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バビロン 2 ―死―



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【この小説が収録されている参考書籍】
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)

バビロン 2 ―死―の評価: 3.62/5点 レビュー 21件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.62pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全13件 1~13 1/1ページ
No.13:
(5pt)

めちゃくちゃおもしろいです。

1巻目はそんなにどんどん読み進む感じでは無かったんだけど。。。
2巻目はおもしろくなってきます。どんどん読める。先が楽しみ。
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
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No.12:
(4pt)

1巻は面白い

1巻、2巻に限れば面白い。
でも、3巻まで読むと、もうストーリーがだめだめだと思うので、もしかしたら4巻で巻き返される可能性があるので、4巻出るまで待つことをおすすめします。
自分は3巻まで読んでもうこりゃだめだと思いました。
昔、読んだホラー小説で、リングとらせんがあって、3巻目のループでがっかりした口ですが、あれに近い感覚でした。
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
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No.11:
(5pt)

アニメもいいけど実写化もあり

もし実写化するなら正崎が西島秀俊で齋はハセヒロ、九字院は桜井翔あたりがいいな。ネックは曲世ぇぇぇええええ!!の配役だけど、誰がやっても批判しか出なさそうだからいっそ変装ごとに別の女優使ったらいいかもね。
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
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No.10:
(5pt)

「最悪」は一人にあらず。

今回も読み進めるごとにグイグイ引き込まれて一気読み。
自らの選択で命を絶つことが許された所謂『自殺法』を巡って、検察と警察は齋を逮捕する為に暗躍する。
一方で、この「新域」を創るために暗躍した謎の女性、曲世愛の素性を調べ不可解な過去の事件に行き着く。
齋自らが示した「自殺」の目的と意味、「辛さから逃げる事だけではなく、愛する誰かを助ける為の自己犠牲としての自殺」が善性であるのかと問われれば、理解できない事はないけども善ではないようにも思う。
まさに議論の尽きぬ問題。
そして「最悪」の曲世の行動が恐ろしい。
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No.9:
(5pt)

登場人物の描写がすごい

小説だけど大げささや説明くささがなく、会話文で登場人物を感じていけるので、現実世界と同じ感覚で引き込まれて感情移入してしまう。登場人物のほとんどが自然で現実的な感じなので、その中で非現実を感じると、なんか頭が真っ白になります。すごい。
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No.8:
(4pt)

最高

面白い!面白い!面白い!面白い!面白い!
この作家は面白い
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No.7:
(4pt)

最原の幻影を見すぎでは?

まずは読みごたえがあり緊迫感はあった。
が 申し訳ないが野崎さん 貴方はアムリタの最原にひきづられすぎだと思う。
異能を使う美女で話を作るのはいいが、それとグロを入れるだけでは正直飽きる。
野崎節と言うのはわかるし面白い がアムリタにひきづられてはいないか?
異能ホラーしか書けなくなったら 最原対曲世みたいなプレデター対フレディみたいなのを書くようになって欲しくないな
まさか最原が出てきて曲世 倒すなんてないよね? ありえそうってかそれしかなさそうw
まあ面白いんだがまたかと思ってしまいました。
是非人間の力で曲世を倒してください。
あと正崎の嫁さんと子供を自殺やグロ殺害はやめて べたすぎて萎えるから お願いね〜 のざきさぁ〜ん
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
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No.6:
(4pt)

劇的

荒唐無稽だけど劇的な展開。
面白いけれど、これってありなのかなー、と思いもする。
Sファンタジーとして読むべきなのか。難しい。
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
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No.5:
(4pt)

甘美なささやきと狂気の微笑

の狂乱の結末から一息,普通の警察小説にも似た序盤は落ち着いた雰囲気ですが,
謎の女へ捜査の手が伸び,やはりとしか言えない奇妙な背景が見え始めるあたりからは,
曖昧ながら,そして曖昧ゆえの不安と沈黙に,何とも言えない不気味さが付きまといます.

一方,発端である一つの法を巡る駆け引きは,心情面からの意見を心情面で覆したり,
常に移り変わる価値観の中,悲しみ以外の思いをもたらす死への可能性へと触れるなど,
それらと向き合う新しい時代をという論には,いわゆる敵の側ですが頷いてしまう一面も.

