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(短編集)
終末のフール
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終末のフールの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.59pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全127件 121~127 7/7ページ
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全世界に「あと8年の寿命」と報道があってからの8つの物語。内容としてはそれぞれの話が裏設定程度にリンクしていて家族の話が多いですが、恋人探しだったり、まったく変わらないボクシングジムの先輩と会長だったりとそれなりに飽きずに読めました。また、死が決まっている人間のとる行動がその人間性によって様々に分かれてくる部分がしっかりと書かれていてよかったです。自暴自棄になる者や奇跡を願う者、家族ごっこを始める者、死を受け入れ人類最後の死人になろうとする者。人間とは不思議な存在です。死が訪れることは早いか遅いかの違いしかないのに、その状況・状態で悪い方向にも良い方向にも自身で持っていくのです。地球上にそのような存在は人間だけだと言えるでしょう。だからこそ多くの思いや願いが存在するのだと思います。死が訪れる瞬間私たちは何を思い、願うのでしょうか。この本を読みながら考えてみるのも一興だと思います。 | ||||
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伊坂幸太郎の最近のパターンでもある、短編が連なり、8家族から残り3年の人々が浮かびあがる。 伊坂幸太郎は、人間が弱くて、ずるくて、みっともないことを、逃げも隠れもせず、この作品でゆっくり呈示してくる。 どんなに惨めでも、カッコ悪くても、恐くても、生きるしかない。 私達が1日を大切に生きようとしないとき、流れたしまった時間の尊さを、伊坂幸太郎は覚えているような感じだ。 余命3年の状況でも、進むべき生き方は、今でも同じだと語られている気になる。 <あきらめるな>静かな闘志が、心を揺り動かす。 | ||||
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ヨカッタ。 「生きる」ってことがこの作者のライフテーマなんだろうなと。 作品を振りかえってみると全部「生きる」って話なのに驚いた。 テーマとしてはごくごくありふれたもので、 この時代にそういう青臭いメッセージはどうかとも思うけど、 この作者の場合、単なる楽観主義でもなく、シニシズムでもなく、 残酷さをもって静かに書ききってしまうところがすごい。そして面白い。 だから許せる。 気になったのは各章のタイトル。 天体のヨールはどうなんだと思う。 でも、お話としては一番好き。 だから許せる。 あと、登場する女性がみな度量が大きいというか ちょっと現実離れしてる感じはした。 でもみんな斉藤和義のいくつかの曲に出てきそうな感じで魅力的。 だから許せる。 | ||||
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伊坂氏の得意路線の連作集。 今回は「滅亡することが分かった地球」がテーマで、各話が微妙にリンクしながら話が進みますが、「死神の精度」ほどのエンタメ路線ではなく、どちらかといえば静謐な佳作という印象。レビューにもあるように、ネタは隕石衝突なのですが、同じフィクションでも、映画「ディープ・インパクト」や「アルマゲドン」に比べたら、こちらの方が虚構の世界らしい現実感がありますし、読み始めたら止まらないことは保証します。 相変わらず「感傷」を排したように淡々と進みながら、物語の幕切れは「急にパーっと視野が広がるような」感じで、読後感は良いのですが、本作は若干の物足りなさもあります。ただ、テーマがテーマだけに、これ以上のカタルシスを求めると「ご都合主義の嘘」になってしまうので仕方ないかもしれません。 ところで、読みながら何となく、高野文子さんのコミック『棒がいっぽん』の世界観を思い出したのですが、両作品をお読みの方どうでしょう?未読の方にも併せてお薦めしたいです。 | ||||
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私は伊坂氏の今までの作品の魅力にすっかり浸透され,どうしてもひいき目なレビューになりがちかもしれないが, 読んで得るものが大きい作品であることは間違いないかな,と思う。 3年後に地球に小惑星が衝突して,世界が無くなってしまうという設定で繰り広げられる8つの短編は, なんてことがない話だったりするが,それぞれがユーモアに溢れつつ,人生について考えさせられる。 正しい生き方って何かな?と。短編だから余計にストレートに伝わる感じがする。 「明日死ぬとしたら,生き方が変わるんですか?」 「あなたの今の生き方は,どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」 ときどき,グサリグサリとくる。 | ||||
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小惑星が激突して地球があと数年で地球が滅びる、という状況での仙台某所のマンションに住む住人達がそれぞれ主人公となった短編集。 設定は唐突ですが、終末に向けてのそれぞれの日常を温かく描いています。このような状況下で(所謂パニック映画のような)激しい感情の変化などがありがちですが、あまりそのようなことはなく穏やかに進んでいきます。そこが逆に切なくもあり、温かく感じる所以なのでしょうか。 伊坂作品ですから短編同士のクロストークもちらほらあります。 ミステリーではなくても伊坂作品もおもしろいですね。 | ||||
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伊坂ファンであり知り合いにその魅力を布教している者だが、正直いって近作の『魔王』と『砂漠』については紹介がしずらかった。だって、伊坂幸太郎風のおもしろさ(と、勝手に特定してしまうのは著者とその愛読者に失礼だが、まあ、ファンってのは不公正な思い込みがなければ成り立ちませんので…)があんまりなかったのだもの。とりあえず、これらは後回しにして『ラッシュライフ』とか『死神の精度』とかを先に読んで、その軽快な物語づくりや会話のセンス、いかにもフィクションな楽しさを味わいながら、でも「人生って何だろうね」をあまり深刻でなく考えられるすごさをどうぞ、ってな紹介をしていたわけだ。 だから、やった。この作品の登場をもって、新作からいきなりすすめられるのである。また思い込みで恐縮だが、この作家の本質は相互リンクを前提とした連作短編である。一つの視点が長いとダレる。しかし一つの世界を複数の視点から構築していく才覚には舌を巻く。講談的でなく、落語的なのだ。お話の神様の視点からエピソードの全体を長々と語りとおすのではなく、実際にその場で生きている人々の声や視線やしぐさが交差しあう様をおもしろおかしく時にかなしく演じてみせる。 今回はテーマは世界=私の人生の終末。まあ、理の必然として「死に照らされてこそ生は耀く」的なニュアンスが前面に出てくるわけだが、しかしもちろん、それだけではない。あと三年、という状況を想像力ゆたかにリアルに描写しつつ(基調としては、大混乱と大量死の嵐のあとの静けさ)、その日の前の異常な日常が、あちらではコミカルに、こちらでは社会風刺的に、全体を通してごく哲学的に(SFはいつも哲学的だが)、そして本作の最大のポイントかなと思うのだが、家族ドラマ的(「家族」はカッコつきがいいかな)にたんたんと語られる。 楽しみながら、考えて。恐怖しながらやさしい涙を流して。そういう傑作である。 | ||||
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