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ウルトラ・ダラー
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ウルトラ・ダラーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.49pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全130件 61~80 4/7ページ
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「小説家」としてのキャリアが殆どない著者だけど、最後のページまでクライマックスを引っ張り続けた点は「素人小説家」としては頑張ったもんだと思う。(実際の諜報員ならこんな軽はずみな行動は絶対にしないと思う箇所がクライマックスにはいっぱいあるが(笑)。) この著者はよほど小泉首相訪朝時の密室外交が気に食わないらしく、その時代の外務省を批判する文章を文芸春秋あたりに幾つか書いているが、そういった文章と併せて読むと、この小説はある特定された当時の関係者達に向けた告発小説として構想されていることがよく分かる。その辺はやはりジャーナリストが書く小説という感じではある。 それにしても、NHKワシントン支局長というのは、そんなに各国の機密情報を集めようとすれば集まるポジションなのだろうか。彼が直接握っている「インテリジェンス」の鮮度は時間と共に落ちるので、今が旬の人なのかもしれない。 | ||||
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同時代性という事情を鑑みるとよくできた読み物と評価したいと思います。 確かにフィクションとしてみると(濡れ場を含めて)一般ウケする小説は たくさんあると思います。海外で暗躍する無名の日本人を題材とした小説は よくある設定ですが私が評価したいのは、日本に暗躍する外国人を主人公とした点です。 登場人物が浮世離れしているというご意見もありますが、キャラもけっこう立って いると思います。予備知識なしでフィクションとしての楽しみを期待されるのなら 失望される方もいらっしゃるかと思いますが、ある程度ノンフィクションを読む方 であれば、フィクションであるが故曖昧になるディテールがしっかり書かれている 点で楽しんで読むことが出来るのではないでしょうか。 内容の硬さが壁になりノンフィクションに手を出せない方にとっても違和感無く 読める作品に仕上がっています。 | ||||
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全体的にストーリーから脱線したどうでもいい話が多いため、 ややテンポに欠けるとはいえ、 中盤から終盤にかけての物語の盛り上がりはおもしろい。 国際情勢をめぐる問題に、 様々の立場の人間が入り乱れ、 それぞれの利害でうごめいていく様相と、 単なる偽札づくりにとどまらない、 問題の広がりはなかなかおもしろい小説だった。 読んで損はない本だと思います。 | ||||
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全体的にストーリーから脱線したどうでもいい話が多いため、 ややテンポに欠けるとはいえ、 中盤から終盤にかけての物語の盛り上がりはおもしろい。 国際情勢をめぐる問題に、 様々の立場の人間が入り乱れ、 それぞれの利害でうごめいていく様相と、 単なる偽札づくりにとどまらない、 問題の広がりはなかなかおもしろい小説だった。 読んで損はない本だと思います。 | ||||
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大変面白く読んだが 若干の戸惑いもあった。本書は スパイ小説なのか事実に近いノンフィクションなのかが 読んでいてはっきりしなかったからだ。 スパイ小説だと考えるなら もっと上手い書き手はいくらでも居る。手島は少なくとも小説家の資質が飛びぬけているわけではない。「創作された小説」として読むなら細部に詰めの甘さも感じるし サスペンスの盛り上げ方も幼い。またもっとエンターテイメント性も出すはずだ。手島が時折サービスのように挿入するエンターテイメント的な場面はいささか浮いている。照れていると言って良い。やはり ジャーナリストという出自だからであると思う。