また,ある程度の予想と心構えはしていたつもりも,破滅しか見えない終盤の流れは,
最悪を塗り重ねた終わりへと続き,曖昧にしていた不安が現実になっていく恐ろしさが.

さらに,天使のささやきか死神の鎌の一振りか,女と事件の真相が明かされる様子と,
彼女とのやり取りに性的な興奮を重ねる描写は,甘美な世界へのいざないにも映ります.
何より,自らを悪人と言い切り,その考えや行動の意味に理解を求めてくる彼女の微笑は,
目の前で起きた凄惨な出来事を超える恐怖に映り,その存在自体から逃げ出したくなるほど.

果たして,『あちら』に飲み込まれてしまった主人公の男に救いの光は差し込むのか,
正義について考え続けることを信条とした男の絶望,憎悪に蝕まれた姿が気になる反面,
その強い思いはやはり報われてほしく,変わる世界とともに,今後への期待が膨らみます.
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
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No.4:
(5pt)

正義というのは正義というのが何か考え続けることだ、と考える主人公、正崎善と対比するようにして存在する、暗黒の女、物語の黒幕として振る舞う曲世愛。彼女は正崎に言葉を投げかける。「ねえ、悪っていうのは何か考えて」
 悪とは何だろうか。
 例えば正義という言葉が主人公の言うように継続する中で育まれ、成長や変節を繰り返すという意味であるとするならば、曲世愛が象徴する悪とは多分一方的な終焉なのだろう。
 声を掛けた相手をすぐさま自殺に追い込む力を有する、それは男が性交時に射精をするのを抗えないくらいのある種の欲望を伴うものである。つまり割と現実的な世界観の中に一人だけ紛れ込んだ異能力者・サイコパス・殺人鬼こそが曲世愛であり、主人公の検事は、常識的な枠組みの中にいるからこそ彼女を追うことができない。
 正義と悪という言葉には異論もあろうが、取り合えずこの作品の中では、悪という言葉は不成長、断絶、強制的な(自らの意志を伴わない)自殺、つまり他殺、大人を殺すよりも子供を殺すことの方が悪い=将来や未来があるものを無に帰することこそが悪だ、という風に定義されているように感じる。
 バビロン一冊目から続いてきた相棒殺しではあるが、今巻はよりバッドエンド的な暗黒のカタルシスが強くなっている感はある。とはいえ、最後の一文は前巻の方が印象が強かったかな。まだ正崎がどのように転ぶかが分からない以上。
 点線を実線にするアイディアは、そういえばSPECで見たなと思ったけれど、演出がスマートで呻き声を上げたくなるくらいにはスタイリッシュ。
 新域の長である齋開化だが、彼の進める自殺法はまだちょっと印象が弱い。自殺の社会的メリットというのは、まだそこまで掘り下げられていない、というか読者を納得させるだけ語られていない感じがする。あくまで自殺法なんてけったいなものを制定しやがった齋開化を捕まえてやるぜ、という犯罪者を捕まえるというミステリ的な流れがこの巻でも本旨だし。
 自殺というのは個人的には大いに認められて然るべきと思うが、しかし、それを社会的に定義しなければならない理由というのはよくわからない。なにせ現状でも自殺は罪に問われないし、行為そのものは今でも禁じられていないのだから。自殺が社会の発展を阻害するというのは広い意味で見れば明らかなことでしかなく、それを一時的なパフォーマンスだけで覆せるのかは疑問である。前巻でも感じていたが、自殺法は広く社会に問うような意義を備えていないような気がする。
 自殺は悪である。未来ある、成長の可能がある、存続の可能性があるものを、自分からの意志だとしても断ってしまうというのは悪だ。上で俺がした作品内の悪という言葉の解釈を適用すればそうなる。
 悪というのは広く行われるのではなくて、もっと狭い域で行われた方が映えるんじゃないか? というのが個人的な見解であり、だからこそ一般的なミステリ作品は惚れた腫れただの、遺産相続がどうのだの、個人的な問題を取り扱うんじゃなかろうか。
 その意味で、悪法を行おうとしている齋開化よりも曲世愛の方が圧倒的に映えているという感じはする。
 個人的には、自殺法がどうなるかよりもサイコパスで異能持ちな曲世愛が今後どんな暗黒カタルシスを起こしてくれるかの方が気になる。
 テレビ中継があるということだったので、曲世愛がお茶の間のテレビに登場し、その暗黒の波長を投げかけ、全国で自殺者が頻出するという展開をちょっと予想したのだが、それはさすがに荒唐無稽なのだろうか。
 この作品において、何が許され何が荒唐無稽なのかはよくわからないけれど、今後ますます活動を広げていくであろう曲世愛の活躍とその能力の範囲や限界などの詳細(やっぱり近くに寄らないとムリなのかな?)、また、エリートの一人である正崎センセーが今後どのように闇堕ちし、身を崩していくのか、次巻が楽しみです。

