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(アンソロジー)
妖異: 日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集4
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妖異: 日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集4の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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長いタイトルだなあ。六篇の作品は、受賞作ではない。 受賞作家の書いた短編だ。 前半の三人、綾辻行人・石川喬司・大下宇陀児はつまらなかった。 特に大下は期待しただけに、チャチな種明かしにがっかりした。 後半の三篇は気に入った。 『零人』大坪砂男 かねてから読みたかった幻の作家だ。美しい花を咲かせるために、ある物が必要という幻想怪奇譚である。抒情的な佳作だ。 『ギズモ』加納一朗 子供向けミステリで読んだ気がする。 異なる知性と遭遇して取引するという、フレドリック・ブラウンもどきのSFである。 けっこう好き。 『ソロモンの桃』香山滋 これも読みたかった。八方破れの秘境探検小説だ。サーカス団に雇われた珍獣捕獲人が印度獅子や大パンダ熊(ふつうにパンダのこと)を探しているうちに、秘宝探索を始める。支離滅裂ながら、ハゲタカに脳を喰われる男と「桃」の正体がいい。 | ||||
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表紙買いだったが中々の怪作ぞろいで面白かった。ただこれ、日本推理作家協会受賞作家の作品が載ってるだけで、受賞作が載ってる訳ではないのですね。おまけに推理小説以外も多いので、あんまこう言う内容でこのタイトルは良くない気がするな。作品内容自体はとっても良かったです。 「人形」 綾辻行人 散歩中に奇怪な人形を拾った男に起こる出来事を描いた不条理ホラー。 多分推理小説期待して読んだ人はここで早速間違いに気づくでしょう。 最後の展開の意味が何度読み返してもよく分かりませんでした(正直)。 「エーゲ海の殺人」 石川喬司 エーゲ海の旅行ツアーに参加した男が娘に送った手紙という形式で話が進みますが、これ一番期待通りだった。というかこれ以外は推理小説じゃないので。だがそれを抜きにしても優れたミステリー作品であると思った。クイーンが絶賛したのも頷ける良作。 「魔法街」 大下宇陀子児 戦前の話も収録されてるのがこのアンソロの良い所。 ある町で起こった怪事件について描かれているのだが・・。 この物語で語られる「魔法」とは「誰も解き明かせない完全犯罪」みたいな意味合いで、街で暗躍する「魔法使い」も、眼鏡をかけて箒で空を飛ぶ少年みたいなやつでなく、警察や世間を翻弄するおぞましい猟奇殺人鬼であります。 中盤くらいまでは、如何にもな昔のミステリだなあと思ってたんですが、中盤から終盤までの荒唐無稽さは「発酵人間」などの奇書を思わせるハチャメチャさでちょっと戸惑いましたが、中々面白かったです。少年漫画ですらネットで粗探しされて叩かれるこの時代、合理的な謎解きよりも勢いで突っ走り「種明かし?真相?そんなもの知らん!」って感じで幕引きしてしまうミステリ(と言っていいのかどうか・・)は中々無いなので若い読者などは面食らうとは思いますが、試しに読んでほしい。 「零人」 大坪砂男 花の美しさに魅入られた男が語る「新しき美」。それはおぞましき狂気の犯罪の告白だった。果たしてそれは狂人の幻想かあるいは現実か。 犯罪の処女信仰と幻想的な狂気は、如何にも昭和の犯罪小説という感じだが、似たような犯罪とその論理は多重人格探偵サイコで見た事ある。偶々なのか大塚英志がこの作品に影響受けたかは知らないが、あの漫画を知るものならなかなか興味深い内容で無かろうか。 「ギズモ」 加納一郎 冴えない男の元に高度な文明を持つ者が現れて男の欲望を叶えるが、やがてしっぺ返しを食らう。 というパターンは昔から漫画でも小説でも山ほどある。SF的なアイディアを生かすのに優秀な上に汎用性が高く、誰もが利用する設定だが、あまりに皆が使いすぎて、飽食気味である。 正直そんなよくある設定の話を、しかも大昔の小説で読むことには些かの意義も見いだせなかった(辛辣)。 個人的にはドラえもんと星新一でとうに飽きてる。 「ソロモンの桃」 香山滋 ソロモン王の秘宝をめぐる冒険小説なんですが。 この作品が一番どうかしてました。 ミステリー小説集と思ってこの本を手に取ったのに、これは何でもありのエログロファンタジーって感じだった。「日本推理作家協会受賞作家傑作短編」という情報だけで読むと、麦茶と間違えてコーラを飲んだような気分になります。 出てくる現地の女が意味も無く主人公にべた惚れなのも、作者の妄想爆裂感があって笑えます。まあ、昔のラノベみたいなもんなんでしょうか。 パンダが未確認生物みたいな扱いだったり、主人公が密猟者だったりするのは昔の作品だからなのかな。自然保護って考え方1949年になさそうだもの。 けったいな小説ばかりでしたが、楽しい読書時間を過ごせました。 | ||||
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テーマは姉妹編の「幻異」と同様、怪奇と幻想、そしてSF。 掲載順にネタバレにならない程度にご紹介します。 「人形」(綾辻行人) 散歩の途中に拾って持ち帰った、のっぺらぼうの人形。何故か気になって仕方がない。 「エーゲ海の殺人」(石川喬司) 楽しそうなエーゲ海の航海旅行の裏にこんなことがあろうとは。巻頭言はひとまず忘れましょう。 「魔法街」(大下宇陀児) 次々と不思議な事件や殺人事件が起こる街。解決のつかない事件はとりあえず魔法によるものらしい。でもそれはほんの前置き。 「零人」(大坪砂男) ネタバレにはならないと思いますが、零人とは潜在意識のことらしいです。 「ギズモ」(加納一郎) アンテナに引っかかった変な奴のおかげで、何でも製造できる機械を手に入れるのだが。 「ソロモンの桃」(香山滋) インド獅子を探す冒険の途中、湖を渡る小舟の中で若い英国人夫妻が“ソロモンの桃”の話をしているのを小耳にはさみ、インド獅子ではなく“ソロモンの桃”を探す冒険の旅に転じるのだが・・・そもそも、“ソロモンの桃”とは? 未読の作品でしたらぜひどうぞ。 | ||||
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