ユドルフォ城の怪奇



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    初公開日(参考)2021年09月
    分類

    長編小説

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    ユドルフォ城の怪奇 上

    2021年09月02日 ユドルフォ城の怪奇 上

    「あれだ」何時間ぶりかで口を開いたモントーニが言った。「あれがユドルフォ城だ」 エミリーはモントーニが領有するとされている城を見つめ、暗い畏怖の念をおぼえた。というのも、今は夕陽に照らし出されてはいるが、その雄麗なゴシック様式や崩れかけた鈍色の石の城壁は何とも陰鬱で荘厳な雰囲気を醸し出していたからだ。彼女が見つめていると、城壁に当たっていた陽が薄れてゆき、暗い紫の色合いが残されることになった。山肌に薄靄が立ち昇ってゆくと、その色合いはさらに濃さを増して広がっていったが、一方、上部の銃眼胸壁は依然として夕陽に輝いていた。やがてその銃眼からも光は薄れてゆき、城全体が夕暮れ時の厳かな薄闇に包まれていった。人気もなく、ひっそりと壮麗に佇む城はこの場一帯の君主の如き様相を漂わせ、その孤独な支配に闖入せんとする者を威嚇しているかのごとき趣であった。夕闇が深まってゆくにつれその姿形も朧になり、不気味さを増していった。(本書より)(「BOOK」データベースより)




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    No.8:
    (5pt)

    ユドルフォ城の怪奇のあらすじ

    アン・ラドクリフが1794年に公表したゴシック小説の代表作。ウォルポール『オトラント城奇譚』(1764)、ルイス『修道僧』(1796)と並び称せられる。主人公エミリー・サントベールの苦難に満ちた遍歴、体験するmysteriesが語られる。原題にあるmysteryを今の日本では、片仮名表記して推理小説及びその類似の作品を指すようであるが、mysteryとは謎と神秘という互換的でない概念を含む語で、理解できない不思議な事柄、くらいの意味か。非常に長大な小説であり、自分で読むのが一番だが、読む気はないものの、どんな内容か知りたい人もいるだろう。以下、自分なりの要約を書く。最後までは書いていない。

    (あらすじ)
    16世紀、南仏ガスコーニュの館に住むサントベールには妻と娘がいた。娘エミリーは両親に愛情深く育てられ、清純な乙女となった。まず母が死に、父親のサントベールも旅の途中で死ぬ。エミリーは深い悲しみにくれるが、旅で出会った青年ヴァランクールに惹かれ、相思の間柄となる。サントベールが死んだのでエミリーの養育権は父の妹マダム・シェロンに託される。この叔母は自分勝手で欲の権化だった。エミリーとヴァランクールの付き合いを快く思っていなかったが、後にヴァランクールが良い家柄と知ると、二人の結婚を勧めるようになる。モントーニというイタリア人が来て、叔母に求婚する。叔母は承諾し、結婚してマダム・モントーニとなる。姪にもより良い縁組を望むようになり、ヴァランクールとの婚約を後悔する。相手方もエミリーのものとなる財産がマダム・モントーニに属するのでエミリーとの結婚を望まないようになる。エミリーとヴァランクールの婚約は破棄される。モントーニがイタリアに帰るので、妻となった叔母はエミリーを連れていく。ヴァランクールとエミリーは悲しむが、エミリーは駆け落ちなどはせず、叔母についていく。ヴェネツィアのモントーニの館に落ち着くが、モントーニは後ろ暗いところがあるらしい。ここでエミリーはヴェネツィアの伯爵に惚れられ、求婚される。ヴァランクールしか心にないエミリーは断るが相手は全く諦めない。モントーニは悪事に加え、懐具合が悪いようである。ヴェネツィアから逃げ出し、アペンニーノ山脈にある自分の城、ユドルフォ城に向かう。侍女アネットに言わせると巨大な牢獄といった感じの城である。モントーニは自分の妻となった叔母に、フランスの屋敷の権利を自分に寄こせと脅迫する。叔母は拒絶しモントーニと喧嘩し迫害され、最後には死ぬ。エミリーは城で様々な恐怖、不思議な体験をする。ユドルフォ城にフランスの兵士が囚われていて、その中にヴァランクールがいるのではないかと思うようになる。侍女などに誰が囚われているか探るよう命じる。モントーニには敵との戦いがあってエミリーは一時、他の場所に連れていかれる。最終的にヴァランクールはいないと知る。この城から仲間と抜け出す。船でフランスに向かう。
    地中海に近いルブラン城にはヴィルフォール伯爵とその娘ブランシュ他が住んでいた。エミリーらの乗った船はこの沖で難破し、伯爵家に救助される。ブランシュはエミリーと仲良くなる。これ以降、ルブラン城の怪奇といった話になる。この城はエミリーにとって初めての城でない。父サントベールが客死する前にこの城の前に来て、当時は主はおらず、ただ父の神経は異様に高ぶった。その後近くの修道院で父は死ぬ。エミリーは当時そこにいたので、修道院を再訪し、かつての知り合いである修道女らに再会する。そのうち一人の修道女からエミリーは自分の出生に関係している可能性のある話を聞く。ルブラン城には昔の城主の妻の肖像画があるのだが、エミリーにそっくりなのである。その妻は城主を愛しておらず、他の男を愛していたという。まるでエミリーの父親とその城主の妻との間に、エミリーが生まれたのではないかと疑わせるような話である。今の城主ヴィルフォール伯爵はヴァランクールを知っていた。しかし全く評価せず、唾棄すべき男であるというのである。ヴァランクールはパリで賭博に溺れ、更に悪事を働き牢獄にも入っていたという。エミリーは驚愕する。ヴィルフォール伯爵の息子はヴァランクールと旧友で、息子まで悪事に引き込まれそうになったと言い、ヴァランクールを憎悪しているのである。ルブラン城でエミリーはいきなりヴァランクールに再会する。息子の知り合いなので。この際、エミリーは伯爵から聞いた話でヴァランクールが信じられなくなり、ヴァランクールも自分の罪を認めるのである。これではもうヴァランクールと別れるしかない。悲痛な思いでエミリーはヴァランクールと離れざるを得なくなる。モントーニが死んだという便りが来る。
    (あらすじはここまで)

