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冬虫夏草



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【この小説が収録されている参考書籍】
冬虫夏草
冬虫夏草 (新潮文庫)

冬虫夏草の評価: 4.61/5点 レビュー 38件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.61pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全35件 21~35 2/2ページ
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No.15:
(5pt)

滲みあうもの

「冬虫夏草」(梨木香歩)を読んだ。いろいろなものの輪郭があやふやで、端っこのほうでは滲んで非日常的なものと重なりあっている不思議な世界ではあるのだが、「ほんと、ちょっと前までの日本てこんな感じだったよな。」って違和感なく思わせてしまう梨木香歩さんてすごい。これも大好きな作品です。
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No.14:
(5pt)

梨木ワールド全開

まさに梨木ワールド、生き物と人間の関係性、植物、動物、森、自然、それを取り巻く空気。

梨木さんの本をこの本で読み始めると結構不思議ワールドだと思われるかもしれない。

なぜ装丁が岩魚なのか?

それは読んでのお楽しみということで。

それにしても梨木さんの凄い博学さと自然への造詣の深さを感じます。
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No.13:
(5pt)

当たり前の世界は当たり前ではないのかも。

花は花で、魚は魚。
そうだと思い込んでいるからそう見えているだけなのかもしれません。
この本を読んでいると、人ならぬ物が人に化け、
掛け軸から亡くなった旧友が出てくることも普通に感じてしまいます。
本を開けばサルスベリ、小川、土耳古の丘がある日本家屋が見える。
梨木さんの描く世界は、徹底した完成度の高さを感じます。
おもしろい。読み終えて本を閉じて思うのは、ただその一言です。
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No.12:
(4pt)

秋の野山を巡り歩くような

家守奇譚読了後、丁度続編が出たばかりと気づいて本屋に探しに行きました。前半は前作の流れを汲みつつ、後半は主人公自らゴローを探す旅に出る物語。旅の空で出会う清流や滝のすがすがしさが心地よく、人や人ならぬ者との小さな交流が優しく心に残ります。秋の山を巡り歩いたような、心地よい疲労感。
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No.11:
(5pt)

作者と主人公が相身互いに

綿貫征四郎は梨木香歩に憑依して山中の有象無象を描かせた。
梨木香歩は綿貫征四郎に憑依して世の森羅万象を描かせた。
彼の紀行文。彼女の小説。随筆と表裏一体の小説。
直前に梨木さんの紀行や随筆を読んでたので特にそう感じたのかもしれないが。

綿貫征四郎というあの時代を感じさせるネーミングの何と心地よいことか。
そして南川のように摩擦を起こさずに生きて行かねばと思った。

今から梨木ワールドに入る人は家守奇譚の次にはを経てこの作品に来て欲しい。
そしたら完璧。
このシリーズはずっと続けてもらいたい。
梨木さんの今後にもとても期待します。

同年5月12日追記
2006年11月に上梓された彼女の作品「水辺にて」。
この中の「常若の国」に冬虫夏草に至る着想のようなものが語られている。
私見かもしれぬけど。
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No.10:
(4pt)

ゴローーー

今作も『家守綺譚』同様、多くの植物が登場しました。そこで、植物図鑑を片手に読み進めてみました。
自然が見せる色とりどりの表情は、人の心を和ませます。明治の頃の人々は慎ましくも、赴きある贅沢な暮らしをなさっていたようですね。

姿を見なくなった飼い犬ゴローを探す旅に出た綿貫征四郎。その道中に出会う人々の優しさに胸を打たれ、南川の偏屈ぶりにニヤリ。

旅先の村では、洪水で流される橋桁を下流まで拾いに行き、生命が見せる代謝が如く使えるものは再利用していく。現在の私たちは、ただただ強固な外観の、自然に対して脆弱な建造物で悦に入っている。
大いなる自然へ対峙する姿勢は、今よりも当時の方が論理的で科学的なようです。

急転直下のラスト2頁に、結びの上手さを感じました。※単行本
『家守綺譚』の続編である今作は、『村田エフェンディ滞土録』と合わせて読む事をお勧めします。
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No.9:
(5pt)

