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モダンタイムス
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【この小説が収録されている参考書籍】
モダンタイムスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.74pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全131件 121~131 7/7ページ
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冒頭からぐいぐいと作品世界に引き込まれて行く、力強さのある作品。 悪までもシステムであり、個人の良心や悪意もそこにはないという理論には感服する。 近未来小説としての切り口としては決して斬新さはないのだけれども、さすがの伊坂作品。 個性的なキャラクタ−や語り口で、飽きずに読ませる。 もう少し短くまとめられたのでは?とも思うのだが、連載小説ということもあり事情があったのかも知れない。 ”魔王”とセットで読むことで、双方に深みができ、個性や思考を削り取られ、人がシステムに取り込まれてゆく、新しい形の”全体主義”に進む社会の恐怖が説得力を持って語られる。 若い世代に読んでもらいたい作品である。 | ||||
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まず出だしの一行目から引き込まれ そこからいっきに読んだ!という感じです。 他の伊坂作品同様、アクの強い愛すべきキャラがたくさん登場していますが なかでもお気に入りなのは暴力業のお兄さん岡本猛、でした。 (ほんとにいたら怖いけど・・・w) 井坂幸太郎もいい味でてますね。 それにしても評価がみごとにバラバラでびっくり。 伊坂幸太郎の、一番とは言わないまでも自分の中ではけっこう上位に入りそうな作品なので。 | ||||
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主人公がある請負システムの、不思議な機能に気づいてしまう。 特定のキーワードで検索を行うと、何かがやってくる。 知らぬ間に命の危険にさらされる。 「勇気はあるか」。 そんな問いかけに答えられますか。 | ||||
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”ページターナー”伊坂、復活の一幕である 本屋大賞にまでなった「ゴールデンスランバー」には感心しなかったが、あれはあれでローカリティとナショナリティを繋ぐ語り部である伊坂の第一期集大成にはなっている。そして本作ではいよいよ伊坂は仙台を出て政治と産業経済の中心、東京に舞台を移した。これは大きなことだ。ついでに「魔王」の続編にするために時制を近未来にまで移した(これには疑問がある。近未来はもっとローカリティが重要視されるのだから) ポイントは、「システム」と「スキン」の関係にある。日本のシステムは第二次世界大戦後、60余年をかけて構築されている。昨今、その「システム」の綻び、ズサンさが目に付くが抜本的な変更はない。現政権は所詮、60余年に渡って構築されたシステムのスキン(皮膚)に過ぎない。ついては「システム」が変わらなければ政権が交代しても、所詮はスキンが変わったに過ぎないということでもある。G民党だろうとMン主党だろうと何も変わらないだろう、という我々の直感はスキンが変わってもシステムは変わらないだろうという虚無感に他ならない このシステムとスキンの関係を見事にエンタテインメントの領域で表したのが村上春樹の「羊たちを巡る冒険」「ダンス ダンス ダンス」「ねじまき鳥クロニクル」で、その後を継ぐことになったのが伊坂の「魔王」と本作であると言える。村上は「システム」への違和感を描いたが、伊坂の時代になればその違和感を、もっと具体的に異物感として描くことができた また読み解くためのキーワードはいくらでもある。伊坂が本作での「五反田」という登場人物についての言い訳をしている(巻末)が、主人公「渡辺」「五反田」はいずれも村上作品の主要な役割を持っているし、兎男には当然、「羊男」を見てとることも出来る。本作にあるようにそれは「偶然であって、偶然ではない」ことを示すものだ(が、兎男は映画「ドニー・ダーゴ」のキャラクターでもある)。直接的にも間接的にも伊坂は村上とスティーブン・キングの方法論を獲得した新星として、やたら滅多らにキーワードを蒔いている。キーワードがそれぞれに芽を出し、意味を成す。それは本作にある劇中小説「苺畑さようなら」(タイトルは”ライ麦”であり、内容はチャンドラーだ)がそこにキーワードを散りばめることで謎を解く仕組みになっているように、「モダンタイムス」全体にも”検索”すべき語に枚挙の暇はない そろそろ賛否が分かれてもいい時期だが、賛否を揶揄するには一読が肝要 まずは読んでみることだ 僕は次の伊坂が、どこまで「システム」に切り込めるかを楽しみにしていよう | ||||
