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(短編集)
春山入り
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春山入りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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対応が、良い | ||||
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登場人物が全員ハッピーなわけはなく、◯回泣けます的な下らない意味でもなく、しかし本当に嫌な人間は出てこなくて、でもストーリーとしての深みはしっかりあって、読後感が癒される〜 マトモな読書もしたいが精神的に疲れるのはキツい…生活で疲れてんのに…って人にめちゃおすすめ。 | ||||
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著者の作品集乃至作品を「遠縁の女」「つまをめとらば」「かけおりちる」と読んだ流れで本作品集を購読。文庫版の表題作である「春山入り」や特に「乳房」など、筋立てがやや御都合主義的でハッピーエンドな作品は読後感がすっきりと爽やかで「娯楽小説」としての完成度の高さを見てしまう。もちろん「娯楽小説」と『』をつけたのは、結末は無難であっても、そこに至るまでに描かれる諸々は歴史的変転のせめぎ合いを基調に、相当にしんどい葛藤状況が描かれ、そのような状況に対する理解と評価がほぼ読者の読解に委ねられているところである。例えば、単行本の表題作であった「約定」などは登場人物が大事な日付の約束を忘れていたことが物語の回転軸となるが ,フロイトの「錯誤行為」を連想した人も多いだろう。以下、wikipediaから引用 フロイトは精神分析の研究を講義するために錯誤行為の知見を導入する。錯誤行為とは意図した行為とは異なる行為を行ってしまうことである。この現象を説明するためにフロイトは心理における葛藤のモデルを用いて錯誤の原因を明らかにしようとする。錯誤行為を心的行為であると把握すれば、錯誤行為は二つの意図の葛藤の表出であると考えられる。つまり何かをしようとする意図が存在するにもかかわらず、それを抑圧することが錯誤行為を行う不可欠の条件である。 引用終わり 物語中においてこのような「心的葛藤」は描かれるが説明はされない。「錯誤行為」という言葉を知るものはそのように理解するかもしれないが、その言葉を知らなくても読み手がそれぞれの経験と知識によって登場人物の行為とその背景にある心情、特にその内的矛盾を理解することになる。著者のこのような佇まいは、筆者にはとても「純文学」的に感じられる。そのことは「かけおちる」のレビューに書いたとおりである。またこのような「物語」の現実性は、著者の歴史的な事柄の詳細に対する深い知識と理解によって支えられる。本文庫版のあとがきにはそのような「取材」「学習」について著者自身から述べられていて全く得心した。 | ||||
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青山文平氏の小説は、読むたびに、その文章力と筋書きの卓抜さに感動を受ける。この小説、短編集であるが、も期待を裏切らないものだった。 内容は、「三筋界隈」、「半席」、「春山入り」、「乳房」、「約定」、「夏の日」の六編からなっている。中でも気に入ったのは「三筋界隈」と「約定」である。いずれも筋書きが凝っていて、話が今までに聞いたことの無いような展開で繰り広げられている。 「三筋界隈」は、卓越した剣技を持つ老武士が、野垂れ死にするところだったところを武士の情けで助けてもらった主人公へのお礼に、刀剣を通して、しかも死を以て義を果たす話しである。なかなか話しの概要がつかめなかったが、最後に来て、天晴な生き様と感嘆し、主人公のこれからの生き方に喝采を送りたくなる気持ちになった。 「約定」も、一体何を言っているのだろうかといぶかりながら読み進んで行くのだが、武士としての生き様や心意気が、毅然として描かれていて、信義とはこのようなものか、と感じた。 「夏の日」も、若き武士の勤番仲間との葛藤が、まるで現代に通じるようにして書かれていて、恐らく題材は最近の引きこもりや、上司の部下に対する腹いせのような圧力(パワーハラスメント、と巷では言っている)を参考にしたのではないかと思わせる迫力のある内容だった。 あとがきで著者はこう述べている。作品は資料を読みあさっている内に構想が湧くのだそうだ。それ故に短編と言えども三ヶ月ほど掛けるのだと言う。即ち、素材の探索に一ヶ月、構想に一ヶ月、執筆に一ヶ月、という内訳である。よい作者ほど本(資料)を読み込んでいる、ということを伺わせるような述懐である。これからも期待している。 | ||||
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素晴らしい作家で、読むたびにうならされます。短編を1作書くのに3か月はかけるというのですから、たくさん読みたくても大量生産は望むべくもない。 単行本を文庫化する際に表題を変えましたが、私はこの表題作が一番良かった。 逆に単行本の表題作であった「約定」が、何度読み返しても釈然としません。いったい、この謎をどう解き読めばよいのでしょうか。作者が身を削るようにして書いた文章を、安楽に読めばよいだけという立場にいながら、おのれの能力のなさに身もだえをしています。 | ||||
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