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(短編集)
フィッシュストーリー
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フィッシュストーリーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.65pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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表題のフィッシュストーリーは、予期もできない事が未来につながり重大な貢献を起こすというよく出来たスマートな話の展開。面白い内容ではあるが、何となく物足りなさを感じる。 | ||||
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「非常に良い」となっていましたが、表紙はスレ、汚れだらけ。 確かに本文は綺麗で読むのに支障はありませんが表紙が汚すぎ。 | ||||
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長編と短編、どちらが元になっているのかは知らないが、 伊坂幸太郎の世界を知っていると楽しめる、 スピンオフ作品だと思われる。 初めて伊坂幸太郎作品を読んだので、 黒澤さんネタが楽しめませんでした。 文章は、構成が稚拙過ぎて、 何を言いたいのかさっぱりわからない。 会話の括弧が文章中に出てくるので、さらに読み辛い。 これを伊坂節と取るか、ニホンゴの出来ない奴と取るかは、 好みの問題だと思われるが。 内容は、どうなんでしょう。 素人でもわかる明快なミステリーと言いましょうか、 過去とのつながりから連想させるトリックと言いましょうか、 言葉が見つからないくらい酷いです。 短編作品は、作家の力量が出ると言いますが、 これではちょっといただけないかな。 次の作品を読む気になれませんでした。 | ||||
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4つの話で構成されていますが、いずれの話も内容が中途半端で、 印象に残らないというのが第一感でした。 1話目の動物園のエンジンは、軽い推理物ですが、最後のオチもなく、 中途半端な結末。本題のフィッシュストーリーもバンド物の 話でいずれも、ニュアンスが伝わりにくい。 文章は読みやすいのですが、印象に残りにくいと思いました。 この作家さんの本は映画化されていると聞いていますが、 確かに最近の邦画における山無し映画の特徴が現れていると 感じました。 | ||||
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本書を読んで、この作家の良い点は、力が抜けているような感じで、読みやすい点でなかろうか。反対に欠点は、さぁっと書いた分、設定や展開とかに所々無理強いと思える点があるところである。この作家の幾つかの作品は映画化されているので、人気があるのだと思う。 収録されている四篇の物語は、動物園のエンジン41、サクリファイス94、フィッシュストーリー68、ポテチ114、である。なお数字はその物語が占める頁数である。 動物園のエンジン: 13頁「私が、河原崎さんを『夜の動物園』に誘ったのも、(友人に)動物職員の恩田がいたからだ。」 14頁「『不振な男がいるぞ』河原崎さんはシンリンオオカミの檻を顎で指さした。予想に反し、恩田は、〜。『ああ、あれ、永沢さんですよ』と。〜。恩田は〜『シンリンオオカミがいなくなったんです』とはじめた。『新聞にも載りましたよ。今から二年くらい前ですね、〜』」 15頁「『その夜、勤務していたのが永沢さんだったんで』〜『でも、自分から辞めたんですよ。責任を感じて。四十になったばかりだったのに無職です』」 16「『〜、(以前の話ですが)永沢さんが夜勤でいると明らかに違っていて』〜。恩田は恥ずかしげに首をひねり、言葉を濁す。『動物園全体にエンジンがかかった感じになるんだよ。空気が震えて。(動物達が)嬉しそうで』」 19頁「次の日も私達は夜の動物園にいた。〜。永沢という男はその日も来ていた。」 21頁「その日の夜も、私たちは動物園に集まった。」 