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魔王
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魔王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全129件 101~120 6/7ページ
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この作品の中で強く頭に残る言葉として「諸君はこの颯爽たる諸君の未来圏から吹いて来る透明な清潔な風を感じないのか」という三行からなる文でしょう。これは宮沢賢治の作品の一文なのですがこの一文をテーマというか題材にして魔王は創られています。虚無や無関心が満ちる時代に宮沢賢治の言葉を引っさげあらわれた1人の政治家・犬養。犬養のファシズム化に悪寒を感じある日突然手に入れた力で阻止しようとする安藤・兄。その先にあるものは青空か荒野か。颯爽たる風とは犬養のことではありません。犬養自体はただのきっかけであり、自分で考え、覚悟して、行動することで見えてくる事がそうなのです。しかし、自分はあえて弟の話である呼吸を推します。政治とか、人間関係とか、大自然の中で鳥一匹を探しているとまったく自分には関係ない隔絶されたものに思えてくるのです。これもまたある意味颯爽たる風ではないでしょうか。風なるものは同じが無く人それぞれによって、また、状況によって違ってくるものなのだと考えた2日間でした。 | ||||
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面白い作品でした。一つの物語を二人の主人公を通して描いていく。 タッチを変えながら一つの物語としてのテーマ、世界観を持ち続ける。そして展開していく。 ボクにとってこの作品は伊坂さん2作目。裏の読み方は分からなかったのですが、それでもたっぷり楽しめる作品でした。 ただ、気になったのは、この作品を書いた作者の目的。文学的に新しい彼の世界を作り上げること、芸術というと聞こえはいいのですが、なんと言うのか読者に訴えかけてくるものが少なかったように感じました。 政治的、精神的なテーマが多かったこともあり、それが物語のためのただの「小道具」として使われすぎてて、作者の意図は何だったんだろうとすごく気になりました。 感情の描写が希薄だったのかなあ。 | ||||
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閉塞感の漂う日本社会に訪れるファシズム支配の予兆。情報の洪水の中で自ら考えることを放棄し、雰囲気に流されやすい日本人の国民性。自らの保身や利益の確保を優先し、必要なことが分かってもできない政治家たち。そうした中に、強い決意と覚悟をもった独裁者が現れたら・・・僕たち日本人はなすすべなく飲み込まれてしまうかもしれない。 圧倒的な力をもった独裁者が作る未来。飲み込まれるのか、無駄と知りつつも抵抗し、自らの考えを貫くのか、それとも自らが、決意と力を持った「魔王」として君臨するのか。非常に重いテーマを投げかけてくる。 かといって、村上龍のような、激烈な文体の作品ではない。伊坂作品の軽やかさ、ウィットに富んだ会話の数々、センスのよさが本書でも遺憾なく発揮されている。とにかく伏線が見事。何気なく語られるセリフが要所要所で生きてくる。読んでいてうなることしきり。もちろん恒例の他作品登場人物のfeaturingもあり、ファンサービスも満点だ。 特に今回はタイトルが秀逸。シューベルトの『魔王』のおどろおどろしい旋律が、読書中ずっと頭の中で鳴り響いていた。 僕たち一人一人に、圧倒的な力の前に立つ覚悟を問う作品。おすすめ。 | ||||
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2章で構成されているうち、後半の「呼吸」の語り手が意外だった。前半の「魔王」は予測ができる内容だと感じた。「呼吸」は伊坂幸太郎の独自の世界が展開されていて著者の思惑通りになったんじゃないかなと思います。でも「呼吸」の語り手があの人とはねー。 | ||||