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『魔王』の続編とでも言うべき作品、という話しだけど、 特に『魔王』『呼吸』に続く作品だとは思わない。 同じ登場人物が出てくることは出てくるけれど、 別個の作品と言ってもいいんじゃないかな、と。 『ゴールデンスランバー』と時期を同じくして連載されていたためか、 監視社会という点でこの2つの作品は類似している。 こちらはインターネットでの監視体制が整っている近未来の話しだけど、 近い将来こんな社会になってしまうのではないか、という危惧も感じられる。 一体いつからこんな風になってしまったのか・・・。 そんなことを思いつつ、 物語自体はすーっと読めていく面白さがあった。 でも、結局『ゴールデンスランバー』のときにも感じたことだが、 最終的に悪者は誰なの? 国家というシステムが悪いのか? それともそれを動かす者たちが悪いのか? そこらへんが釈然としないまま まぁ、読者にその判断を委ねるという部分もあるだろうけど、 何だか中途半端なもやもや感は残った。 ただ、さすがに伊坂氏。 会話の面白さや筋の面白さ、その辺は相変わらずのうまさで ぐいぐいっと物語の中に引き込んでいってくれます。 登場するキャラクターも個性があって もちろん一癖も二癖もあるような人物ばかりですが、 わりと愛すべきキャラと憎むべきキャラとしっかり分かれているので 勧善懲悪ものを見るように読むと それはそれで楽しいかも。 エンターテイメント性で言うと 以前の作品の方が高いと思うんだけど、 これはこれで十分に楽しめるのではないか、と。 辛口の批評が多い中、自分も手放しで面白いとは言えないまでも 及第点は十分に取れる作品だと思います。 | ||||
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「いいか、小説ってのは、大勢の人間の背中をわーっと押して、動かすようなものじゃねえんだよ。音楽みてえに、集まったみんなを熱狂させてな、さてそら、みんなで何かをやろうぜ、なんてことはできねぇんだ。役割が違う。小説はな、一人一人の人間の心身体に沁みていくだけだ」 これが伊坂幸太郎の本音かな。ずばっと直球で沁みました。 さて。 「魔王」の時代から数十年後のお話。 「魔王」で出て来た安藤兄弟も、犬飼首相の秘書のようだったあの人も登場しますが、物語のテーマや本質は受け継いだものの別物として予備知識がなくても読めるようになっています。ただ、できれば先に「魔王」を読んでいたほうが、この物語の提示するテーマや思考の流れがより重層的に迫ってきます。 物語は、主人公の渡部拓海が、暴力的な男・岡本猛に突然拉致されて拷問されかかり「勇気はあるか?」と問われるところから幕はあけます。前作が前作だっただけに、何で拷問されるのかと気にしてみれば「浮気しているんじゃないのか?」という浮気調査だったりします。まぁ、浮気調査で拷問にかけられたり骨を折られたりするのもどうかとは思うのですが、そんなちょっぴりギャグテイストの始まり方をした物語も、どんどんどんどんシリアスになってきて、謎の人物が周辺を徘徊し始め、先輩は失踪し、後輩は性犯罪事件の主犯として捕まり、知人が拉致され、、と徐々に洒落にならない事態に物語は進んで行きます。 大きなあらすじ等は下手に紹介しても興趣を削ぐだけなのであえて割愛しますが、この「モダンタイムス」という物語は、矛盾した意見をぶつけあって進んで行くし、思想や思考の流れなんていくらでも誘導できるんだということをこの小説の中で実際にいくどかやってみせ(そして潰してそれがいかに誘導されたものであるかを暗示し)るので、前作「魔王」以上に、考えるということ、読み手が深く感じる事を要求する小説になっています。 勿論、表面上だけ読んでいくと、そんな風なこともなくジェットコースター小説のような感じで次々と事件が起きるし、主人公はとどまるということを知らないし、それでいて小説家・井坂好太郎! が登場したり、ギャグテイストが満載なので、そんなようなシリアスさも軽くさらさらと読めてしまいます。彼の売りであるリーダビリティーの良さが遺憾なく発揮されていて、どんどん読めてしまいます。けれどこの「モダンタイムス」は、その本質は伊坂幸太郎のけっこう真剣な問いかけであり、作品的にはかなり野心作であると強く感じます。 「そういうことになっている」というシステムの話をちょっと寒くなるようなリアリティをともなって語ると同時に、ごく当たり前の感覚として「でもやっている人間が何も感じないなんて許されない」と正論が出て来て、自分は果たしてどっちなんだろうと悩んだり。しかも「知らないうちに関与している悪」なんて出てくるとけっこう考えることが多いです。 あ。 でも、エンターティナメントを忘れる伊坂幸太郎ではありませんので、読んでいる間はとても楽しくもあります。ワクワクドキドキしながら楽しく読めます。けっこう分厚い本なのに、もうちょっと読みたいなぁと思っている間に物語は終わりますので安心して下さい。 | ||||
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『魔王』の続編。*とあるネットのシステムの検索が要因となり監視。とある単語を羅列して検索するとある企業の監視下に入り、それを検索した人物達が恐ろしい目に遭遇してしまう。果たして、何が目的の監視なのか?その背後には、いかなる事件が隠されているのか?☆長かった…、そして伊坂ワールドでした^^;☆ネット社会だからこその怖さ。そして、何を信じたらいいのか分からなくなる怖さがあった。☆しかし、個人的に物語ウンムンよりもこのお話の中に出て来る蘊蓄が、結構心に残った。自分達では、システムを作り上げそれを巧く実社会に反映しているかのように思っているけれども…。大きな社会の歯車の中で踊らされているに過ぎない。それに気付いた所でどうしようもない(虚無にすぎない)。目の前の小さな事のために働くのだ…。伊坂先生の御言葉、なかなか深い!! | ||||