小説家とジャーナリストは 同じように言葉を武器としても まったく「文法」が違う。 一方 ジャーナリストが書いたノンフィクションかというと それは有り得ない。例えば登場人物でもモデルを特定できる人も出てくるが その中身はおそらくフィクションである。この内容が全てこのまま本当だったとしたら かような本などは発行されないし 手島自身がどうなってしまうのかわからないと思う。 この本の面白さは「どこまで創作なのか わからない」点にある。これは「どこまで本当なのか わからない」と言う言い方と 同じ事を言っているようで 実は全く違う。 創作だと思っていて読んでいるだけでは読み取れないということだ。 本全体に流れる一種の「説得力」を感じてしまうと「もしかしたらこの部分は本当かもしれない」と思わされてしまう事がしばしば出てくる。おそらく手島は 解る人には解るような書き方をしているはずだ。そんな 手島のウインクが 端々に感じられる。 | ||||
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(そういえば現在は休刊中の某月刊誌に指摘もされていた)見事なまでの上から目線の 貫徹と、それに合わせた(「新手」にルビを振るレベルの)丁寧さ、元職場の別チャンネルの ように排除された濡れ場、それにラストも読者の想像に任せたのかやっつけ仕事にな ってしまった感もあり、また急にアクション物になっちゃったりと、いまいち の点も正直、多いです。 でも、最後まで読み切ってしまいました。筆力はたしかにあります。今後、「国 際ジャーナリスト」になるかどうか、著者の行く末が楽しみです。 | ||||
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かなり話題になっていたし、 「今、読みたい新潮文庫2008年」と真っ赤な帯も付いていたし、 思い切って手に取ってみました。 面白かった・・・確かに楽しめました。 でも。 うーん、「インテリジェンス」って・・・? 本書の中でも主人公が恩師にこんな風に聞いている。 「先生、われわれはインテリジェンスという言葉を、情報や諜報という意味で いともたやすく使っていますが、ほんとうは何を意味するのでしょうか」 (中略) 「・・・知性によって彫琢しぬいた情報。 それこそ、われわれがインテリジェンスと呼ぶものの本質だ」 分かったようで、分からない・・・。 そんな感じでした。 そして、最終場面。 二人はどうなるの? 彼女はほんとうに裏切っていたの? さまざまな謎をわたしに残して、物語は幕を閉じました。 うーん、やっぱり消化不良なんだよなぁ・・・。 | ||||
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久しぶりに面白い本を読ませて頂きました。最近の政治情勢をニュースで触れている者からすれば、なんとなくダブル登場人物も多いのではないでしょうか。荘だったのかぁ、そうなのかもしれない・・と思いながら、半ばから後半に一気に読めます。佐藤優さんが解説されているようにインテリジェンスの本格的な本だと思います。 | ||||
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本書は、元NHKワシントン支局長としてTVにも登場した手嶋龍一による、わが国初のインテリジェンス小説として、’06年にベストセラーとなった。 主人公は在日英国情報部員スティーブンである。彼の元へ「新種の偽百ドル札(“ウルトラ・ダラー”)がアイルランドのダブリンにあらわれた」という情報が入るところから物語は始まる。 この北朝鮮製とみられる“ウルトラ・ダラー”の謎解きを軸に、拉致問題、ハイテク企業の陥穽、外交官の暗闘など、あらゆる問題を巻き込んで、それこそ世界を股に駆けた北朝鮮をめぐる物語が展開されるのだ。 「なにをもってインテリジェンス小説というのか」という疑問を持って読み始めたが、どうやら今のわが国が抱えている政治・外交・諜報の諸問題の情報を十分に精査・分析して書かれた近未来・問題提起小説のようである。であれば手嶋龍一のような経歴と交友関係を持った人が情報を収集しなければこのような小説は書けないであろう。 本書は、問題が多岐に渡りすぎてポイントがつかみ辛かったり、登場人物が多すぎたりと、物語小説としては未熟の部分があるが、上述のようなインテリジェンス小説という観点からすれば、その目的は充分達成した作品といえるだろう。 | ||||
