二十二年前、妻と姦夫を成敗した過去を持つ地方藩の執政・阿部重秀。

その誇りに、囚われるな―。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。

切り立った岩の上で独り稽古を積む、藤戸藩お抱えの道具役(能役者)の長男・屋島剛(やしまたける)。

『機織る武家』血の繋がらない三人が身を寄せ合う、二十俵二人扶持の武家一家。生活のため、後妻の縫は機織りを再開する。

小さな道場を開く浪人が、ふとしたことで介抱することになった行き倒れの痩せ侍。

橋倉藩の近習目付を勤める長沢圭史と団藤匠はともに齢六十七歳。

太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか―。

本屋の私が行商に出向いたのは、孫ほどの娘を後添えに迎えた名主宅。

分別ある侍たちが、なぜ武家の一線を越えたのか。

村に染まれず、江戸に欠け落ちた男たち。当時の江戸は一季奉公の彼らに支えられていた。

事件は人間の内にある。 直木賞受賞後、第一長篇。

武士が護るべきは、主君か、家族か。

離縁して三年半もたつのに、なぜ元妻は元夫を刺したのか。

どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、藩札掛となった奥脇抄一郎は命を賭すにたる御勤めと確信。

江戸に生きる人々が織りなす鮮やかな人生。

幼馴染が殺された。伊賀を知らぬ伊賀者だった。

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。

いまだ人を斬ったことがない貧乏御家人が刀を抜くとき、なにかが起こる。第18回松本清張賞受賞作。

なぜ、人と人は争わねばならないのか? 日本史上最大の危機である元寇に、没落御家人が御家復興のために立つ。

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。

天文年間、小土豪が群雄割拠する中国地方で没落した宇喜多家の嫡男・八郎は、その器量を見込まれ、豪商・阿部善定のもとで父母とともに居候していた。

哀しき人、公園の池に沈めたのは…。娘を失った男、母に捨てられた少女。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

米軍から特別捜査官を迎えた件で、警察庁長官官房に呼び出された竜崎伸也。

かつて一刀流道場の四天王と謳われた勘定方の瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え藩を追われた。

平安時代中期。天皇の従兄である仁和寺僧・寛朝は、己の楽音を究めるため、幻の師を追って京から東国へ下った。

京に暮らし、二世夜半亭として世間に認められている与謝蕪村。弟子たちに囲まれて平穏に過ごす晩年の彼に小さな変化が…。

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。

ほんとうに人を斬ったのか──幕末から戦前までを駆け抜けた、日本美術家の生涯。

仕事と結婚に失敗した中年男・荒井尚人。今の恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一つの技能を活かして手話通訳士となる。

古書店『無窮堂』の若き当主、真

小間物問屋『遠野屋』の主清之介は、生国嵯波の紅花産業に莫大な金を注ぎ込んできた。その紅餅を積んだ船が突然消えた。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

呉服屋の箱入り娘が、着物の力でよろず解決 お江戸お仕事小説の新定番! 江戸は西河岸町の呉服屋・常葉屋は、「ここにしかない品がある」と着物に五月蠅い江戸っ子たちにも評判お店。

2013年から1967年にかけて名刑事クワンの警察人生を遡りながら香港社会の変化も辿っていく、珠玉の連作短編集。

親子三代で菓子を商う「南星屋」は、売り切れご免の繁盛店。

「誰の心にも淀みはある。

上州玉村で道案内が殺され、下手人の定次郎が逃走した。

親子の救済、老人の覚醒、過去の自分との出会い、仲良しロボットとの別れ……淡く美しい希望が灯る。