22頁「『(マンション建設)反対運動をしている主婦なんかが、あそこ(建設予定地)でプラカードを持って立っているのは知っているか?』河原崎さんは言った。〜。『あの男(永沢)もそれに混じったんだ。〜。プラカードをどこからか持ってきて端に並んだ』」 26頁「〜河原崎さんは熱弁を振るっていた。『あの男(永沢)が小川市長の殺人に関係しているのは間違いない。〜』〜。『夜だろ。市長は、深夜の動物園に案内されたんだ。〜』」 27頁「『市長はここで撃たれちまった』〜『その時、流れ弾がシンリンオオカミにも当たったんだ』〜。『撃たれたシンリンオカミの死体は?』〜。『埋めたんだ』〜。『〜、マンションの建設予定地に』『だから、永沢さんはマンション建設に反対しているわけですか?』恩田が関心した。」 34頁「翌日、私は〜建設予定地までやってきた。〜。二、三人のスーツ姿の男達がいた。」 35頁「『ああ、そういえば、犬の骨も出て来たっけ』〜。建設会社の青年の話を聞いた日、私は電話で〜、河原崎さんを呼び出した。」 36頁「『二年くらい前、深夜に大きな音がした。〜でかいワゴン(車)が犬を轢いた。ワゴン(車)から下りてきた若い男が二人騒いで、その大型犬を担いであの(マンション建設予定りの)林まで運んだらしいですよ。それで埋めた』」 37頁「〜恩田は『それはたぶん、うちのオオカミだよ。〜。そうか、轢かれちゃったのか』」 41頁「『その男の人(永沢)がマンション建設に反対しているという理由はさ、もっと別の考え方をすればいいのかもしれない』」 42頁「『〜。つまり、その男には、毎朝その場所でプラカードを持っていること自体に意味があるんじゃないかな』」 43頁「翌日の朝、三人でガソリンスタンドの脇に立っていた。〜、マンション建設予定地から二十メートルほど離れた場所に、いた。」 45頁「永沢さんは持っていた板を〜。ゆっくりと板を反対にする。〜。私たちはじっと目を凝らす。プラカードが持ち上げられる。『動物園に行こう。休日をライオンと』そう書かれていた。」 46頁「肩透かしを食らった感覚は確かにあっが、〜。『何と言っても、動物園のエンジンなんだからな』と私は言った。」 48頁「市長の事件は、あの、動物園の出来事から半年もしないうちに犯人が逮捕された。産業廃棄物の処理についての争いだとか、〜」 サクリファイス : 53頁「黒澤は〜、車のドアを力強く閉めた。〜。車体が左側の草むらのほうへと傾き、ひっくり返ることはなかったが、斜めに倒れ、右側のタイヤが二つとも宙に浮いた。」 54頁「『おい』黒澤は手を上げる。『車を動かすのを、手伝ってくれないか』〜。『無理だよこりゃ、あんたと俺じゃ、動かせないさ』柿本と名乗った白髪の男は、眉を下げた。」 58頁「『実は、人を探しているんだが』黒澤は、〜柿本に話した。〜。『山田という男なんだが』〜。『小暮村にいるかもしれない』『うちの集落にはいねえな』(と)柿本は断言した。」 60頁「『うちの集落のな。もとをたどれば、江戸時代の頃かららしいんだがよ』」 62頁「『で、村長が、〜生贄を捧げる夢の話をして、(村民に)提案したわけだ』」 63頁「『〜、とにかく、ある女が生贄に決まったんだ』〜『〜。生贄を、洞窟に閉じ込めなくちゃならなかったんだ。〜』」 66頁「『おお、ついたぞ』柿本は話をぷつりと切り、声を高くした。顔をあげる。小暮村に到着した、〜。」 70頁「『とにかくな、その数珠をみんなでつかんで、歌に合わせて、時計周りに回していくんだ。数珠には一箇所だけ、大きな珠がついているんだな。で、歌い終わった時にその部分を持っていた奴が、当たりってわけだ』」 71頁「『今はそこまではやんねえよ。格好だけだ。〜』〜『〜。こもり様は、あの洞窟に五日とか十日とか、決められた間だけ閉じこもってりゃいいんだよ。〜』」 76頁「『今まさに、周造が、こもり様をやってるってわけだよ。〜』」 90頁「『こもり様の話を聞いたんだが』『はあ、聞いたの。妙な風習と思うべ。ちょうどいい、わたし(唄子)これから、こもり様のところへ行くが、あんた(黒澤)も来るすか』」 96頁「『二十年くらい前にね、文吉事件ってのがあって、その時に、抜け道があるんじゃないかって噂になったわけさ』」 97頁「『あと少しだよ』と唄子が言う。山の入り口に到着するところだった。」 101頁「深刻そうに眉を寄せた唄子は、〜、少し驚いたように口を開いた。『ああ、陽一郎(村長)、どうしたのっしゃ、こんなところで』 〜。じろじろと(黒澤を)眺め、『ここまで何をしにきた?』と訊いてきた。