引き込まれる不思議なお話

『家守奇譚』の続編。
前作だけでも十二分に「ほんの100年前に」あったなら面白そうな内容でした。
さらにこの作品では、人の姿をした異形のモノたちとの絡みも多く、こういう伝説でもあるのかなと
思ったほど引き込まれています。
また習俗や自然に関する表現も目に浮かぶように瑞々しく、大変気に入りました。
願わくば続編を…と切に思っております。
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No.8:
(5pt)

不思議な世界

なんとも不思議な感じがいいです。前作のイメージを守っています。
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No.7:
(4pt)

この100年で私たち日本人が忘れてしまった何かを伝えてくれる1冊。

『家守奇譚』の続編ということで読み始めましたが、今回のお話の舞台は琵琶湖疏水付近の高堂家を飛び出して近江八幡の辺り~鈴鹿山脈の中。実在の地名やお寺(とそれにまつわる伝説)がたくさん出てきて、ノンフィクションの様な部分もあります。前作を読まずとも、これ1冊でも楽しめると思います。
植物や鳥に詳しい梨木さんの知識を持って、四季折々の素朴な日本の自然が描かれており、美しいお話ばかりです。昔は里山が多く、人間とそうでないものがもっと近く、交じりあって生きていたのでしょう。犬のゴローがはぐれた河童の道案内をしてやったり、天狗が風に乗って出かけたり、イワナが人に姿を変えて人間社会に溶け込んでいたり、奇妙なことが続々と出てきますが、「まあ、山奥だし、産業が発達する100年前のことだし、そういうこともあるのかもしれない」と思えてしまうあたり、不思議です。日本人は八百万の神を信じて、自然を尊重しながら生きてきたのだなあと感じます。ただそれも最近は忘れ去られてしまいがちですが。。。
最後が尻切れトンボのようでスッキリしなかったので☆4つです。河桁の件はどうなってしまったのでしょう??続編が出ることを望みます。
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No.6:
(4pt)

見返しの4行の紹介文が気に入りました。

亡くなった友人・高堂の家の家守をしている征四郎は、しばらく姿を見せない
愛犬・ゴローを探しに鈴鹿の山中に分け入ってゆく。
ムジナやイワナの化身、カッパ、そして天狗や龍も現われる、不可思議な
妖かしの物語。

征四郎の友人・南川は人間だが、植物学者。
だからというわけではないが、植物の名がかれこれ30あまり出てくる。
ほとんど和名だが、残念ながらわたしには半分も分からない。
詳しい人であれば、また違った趣を感じ取ることができるだろう。
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No.5:
(5pt)

心洗われて‥

家守奇譚の続編、とても楽しみにしておりました。登場人物が増え、趣は多少違っていますが主人公の心の持ち方の人間味のある優しさやまっとうさは健在です。懐かしい日本の風景が立ち上り、ぐっとくる何気ない文章にしばし心洗われるひと時でした。家守奇譚、同様に何度でも読み返したい一冊です。
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No.4:
(5pt)

感じること・考えること・思うこと

家守奇譚が大好きでした。
今回は日々の生活の中ではなく、ゴローとイワナをキーワードにアウトドアで感じていく話でした。
自分の生活をふりかえり、自分の周りを取り囲む人・物・環境に耳をすまして考えたくなります。
征四郎さん、本当に素敵です。
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No.3:
(5pt)

彼方へ 君と共に行かまし

美しい季節の移ろいが、文章から立ち昇ってくる。

とりわけ、主人公・征四郎が行方不明の飼い犬ゴローを探して深山
に分け入ってからは、秋の冷涼な空気と水の気配に周囲を取り囲まれ、
まるで彼と一緒に旅をしながら、イワナの宿やゴローを探している
ような気分に包まれてくる。

生真面目なのについ「クスっ」と笑いを漏らしてしまう、征四郎の
周囲の人達への想い、本来ならばこの世に在らざる者の姿を、当たり
前に受け入れて、同情したり心配したりする彼の日常に、相変わらず
不思議と穏やかで、心落ち着く時間を与えられる。

そして終盤、征四郎がゲーテの詩を頭の中で自らの体験に重ねつつ、
ようやく願いを果たした時、ゴローと彼の互いの行動には、不覚にも
涙が零れそうになった。
「手に負えぬ煩いは放っておけ」。
優しきゴローの心根にそう呼びかける征四郎その人自身、やはり
誰より優しい人なのだ。
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No.2:
(5pt)

人は見た目では人ですが,実は人に化身した何かでないかと,思わせてくれる本です

本書は『家守綺譚』の続編です.本の見開きにそう記されています.著者自身による案内が早々と,それも文語体で現れて私は少々驚きました.文章を縦長の額縁に入れたように案配して,意味深長な雰囲気です.この前書きのような前書きは他に類を知りません.奇妙な本作りですが,書名『冬虫夏草』にふさわしいようにも思えます.虫であるような草であるような --- .それはともかく,著者も前著も全く知らない私には親切な道しるべでしたので,次に引用します.