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本書は、元NHKワシントン支局長としてTVにも登場した手嶋龍一による、わが国初のインテリジェンス小説として、’06年にベストセラーとなった。 主人公は在日英国情報部員スティーブンである。彼の元へ「新種の偽百ドル札(“ウルトラ・ダラー”)がアイルランドのダブリンにあらわれた」という情報が入るところから物語は始まる。 この北朝鮮製とみられる“ウルトラ・ダラー”の謎解きを軸に、拉致問題、ハイテク企業の陥穽、外交官の暗闘など、あらゆる問題を巻き込んで、それこそ世界を股に駆けた北朝鮮をめぐる物語が展開されるのだ。 「なにをもってインテリジェンス小説というのか」という疑問を持って読み始めたが、どうやら今のわが国が抱えている政治・外交・諜報の諸問題の情報を十分に精査・分析して書かれた近未来・問題提起小説のようである。であれば手嶋龍一のような経歴と交友関係を持った人が情報を収集しなければこのような小説は書けないであろう。 本書は、問題が多岐に渡りすぎてポイントがつかみ辛かったり、登場人物が多すぎたりと、物語小説としては未熟の部分があるが、上述のようなインテリジェンス小説という観点からすれば、その目的は充分達成した作品といえるだろう。 | ||||
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最近興味のある、北朝鮮もの。北朝鮮が「ウルトラ・ダラー」なる贋金を刷り始め、それをヒーローたちが阻止しようとする、という話。 かっこいいスパイものというと 007 の名前があがると思うが本作もイギリス人のイケメンスパイが日本とヨーロッパとアメリカで活躍するという話であり、かつ「現代の秘境」北朝鮮が悪役であって、つぼをきちんとおさえたスパイものと言える。エキゾチックな日本人美女が恋人役で登場するのも、007 的話型をよくなぞっているだろう。最後陳腐な恋愛小説みたいになっていくのはいただけないが。この人は恋愛小説みたいなのは書かないほうがよい。 しかし、佐藤優先生との対談「インテリジェンス武器なき戦争」では、本書には多分に「嘘のような本当」がまぶされているということが語られていたが、どこがほんとか分からんが、半分事実に基づいた話と思って読むとすごい。いろいろ制約があったのだろうが、ノンフィクションで出して欲しかったなあ。 | ||||
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前出のレビューにあるように、冒頭は意味深で良かった。しかし、その後の展開が遅々として全くおもしろくなく、読み進めるのに時間がかかった。 著者の経験による知識と、物語の部分が乖離し過ぎている。 総じて、純粋なエンターテイメント(スパイ小説)なのか、ドキュメント小説なのか、書き手としてのスタンスをはっきり決めないで書いているのが問題だと思う。 だから、登場人物のやたらとハイセンスな趣向についての話が、突拍子もなく冗長に感じた。 もっと作家として経験を積めば「事実を元にしたエンターテイメント作品」が書けるようになるのかもしれない。 | ||||
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北朝鮮が作ったとされる精巧な偽米ドル札をめぐる国際謀略(インテリジェンス)小説。 BBCの東京特派員、実は英国情報機関のエージェントで、流暢な日本語を話し、浮世絵や和楽器への造詣も深いというイギリス人が主人公。が、どうも感情移入するには無理があり、日本の風景の中で縦横無尽(?)の活動をさせるには違和感が強い。 辣腕の女性官房副長官、外務省局長とその妻、偽札チェック機で財をなしたベンチャ企業オーナーと多彩な人物を配している割に、実は彼と彼には因縁があってとか、誰それは愛人関係にあるとか相関図がこぢんまりとして、作られ感ありあり。また出てくる人物という人物が食べ物や芸術のうんちくを語るのだが、いかにもおしゃれすぎて、一昔前のトレンディドラマのキャラクターのように地に足がついていない印象だったのも気になった。 昭和40年代の初めに腕が良く若い印刷工が行方知らずとなるという冒頭部あたりはおおっと思わせ、高村薫ばりのスパイ小説か!と期待するのだが、スケールの大きな話だろうと思わせる割にスケール感やストーリー展開のスピード感がないままに遅遅としたまま終盤に向かっていく・・・。 元NHKということで色眼鏡で見るわけではないが、同じ国営放送であるBBCの記者を主人公にするあたり主人公の思い入れがあったのかなとか勘ぐってしまう。 外交や軍事といった事柄だけがインテリジェンスの標的なのではなく、普通の技術者などもその対象となりえるのだという点に気づかされる事。また部屋の監視カメラによりパソコンのパスワード入力を監視されるといった点などが妙にリアルだった。 | ||||