 今刊行されている小説群の中で一番楽しみなくらいにこのバビロン2は心待ちにしていた作品だったが、バビロン3もきっとそんな作品になることだろう。野崎まど先生は、作品の類型化が進む中で、しっかりと自分なりの作品を追求されており、それが多くの人にウケていて、更には個人的に非常に好みである、という稀有な作家だと俺は思う。

 だからこそ、正義と悪についてもうちょっと哲学的にというか、少しばかり詰めてくれることを期待する。ちょっと方向性が違うのでムリかもしれないが……(モノローグよりも事件で物語を際立たせる手法を取っているから)。
 悪っていうのは悪いことなんだけれど、そんな私のどこが悪いの? というか、必然的に生み出される悪、いわばバグのように生まれた時からなぜか知らないけれど悪でした、という存在もいるはずで、それが曲世愛のような人物ということになるのだろう。曲世は自らを民衆に理解されない勇者に例えているが、そして、勇者に共感してくれる世界を望んでいるが、彼女が望んでいるのは人と人が気軽に日常的に殺し合い、人がいつ自殺してもおかしくないような世界なのだろうか? 曲世が今巻のラストで成した大量殺戮が日常的に(何の能力も持ってない凡人が行う形で)再生産される未来なのだろうか? いわば人には嫌われて当然のサイコパスな少数派が現在の法では捕らえにくい抜け道みたいな能力を有してしまったことからバビロンという物語は走り出したと言えるのだろうけれど、その曲世愛と夫である齋開化がどれだけ世界に対して悪を振りまけるのかというのを興味を持って見守ろうと思う。
 まあ、ハッピーエンド至上主義的な現代的な社会観の中ではこの作品の黒幕もどこかで阻止されるだろうけれど、どちらかと言えばこの作品においては正崎よりも曲世の方を応援したくなる(底を見たくなる)自分がいるとか書くとサイコパスだってバレちゃうな……冗談です。
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
4062940310
No.3:
(4pt)

イヤミスならぬイヤSF

【ネタバレ注意】
法や倫理や社会制度は、それを支える「命」の価値の底が抜けたらどうなるの?人間のなかにあるエロスの回路をタナトスへつなげることができたら簡単に底が抜けるんじゃない?

みたいな思考実験小説かとミスリードしておいて、実は、有能ぶっておきながらいらいらするほど抜けてて脆いところのあるツンデレおっさん主人公が精神的に追い込まれて崩壊する様子をドエスな気持ちで愛でる、という小説でした。

この小説は第一巻からそうだったのですが、気づくのが遅すぎて、このたび作者にまんまと最悪な気持ちにさせられた読者は、私だけではないでしょう。イヤミスならぬ、イヤSFでしたね。最初からそうレーベリングしてよ!という読者のためにこのレビューを書いています。

気になるのは、人物造形が過度にアニメに出てくるキャラみたいなところですが(三枚目キャラとか生真面目女子キャラとか)、たぶん作者は意図的なのでしょう。「キャラは死なないような気がする」という、読者の慣習的な予期を利用して、それが蹂躙されたときの衝撃を大きなものにしています。

気まぐれな神、あるいは人間的な善悪の彼岸にいる存在として「女」がいるんですが、いまいち主人公との絡みでそのヤバさというか超越性が際立たないのが残念な点です。主人公の判断や行動にツッコミどころが多すぎて、「神のもたらす理不尽な受苦」というより「愚かさに相応の代償」に見えちゃうんですね。

なんだかんだ言いましたが、続きが楽しみです。次回は主人公にいらいらするのを放棄して、一緒にマゾになって楽しみたいと思います。
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
4062940310
No.2:
(5pt)