〜『帰れなくて困っている』なるほど、という表情で、陽一郎が顎を引いた。『私が手伝おう』〜。」 103頁「せえの、の合図で力を込めて引っ張ると、〜、(車の)傾きが直った。〜、陽一郎(村長)に礼を言う。『人を探しに来たんだが』と黒澤は写真を差し出した。〜。『いや、見ない顔だ』」 109頁「『順調ですか?』柿本の家を再び訪れると、(柿本の妻の)花江が柔らかな笑みを向けてきた。『まだ、一軒目なんだ。唄子という婆さんには会ったが』〜『それからその後で、陽一様(村長)に会った』」 113頁「集落の中でも、陽一郎(村長)の家は現代的な作りだった。〜。玄関は容易に開いた。」 114頁「陽一郎は不在だった。〜。柿本に、陽一郎を呼び出してくれないか、と依頼していたのだ。」 116頁「押入れを開ける。〜案の定、金庫が出てくる。ためらう必要はない。古い型のダイヤル式で、ダイヤルに手をやり、回転させた。」 117頁「金庫の中を覗いた。〜。奥にあるノートに手を伸ばした。」 118頁「山田の名前を発見する。〜。金庫のさらに奥には、布でできた袋があった。〜。サイコロか。こもり様を決める時に使用する、サイコロに違いなかった。」 119頁「一つを除き、全てが細工されたサイコロだった。」 120頁「思えば花江は、『周造がこもり様になることが多い』と言っていた。このサイコロを使い(こもり様に)周造を狙うことは可能ではないか。」 121頁「洞窟と呼ばれている岩穴の場所はすぐにわかった。」 124頁「『そこにいるのは、周造か?それとも、山田か?』ほぼ同時だった。自分の背後に、人の気配を感じた。」 125頁「『あんた、周造だろ』黒澤は、相手が動作を止めたのを見計らい、質問する。案の定、男は、『何で知っているんだ』と頬を痙攣させた。『何をしている』と背後から、別の声が聞こえる。〜。黒澤は肩をすくめ、陽一郎(村長)と向き合った。」 126頁「『あの(洞窟の)中にいる、山田に用があるんだ。探すように、依頼を受けている。〜』」 128頁「『世の中には、一定期間、姿を隠したい人間がいる。〜』〜。『そういった人間を、一定期間匿ってやる。有料で、〜違うか?』〜。『〜。秘密の場所なんてそうそうない。だから洞窟に入れるんだ。こもり様の時は、誰も近づかない。〜』」 129頁「黒澤は頭に閃くものを感じた。『そうか、文吉事件も繋がっている。違うか?あの時も誰かを匿う予定だった。ただ、どういうわけかあの時は、周造でなく、文吉が(こもり様に)当ってしまった』」 130頁「『文吉さんには、浮気相手がいた。〜』〜『私(陽一郎)は、こう持ちかけた、こもり様の洞窟からこっそり抜け出して、その間に〜、存分に浮気をして来ればどうだ、と。そうすれば、洞窟は空くし、彼(文吉)も他言しない。〜。ただ、(その後)〜。文吉は、崖下で死んでいた。どこかで滑ったんだろう。私(陽一郎)が最初に発見してよかった。周造と二人で、死体を洞窟に戻した。』」 131頁「(黒澤が言った)『洞窟の中を見せてくれ、そうすれば、全部分かるはずだ』」 132頁「結論から言えば、こもり様の洞窟には誰もいなかった。」 143頁「仙台の街中に戻った黒澤は、〜、山田を探したが、結局、見つけられなかった。〜。〜、新聞の記事だった。県内版の小さな記事に『小暮村と山形県の境界の山中で、男の死体が発見される』とあった。氏名と写真が掲載されていてそれは間違いなく、あの山田だった。〜。黒澤が洞窟の中に案内された時、すでに山田の死体は山に捨てられていたのではないか。」 144頁「〜、山に踏み入り、その結果、遭難した。ありえなくはない。『もし、山田が事故ではなく、陽一郎たちに殺害されたのだとしたら』と黒澤は考えた。」 フィッシュストーリー: [二十数年前] 146頁「『僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない』(車の)ハンドルを握りながら、昔読んだある小説の一節を思い出した。」 149頁「『そういや、あの小説を引用した、ロックバンドがいたの、覚えているか?』友人が言った〜。」 150頁『十年くらい前、俺たちが大学に入る前に』」 151頁「『最後のアルバムに収録されている曲でさ、小説の文章を引用しているのも変っていたけれど、演奏途中で、音が切れるのが、一部で話題になった』」 153頁「〜、休憩時間に大学を抜け出し、レコード屋に行き、友人から聞いたバンドのレコードを購入した。」 154頁「カーステレオの再生ボタンを押した。」 