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結構面白くて、2日で読めた。元NHK政治記者だけあって、日本の官僚、インテリジェンスのことなど、それっぽく書いてある。 でも、やっぱりこれは小説。この本の帯巻きに見られる「衝撃のドキュメンタリー・ノベル これを小説だと言っているのは著者だけだ!」という文句はあまりに大げさ。MGBを乗り回すBBC在京特派員をはじめ、お洒落な人物を何人も登場させるのはまだしも、男女の関係をこの小説にしつこく持ち込む必要はあるのだろうか。「ドキュメンタリー・ノベル」なのであれば、ちゃらちゃらした部分は省き、もっと真相を究めるのが本筋だと思う。 | ||||
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大変面白く読んだが 若干の戸惑いもあった。本書は スパイ小説なのか事実に近いノンフィクションなのかが 読んでいてはっきりしなかったからだ。 スパイ小説だと考えるなら もっと上手い書き手はいくらでも居る。手島は少なくとも小説家の資質が飛びぬけているわけではない。「創作された小説」として読むなら細部に詰めの甘さも感じるし サスペンスの盛り上げ方も幼い。またもっとエンターテイメント性も出すはずだ。手島が時折サービスのように挿入するエンターテイメント的な場面はいささか浮いている。照れていると言って良い。やはり ジャーナリストという出自だからであると思う。小説家とジャーナリストは 同じように言葉を武器としても まったく「文法」が違う。 一方 ジャーナリストが書いたノンフィクションかというと それは有り得ない。例えば登場人物でもモデルを特定できる人も出てくるが その中身はおそらくフィクションである。この内容が全てこのまま本当だったとしたら かような本などは発行されないし 手島自身がどうなってしまうのかわからないと思う。 この本の面白さは「どこまで創作なのか わからない」点にある。これは「どこまで本当なのか わからない」と言う言い方と 同じ事を言っているようで 実は全く違う。 創作だと思っていて読んでいるだけでは読み取れないということだ。 本全体に流れる一種の「説得力」を感じてしまうと「もしかしたらこの部分は本当かもしれない」と思わされてしまう事がしばしば出てくる。おそらく手島は 解る人には解るような書き方をしているはずだ。そんな 手島のウインクが 端々に感じられる。 | ||||
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・フィクションというオブラートに包んで、自らのインテリジェンスを結晶化させ、国家の外交戦略を書き切ってしまう方法は痛快でした。 ・アメリカ、中国、北朝鮮、台湾の行動背景がクリアーになりました。 −最も心に残った一説は「今回の一連の出来事では、北朝鮮は北京の単なる駒に過ぎませんでした。むろん、偽ドルを使った通貨のテロルも先刻承知だったはず。そして、中国は核弾頭を搭載可能な巡航ミサイルが北朝鮮に渡るよう陰に陽に助けたのです。日本へ新たな核のカードを突きつけようとしてね。しかも自分は一切手を汚さずに。日本という国は、いったん核で脅されれば激しく動揺し中国の言うなりになると考えているのでしょう。」でした。 | ||||
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この本に関して、タイトルとおぼろげな内容は知っていたものの。 どこかで、「評価の分かれる本」だというということを耳に挟んで、読まないで10数年たった。 ようやく先日、新聞の書評で気になり読むことにした。 あまり読書家でない私は読み終えるのに、10日ほど掛かってしまったが、興味を失うことなく読了できた。 魅力に感じたのが、日本人の書く日本人論とは異なる「論理性」。 著者の論理性は私にとって、「清冽な」印象を受けた。 