が、血液脳関門を通れるようにすることは研究課題として、 現在もなお研究中の超難問なのです。 このような超難問を軽々と超越できるSFほど面白いときていますから、 SFを読むのはやめられません。 | ||||
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「神経科学研究の進歩により、ポストヒューマンの存在が現実味を増し、その技術が取り締まられるようになった近未来」(裏表紙より) 「2040年」が舞台となった、スリルいっぱいのサイエンス・フィクションです。 主人公「ケイド」は、ネクサス5を生みだした神経科学者。 「サム」と呼ばれる謎の女性は、政府の新型リスク対策局(ERD)の特別捜査官。 「ネクサスのアクセスフィルタをはずして、眼下のケイドの精神を探した」(349頁) 「ネクサスを走らせている精神が下に二つある。一つはケイド。もう一つはサマンサ・カタラネスだ」(349頁) ネクサスを走らせている、一つの精神「ケイド」の危険な状況はますます深刻になりつつあります。ここで「上巻」は終わります。 <下巻につづく> <備考> この本のタイトルである「ネクサス」って何でしょう? 答えを知るため、この本の中からキーワード「ネクサス」を拾い出してみました。 「記憶や官能を他人と共有できるナノマシン」(裏表紙より) 「ネクサスという薬物で精神の蓋をこじ開けられた」(25頁) 「ネクサスによって改造され、進歩した。その進歩によってネクサスは人の精神と心にふれる強力な道具になった」(26頁) 「ただの薬ではなく、ナノ構造物だそうね。そして他の脳と接続できるとか」(29頁) 「ネクサスの通信電波をはっきりとらえている」(31頁) 「ナノ繊維のアンテナが活発に働き、ネクサス・ノードがデータを送受信する」(32頁) 「精神はネクサスの開発環境内を自在に動いて、障害が起きた原因をたどっている」(32頁) 「一般に製法が知られているのはネクサス3だ。ネクサス4の製法はサンタ・フェの研究室から一時流失したが、新型リスク対策局(ERD)と麻薬取締局(DEA)の共同作戦ですみやかに回収された」(45頁) 「この学生たちはネクサスの送受信距離を伸ばす方法をみつけたのだ」(47頁) 「ネクサスが自分を学習しているのだ。調整(キャリブレーション)過程だ」(49頁) 「ネクサスのコアは恒久的に脳に統合されている」(54頁) 「そしてこのカウンターカルチャーはネクサスにどっぷりつかっている」(58頁) 「そこでもネクサスを服用した。ネクサス3であり、今回の経験にくらべれば穏やかだ」(65頁) 「その人物はマインドコントロール技術を構築しようとしている。おそらくネクサスを基盤として」(77頁) 「ネクサスOSには公開ネットワーク接続を探索するツールがある」(101頁) 「スクロールは続き、ネクサスのプラットホームに移植したOSが立ち上がっていく」(102頁) 「ネクサスは強力な殺人ツールになりうる」(120頁) 「血液は異常なしだったが、脳脊髄液のほうに、ネクサスの存在を疑わせる痕跡を発見した。血液のほうに痕跡がないということは、ネクサスらしい物質は、通常どおりに分解されて脳から排出されてはいないと考えられる。つまり恒久的に脳に組み込まれている」(123頁) 「ネクサスOSをつくったのは、新しい自由、新しいつながり方、新たらしい学び方を提供するためだった。マインドコントロールや暗殺の道具にするためではない」(124頁) 「ネクサスは人間の理解力がおよばないものではないか、ということだ」(134頁) 「ネクサス・コンパイラもうまく挿入できるようになった」(153頁) 「ネクサスOS用の新しいアプリを構想した」(174頁) 「発作だって? ネクサスの副作用だろうか」(281頁) 「シンクロニシティって、どういうの?」(342頁) 「NとMを混ぜたものさ。派手にトリップできる」(342頁) 「Nはネクサスのこと?」(342頁) 「そうだ。Mは共感促進剤(エンパセク)だ。Mの効果でだれかとつながりたくなる。理解し、愛したくなる。そしてNで実際に他人の感覚につながれるわけだ。すごいぜ。まるで魔法だ」(342頁) | ||||
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