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ファイト・クラブ
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ファイト・クラブの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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チャック・パラニュークによる1996年発表作品 “Fight Club” の邦訳。 主人公「ぼく」は贅沢品にかこまれて暮らしながらも、満たされない欲望をつのらせるエリート。彼は暴力に身を投じることで生きる意味を見出すも、肥大化していく暴力に容赦のないしっぺ返しをくらってしまう。物質主義や消費主義が生み出す幻想をマッチョな男性原理によって破壊しようと試みるも、そうしたマチズモにおいてすら挫折する主人公の姿は、まさしくWASP的な「アメリカ」のカリカチュアです。 また、資本主義は生産行為に寄与しない睡眠を無駄なものとみなし、睡眠を人間から奪おうとする。睡眠とは本質的に資本主義とは相入れません。それゆえ主人公を悩ませる不眠が結果として資本主義に牙をむく、というのは痛烈なアイロニーでしょう。 けれども本書の魅力は風刺的な要素だけではありません。作者自身は本書執筆のさい現代版の『華麗なるギャツビー』を書くつもりだったと述懐しています。そう考えて読んでみると、本書は「アメリカン・ドリーム」の負の面を描いているだけでなく、古典的なロマンス小説の枠組みを踏襲しているという意味で、ふたりの男の友情と葛藤を描いているという意味でも、『華麗なるギャツビー』と強く共通するものがあります。 評者はデヴィッド・フィンチャー監督の映画版を観てから、その原作である本書を手にとりました。そして結末は異なるものの、映画版が原作の語り口をかなり忠実に映像化したものだとわかって驚きました。 じっさい作者によれば、本書では「登場人物が一つのシーンから次へと直線的に進んでいくのではなく、カット、カット、カット、カメラが切り替わるように物語を進行させる方法」が試みられたといいます。その言葉はそのまま映画版に当てはまります。映画版の独特の断絶感は、単なるこれ見よがしな映像レトリックではなく、原作を再現するための手法だったことを知りました。 本書の巻末には、映画公開後のカルト化にともなう喧騒がひと段落ついた後の「著者あとがき」がついており、それを読むだけでも十分価値があります。アメリカ文学研究者の都甲幸治氏の解説も充実していました。 | ||||
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当方読書の初心者以上中級者未満です。 映画も本も好きだったので購入しました。 前のファイトクラブはじゃっかん解りづらかった箇所が新版では変わっていました。 突っかからずにすーっと読める。 その分内容が際立った感じがありとてもよかったです。 個人的にですがカバーが気に入らなかったので星4つにしました。 前のを読んだ方、読んだ事ない方どちらにもオススメです。 作者がファイトクラブ2を執筆中だからこの新版が出たのかなと思いました。 チャックパラニュークの本は最近和訳されないので2の和訳は出版してほしいです。 | ||||
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この作品を「ジェネレーションX」が放つなんたら、といってしまうのは、あまりに手軽だろう。 作家となるべくして生まれてきたとしか思えない文体・技巧・構成に圧倒された。最初の一行が最後の一行に、見事に折りたたまれ、また最初の一行に循環していく。伏線が伏線としてだけではなく、ディテールとしても文章表現としても機能しているところが、またすごい。ちなみに、話題となった映画は未見。 殴り合いの喧嘩をしたことがなく、存在感のある父親も身近にいなかった若者が、タイラーと名乗る勇気と知力のある若者に出会い、共生関係を結ぶーーと見せて、分裂的・多重人格的に「自分=タイラー」という図式がじょじょに浮かび上がってくる。 その過程で、ファイトクラブから徹底破壊プロジェクトなるものが派生し、あるいはお笑いの、あるいは暴力的な事件を引き起こす。顔に不気味なあざや傷を持つファイトクラブの会員に、いたるところで会うようになる。 誰が、なぜ、こんなことを?というような、事件ともいえない奇妙な事件はよく報道される。それがもしも徹底破壊プロジェクトの仕業だとしたら?黒ずくめで、頭をそり上げた彼らが実は今現在、ニトログリセリンやナパーム弾を製造しているのだとしたら?彼らの靴の中には「埋葬費」としての500ドルが隠してあり、死んで初めて彼らはファイトクラブにおいて称えられる。英雄となる。 ここで思い浮かべるのは、自爆テロの実行犯である。死までのカウントダウンを始めた時、彼らの目にうつる空の青の鮮烈さ、空気の甘さ。そう、これは、漫然と惰性で生きる日常を脱し、生きているという実感を追い求めた小説なのだ。 リサイクルひとつを取っても、なぜ、僕らの世代がツケを払わされなければならないんだと主人公はいう。ここまできたら、ロックフェラーセンターの廃墟でヘラジカを追い、焚き火をするところまで戻らなければ、もうだめなんだ、と。 そうかもしれない。あるいは、まだ希望があるのかもしれない。おそらく、作者の思いは後者だろう。なぜなら、最後の最後で、作者は主人公に共感という幻想を与えるから。 それが、☆5つのところ、ひとつ減点となった理由だ。 不眠症の主人公は(この不眠症がまた、重要な伏線なのだが)、精巣がんをはじめ、ありとあらゆる不治の病の「互助会」に参加し、その夜だけは安らかな眠りを得る。その互助会のメンバーが、最後に「私たちなら、力になれる」「力にならせて」と、高層ビルの屋上に現れるのだ。口の中に銃を突っ込んでいる「僕」の前に。 それでも主人公は銃の引き金を引いたーーことになっている。 この甘さはなんだ?それって幻想だろ?誰も、あんたのかわりに死んでくれないし、あんたのかわりに生きてくれないんだよ、といいたくなる。 付け加えるなら、俳句だのチャクラだの、ヒンドゥー教の牛だの、随所にアジアンテイストな語彙が見られるが、いかにもニューエージっぽくて深みがなく、テイストに過ぎないことも減点の理由となるか。 解説に「無駄を徹底的に削ぎ落とした新鮮な文体」とあるが、「しかし」や「けれども」や「ところが」などを使わないだけで、むしろ饒舌ともいえる、独特な文体である。 | ||||
