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七日目は夏への扉
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七日目は夏への扉の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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なんでだろう。病んでる人が出てくるのにな。 最後まで読んであらためて表紙を見てみると。この内容なのにこんな爽快な夏の青空でいいのかコレ、と思ったり。 いやまぁ逆にふっきれててこれはこれで最高に合ってる絵なのかも、と納得させられたり。 さわやかなのかドロドロなのか、最後にどっちが強く印象に残るかは、読む人の性格や感性に寄るのかも。 主人公・朱音の言葉も、文章も、ライトだけど。どれもさらっとは読み飛ばせない。 朱音と彼。朱音と彼女。それぞれの対比、ギャップの魅せ方が見事。 深く考えすぎるとうっかり暗い所へ連れていかれそうになるような、ギリギリのバランスで成立してる物語。 狂いかけ。ほんの一歩手前。ゾクリとくる面白さと、ぱぁっと目の前が開いていく清々しさ。 タイムリープ小説としても、元カレとの再会話としても、へぇと感心する。一筋縄ではいかない本。 私は、面白かった。大好きな本です。1年に1度くらいは思い出して読み返してる。で、やっぱりまだ面白い。 今更とは思いましたが、何度目かのこの今も面白かったので、レビューを入れてみました。 や。受け取るものが全然違って、コレのどこがドロドロでギリギリなの?っていう人も多数いるかもしれませんが。 それはそれで、そんなレビューも読んでみたいです。影響されて感じ方が変わるかもしれないから。 | ||||
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著者は講談社青い鳥文庫の「ふしぎ古書店」シリーズで知られる人物。 本書は、ノン・シリーズのSF/ミステリ。時間を行き来しながら、かつての恋人の死の真相に迫っていくというストーリーだ。ひとひねりあり、この手のものを読み慣れた読者でも満足できるだろう。 主人公に行動力があり、バリバリ突き進んでいくところが楽しい。 ただ、タイトルから期待していたようなロマンチックさはなかったかも。 | ||||
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なぜか一週間の中の出来事をバラバラに経験する主人公。 どうやら昔付き合っていた人が事故死したようだ、自殺とされているけれど、原因はわからない。 しかも自分も電車のホームから突き落とされたり、命を狙われているような気がして……という展開。 仕掛けもいいけど、いちばん好きなのは主人公の頑張りだった。 追い込まれた状態でも、人を信じてあげられるって、すごいことだと思った。おすすめです。 | ||||
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一週間をランダムにタイム・リープするという設定は、高畑京一郎先生の大傑作「タイムリープ」があるので、作者がどのようにオリジナリティーを出しているのかなという興味で読んでみました。にかいどう先生は、ミステリー色を強く出し、時間SF的要素は抑え目、キャラ設定を濃い目(特に主人公の朱音)にという戦法できましたが、時間ものSFが大好きな私としては、やや不満の残る作品でした。ただ、先ほども書いたようにキャラ設定が濃いので、たとえば朱音と森野の会話とかはユニークで面白いです、あとにかいどう先生はおそらくバンド経験者ですね、素人にはわからない描写がいくつかあって、私はおもわず苦笑してしまいました。西澤保彦先生が書かれるような、ミステリーにSF的な味付けがしてある小説が好みのかたには、おススメではないでしょうか。 | ||||
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正直言うと、期待を裏切られたというのが本音です。 タイムリープものというジャンルは発掘されつくした感があり、斬新なものを書くのは難しいと思いますが、依然として読者を引きつける魅力がある設定です。しかし本作では、その魅力を活かせていなかったように思えます。そもそもタイムリープものである必要性が薄い気がしました。 ミステリーとして見ても、ミスリードが非常に浅く謎が深まりません。本筋から枝葉のように不安材料が伸びて行きますが、ほんのオマケ程度です。 結局、この作品を通して作者が何を書きたかったのかが最後まで見えませんでした。 文章自体は読みやすく、主人公のキャラも魅力的だと思いました。 | ||||