その原因は、この本が対戦中に執筆され、文章的な虚飾を廃し報告書的にかかれている点もあるが、それよりもアメリカ文化(西欧文化)に身を置く著者が”全く異なる”という日本文化を分析するにあたって、証拠と論理のつながりを重視し、言える事言えない事を慎重に判断し、構造の分析にいたっていて、それが感じさせる学問的謙虚さではないかと思えた。 また、著者の両文化の思考構造の差異を分析するにあたって使用する語彙に、一定の違和感とも取れる彼我の差異を感じた。これに、侮辱的な感情を受け取る日本人読者もいるかもしれないが、私は、そうは感じず、両文化の思考構造の差異として感じられた。この点は、明示的に言明された分析の記述よりも、差異の「構造」の存在を強く感じさせ、再度この本を読み分析する必要を感じさせた。 数度もの読書に耐え得るという意味で「古典」だと思う。 強く推薦する。 | ||||
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評価しづらい本です。外交というかパワーバランスをとるのってこういうことなのかもしれないなぁ ということはよくわかりますのでお勧めします。但し小説として、特にポリティカルサスペンスとしては、もっと書き方があったんじゃなかなと思います。 | ||||
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「インテリジェンス」と言う言葉が良く出てくる 別の本で本著者の手島龍一氏と佐藤優氏の対談で定義されている。 そのインテリジェンス小説としては昨今の政治事情を盛り込まれた力作と思う。 しかし何かが足りない。 それは著者が「作家」ではなくジャーナリスト故に、 エンターテイメント性にに限界があったからではないかと考える。 エンターテイメントを抜きにして、北朝鮮を軸にした国際政治のうねりの中で、 新聞紙上を賑わせていた偽札作りの内幕を、 「ノンフィクションを基にしたフィクション」の手法で書かれているが、 時事問題を小説に置き換えているためか、読後のカタルシスは少ない。 しかし内容は国際政治に精通しており、 現代国際政治を小説の形態で読み解く、という意味で手に取るのであれば、 中々面白い作品だったと思っている。 ちなみに、日本で競走馬を持つ場合には、その馬名は最大9文字と決まっている。 小説内で競走馬を絡めた話が出てくるが、その場名は9字を越えていた。 エンターテイメントを突き詰める作家はそういった不備は犯さない。 そういう部分からもエンターテイメント性は低いと言わざろう得ないのではないか。 個人的には面白かった。 しかし何かが足りない。ボクはカタルシスが得られなかった。 ★4つがボクの評価です。 | ||||
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先日のニュース。米国が北朝鮮で偽ドル札が製造されていることを確認したと発表した。TVのニュースキャスターは「スーパー・ダラー」と紹介した。 北朝鮮が、どのような手段で、どのように精巧な偽ドル札を製造したのか。「小説」というかたちで、その行程を掴むことができるのが、手嶋龍一氏が書いた小説「ウルトラ・ダラー」だ。 手嶋氏はNHKの元ワシントン支局長。つまり、現実に起きている事件を取材し、報道する機関にいた。北朝鮮の偽造ドル札製造とそれに関する動きを、事実である可能性が高くても最終的に報道できるだけの裏づけがなかったり、外交上の理由で報道できない情報として掴んでおり、それを「小説」というかたちにして見せたのだと思う。 小説を読んでいる時には「一体、どこまでが事実なのだろう?」と想像しながら進む。 報道されないままだった重要な事実がようやく報道された時、読者は「あの小説に書かれていたことは、事実だったんだ」と確認することになる。そして、報道でも確認できない部分を、さらに小説から想像することになる。 報道が小説よりも遅い。 報道で伝えられる内容が、小説から読み取れる内容と比べて情報が少ない。 そうなると、「報道=裏づけが取れた事実」の持つ力が脆弱にさえ感じられる。この小説はそういう力を持った作品だと思う。 少し厳しい目で見て、付け加えるならば、小説という土俵でこの作品を見たらどうか?という点である。展開の面白さ、登場人物の描き方などの要素が、よくも悪くも小説の背景にある事実の持つ力に押され気味な印象が残ってしまう。「事実は小説よりも奇なり」なのだろう。 | ||||
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