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伊坂幸太郎作品は「死神の精度」しか読んだ事がないのですが、本屋で最初の数ページを読んで即買う事を決めた。 始まりから危機的状況、なのにどこか「のほほん」とした空気に惹かれたのかもしれない。 物語はほんの少し未来の話。自宅で浮気を疑われて見知らぬ男に拷問を受ける事になったシステムエンジニアの主人公。一時的に難を逃れたものの、妻は諦めない。そんな頃、会社の先輩が行方不明になる。彼の仕事を引き継いだ主人公は、その依頼主である会社に疑問を抱く。やがてネットで検索をした後輩が逮捕されてしまう。 妻に浮気を疑われた主人公が、やがて大きな社会の闇に飲み込まれていく。大きな展開の中でも妻に勝てない主人公の弱さが楽しめた1つかも。後半になって明かされる真相に、ちょっと非現実さも感じたが、それも伊坂幸太郎の面白さの1つか。 好みは分かれると思うが、個人的にはラストまでの展開は飽きもこなくて楽しめた。久しぶりに夜中まで読んだ。漫画週刊誌に連載されただけあり、1話ごとの終わり方に「次が気になる」言い回しを使う回も多く、読む手が止まらなかった。 読み終わってから、他の方のレビューで「魔王」の続編なのだと知った。読んだことはないが、本作だけで十分楽しめる。機会があれば、そちらも読んでみたいとは思った。 | ||||
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’08年度の本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した『ゴールデンスランバー』から約1年ぶりの長編。’05年の『魔王』の続編とのことだが、あれから50年ほど経った21世紀半ば過ぎの物語で、関連性はさほど強くないので、独立した物語として読むことが出来る。 「実家に忘れてきました。何を?勇気を」と、のっけから伊坂テイストにあふれるフレーズではじまる作品である。 渡辺拓海は、多忙を極めるシステムエンジニア。ある日、課長から失踪した社員にかわってプロジェクトを継続実行するよう命じられる。その日から彼の周りで奇妙な事件が続く。先輩社員の失踪にはじまって、同僚の誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪、妻に不倫調査を雇われた男の家の火事など、不穏な出来事のオンパレードだ。しかも、それらは、パソコンである言葉を検索した者に降りかかるようなのだ。 この謎を解くべく、渡辺、同僚そして彼の妻や、失踪していた先輩社員も加わって、一大冒険活劇が繰り広げられる。 本書では、あいかわらず、「人を喰ったような」伊坂ワールドは健在だが、書き下ろしとは異なり、もともとは週刊コミック雑誌の連載小説だっただけに、各章の終わりの、次回予告っぽい期待感と、全56章のそれぞれに読みどころがあり、ファンとしては充分楽しむことができた。 | ||||
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実験的な作品です?そしてある意味で現在までの伊坂幸太郎の集大成です。伊坂幸太郎のエッセンスはいたるところに散りばめられてます。しかし微妙なところをつきましたね。好きな人にはたまらないはず。姑息なのに姑息じゃない。そんな感じです。物語は破綻寸前かもしれないし、そうじゃないかもしれない。それでも絶妙のキャラクターに導かれて成立しています?私にはかなりツボでした。そういえば、井坂幸太郎が、こんなストレートな愛を表現するのは珍しいのではないでしょうか?「勇気は彼女が持っている。俺がなくしたりしないように」このセリフだけで私には充分です。ただし、魔王と呼吸を読んでいなければサッパリでしょう。そして伊坂幸太郎を好きでなければ最低の一冊になるでしょう。(伊坂幸太郎が好きでも最低の一冊になる人もいるかも。) | ||||
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実験的な作品です?そしてある意味で現在までの伊坂幸太郎の集大成です。伊坂幸太郎のエッセンスはいたるところに散りばめられてます。しかし微妙なところをつきましたね。好きな人にはたまらないはず。姑息なのに姑息じゃない。そんな感じです。物語は破綻寸前かもしれないし、そうじゃないかもしれない。それでも絶妙のキャラクターに導かれて成立しています?私にはかなりツボでした。そういえば、井坂幸太郎が、こんなストレートな愛を表現するのは珍しいのではないでしょうか?「勇気は彼女が持っている。俺がなくしたりしないように」このセリフだけで私には充分です。ただし、魔王と呼吸を読んでいなければサッパリでしょう。そして伊坂幸太郎を好きでなければ最低の一冊になるでしょう。(伊坂幸太郎が好きでも最低の一冊になる人もいるかも。) | ||||
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