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7月10日日曜日から16日土曜日までの一週間は、ヒロイン美澄朱音にだけは順序がバラバラになってやってきます。それは12日火曜日に朱音の元彼である森野夏樹が交通事故で死んだことと関係があるのかもしれません。 時間物らしいということでメモを取りながら読み進みました。要所要所で朱音が自己確認のために出来事を整理してくれるのが参考になるのですが、ヒロイン自身がそうしないと分からなくなるほどなので、読む方もメモを見返しながら大変でしたがとても楽しかった。 森野の死因についての推理物の側面もあり、凄い危機、ぞっとするような場面に遭遇することもあります。それでも次へ次へと呼ばれるように読み進んだのは作品の魅力からでしょう。「七日目は夏への扉」というタイトルなので最後はSF古典「」と同じようにハッピーエンドだろうと信じていたこともありますが。 ヒロイン朱音が走り回る物語だけに、彼女が実に魅力的な女性であることが、作品自体を輝かせています。元彼の森野に「朱音は眩しすぎる、オパールみたいにキレイすぎる」と言われるぐらい。でも朱音は勘違いもするし、ボーッとすることもあるし、スーパーウーマンではないので、おとぎ話になってはいません。活劇的ですが、地に足が着いた話です。 子どもが成長していくこと、食べることがベースに在ることから、主要登場人物が年を経て形成された裏付けのある生きたキャラクターになっていると感じます。そんな中、朱音のように誰かに少しでも愛された経験を種に輝きを育てて素直に表に出せる人と、恵まれない環境や変化の激しい生活の中で屈折してしまい引いてしまう人とが対比されることになります。 朱音の輝きが彼らの陰を消せるかどうか、森野を死から救えるかどうか、楽しみに読んでください。少年向きの小説の良い所を維持しながら大人向けに放たれた良作です。 自分の言葉を紡げていないという朱音の悩みへの回答が、「何でもいいから自分から語り続けることこそが大切」になっているように思いますが、それは作者が自分に言い聞かせていることなのかもしれません。その通り、語り続ける中に自分独自の言葉が増えていくのでしょう。 蛇足:カバー絵の女子学生がヒロインの朱音だとしたら髪もピンク、持っている拡声器もピンク色でなければなりません。 | ||||
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カバー絵やタイトルから,ひと夏の感傷的な青春ミステリかと思っていたのですが, タイムリープをはじめ,サイコサスペンスすらも見せる展開は予想外ながらも面白く, 前半は入り組む時系列への疑問,後半は問題解決への奮闘と迫る狂気に引き込まれます. また,自分の言葉に自信の持てなかった主人公が,拡声器片手に声を張り上げる姿や, 七日間を飛び続け,『失敗』だけは免れたものの,これで救われたとしない決着が良く, さらに問題の本質はお手上げとしながらも,小さな思いやりを覗かせる様子が印象的です. 反面,その文章は擬音や擬態語,ネット用語と軽めで好みが分かれそうなことに加え, 緊迫した場面でもそれらが挟まられることには,どうしても違和感を覚えてしまいます. 一方で,音楽や家族,洒落たやり取りには,伊坂幸太郎さんの作風が思い浮かぶことも…. とはいえ,このサバサバ感というのか,おおらかな振る舞いが彼女の魅力でもあり, たびたび入る食事の風景やその健啖ぶり,そして「食べることは生きること」と語り, 最後まで悪人と食べ,『いつもの翌日』を迎える幕引きにはどこかホッとさせられます. ただ,タイムリープの謎は一切明かされず,そこに不満がないわけではありませんが, 彼女の力強さがそれを押しのけ,物語としてうまくまとめられているのではと思います. | ||||