155頁「『僕の孤独が魚だったなら』何曲目かで、そのフレーズが飛び出した。〜。静けさは唐突に訪れた。〜。これこそが、「間奏中の無音」というやつだ。〜。開け放したままの(車)の窓の外から、声が聞こえた。〜。〜悲鳴に近い。」 157「私は少しずつ車道を、来た道をなぞるように戻りはじめた。声を耳にした地点まで遡ってみようと思ったのだ。〜。悲鳴を耳にしたのはこのあたりだな、と思いつつ、〜。」 159頁「仰向けに倒れた女性を、男が押せ込んでいる。〜。黙って見過ごすわけにはいかない。〜。私はつかんだ木を振っ(り下ろし)た。」 [現在] 160頁「『その作家、好きなんですか?』と隣から声をかけられた〜。」 162頁「〜、閉じた文庫本をまた読み始めるべきかどうか、と短い間、逡巡した。意を決し、『旅行ですか?』と右隣の男性に訊ねた。〜。わたしたちが乗っているのは、日本人で溢れ返る南のリゾート地から、成田へと向かう飛行機だった。」 164頁「彼は、瀬川、と名乗った。高校の教師になって二年目だという。」 165頁「『実はですね』彼はそこで表情を緩め、何を言うのかと思ったら、『私は正義の味方になりたかったんですよ』と言った。〜。『親から、そうやって育てられたんですよ』」 168頁「『子供の頃から、筋肉トレーニングばっかりで』彼は太い二の腕を、自分で叩きながら、苦笑する。『腕立て伏せとか、腹筋とかね。格闘技もやらされましたよ。柔道、剣道、キックボクシング、護身術』」 170頁「『ちょっといいですか、トイレに』瀬川さんは腰を上げた。わたし(麻美)は席から立ち、彼を通した。彼は通路を前方へと進み、壁の裏に姿を消した。」 173頁「それが起きたとき、冗談かと思った。〜。まず前方で、甲高い悲鳴が聞こえた。顔を上げると、すぐ左側の通路を数メートル先に〜、男が立ち上がっていた。長髪の男だった。自分の横にいた女性を引っ張り上げ、羽交い締めにしている。〜『騒がないでくださーい!』今度は右前方から声が上がる。」 174頁「右側の通路の先にいる男は、坊主刈りに近い髪型で、拳銃のようなものを持っていた。」 176頁「『女性を放せ』角刈りの乗客が立ち上がり、〜。銃声が鳴った。」 177頁「脚を撃たれた男が悶絶している。」 178頁「カーテンがあるためビジネスクラスの状況は見えなかったが、前方からも悲鳴が聞こえてきた。〜、この二人以外にも犯人はいるのだ。」 179頁「瀬川さんが姿を見せたのは、その時だ。犯人たちの背中側に位置するトイレのドアから、その大きな身体をのっそりと現した。〜まず瀬川さんは、拳銃を構える短髪の男の背後に近づき、右手を捻り上げた。〜長髪男が拳銃を慌しく動かすよりも早く、右足を鞭のように振った。」 180頁「『この二人を、何かで縛っておいて』と瀬川さんは、周囲の乗客に囁くように言った。〜。瀬川さんはさらに、『まだ、他に犯人がいそうですよね』〜。」 181頁「そして、ビジネスクラスへと姿を消していく。」 [三十数年前] 186頁「『レコード会社の奴と岡崎さんがやり合ってんのを聞いたんだ。〜』 187頁「『さっさと契約を切れ、って言っていた。才能がない奴らに金を出すのも限界だって』〜。『岡崎さんはなんて言ってたんだ?』『この一枚だけ(は)』」 189頁「スタジオに到着すると、岡崎さんは、〜、黒いソファに寝転がっていた。〜。『ねえ、繁樹君、歌詞、変えないよね?』〜プロデューサーの谷が、俺を振り返った。」 190頁「俺はジーンズの尻ポケットに突っ込んでいた文庫本を取り出し、『岡崎さん、この本の文章を歌ったりしたらどう?』とページを開いた。」 192頁「『〜、やっぱ、歌詞変えて正解じゃねえ?』何度か演奏を繰り返した後で、亮二がはしゃいだ。」 193ページ「〜、谷の声が、スタジオ内に聞こえてきた。『この曲、やっぱりテンポを遅くしたほうがいいと思う。〜』」 195頁「『この曲は好きにやらせてください』『だからさあ』谷の表情がさらに曇った。」 196「岡崎さんが〜。『谷さんが許してくれた。〜』」 197頁「『これが本当の最後のレコーディングだと思ってやれよ。〜。一発録(ど)りで一回きりだ』」 198「演奏しながら俺は、落ち着けと、と自分に言い聞かせる。」 199頁「(ボーカルの)五郎は歌うでもなく、嘆くでもなくのんびり言った。『なあ、誰か、聴いてるのかよ』」 200頁「『〜、届けよ、誰かに』〜。間奏が終わり、五郎は〜また歌い始めた。〜。『おい、あの、独り言は何だよ。〜』亮二が五郎の肩を突いた。」 