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消えない月
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消えない月の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 21~33 2/2ページ
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ストーカーの加害者と被害者の双方の視点で物語を記述ということですが、被害者側の対応も現実とは違う感じがするし、物語を書くために都合の良いように書いているだけで、現実を表していないように思えた。加害者側も何かの取材から得た情報を元に書いているのかもしれませんが、こう考えたからこう行動したというような説明的な記述が目立ち、加害者の気持ちに全然触れていない。だから被害者側にも加害者側にも全然感情移入できず、なんだか薄っぺらい内容に感じた。現実のストーカー事件の深いところに全然届いていない感じがします。社会的に注目されている事件性のあるテーマなので、興味を引かれて読んでみましたが、うすっぺらで表面的な内容で、あまり読む価値はないように思いましました。 | ||||
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ストーカーを題材にした社会派小説。被害者、加害者の両サイドの視点から語られます。 登場人物の考え方に共感出来ないまでも、それぞれの感情が平易にそして自然に書かれているので、すんなりとストーリーは頭に入ってきます。 しかし、最初は日常の一環だったことが、いつの間にかこんなにも拗れてしまうところが、ストーカー犯罪の恐ろしいところなのかと考えさせられました。ラストは、ある意味予想通りでもあり、ある意味衝撃的でもありました。 | ||||
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その位モラハラ、ストーカー加害者とのやり取りや被害者の心情がよく書かれています。 特に松原との別れ話のやり取りで「もっと希望を言ってほしい」と言われ、さくらが「言ったけど、あなたが口答えするなって怒るから」と言った時に「それは言うよ、だって僕の希望だから」と言うやり取りは言っている言葉は違えど、被害者にはあるあるな場面です。 被害者がさっさと別れればいいのに、とか言い返せばいいのにと普通の人は思うでしょうが、普通に引き下がってくれる相手でもなく、話が通じる相手でもなく、言い返せば言い返せなくなるような言葉を被せて、自分が悪かったのかと思うようにコントロールする、それがモラハラストーカー加害者です。 その心理や行動をとてもよく描いていると思いました。 ラストはありがちな展開でしたが、それでも非常によく出来た作品だと思います。 | ||||
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途中から読みたくないけど読んでしまった。読み終わって、主人公を勘違いしてたことに気付いた。 | ||||
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偏執的な振る舞いはあるけれども、事件を描写しようとするあまり、キャラクター全体に個性が足りてないように思う。 全体的に、事件をなぞる為に作られた人格、という、積み木の継ぎ目のようなものが見えてしまうというか、 これを私(畑野智美)が書いたぞ!というニオイが足りていない感じ。 「こういう生き方をしてきたから私はこうなってしまったのだ」「ストーカー事件とはこういうものなのだ」という文法が、全体を通して非常に多く感じる。 ストーカー事件の中の被害者・加害者・周囲の人間の描写は息をのむほど生々しい。非常に読ませる文章ではあるけれども、 小説として面白かったかと言われると……うーん? | ||||
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衝撃を受ける本。 そして、身震いをする本。 怖さを求める人にオススメ | ||||
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心の底から「怖い((((;゚Д゚))))」」」」と思える作品。 特に秀逸なのは読者にとって「恐怖を受ける側=被害者」への感情移入は当然のこととして、「恐怖を与える側=加害者」にも感情移入できてしまう点がこの作品の最も恐ろしいところ。 加害者である松原は確かに身勝手で相手を意のままにコントロールしようとする所謂「ゲス男」そのものだけど、対象を強く思うあまり相手に裏切られた(と思い込んだ)途端一気に恋愛感情が憎しみの感情へと反転する心理描写などは、一方的に振られた経験を持つ男性にとっては少なからず共感の念というか、彼が決して理解不能なモンスターなどではないということを突き付けられる。多少なりとも「あの時自分も一歩間違っていたら…」という感覚を抱かずにはいられない。 一方で被害者であるさくらは過去にも軽度のストーカー被害を経験しており、どこか神経症的というか、周りからの視線を極端に気にしすぎるあまり自分ではない他者が過度に内面化されているとはいうものの、自分の考えや意志で行動するということの不透明さというか不可能性みたいのものは、多くの読者が常日頃から仄かに抱いている感覚なのではないだろうか?