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本作を刊行している講談社タイガみたいなライト文芸のレーベルには色々な世界から作家さんが流れてくるけど、基本はライトノベルや一般文芸出身の方が 多いかと思われる。失礼ながら本作の作者・にかいどう青さんの名前を存じ上げ無かったので過去の作品を調べてみたら何と児童書!読者層の年齢層が 高いであろうライト文芸に児童書畑の作家さんがどんな作品を発表するのか、経歴の特異さ故に期待しつつ拝読 物語は主人公で駆け出しの翻訳家である美澄朱音が停まった車の中でかつての恋人である森野の名前を呟く場面から始まる。よろめく足で車外に出た 朱音の目に飛び込んできたのはぶち破られたガードレールと、その向こうにある急斜面を転落し大破した森野の車。運転席の森野を助けようとした朱音 だったが、グシャグシャの車の中でハンドルに寄りかかった森野は頭だけでなくレンチの様な物が突き刺さった腹部からも激しく出血していた。救急車を 呼ぶからと必死で呼びかける朱音だったが、その目の前で「ま…ゆ…」と謎めいた言葉を呟きながら森野はあっさりと息を引き取ってしまう… …という夢から目覚める最悪の月曜を朱音が迎える所から本編は始まる。何故この四、五年連絡も取っていない学生時代の恋人が事故死する夢を 見たのかと困惑する朱音だったが同居している姪の小学五年生・東堂ひびきの顔を見た瞬間全てはその可愛さに吹っ飛ぶ。「いってらっしゃい」のちゅーは 可愛く拒絶する最愛の姪を朝食の後学校に送り出した朱音だったががふと気になって大学の恩師で自分に翻訳の仕事を恵んでくれた英文学科の教授・ 本間佑介に電話を架け、森野の現状を聞く事に。本間によれば森野は神奈川県の高校で教員を勤めているらしい。具体的にどこの学校か聞く事もなく 所詮夢は夢に過ぎない、と流してしまう事に。翌朝目覚めた朱音は新聞を読んでいたひびきから神奈川で起きた車の転落死亡事故の話を聞かされた後、 ゴミを捨てに行くが何故か燃えるゴミの日だと思っていたのにゴミステーションに置いてあったのはビン・缶の類。自宅に籠って作業をする翻訳業のお陰で 曜日の感覚が狂った自分のだらしなさに呆れながら家に戻って新聞を見ればやっぱり水曜日。ひびきの聞かせてくれた自動車事故が妙に気になる朱音 だったが、夢だからと割りきって仕事を始めるが、そこに電話を架けて来たのは大学時代の同級生・鶴田沙希だった。「森野君の事何か聞いている?」という 沙希の言葉にまた森野か、と違和感を感じる朱音だったが、落ち着いて聞いて欲しいと語りかけてきた沙希は森野が昨日の朝、勤め先の学校とは反対に ある山中でガードレールを突き破る転落事故を起こして事故死した事を知らせる。愕然とする朱音に沙希はこの事故には自殺の可能性もある事を仄めかすが… 久しぶりに大当たりの作家さんを見付けてしまった!主人公がタイムリープを繰り返しながら、かつての恋人の事故死の真相に迫る、というSFとミステリの ハイブリッドという個人的な好みにドンピシャなジャンルである事も大きいけど、何より主人公の生き様が良い!作中でフェロモンを追う虚ろな本能に 従わず自分の行きたい方に進む蟻、に例えられる様な胸を張り、背筋を「シャン!」と伸ばして「我が道を行く」鮮烈な朱音の生き様が実に好みだった 竹宮ゆゆこさんや美奈川護さんの描く本質的な意味で「強い」女性主人公が好きな方なら間違いなく「買い」である 物語の方はかつての恋人・森野が事故死する夢を見た朱音が実際に森野が自分が夢の中で見た通りの転落事故で死んだ事を知らされ、状況的にも 森野の義妹・梨久の口から語られた森野の近況からも余りに不自然な部分が多いその死に不信感を感じ真相を知ろうとする所から動き始める。そして 森野の死の真相に近付こうとする度に自らも命を付け狙われる様になった朱音が命の危機に曝される、あるいは就寝して次の朝を迎えると「翌日」以外 を迎えるという奇妙なタイムリープ現象に巻き込まれ、森野が事故死した火曜日を除く一週間をあっちこっちへと撥ね飛ばされながら、森野の死に教え子の 一人で病的な虚言癖の持ち主で狂言自殺を繰り返す地元の有力者の一人娘・桐矢麻友香の存在が浮かび上がってくる…というのが主な流れ 話のキーになるのは幼くして母を亡くした結果、校内で煙草は吸うわ、髪はピンクに染めるわと分かり易く荒れていた朱音にギターを与えた父親が 投げ掛けた問いかと。「選択肢1:あなたの年収は300万で、周りの人は150万である。選択肢2:あなたの年収は600万で、周りの人は1200万である どちらか好きな人生を選べるとして、あなたはどちらが良いですか?」という問いに対して意外な程に選択肢1を選ぶ人間が、自分の幸せよりも他人の 不幸せを望む人間が少なくない、という実験の結果を示し、自分も1を選ぶ気持ちは分かると胸の内を明かした上で、それでもなお幸福はイス取りゲーム じゃない、誰かが座れて誰かが座れない、というものじゃないと語って聞かせてくれる父親が身近にいてくれた朱音が陽の存在。