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互いにリンクしあいながら構成されていく世界。 それが伊坂作品の大きな魅力の一つだ。 この作品の中でもあの別の作品に登場していた「調査員」が登場している。 それだけで「伊坂ワールド」に親しんできた人には、あの時点で、 兄の行く末が想像される。 こんなふうにこれからもあの「調査員」が出てきたら、 ああ、そうか、と私たち読者は納得するのだ。 そういえば、最近文庫になった「重力ピエロ」の中でも、 泥棒で私立探偵の彼だけでなく、 あのペットショップや額縁を販売している「彼」も登場している。 別の作品で不幸だった誰かも別の作品で幸福に暮らしている姿を見ることができるかもしれない。 そんなふうに想像できる。それは幸せなことだ。 そして、モーツアルトの歌曲「魔王」。 題名にも使われているだけあって、特に前半の「呼吸」では大きな意味を持つ。 子供にしか姿の見えない、そして説明のしようのない恐怖におびえ、 その思いを話しても話しても恐怖の見せる幻影としか理解されない子供の恐怖は、 まさに兄の恐怖と同じものであろう。 そういう点で、作品間のリンクというよりも、題名とのリンクを強く感じた作品であった。 | ||||
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宮沢賢治の詩が物語とあいまって胸につきささりました。 生計をたて生活していくという、目の前のことで手いっぱいな毎日を送っているので、政治とか世の中とかそれなりには考えているつもりでもどこか別世界な感じがしていたので、登場する人物たちが身近でした。 主人公たちのいっぷう変わった制限つきの能力は笑えましたが、それを生かす道にはなるほどって思いました。どこにいようと、どんな状況でも素敵な人と思えるようにいたいですね。 | ||||
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どこかの政党に関わるプロパガンダの三文小説かな、あるいは政治をダシにしたSFものかな等と思いきや、読み進めるうちにそれが間違いであることに気付きました。さすが東北大出身らしく、宮沢賢治が持ち出されたりして詩的空間も広がって、深みのある娯楽読み物としても楽しませてもらいました。それにしても今の国民大衆が群衆化(衆愚化あるいはファシズム化)する恐ろしさを扱ったり、憲法を責任をもって自主的に選びなおすように問いかけたりしているところは近未来の日本列島住民の在り方や行方を考える上ではたいへんよく仕上げられています。ぼくはめくれているスカートをなおすことができるだろうか? | ||||
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この帯の文句を書いた人に脱帽。 これ以上の紹介文はないでしょう。 周囲に流されず、 熱狂の中で己に恥じない行動をとるのは 実はとっても難しいこと。 ファシズムや憲法問題、 現代の政治家や若者を通して描かれる 兄弟の生き方はせつなく、そして清々しいです。 今まで読んだ『グラスホッパー』や『ラッシュライフ』などと 文章のテンポが違ったので驚きました。 構成・文章・発想、とっても面白い。 | ||||
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これを読んで村上春樹の「羊をめぐる冒険」を思い出した。 羊をめぐる冒険の羊がこの本の魔王という感じ。 魔王というのはいろんな人の心の底にひそむもので、 何か外的要因と連鎖した時に強い存在になるのかもしれない。 羊に見捨てられた人は駄目になってしまうのと同じで、 魔王と外的要因がうまくつり合わなかった時に、その人は見捨てられ 力をなくしてしまうのかもしれない。そんな風に考えた。 政治の話が沢山出てくるけど、それは物語の中のエピソードに 過ぎなくて、あまり難しい気持ちになれずに読める。 終わり方が、含みをもたせる終わり方だったけど色々想像できて これはこれでよかったのかなって思う。 それでもなんていうかあいまいで唐突な部分が多すぎたので、 面白かったけど★4つ。 | ||||
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伊坂作品はファンタジー要素を多分に含むものが多かった気がするから読み始めたときにちょっと攻撃的かな、と感じました。 でも読んでいくうちに伊坂作品独特ののんびりしたというか、どことなく笑わせてくれるというか和やかな雰囲気も生きていて、テーマ自体はすごく現実的な話なのに重くならないのはさすが!と思えました。 会話がいいですよね。 でも喋る案山子のくだりが登場しなかったのはちょっぴり寂しかったな。 | ||||
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この作品は最高。 政治とかファシズムとか出てくるけどそれは関係ない。 生き方について書かれた本だ。 誇りを持って生きるとはどういうことか。 自分の歩く道を自分で歩いているのか。 私はこの本を読んで今までの生き方を見つめ直し、これからの生き方を考えた。 この本にはその力がある。 世界を変える そう本気になって考えたことが果たして私はあったのか。 少なくともこれからは自分の生き方を本気になって考える。 | ||||