201頁「『さっきの、間奏部分、録音し直しますから、〜』〜。岡崎さんは即答する。〜。『そこだけカットする』」 203頁「レコーディングスタジオを出た後で、深夜まで駅前の居酒屋で過ごした。」 205頁「『あの曲の名前は決めてあるのか?』岡崎さんは訊いてきた。〜。『〜。魚の話だから「魚の歌」とでもしようか「fish」でもいいし』『英語で「fish story」っていうのは、ほら話のことだ』ずっと黙っていた(ドラムの)鉄夫が〜、言った。」 [十年後] 210頁「信号機切り替えのシステムや列車の運行管理のプログラムを手はじめに、ドミノのように被害が拡大していく計画を、彼らは立てていた。犯人たちは国籍もばらばらで、お互いに顔をあわせたことは一度もなかった。橘麻美がいなければ、おそらく、多くの人間が、〜犠牲になっていたはずだ。」 211頁『あまり一般に知られていませんが、橘さんがいなかったら、本当に、今頃みんなどうなっていたか分からないですよ』と僕はお世辞でなく、そう言った。すると彼女は〜。『わたし、十年ほど前に、ハイジャックに遭遇したことがあるんですよ』」 212頁「それから彼女は、たった一人で犯人たちをばったばったと倒した男の活躍について話してくれた。〜。『では、その人は、世界を救った橘さんを、救ったわけですね』僕は言いながら、手元の紙に、ハイジャック、と書き記す。」 ポテチ: 218頁「一年前、今村(忠司)は仙台市内の〜新築マンションの一室にいた。」 220頁「〜空き巣に入っている〜。〜。そこで電話が鳴った。」 221頁「ほどなく留守電に切り替わり、〜。少し早口の女性の声が、『〜。わたし(若葉)ね、もう面倒だし死ぬことにしたから。飛び降りちゃうから。〜』」 222頁「ずいぶん経った後で、今村は電話機に近寄り、『今の着信の番号にかけなおしてみますか?』」 228「一年前の〜自殺騒動の結果、大西(若葉)は今村と同棲をはじめることになった。」 229頁「『〜、さっさとお金になりそうなものを探して、帰ろうよ。〜』〜。(大西若葉が)その仕事(空き巣)に一緒についてきたのは、はじめてのことだった。」 230頁「狙う先が、プロ野球選手の尾崎のマンション、ということは、来る道すがらの車中で聞いた。」 232頁「〜(空き巣に入っている最中の尾崎宅の)電話が鳴った。」 233頁「〜、留守番機能が作動し、〜『あいつから呼び出されちゃったんだけれど』電話の主は言った。若い女の声だ。」 234頁「仙台駅の東口にあるコンビニエンスストアの名前を述べ、直後に、電話が切れた。」 235頁「今村は、〜、電話機を操作した。メッセージを消去しました、という音声が流れる。」 247頁「コンビニエンスストアで、今村が、『会いたいんですよ』と(黒澤に)電話をかけた。」 248頁「黒澤を後部座席に乗せる〜。」 254頁「今村は〜、先ほど遭遇したことを、黒澤に説明した。尾崎の部屋にかかってきた電話に従い、コンビニエンスストアに行ってみたこと、すると、女がいて、怪しまれたこと、女は以前、尾崎に助けられたことがあったこと、女に付き纏っていると思しき車がいたこと、〜、話した。」 255頁「『実は、その車のナンバー見えたんですよ』〜『で、ナンバーから運転手の居場所とかって調べる方法はないのかな、って黒澤さんに訊きたくて』〜。(黒澤が答えた)『〜。陸運局に行って、申請すればすぐに教えてくれる。〜』」 257頁「翌日、〜今村が、陸運局へ行ってくる、とアパートを出ていった。」 258頁「(一人アパートに残った大西は)電話が鳴った時、最初は出るつもりはなかった。」 259頁「『おーい、忠司?』相手は女性の声で、馴れ馴れしくも砕けた口調だった。〜。〜『もしかして、お母さんですか?』『正解』〜。〜、さすがに動揺した。『はじめまして』〜『でさ、忠司はいないわけ』」 261頁「あれよあれよという間に、仙台駅の構内、ステンドクラスの前で待ち合わせをすることになった。」 262頁「『いや、あなた(大西若葉)、本当に綺麗な子だね』会った直後、今村(忠司)の母の第一声はそれで、〜。」 263頁「『わたしさあ、昔から、娘が欲しかったんだよね。一緒に買い物に行ったりさ、料理教えたりさ、したかったのよお』」 268頁「『わたし、こういうの買ってあげたかっただけだし、別に買ったからって、忠司と結婚しろとか言わないしさ』」 269頁「『どうもありがとうございます』と大西(若葉)は深々と頭を下げた。」 270頁「大西は目を覚ました。〜。