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本書のストーリーは緻密に構成されています。 そこを損ねてしまう可能性があるので、主役「タイラー・ダーデン」の人物評にとどめます。 「全世界をどん底に突き落としたかった」 ファイト・クラブ創設者の一人、タイラー・ダーデンの心情です。 過去数千年かけて汚染してきた地球の、全人類のツケを、 尻拭いを押し付けられるのなんて、まっぴらごめんだ。 全世界を徹底破壊して創りなおす。 人類を絶滅させるのではない、ダウンサイジング(サイズダウン)させるのだと思ってほしい。 タイラーの活動は、地道な1歩からはじまりました。 素手でシャツを脱いだ男たちが繰り広げる 一対一のファイト。 眠っていた野生のオスの本能がそこで開花します。 その波紋は、徐々に、確実に広がっていき、街には生傷だらけの男が、ひとり、ふたりと… 「怖気づいてどん底まで行かれない人間は…」 タイラーが語ります。 「絶対に成功しない」 「どん底まで落ちなければ、救済もない」 「イエスは十字架に架けられたときどん底に落ちた」 タイラーは何故、そこまでこの世を憎むのか。 彼のドグマを紹介します。 「男に生まれ、キリスト教徒で、アメリカ在住なら、神のモデルは父親だ。だとすると父親をまったく知らなかったら、神をどうとらえることになる?」 その場合、「父親探しと神探しに一生を費やすことになる」 ここで考慮すべき点は、「神に好かれていない可能性だ」 「神は人類を憎んでいるかもしれない。だがそれは、起こりうる最悪の事態というわけではない」 タイラーの信念は以下に続きます。 「まったく関心を持たれないよりも、罪人として神の関心を引くほうがまし」 「神の憎悪は 神の無関心よりもましだ」 歴史を振り返り、男たちを鼓舞します。 「我々の世代には大戦も大恐慌もないが、現実に戦いは存在している」 「我々は大きな精神世界を闘っている」 「我々は精神的大恐慌の只中にいる」 タイラー・ダーデンのカリスマには、 危険なにおいと同時に、男の本能をくすぐる甘美な香りも同居します。 関心をもったひとは、試しに「ファイト・クラブ」、手にしてみるのも一興。 ただし、ファイト・クラブ規則第1条 「ファイトクラブについて口にしてはならない」 | ||||
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確かにあとがきにもあるように「力強く映像的で、無駄を徹底的に 削ぎ落とした新鮮な文体─」との印象を受けましたし、作品その物 は大変面白かったです。 とても言葉巧みで短い文に多くのものを乗せる著者のその文体は素 晴らしいものでした。 しかし、文の並びがまちまちな印象を受ける部分がいくつかあり、 それは何が狙いなのか少し分かりかねました。 また、物語の主要部分を隠すつもりなのか出すつもりなのかが半端 な部分も見受けられました。 隠すつもりならばもっと匂わす程度の触れ方で良いのでは? とも思いました。 全体的には大変面白い作品で、自分はまだ映画を見ていないのでこ れから見るのが楽しみです。 | ||||
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デビッド・フィンチャー監督の映画から入って読みました。 映画から入って読んだ方は、ラストの意味がここで解消されると思います。 小説のラストを踏まえると、映画のラストで主人公の目の前に現れた恋人と仲間達の姿は、 彼が最後に見た幸福な幻影だったのかもしれないですね。 ジェネレーションXの不平不満の代名詞的な主人公の末路は、最後の最後で行き場を失い、 救われたのか救われなかったのか分からない、壮絶なラストでした。 この小説で作者が表現しようとした想いと物語に仕掛けていた罠を、 フィンチャー監督はかなり忠実に再現していると、改めて感動しました。 | ||||
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この言葉だけで、必要十分だ、と感じられる文章。サービス精神旺盛に組み込まれた伏線やサイド・ストーリー。全くムダが感じられない。足りないものも感じられない。映画でタイラーを演じたブラッド・ピットの身体のように。 映画しか見ていない人。映画とは異なる、主人公二人の出会いのシーンは、知らないと損です。 | ||||
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映画を観てから読んだのですが、映画に負けないスピード感とキレの良い文章で、一気に読み切ってしまいました。原作だけあって、映画よりも濃く、キツい展開になってます。内容もさることながら、一つ一つの言葉が決して無駄にされていない文章は秀逸。とってもスタイリッシュです。和訳の海外小説が苦手な人にもおすすめできます* | ||||
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