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政治や宮沢賢治などがフィーチャ−されていますが、あまり堅いことを考えずに 読み始めればよいかと思います。実際に読んだ感触も、特殊能力を持った兄弟に よるファンタジーといった印象を受けました。 おおまかに二部構成で、前半は兄の章、後半は弟の彼女の視点からの章になります。 作品ごとに良くなっていく(私の好みに合っていく?)伊坂氏の新作を読むのは 楽しみであり、期待通りに毎回新鮮な感動を与えてくれます。 加えて笑えるポイントも豊富。特に「せせらぎ」が伊坂氏らしいですね。 | ||||
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とんでもない作品だ.形容する言葉が思いつかない. 大衆の魂を支配する天才政治家犬養の出現.与えられた情報を盲目的に信じることしか出来ない人々が己の思考を麻痺させ,過激な行動に陶酔し始める. 誰よりも思慮深く,群集心理の恐ろしさを知る兄は特殊な力に目覚め,一人犬養との対決に赴く. 避けられないカタストロフ.シューベルトの戯曲「魔王」の中で,魔王の存在に気付き,それを父に訴えた子供はどうなったのか?必然的ともいえる終幕の中で最後に兄が見たものは・・・ | ||||
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作品中に憲法やファシズムなどが出てきていますが、 これらが作品のテーマではないと著者は明言しています。 群集心理の恐ろしさを描いているとでもいうのでしょうか? これまでのクールな伊坂作品のイメージとは違い、 現代日本に渇を入れるような社会小説でした。 情報化社会といわれる今、 自分(私だけでなく大衆全体が)どれほど情報に流されているかということを痛感します。 この作品の中で大衆の心をわし掴みにする若き政治家・犬養。 彼のように人の心をつかむのがうまく、吸引力のある人の思想が、 いつしか自分の意思として塗り替えられていないですか? こういってしまうと大げさかもしれませんが、 一時の小泉フィーバーやライブドアの事件前の勢いなんかも こういった群集心理の上で 盛り上げられたものにすぎないのかもしれないなと思えます。 これは伊坂幸太郎から私たちへのメッセージなのかもしれません。 ここままでいいのか?考えろ、考えろ・・・と。 最後に・・・この本は装丁も素晴らしいです! 表紙はタイトルとは似つかわしくない白とブルーの爽やかなイメージ。 しかし1ページ開くと・・・真っ黒!!! これは日本の未来にあるのは青空か、荒廃かということを 表現してるのでしょうか。 | ||||
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確かに政治家や改憲問題、ファシズムなどのキーワードは頻出しますし、なにより物語がそれらを中心に進むので、「どんな内容か?」と聞かれたら「政治」がテーマになっている、となるかもしれません。 ただし、読後に特定のイデオロギー臭を感じるかといえば、社会情勢やある程度の歴史認識のある大人ならば客観的に読めるレベルですから、これを「政治」と言うのはちょっと...。もちろん大事な構成要素にはなっていますが、もっと読む部分は他にあります。 「オチ」のつけ方に物足りなさや、若干の不満はありますが、全体が静謐な雰囲気で進み、こういうオチだったからこそバランスが保たれたのかもしれません。私は、読後にちょっとやりきれない気持になりましたが、単純に面白く読める作品です。 まずは読んで見ることをお勧めします。判断はその後で。 | ||||
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「新しい文学世界」かどうかは、首を傾げるところですが。。。ともあれ、私は読んでみたかったタイプの小説です。 この作品では、すべてのアイテムが最大限に効果的に使われています。 一致団結が正義にも狂気にもなり得るのなら、一致団結自体は善か悪か? 時代を変える力とは何か? 時代を変えるのは、本当は一体誰なのか? 特別なものを持つ人間だけが時代を変えるのか? この作品で提起された問題はどれも難しくて、答えは出ないかもしれません。ある時代には正解だった答えも、今の時代には当てはまらないかもしれない。それでも、時代が刻々と動いていることを忘れてはいけない。