シャツを買ってもらった後、〜その後で開店直後の居酒屋に入ったことは覚えていた。」 271頁『〜、どうだったの?車のナンバー?』『〜、すぐに分かった』〜『〜落合修輔』」 279頁「今村の入手した情報から、(落合の)アパートの場所は割り出してあった。」 280頁「途中でコンビニエンスストアが横に見え、〜。」 281頁「『あれ』と今村がまず言った。『あの女』店内を見て、大西もすぐに分かった。先日、尾崎の家に電話をかけてきた、〜女がいたのだ。〜。そこには、黒いセダンが停まっていた。〜。ナンバーは見知ったものだった。」 282頁「店内から彼らが出てくる。あの女と落合修輔はどういう関係なのだと、大西は、〜考える。」 292頁「『何だ。おまえら』落合修輔は(自宅の)玄関を開け、〜(中にいる)大西たちに気づき、目を丸くした。〜。〜、大西たちはコンビニエンスストアから黒澤の車に乗り、落合修輔のアパートまでやってきた。〜部屋に忍び込んだのだ(った)。」 293頁「『警察呼ぶからな、〜』落合修輔が怒っている。」 294頁「『君はさ、尾崎のところに助けを求めてきたじゃないか。電話をかけて、男に付き纏われているって言ってたし、でも、この男って、あの車を運転していたやつだろ、仲が良さそうだよね。おかしいじゃん。嘘ってこと?』」 295頁「『尾崎を何だと思ってんだ!〜、今村の横顔は、大西が見たこともない形相になっている。」』 297頁「大西は〜。〜今村を引き摺ると玄関へ向かっ(て部屋を出)た。」 298頁「『送っていくぞ』黒澤は、(車のエンジンの)鍵を回した。」 300頁「車を降り、黒澤の車が去って行くのを見送った。〜(大西は)今村と二人でアパートに戻ったのだが、階段を上ったところに今村(忠司)の母親が立っていて〜。」 302頁「〜、居酒屋にでも行こう、〜。居酒屋の座敷では〜、今村(忠司)の幼年時代の話題で盛り上がった。」 303頁「酔いが回っている今村(忠司)は〜、テーブルに突っ伏す姿勢で完全に眠ってしまった。」 304頁「〜大西は〜、『(今村忠司が)尾崎選手のファンだったとかそんなことあります?』(と訊くと)〜『地元の星でさ、忠司にとってもヒーローだったよ。〜』(と忠司の母親は答える)」 306「『彼って、尾崎選手と同じ日に生まれたって聞きましたよ』大西(若葉)はふと、今村(忠司)が言っていたことを思い出した。〜。『同じ日に同じ病院で生まれたっていうのに、違うもんだよ』(と忠司の母親は呟く)」 308頁「仙台駅を東へまっすぐ向かった場所にあるスタジアムは、〜、大西が以前に行った時に比べると、〜綺麗になっていた。」 309頁「『やっぱりいいなあ。〜』大西の右側の席にいる今村(忠司)は、椅子に座っているものの落ち着きがない。〜『わたしも誘ってもらっちゃって良かったのかね』と言ったのは、今村(忠司)のさらに右に座る、今村の母だった。」 310頁「大西は自分の左隣にいる、黒澤を窺った。『たまたまチケットが手に入ったからな、どうかと思ったんだ』黒澤が静かに言った。」 312頁「黒澤の指定した、深夜でも開いているファストフード店で、〜。〜『実はさっき、あの(落合の)アパートに戻った』(と黒澤が言った)」 313頁「黒澤が言うには〜。〜。無防備なところを襲われた(落合たち)二人はかなりおびえていた。〜。『プロ野球チームの監督を誘惑してほしい、と頼んだんだ。〜。監督が女好きであることも分かっている、あとは仕掛ける女を用意するだけだ。それをあの女に頼むことにしたんだ』」 314頁「『(監督の)ホテルの部屋を訪問させて。ファンなんです、と言えばいい。〜部屋に入れる。〜』〜『俺(黒澤)は、〜、中に入り、証拠の写真を撮る。女を逃がす。その写真を使って、監督を脅す』〜『次の試合、ここぞというチャンスが来たら、尾崎を代打に出せ』」 315頁「尾崎を代打に打たせようとする理由は、ある程度は想像ができた。それは大西が今、黒澤に会いに来て、確かめようとした事情と関係があるに違いなかった。あの、と話を切り出そうとした。すると黒澤が〜。」 316頁「〜言った。〜『〜赤ん坊の取り違え事件〜』」 317頁「『健康診断?』半年前に今村(忠司)が受けていたのを(大西が)思い出す。『そこではじめて、自分の血液型を知った。〜。母親がABで、あいつ(今村忠司)がOというのは、父親の血液型が何であれ、考えにくい。〜 』〜『あいつ(今村忠司)は自分が、養子ではないかということを疑っていた。