    これ以降は小説は最終段階になり、まだ解き明かされていなかった謎、事情が分かるようになる。例えばユドルフォ城でエミリーが黒いベールを取って恐怖のあまり気絶したという、ジェイン・オースティンの『ノーサンガー僧院』にも引用されているまだ解明されていなかった謎、エミリーの出生すなわち前の城主夫人との関係、不思議な音楽の謎、ヴァランクールとはどうなるのか、といった点などが明らかになっていく。ネタバレだから書かないというより、これまで既に長く書いたし、くたびれたから要約はこの辺で止める。
    本小説についての自分の感想等は下巻の評に書きたいと思っている。
    ユドルフォ城の怪奇 上Amazon書評・レビュー:ユドルフォ城の怪奇 上より
    4861828589
    No.7:
    (2pt)

    今これを読むのは退屈

    恐怖でも怪奇でもない、かといってミステリー、ゴシックとも違う。言ってみれば、男女間の恋愛関係を主軸にして、古城に住む貴族と言われる人々を巡る、18世紀に書かれた女性週刊誌的ゴシップ小説とでも。
    ユドルフォ城の怪奇 上Amazon書評・レビュー:ユドルフォ城の怪奇 上より
    4861828589
    No.6:
    (5pt)

    半世紀前に江戸川乱歩に教えられた幻の名作を名訳で読む歓び

    タイトルの通りです。50年前、まだ学生だった頃、江戸川乱歩の確か「幻影城」で、ラドクリフ夫人作の「ユードルフォ城の謎」の紹介を読んでいらい、いつか完訳を読みたいものだとおもっていたのです。乱歩も実物を読んだわけではなく、その紹介を読んで紹介しているらしいのですが‥‥。
     比較するのもおかしいが、ゴシック小説の始まりの『オトラント城奇譚』の荒唐無稽ぶりには失望しただけに、本物の文学の世界に入り込めたのは感激です。おまけに、舞台が16世紀末、ヴァロア朝末期の南フランスで、ピレネー山脈を望む町に住む少女がヒロインというのは、そのさらに三百年前に栄え、迫害を受けて滅びた中世カタリ派に特別な興味と思い入れのある評者としては、ますます親しみが湧きました。
     ゴシック小説と言ってもけっしておどろおどろしい怪奇だけがテーマという訳ではなく、むしろピレネー山脈やアペニン山脈のピクチャレスクな自然描写と、エミリーの瑞々しい感受性という背景が、作品全体の格調を高めています。訳注にあるバーグの美と崇高の理論の説明もためになりました。といって決してそういった描写が退屈という訳ではなく、ミステリアスで巧みな物語進行は、これだけの大長編を長いと感じさせません。訳文も流麗で、特に章ごとに挟まれる詩句の擬古典調の見事さは、どんな人か訳者に会ってみたいと思わせるほどでした。我が国の英文学界もなかなか人材豊富なようですね。
     巻末解題によると、作者のアン・ラドクリフは有名になっても社交が苦手で、たぶんそれがもとで晩年は沈黙を強いられたようですが、そのような人柄はまさに作風から想像される通りで、いっそう親しみが湧きました。
     この作品が広く読まれるようになれば、きっとわが国でのゴシック小説の位置づけも変わることでしょう。そう、ゴシック小説の精神は中世騎士物語の直系で、さらにトールキンのファンタジーで結実し、現代のアニメの異世界ロマンスものへと伝えられてゆくのですから。
    ユドルフォ城の怪奇 下Amazon書評・レビュー:ユドルフォ城の怪奇 下より
    4861828597
    No.5:
    (5pt)

    本格的ゴシック小説

    日本人は、“ゴシック小説”というと、おどろおどろしい、とかお化けをテーマにしたものと考えがちであるが、この本は違う。学生時代に、原書で読もうとしたが難解で途中で挫折した経緯があり、日本語訳が出版されて本当によかったです。

    ただ1つだけ難癖をつけるなら、ヴェネツィアの描写がやや散漫かなと。
    エミリー、ヴアランクール、モントーニの運命や如何に。
    以上、上巻のみを読んだレビューです。下巻も必ず読みます。
    ユドルフォ城の怪奇 上Amazon書評・レビュー:ユドルフォ城の怪奇 上より
    4861828589
    No.4:
    (5pt)

    解き明かされる謎

    下巻も565ページの厚さである。しかし、上巻に比べてストーリー展開が早く、物語にくいぐい引きこまれる。
     伏線や謎が終盤に一気に解き明かされ、爽快であった。読者の予想を完全に裏切るような点も少なからずあり、著者の物語構成の力量を感じさせられた。18世紀末にベストセラーとなったのも納得だ。
     巻末には、訳者による詳細な解説があり、ラドクリフ自身の人生にこそ、大きな秘密と謎が残されていることが分かる。
     これに続いて『森のロマンス』も訳してくれないものだろうか。
    ユドルフォ城の怪奇 下Amazon書評・レビュー:ユドルフォ城の怪奇 下より
    4861828597



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