だから、考え続けなければならない。目を背けて逃げてはいけない。 『魔王』の方では作者が思い思いにぶつけて描いたせいか、エピソードの繋げ方が多少いびつな感じがしました。でも逆に、現実だってそんなにスムースなものでもないのかも、と何となく納得しました。そう思わせるくらい、各エピソードの描き方は緻密で、迫力がありました。 それとは反対に、『呼吸』はワリと静かな語り口ですが、その静謐さの中に、突然身を震わせるような予感が呼び起こされたりします。 確実に進化している、と思わせる作品です。 『チルドレン』や『砂漠』はこの作品と好対照をなす、それでいてリンクしている作品だと思います(本人の意図かどうかは別として)。 『魔王』を読んだ方は、これらも読むといいかもしれません。 物事を正確に見極めるには、あらゆる角度から俯瞰しなければならない。けれど行動を起こす時に、俯瞰的なだけではいられないのかもしれません。 自身の考えは盛り込まれていますが、それよりも様々な側面を提起して、様々な物の見方を提案するのが、伊坂氏の最大の魅力だと思います。 | ||||
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いやあ、凄い盛り上がりでした・・・ 思わず引き込まれ・・・でも最後はうっちゃりかなあ・・・ 半村良なら最後まで書いたかな? 時代の閉塞感の中で圧勝した小泉自民ももう次はないでしょうから ありえる未来像ではありますが こんな政治家は出てくれないだろうなあ・・・ 政界の構図を見ると絶望して犬養ファンになっちゃいます だれかちゃんと世の中を見て、 池田大D作支配の政府を告発してくれよ? 現実のほうが小説を追い抜いてはるかに悪いぞお!!! と、あまぞんで書いても、s学会に消されるんだろうなあ・・・ 現実の世の中が宗教支配になっている事実を誰かちゃんと書いてくれ 伊坂、がんばれ!・・・・でも、s学会には勝てないよなあ・・・ | ||||
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私は、作者の「陽気な〜」や「重力ピエロ」などの作品が好きですが、 今回は、今までの要所要所の場面が最後で結びつく構成や軽い感じのものとは違い、 政治問題や憲法改正、ファシズムといったちょっと重苦しい題材に なっている純文学でした。 それらを背景に「魔王」では兄が戦い、「呼吸」では弟が戦いを決意するまでが描かれていて、 これは、これで面白いのだけれどちょっと私には 堅苦しかったです。 | ||||
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本書は、講談社の『エソラ』という文芸&コミック誌の04年12月第一号に掲載された「魔王」と05年7月第二号に掲載されたその続編「呼吸」を一緒に単行本化したものである。 伊坂幸太郎のファンとしては見逃すことができずに、発売日に購入して読んだ。 不思議な「腹話術」の力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」。 その弟夫婦が主人公で、弟は兄がとり憑いたかのように「賭け事」が強くなる。その夫婦の物語「呼吸」。別々の作品ながら対をなしている。 著者の言葉として「自分の読んだことのない小説が読みたい。そんな気持ちで書きました。」とあるが、単なるエンターテイメントの要素の強い超能力SF小説ではない。彼特有の、社会をクールに捉える眼差しはもちろん健在、仕掛けももちろん盛り沢山。現代社会の問題点に鋭く切り込むために、あえて登場人物たちに特殊な能力を持たせたのだろう。 そういえばデビュー作『オーデュボンの祈り』では「人の言葉を話す案山子」が登場するというシチュエーションだった。 いつもの伊坂ワールドのテイストを残しながらも、いままでの諸作とは一線を画した、どちらかというと純文学に近いタッチだった。 | ||||
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現代社会の問題点を漠然と感じていても、口に出さず生きている。 そんな私達に雨雲が迫るように『魔王』が迫り来る。 そんな印象を受ける小説。 他の人のレビューにも度々出てくるファシズムはもちろん、憲法改正問題など 法学部出身を改めて納得する内容になった。 この小説から問題提議するのではなく、私達が気付かない所で 世界は変貌してるかのような恐怖を掻き立てる。 言葉をここまで操作してしまう伊坂幸太郎こそ魔王だ。 | ||||
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