それを調査してほしいとな』」 318頁「『DNAの検査というのが今はできる』〜『(秘密裏の調査で)尾崎が、実際には、今村の母親の息子だと判明した』」 316頁「『〜、彼(今村忠司)は、事実を知って、ショックを受けた』」 320頁「〜母ちゃん、本当だったら、もっと優秀な息子を持てたかもしれないのに〜。」321頁「『バッターの交代をお知らせします』〜『八番−に代わりまして、バッター、尾崎』」 323頁「『尾崎君、久しぶりだねえ』今村の母が嬉しそうに言うのが聞こえた。〜。『母ちゃん、ほら、尾崎だ』今村(忠司)がグラウンドを指差しながら、隣の母親に言っている。『母ちゃん、よく見ろよ、尾崎がいるよ』」 325頁「〜、投手がセットポジションから投げた球を、尾崎のバットが叩いた。」 326頁「今村(忠司)は溢れ出る涙を拭いもせず咆哮し、打球はライトスタンド上空を飛び、その先には照明の届かない、深い夜空が広がっている。」 …この四点のうちの表題作”フィシュストーリー”は映画化されているんですね。[現在]の女性の麻美が、[十年後]の麻美で、[三十数年前]に作られた曲が、[二十数年前]の車内で流され、、[三十数年前]に作られた曲の詩の一部だった小説を、[十年後]の麻美が機内で読んでいる。各々が関係しているようないないような話をどう、映像化したのか、観てみたいと思った。 | ||||
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短編4作のいづれも、お話自体がつまらない。 ツッコミや切り返しを多用した人物の掛け合いが、 多少面白かった程度。 「ナイン・ストーリーズ」みたなことがやりたいのかしらん? | ||||
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これから面白くなるのかなと思う前におわってしまったり、 なんだか盛り上がりと、錬りに欠けたお話ばかりの寄せ集めでした。 私はあの時間が交錯して人が巧みに交差する長編の方が好きです。 | ||||
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伊坂氏の作品は現実把握能力の弱さを、"生きる上での希望"を中心としたファンタジックな爽やかさで補うと言う作風なのだが、4つの中編からなる本作は現実を遊離し過ぎていて、余程のファン以外には付いて行けないと思う。 「動物園のエンジン」は目を覆いたくなる程の駄作。登場人物の設定やストーリー展開に全く意図が感じられない。思い付きをそのまま書けばファンタジーになると勘違いしているのでないか。第一、希少種のシンリンオオカミが二匹もいる動物園が日本にあるだろうか(円山動物園に一匹いる由)。「サクリファイス」ではレギュラーの黒澤が狂言回し役として登場するが、92歳になる老婆唄子のキャラクターが光る以外は何の興趣もない。ホラー仕立てにするしかない舞台設定で、変な人情話にするから鵺のような出来になるのである。タイトル作「フィッシュストーリー」は、一連の偶然の連鎖の物語を、4つの時制に分けて、シャッフルして綴っただけ。ジャック・クリスピン(作者が良く参照する架空の人物)の名前が唐突に出て来たり、作者が詳しく無いと思われるネットワークの話題を締めに持って来たりと支離滅裂。1つのサーバに異常が起こった際に、そのサーバの管理者以外の無関係な人間が先に気付くなんてあり得ない。まさに「fish story」。肝心の文言が"孤独"から"勇気"へ移行する過程(これが主題のつもりだろう)に何割の読者が気付くだろう。「ポテチ」はせっかく黒澤を登場させているのに、脱力感しか残らない作品。これ程マンガチックな内容を、そのまま小説にする感覚が理解出来ない。加えて、楽天としか考えられない実在の球団の監督をこのように描いて許されるのだろうか ? 自由闊達な筆致が作者の魅力だった筈だが、本作等を読むと、最近は勝手気儘に書いて、後は野となれ山となれ、と言った印象を受ける。何とか創作力を回復して欲しい。 | ||||
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表題作のフィッシュストーリーは面白かったが、他の短編が面白くなかった。珠玉の短編集ってアオリを見た気がするが、正直期待ハズレだった。黒澤や、時代遅れのニュートンの彼が、もっと活躍するかと思っていたのに…パワーダウンは否めない。 | ||||