詳しくは書きません

ある程度覚悟してから読みましょう。
好きな作家の新刊と思って気軽に読んだら甚大なダメージを受けました。
面白いんですけどね。
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
4062940310
No.1:
(5pt)

「死」を前に思考停止する事は「善」か?「悪」か?野崎まどが遂に一線を越えちゃった……歯の根が合わない程の恐怖とはまさにこの事。

「正」と「善」の二文字を冠する、まさに正義を体現する為に産まれてきた様な検事・正崎善が製薬企業の不正に纏わる捜査の最中で見付けた一枚のメモ
「F」の一文字が紙を埋め尽くさんばかりに書き込まれた不吉なそのメモの正体に探りを入れた事で一人の研究者の自殺に直面し、事件は幕を開ける
新自治体「新域」の主を決める選挙を巡る工作と、その裏で見え隠れする女の影、そしてパートナーであった事務官・文緒の謎の死、信頼してきた上司も
絡んでいた「国家の実験場」としての新域の裏構想、その表の主人公として造られた若き政治家・斎開化と全ての男を狂わせる謎の女・曲世愛、
そして新域長に選ばれながら姿を晦ましていた斎が発表した「自殺法」と新域庁舎からの集団飛びおり自殺…という所から話は始まる

えーっと…取り合えず血の匂いがする描写が全くダメという方、この第二巻は結構キツい事になっております。諦めて我慢しながら読みましょう

さて、物語の方は「自殺法」の発表と同時に発生した集団自殺を見届けた直後、正崎が新域の裏構想に関わっていたお偉方から斎の逮捕が可能かと
問われる場面から始まる訳ですが…この「逮捕が可能か?」という、そのまま「自殺は悪か?」、「自殺で人を罪に問えるか?」という問いに直結する疑問が
この2巻のメインテーマとなっております。当然自殺そのものを罪に問えない現行法制の問題もあって正崎が頼みとするのは刑法二〇二条。即ち、
「自殺関与罪・同意殺人罪」の中の「自殺教唆罪」、即ち自殺の意思が無い人間を斎が唆して自殺に追いやったという事実の証拠を集めるというその一点
だけに絞られる事に。首を吊った文緒、新庁舎から飛び降りた奥田の代わりに正崎のパートナーとなったの若き女性事務官・瀬黒陽麻とともに「自殺法」の
是非を巡って世間が揺れる中、姿をくらましたままの斎の居所の捜索と斎の罪状を問える証拠探しに乗り出すが、斎は新域の議会の議員選挙を発表、
発表された選挙の為の域法は年齢制限も選挙資格の取得に必要とされる日数の制限も無いという超ヤバい条件設定の上、「自殺法」に対する所信の
表明を求めるという挑発的な代物。警視庁から抜擢されたメンバーで組まれた捜査本部を指揮して選挙までに斎を追い込めるか、というのが本作の主な
流れとなっている

「2」や「know」あたりから野崎まどが明確化してきた「人間という種の超越」、「人間にとって絶対的宿命である死の超越」というテーマの延長線上に
本作がある事は一巻を読んだ方なら既にご承知の事だと思うのだけど、これまでの作品が物語本編では個人とその周辺レベルでの動きだけを
追っていたのに対し、本作ではモロに社会全体に対して「自分の命を好きに扱う事は悪か?」と突き付けた点が大きな違いとなっている。新域の裏構想を
画策していた連中が「国家の実験場」を創り上げる事を狙っていたら、鉄砲玉にする筈だった斎にまんまとその計画を利用されて「人間の実験場」へと
仕立て上げられる展開は、国防族が元PKF隊員を利用しようとして逆に計画そのものを利用される「パトレイバー2」によく似ているかと

この斎の計画の嫌らしい所は自殺という法で罪に問えない極めつけのグレーゾーンをフラフラと動いて、法の番人であるが故に法が及ばない所では
身動きが取れない司法組織や警察組織の捜査を封じ込めてしまっている所にある。で、あるが故に我らが正義の検事・正崎は「自殺教唆」というストーリー
を構築してその証拠集めに走り回るのだけど、ほとんどが徒労に終わり、やっと見えてきたのは最初に自殺した六十数名が事件当日、国道十六号線を
新庁舎に向かって伸びる直線上で過ごしていた、という斎を逮捕するには何の材料にもならない情報だけ。元々が足りない時間を徒労に使い果たして
追い込まれていく正崎と捜査本部の面々の焦りの描写が続き、読んでいる側も息が詰まりそうになる展開が繰り返される