新進文士(かけだしものがき)綿貫征四郎君,疎水に近隣(ほどちか)き高堂(なきとも)の生家(いえ)が守(もり)を委託(まか)され,故(ため)に天地自然(りゅうやらおにやらかっぱやら)の気と数多交友(あまたまじわ)りける日日(あれこれ)を先般(さきごろ)家守綺譚なる一書に著述(あらわ)せり.其(そ)に引き続きて同君(わたぬき)に出来(まきおこり)たる諸椿事(ことども)を自記(しる)したるが本書也.謹言

もうだいぶ前のある夏の日に長野県某所山麓で私は冬虫夏草を見つけました.言うなればセミの幼虫の化身です.梨木香歩さんは化身をテーマに想像力を存分に働かせて,本書と前著を書きました.カッパは童子に,イワナのつがいは山宿を切り盛りする夫婦にそれぞれ化身して主人公,綿貫征四郎を助けて旅の探索を助けました.ときは百年ほど以前のこと,ところは鈴鹿山麓の奥地,茨川という川の源流辺りが旅の目的地で,そこは人は住まない,化身だけが棲んでいる,そんなところに飼い犬ゴローが家出していると,風の噂で聞いていました.ところで化身は化け物,オバケを指します.人と見えても人ではないかも知れない.元はイワナだった宿の女房はカワネズミを見ると身を翻して手づかみし,直ぐ口に運んで,'のみこんでしまう.元カッパの童子も普通にしゃべってもどこかずれていて,巧まずユーモアがにじみ出てくる.イワナは悪食だ,奴らは共食いも辞さないと元カッパの童子はすらっと言いました.読み手の私はそんな化け物の所作,語り口を十分楽しみました.楽しんだのはどこか愉快なお化けの話だけではありません.主人公が出会う土地の人たちの活き活きしたお喋りにも魅せられました.ここでは関西訛が絶妙に効いているように思います.その一つの例を紹介します.「ヒヨドリジョウゴ」の一節です.

--- ほや,ほの葬儀に河童の連中が来とったで.なかにイモナもいたな,あれは.
イモナとはイワナのこと,と源助さんは通訳する.
--- え.それはまた何故.
--- 冠婚葬祭,人がにぎおうているところに紛れてやってきて,振る舞いの饅頭なり握り飯なりもろうて帰るんや.
--- それなりに働きもしよるけんどな.
--- 追い出したりはしないのですか.
--- みな河童やな,イモナやな,てわかるけど,河童に生まれたりイモナに生まれたり,ひとに生まれたりは,わしら,選べへんもん.振る舞いの握り飯とかも,ほいで,みな,余計に来てもいいように余分につくるようにしとるはずや.
息を大きく吸い込む.
私も河童やイワナとともに握り飯を相伴にあずかりたく思った.

文章の土着性は方言でしか生まれません.夏目漱石の『坊っちゃん』に松山弁が,谷崎潤一郎の『細雪』に大阪言葉がなかったら,双方とも吾らが知るような名作になり得なかった.という訳などなどで『冬虫夏草』は味わい深い本です.前著『家守綺譚』をも遡って読みたくなる,そんな本でした.
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No.1:
(5pt)

静謐だけど能弁な

森羅万象、全ての命の声が聞こえるような
耳をすますと、それぞれに物語を能弁に語り出す慎ましやかないのち
それがまた全て縁で結ばれている
命あるもの、ないもの、形あるもの、ないもの全てに対して、敬愛に満ちた筆致がすばらしい。

主人公の友情、季節や想いの移ろいを感じる自然、それに合わせて暮らす、人と人外のものの生業。・・・「陰陽師」(夢枕獏)や「蟲師」(漆原友紀)とテーマが似ているので、これらの作品を好む人は、特に波長が合うと思う。
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