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(短編集)
ドラゴン・ヴォランの部屋
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ドラゴン・ヴォランの部屋の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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レ・ファニュといえば、怪奇小説ファンには、あまりにも馴染みぶかい大御所。その作風はゴシックの薫り高く、亡霊と悪魔と陰謀と報復の物語・・・このあたりは、おそらく共通認識ではないでしょうか? 本書は怪奇小説翻訳の神格・平井呈一氏のチョイスによる、「吸血鬼カーミラ」以来。なんと50年ぶりになる創元推理文庫版のレ・ファニュ作品集・・・のはずでした。 が、分厚い本書の半分以上を占める「ほぼ長編」の表題作「ドラゴン・ヴォランの部屋」は、おそらく読み手をはなはだしく選ぶのみならず。古くからのレ・ファニュファン(怪奇小説好き)にとっては「ちゃぶ台がえし」の側面を持っていることを、まずお伝えしたい。 「悪漢・悪女」「いわくありげな宿屋と部屋」「早すぎた埋葬(計画)」・・・突き詰めれば、表題作は、この三題噺である。 冒頭の描写は、いつかどこかで読んだ「モンテ・クリスト伯」のパリ編に酷似しており、出てくる名詞・人名等にもなぜか共通点が多い。不可思議な「失踪事件」がからむが、悪魔も亡霊も、いや「超常描写」は皆無である。つまり、これは往年の「ピカレスク・ロマン」なのであろう。 訳者も意図して、あえてそのようなチョイスにしたことを、あとがきで明記していますが・・・。 国書刊行会の高値のついているレ・ファニュ長編は、しばしば「冗長」「抑揚なし」「見せ場なし」などと言われるようだが、俯瞰して本書の「目玉作品?」にもその傾向は顕著である。 その他の所収短編も、既訳があるものもあり、それを除外しても「傑作」とは言い難いです。 すなわち本書の価値とは、つきつめれば「レ・ファニュ作品コレクターにとっての希少価値」であり。少なからず対価を払って購入する、「一般向け」読み物としては(むろん異論も様々あろうが)いかがなものでしょうか? ・・・本書を一読してあらためて実感したのは、半世紀前の平井呈一氏に対する畏敬の念であり、今更ながらの再評価です。 まさに「あなたの後ろに道はなく。あなたの前にこそ道はできる!」の言葉につきる! そのーー出来た道を、現在ただいま、「まさしき姿勢」で歩んでいるか。歩み得るかは、これもまた別問題でしょうが・・・。 | ||||
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