だから、さくら自身に極端な非はない筈なのに、自分さえ我慢すれば誰にも迷惑をかけずに済むといったある種歪んだ心理が働くことは現代のような監視社会(特に日本)では非常にリアリティを持った描写だと思う。 結局、松原は最後の最後まで「自分は決して間違ったことはしていない」という考えから抜け出すことができない。彼の思考や行動は悉く脊椎反射的で、相手の立場になって考え、自分にとって不都合な真実と向き合い葛藤することもできない。 松原にとって他者との関係性とは、作中にも頻繁に登場するLINEによるコミュニケーションそのものと言えるかもしれない。自分にとって都合のいいものだけを視て、それ以外は悉く遮断する。それを徹底していった結果のカタストロフィは極めて現代的な闇を炙り出すことに成功しているように思う。 | ||||
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ストーカの被害者と加害者、それぞれの心情が生々しく描かれていて読んでいて恐くなってきた。 別れてほしいと言われているにも関わらず、それが他者にコントロールされているせいだと決め付けて、自分の非を一切認めない加害者。 一方、自分の意見を主張しても全く受け入れてもらえないのに、相手を傷つけることを恐れたり、自分にも非があると思い込んで最終的に逃避する被害者。 住吉という素晴らしい友人がいたにも関わらず、自分が正しいと思い込んで相手の話を聞くことができない松原が憐れだった。松原が語る正論と、相手を執拗に求める執念と努力は凄まじいものだった。実際のストーカ事件はこうやって起こるのだと思う。 | ||||
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こんなやついる?っていう登場人物とそうなるねって結末。 さくらは何が好きで松原と付き合ったのかわからない割に1回目のデートで交際して寝る。松原に嫌なことされて別れても、私が悪いんだしか言わない。 松原は障害者か子供かと思うくらい自分本位、現実にいるとは思えないし何を言っても捻じ曲がった解釈しかしないところが冷笑しか出ない。 結末は警察が無能でってお決まりパターン。 途中の同僚先生とのロマンスは冗長。 | ||||
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この小説ほどではないけど、実際にストーカー被害にあい、 警察の仲介、引越し、転職などを経験しました。 数年過ぎてほとんど思い出さないようになっていたので、 テーマがストーカーということなので興味を持ち読んでみることにしました。 読み始めて早々、後悔。 加害者の思考と言動がそのまんま私に付きまとってた人と同じでフラッシュバックが起きました。 なので、過去にストーカー被害にあわれた方、DV(モラハラ)被害者だった方は要注意の作品だと思います。 この本を読んだたいていの人が「あー、加害者も読んで、被害者の気持ちを理解しろよ」と思うだろうけど、 これを読んだ加害者的思考(ストーカー気質)の人は、 「え?松原の言ってること正しいじゃん」 って当たり前に思うと思います。それくらい松原の思考で見事に「ストーカー心理」が描かれてしまっています。 その根底にあるものも最後にうまいこと描いているなと思いました。それを正当化してしまう狂気もリアルです。 被害者の描写も、元から持っている気質(相手の気持ちを尊重しすぎる)が高じて、 「私が悪い」と思ってしまう心理(結局、相手の理不尽な正論に洗脳されてたりする)とか、 ことが大きくなってくると周りに迷惑をかけないように元鞘に収まってしまう心理もリアルすぎます。 私も実際、一度別れを切り出しましたが、生活や仕事など様々な方面に迷惑がかかり、 「私一人が我慢すれば、誰にも迷惑かからないし」と主人公と同じ行動を取った過去があります。 そんな自分の経験をなぞっているような小説だから嫌なのに、 それでも、途中で止められなくなって、動悸を感じたり、 過呼吸を起こしたり泣いたりしながら、一晩で読みました。 気持ちが悪い。後味も悪い。過去が追ってきた感じ。 こんなにリアルな物語を書いた作者をちょっと恨む。 | ||||
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畑野智美さんの最新長編はストーカーがテーマ 怖すぎでした。 被害者の女性、さくらと、ストーカーである加害者、松原 それぞれの観点から物語は進行して行きます。 女性である私の立場から考えて、一度別れた松原と、周りに迷惑を掛けない為に 自分さえ我慢すれば良いと思い再び交際を決意するさくらに違和感 「いやいや、それをする事で周りにも迷惑が降りかかるでしょ」と突っ込まずにはいられませんでした。 昔と違いストーカー規制も厳しくなっている昨今でありながら さくらの毅然としない態度や優柔不断な行動には終始歯がゆい気持ちになりましたが 実際同じ立場になった時、あの松原と言うとんでもないモンスター男にどう対処出来るのか そこにはやはり自信が持てないかも知れない。 人とのコミニュケーションが上手く取れず、家庭環境も決して良いとは言えず しかしながら常軌を逸する思い込みと妄想、自己中な松原と言う人物は本当にどんなホラーよりも怖かったです。 読んでいる途中、ずっと息苦しく、読み終わった後もどんよりとする後味の悪い読後感となりましたが インパクトは大で、語弊はあるけれど面白いと思える作品でした。 | ||||