その一方で、正崎は大切なパートナーだった文緒の死に絡む、もう一方の手掛かりになりそうな重要人物・曲世愛についての情報を集めるのだけど
京都にまで出掛けて探り出した曲瀬の過去があまりにもぶっ飛んでいた。精神科医である叔父がギリギリの所で探り出した、中学時代の曲世が起こした
「精神的凌辱」とでも言うべき奇妙な事件を通じて、曲世がいよいよ只者でない事が見えてくる中盤の展開を通じて終盤に向けての期待がムクムクと
湧きおこるのだけど…

斎が持ち掛けてきたNHC放送センターでの与党の大物議員にして怪物政治家・野丸龍一郎と野党のトップ三人を相手に繰り広げるまさに人類の倫理を
超える為の恐るべき仕掛けが展開される場面では読んでいる側も「あれ、自殺法ってそんなに悪く無いじゃん…?」と丸めこまれそうになるのが恐ろしい
この法という「最小限の道徳」に縛られて、最も信頼してきた上司が新域の裏構想に関わっていた事を知った事である意味己の正義がぐらついていた
正崎だったけど、新域の裏構想の正体を明かして協力を求め続けた新しいパートナー瀬黒から向けられた「貴方にとって、正義とは何ですか?」という
問いに対する一応の答えは「正しいとは何かを考え続ける事」、「たとえ答えに辿り着いても、そこで考える事を止めない事」という代物。なんというか
90年代の傑作OVA「ジャイアント・ロボ」の名台詞「真実とは、問い掛ける事にこそ、その意味もあれば価値もある」を思い出す様な「答えを出さないから
こそ正義は正義たり得る」と思考停止しない事こそが正義、という悟りに達する事に

おー、これで遂に正崎は斎や曲世相手に戦う覚悟が出来たのか…と思ったんだけどねえ。斎も曲世も遥にその上を行っていた。特に曲世、こいつは
正真正銘の化け物。「アムリタ」の最原最早もかなりの化け物だったけど、曲世はその遥か上を行く。正崎が辿り着いた16号線を新庁舎に向かう
謎の直線の意味が明かされた時は、もう歯の根が合わなくなっていた。あの飄々としていた刑事・九字院が最後に伝えてきた曲世の恐ろしさは
一肇の傑作ホラー「フェノメノ」に出てきた「移動する悪意」に近い。こんな化け物とどうやって戦えと言うのか。そしてラストシーンで「点線が直線になる」
ある種のタイポグラフィが使われるのだけど「野崎まど劇場」では大笑いさせて貰ったタイポグラフィネタが、本作では血が凍る様な描写と化するとは…
野崎まどは悪魔的な才能を持っているのだと改めて思い知らされた。本当の恐怖というのはいきなり「バン!」と見せてしまうのではなく、微かに
見え隠れする「何か」の断片がジワジワと繋がっていった果てに全体像が見えてくる過程で味わえるものだと思うのだけど、今回野崎まどが見せた
恐怖はバラバラな点から成る点線が、繋がって実線と化し、曲世という女の本当の怖さを見せる様な見事な演出で読者に最高の恐怖を導くに至っている

作中で怪物政治家・野丸が語っていた「死を前に冷静に物事を判断できる人間はいない」という言葉を証明するかのように「正義とは問い続ける事」と
腹を括っていた筈の正崎が自らを「悪」と名乗り、その上で「私たちは似た者同士だから理解しあえる筈」と見せ付けた曲世の狂気によって遂に
最も忌み嫌っていた思考停止へと追い込まれて…いやはや、これは一体どうなっちゃうのだろうね?遂に誕生した斎が引っ張る最悪の新域議会と、
怪物・曲世、この二匹の化け物相手に正崎がどう再起するのか、それとも再起せずに堕ちて行くのか…どっちでも良いから早く次を!今度は9ヶ月も
待っていられない!
バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)より
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