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開化鐵道探偵
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開化鐵道探偵の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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日本の鉄道の黎明期、初の外国人技師なしでの鉄道トンネル開通に挑んでいる逢坂山の現場で、不審な事件が頻繁していた。 これを何者かによる妨害工作だと考えた鉄道局長の井上は、隠棲していた腕利きの元八丁堀同心の草壁を説得し、調査に当たってもらうこととした。 井上と共に現地に着いた草壁を待ち構えていたのは、現場近くの仮開業した駅から乗車した客が転落死したという凶報であり、しかもその客は工事を請け負っている会社の社員だった。 その後も続発する不審事象。犯人は誰か?そしてその狙いは? 科学的捜索手法のない時代であり、目撃者がいない状況で事件が起きたら、それは丸ごと謎となってしまう。アッと驚くトリックなどがあるわけではないが、そのような環境下において、情況と論理で謎解きを組み立てた手腕は見事。 ワトソン役の小野寺の人物像がやや単純なきらいはあるが、全体に人物造形はしっかりしている。 鉄道トンネル掘削現場の情況や鉄道敷設をめぐる当時の社会情勢なども描かれていて、その面でもなかなか読み応えがある。 | ||||
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京都と大津の間、と言われても私のような北海道の住人にはピンと来ないが、ウィキペディア情報によれば、「旧東海道線の、滋賀県大津市と京都市の間にある逢坂山に掘削された664.76mのトンネルで、1778年(明治10年)着工、外人技師の力を借りず日本人の力だけで2年弱で完成させた。」という。 このトンネル工事の過程でおきた工事妨害殺人事件=史実ではなかろうが=、本書のネタである。 本業が鉄道会社の社員であるという著者らしく、黎明期の鉄道事業(ハード、ソフト)そのものの記載に詳しい。 コアな鉄道ファンでない一般的な乗り物ファンにも、このへんの凝り様は嬉しい。 本書の主人公は、旧幕の縛吏(いまで言えば警察官)で、新政府の誘いを断って出仕せず市井の暮らしをしている元・八丁堀の辣腕同心、およびその助手を務める鉄道見習い技師で御家人の息子、という設定である。 なお、辣腕元同心の推理力と、幕末から明治初期にかけての時代活写が、本書の見どころだろう。 旧幕側と薩長の心理的反目、その薩長の内部反目も本書の背景になっている。 北海道に住んでいると分からないが、明治150年(明治元年は1868年)にあたる本年(平成30年)に至るも、完全には解消していないらしい。 【余談:尺貫法とフィート・ポンド法】 本書のなかで、寸法はメートル法、尺貫法(尺、間)、ヤード・ポンド法(フィート)の3種類で記載されている。 いまでも、尺貫法は建築モジュール(畳や建材の寸法など)に生きている。 そして、ここが面白いところだが1尺は30.303㎝、1フィートは30.48㎝であるから、尺とフィートは実用上は等しい。 先般、戦後ほどなく生産された国産クラシックカメラの対米輸出仕様を中古で手にいれたとき、距離計にフィート目盛りしかないので、一瞬、戸惑った。 しかし、すぐ尺貫法の尺と見做せばいいことに気が付いた。 畳の縦横が3尺×6尺、伝統武道で使う杖(ジョウ)や剣道の竹刀が4尺前後、10フィート(≒10尺)は3m、15フィート(尺)は4.5mで一般的な5ナンバーセダンの全長。 このへんが身体感覚でわかっていればフィート表示は何ら支障にならない。 また、航空ファンにもフィートは却ってメートル法より分かり易いだろう。 | ||||
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初めての作家の初めての作品でした。時は明治初期、鉄道が東海道沿線を繋がろうとする舞台は逢坂山のトンネル工事現場。次々と起こる事件は、事故か事件かそれを追う主人公とその助手。時代劇とミステリーが融合した非常に興味深い作品でした。他の作品も読んで見たくなります。 | ||||
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