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まずは意欲的なテーマに果敢に取り組んだ作者に敬意を表したい。 ストーリーは加害男性と被害女性それぞれによる一人称語りで交互に進行していく。 力点はどちらかというと追いかける男性側の心理描写に置かれている。作者は女性ゆえ、増大する一方に見えるこの種の事件について、当初はモンスター級の男たちのなんとも理解に苦しむすさまじい執着に驚き、着目し、好奇心を持って調べ始めたのだろう。作者のインタレストはまさにその点にある・・・何故?すでに嫌われているのになんでさらに助長するような行為をするの?もっと嫌われるだけじゃない?という作者の素朴な疑問が聞こえてきそうではある。(なお、おそらく相当数の参考文献があるはずだから、これは末尾に一覧を掲載するのがマナーであろう) さて、作品としての評価はこの恐らく徹底的に調べ上げ想像の限りを尽くして描き出す男性ストーカーの独白に説得力、リアリティがあるかどうかにかかっている。男性主人公は裕福だが愛情に乏しい家庭で育ち、他人への共感性に乏しく、エゴイスティックだが臆病でもあるため人間関係をうまく築けないという性格的欠点を抱えている。長じて東大は無理だったが有名私大を卒業し、なんの意欲も持てないしがない中堅出版社に勤務という設定。 こうした背景を受け、さてドラマツルギー上告白に作りものめいた点はないか、読者(特に男性)をしてストーカー男性の家庭観、恋愛と結婚観、友人関係、職業観、ひとつひとつの心理的反応、いびつな感受性、異様な感性、そういったもろもろの描写を通じて、確かに今の世の中、こんなモンスターもいるのかもしらんなあと納得させられるかどうか、作品の成否はその点にかかっている。読者が(不承不承ながらも)納得すれば作者の勝ちである。 結論を言うと、この男性ストーカーの胸の内を暴き出すことにかなり成功したのではないかと私は感じた。モンスターの造形にまずまず成功しているのではないか。私は男性だが読んでいて、説得力を持つと思った。 一方、被害者女性の描き方は少々平板であると感じた。女主人公は意思が弱く、自己主張の少ない女性として描かれ、常に波風を立てないようにしようと考え行動する。とんでもストーカー男に対する反発が弱いように感じられ、感情移入をして小説世界に入り込もうとするとなんとも歯がゆいキャラである。しかし、これもまたリアルかもしれない。実際の日本女性にもこの手の温和しくて意志が弱く、何かと言うと周囲に迷惑をかけていないかどうか気にしてばかりいる人々が多い、というのも偽らざる実感(これが米国女性なら話はまた別展開になろうが)。同性の作者はこの国に住む人々の同調圧力の強さを常日頃意識していて、むしろ意図的にこうしたキャラを設定したのかな。それにしても一旦別れた後、相手を嫌悪しているくせに周囲に迷惑をかけたくない、私だけが我慢すれば万事うまく収まる、といったネガティブな理由から再びつきあい始め身を任せてしまう、という展開はどーよ。女性達の意見を聞きたいものだわ。こんなもんですか? この小説では、折々の場面でしばしば「月」が登場する。多くはみかづきであったりする。タイトルにあるとおり、全体を通じて強く印象づけたいと願っているイメージのメタファーであろうが、この程度の量の描写では作者の意図が奏功しているとは言い難い。ストーキングと月の関連性を印象づけたいのであれば、不気味なつながりを想起させるようなエピソード、悪夢的な幻想、人智ではどうにもならぬ哀切、そうした断片をもっと豊富に挿入すべき。 最後になるが、文章が全体的にやや稚拙。シンプルでわかりやすく平易な文体は褒めるべき点だろう。しかし、たとえば豊富な語彙でもって錯綜した文章の絡み合いで小説世界を構築できるベテラン作家が平易な文体を選んだ場合と、貧弱なボキャブラリしか持たず知的好奇心の範囲も狭い若手作家が単純な文章で表現する世界では、同じ対象を描いたとしても自ずと切れ味、奥行き、味わい、風味、余韻などが異なるものだ。 小説家としての感性は端倪すべからざるものがある。なお一層文章修行に励まれたい。 | ||||
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お化けの怖さ、ジェットコースターの怖さ、怖さにもいろいろありますが、このどうしようもない気持ちのねじれは、何とも言えません。 人の心は、本当にわからない。信じていたものが、反転する時の恐ろしさ、どうしていいのかわからない、逃げ場のないところまで、追い詰められていく恐怖。 誰にでも、心のよりどころや、誰かに思いっきり寄りかかりたい気持ちは、多かれ少なかれあると思いますが、 それがうまくいかなくなった時に、人はどうしたらいいのだろう。 そんなこと考えながら、ついつい一気に読んでしまいます。 しかし、畑野智美はやはり上手いな。 | ||||
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