それに対して自分の 存在が離婚を巡る裁判で相手を責め立てる為の道具として使われた過去を持つ麻友香が陰の存在である。ただし、朱音の対となる存在は麻友香では 無いのが話のミソ。この物語は最終的に選択肢1の本質である「自分より不幸な人間」が存在する事でしか自分を支えられない弱い人間がどうしても 世の中には存在しているという悲しい真実を最悪の形で朱音が突き付けられるまで続いてしまうのである 朱音は読書大好きの姪・ひびきからネクトン=流れに逆らって泳ぐ能力を持つ水生生物に例えられるのだが、義妹の梨久からも「心をどこかに置き忘れた 様な所を見せる事がある」と言われてしまう森野はプランクトン=自ら泳ぐ能力が無く、流れを作って貰わないと沈んで行き、死んでしまう生き物なのである 電車の中でみんなが邪魔だと思っているのに拾われないまま転がっていたペットボトルをヒョイと拾ってしまった朱音の姿に惚れた森野だったのだけども 「何故別れたのかよく分からないし、一緒に居ても時々一人で居る様に見え、それが悲しくて『なんかあった?』と聞いても『別に』と寂しく微笑むだけ」という 朱音が眩し過ぎたのだろうな、と読み終えた今となっては思うしかない。この交際している時には胸の内を掴む事が出来ないまま疎遠となった元恋人が 自分よりも不幸で不安を抱えた存在を身近に置き、そのまま水の底に沈んでいく様な破滅から救い上げるのがこの物語の本質と言うべきだろうか? 普通のヒロインならばこんなどうしようもない男は救いようもないし、見捨てるのが関の山なのだろうけど、本作のヒロイン朱音は本当にエネルギッシュで 「自己憐憫に浸ってんじゃねえや!」とばかりに、この究極に面倒臭いクラゲ人間みたいな二人を救っちゃうのである。印象的なのは朱音がメシを作っては ガンガン食べるシーンがやたらと多い事かと。朝から食パンをぺろりと三枚、昼にはキムチチャーハンをモリモリ食し、面倒臭い二人を助けてしまった後は コロッケサンドをバクバク食ったかと思えば、森野の病室でシュークリームを6個も平らげるとか!「生きる事とは食うことである!」という言葉はよく聞くけど このヒロインの食いっぷり、まさに流れに逆らってグイグイ泳ぐパワフルさを感じさせる。これからのヒロインはメシをモリモリ食うタイプが流行るかもしれない (そういえば竹宮ゆゆこの傑作「とらドラ」のヒロイン大河もよく食う女だったなあ…) 基本的に薄暗い雰囲気の作品ではあるのだけど、その森野の死の真相が明らかになる程に薄暗さを増す時間の流れの中をあっちこっちに飛ばされる 訳の分からんタイムリープも何のその、オラオラオラッ!とばかりに掻き分けて、自分の幸福よりも他人の不幸を望んでしまう心弱い二人をお前ら勝手に 死なせてやらねえ、長生きさせてやる!と啖呵切っちゃうヒロインはそうそうお目にかかれませんよ! いやー、最初は経歴の特異さに惹かれて手に取った作品だったけど、こんな所に新世代の竹宮ゆゆことでも言うべき恐るべき才能が潜んでいたとは! タイムリープ型のSF風ミステリとしても楽しませてくれたけど、何と言ってもヒロイン・朱音の女傑っぷり、鮮烈な太陽の如き生き様が魅力的だった一冊 児童書の方も並行して執筆される様だけど(色々調べたら、児童書の方のヒロインが本作で出てくる東堂ひびきらしい)出来ればライト文芸の世界でも 大いに活躍を期待したいと思わせてくれる高い完成度を見せてくれた作品だった。次の作品を一刻も早く読ませて頂きたい! | ||||
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作品でした。 物語の内容も勿論ですが、主人公、美澄朱音のパンキッシュでニヒルな一人称視点の地の文がとても魅力的。 終盤からの勢いはSF的な伏線回収も相俟って怒涛に相応しい展開でした。 作中で登場するアーティストも小説では常連の「ラモーンズ」や「ストーンズ」だけではなく、 「X JAPAN」 や「マキシマムザホルモン」など近年の邦楽を取り入れているのも新鮮に感じました ただ、作中に当たり前のように幾多も出てくるネット用語(リア充、黒歴史、orz、ボカロ)は前述の砕けた地文と作品全体の印象を少しチープにしてしまっているように感じました。 もう少し硬派さを取り入れたら最高の作品だったのでは……と個人的に思います。 | ||||
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