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正直始めの「動物のエンジン」で読むのやめようかと思いました。オヤジギャグが連発して呆気ないオチ…後に続く作品はまだ読めましたが、話の一貫性がなかったので読み終えた時の感動がありませんでした。 | ||||
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人と人との連鎖の不思議さ、微妙にずれた登場人物たちなど、伊坂さんのいいところもいっぱい見られるので、ファンとしてはそれなりに楽しめた。 が、やはり客観的に見ると、他の作品に比べてやや物足りないなぁ。ファン以外にはなかなか受け入れられなさそう。期待が大きかった分、評価は厳しくなりました。 | ||||
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この本を最初の伊坂作品としたのは間違いだった。 新しい本であること、音楽がテーマの話があることを理由に購入した。 期待はずれだった。 何人かの方がレビューで書いているが、 他の長編を読んでから出ないとダメだった。 それは登場人物云々ではなく、 この本は作者の魅力を伝えていないように感じた。 軽妙といわれる文は短くて読みやすいが、軽すぎる気がする。 短編だからか、パズルのような、と評される魅力も感じなかった。 そんなに入り組んでいる感じもしないし、驚かされもしない。 他の方が勧める長編を読んでみたい。 | ||||
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デビュー作からずっと読んでいる。始めは設定や独特の台詞回しに新鮮さを感じていた。 しかし最近は付き合うのに疲れてきた。推理小説であっても文芸であっても、読むのがめんどくさくなってきている。そろそろ伊坂ワールドから撤退です。 好きで好きで、ずっと気になっていた作家だったが・・・結論として、パターンが同じなんだろうな。 | ||||
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『僕の孤独が魚だとしたら,そのあまりの巨大さと獰猛さに,鯨でさえ逃げ出すに違いない』昔の作家の遺作の冒頭文ここのフレーズから始まる過去と未来の物語・・・『フィッシュストーリー』 表題作を含め4編からなる短編集。それぞれに同作家の作品に出てくる人物が登場し,話が進んでいく。個人的には表題作と『ポテチ』に関しては期待を裏切らないとの感想を持ったが,その他の2作品に関してはイマイチの感をぬぐえなかったが,個人的な好き好みがあるのであろうので仕方ないと思う。 | ||||
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読者を引っ張り翻弄し二転三転しながら、最後の最後で「えぇ〜!!」という驚きの結末。これまでの伊坂作品の、そんな長編小説のほうが、私には面白かったです。今回の短編集では、伊坂氏のストーリーテリングと人物描写のうまさが生きていないように思います。それなりに楽しめるのですが、伊坂作品を読んだことのない人にはお勧めしません。「ラッシュライフ」や「死神の精度」などの長編を先に読んでからこちらを読むことをお勧めします。 また、伊坂作品を多く読んだ私にとっては、「どこかで読んだこの言い回し」「あの作品にもこの言葉、あったな」という箇所がいくつかあって...ちょっと冷めた感じの読後感でした。 | ||||
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伊坂幸太郎作品が好きで、毎回新作を愉しみにしてきましたが、 危惧していた本が出版されてしまいました。 それは、固定ファンが出来た伊坂幸太郎だから出版されてしまった程度の本に思うからです。 書き下ろし作品も掲載されて、デビュー作も味わえる本なのですが、正直肩透かしをくらいます。 それは、積み上げてきた伊坂作品に対する期待に沿わない本だからです。 これまで読んできた何かに似た作品、デジャブのような作品、洗練されてない作品に、読む手が何度か止りました。 伊坂幸太郎を初めて読もうと思ってこのレビューを読んだ人は、どうかお願いです。この作品は最期に回して下さい。『ラッシュライフ』をどうか先に読んで下さい。 | ||||
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