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革命前夜



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【この小説が収録されている参考書籍】
革命前夜

革命前夜の評価: 4.40/5点 レビュー 55件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.40pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全46件 41~46 3/3ページ
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No.6:
(5pt)

ベルリンの壁崩壊前夜の東ドイツ。若き音楽家たちの群像劇。

バブル真っ盛りの日本に背を向け、周囲の反対を押し切り、あえて世界のきらわれ者の東ドイツに留学する若きピアニスト眞山柊史。
留学したドレスデンの音楽大学には、天才的な音楽家の卵たちがごろごろしている。
魅力的な若い才能が、ぶつかりあい、絡み合いながら成長していく。しかし、その舞台は崩壊寸前の東ドイツ。音楽以外に関心のない柊史であっても、街をあるけば民主化を求める若者のデモに遭遇するし、「西側への移住申請」をしたばかりに音楽家としての未来を奪われた演奏家とも出会っていく。
このあたりの描き方がすばらしい。
柊史のぶつかったこと、触れたことの範囲で、じわじわと息苦しい東ドイツの暮らしが見えてくる。
シュタージ(国家保安省=秘密警察)が支配する国家・社会の、恐ろしさと憂鬱。それは住民同士・国民同士が監視し合う、密告者だらけの社会という、究極の悪夢のような姿を見せてくる。
ほんと、ドイツ人ってなんでこんなに極端なんでしょうね。ナチスも恐ろしかったが、シュタージも恐ろしい。
その不気味な恐ろしさを、俯瞰で上から説明するのではなく、柊史の体験として少しづつ見せていく手法が、にくらしいほどうまい。
しかし主題は、あくまでも柊史たちの音楽修行。作者は筆を尽くして彼らの音楽を描写します。
演奏場面の描写には、音の洪水にまきこまれるような迫力があります。音楽を、ことばの力だけで伝えようとする作家の熱意と技術には、敬服するしかありません。
クラッシック音楽音痴の爺さんが、最後まで、違和感も拒絶の感情もなく読むことができたのは、ひとえに作者の筆力です。
若きピアニストの目でみたベルリンの壁崩壊に、乾杯。
二度と、「相互監視社会」がドイツによみがえることがありませんように。
革命前夜Amazon書評・レビュー:革命前夜より
4163902317
No.5:
(5pt)

非常にいい物語を読めて満足です。

オレンジページの書評を見て読みました。でも、須賀しのぶという名前は知っていました。昔、コバルトで読んだことがある作家さんだったので。

しかし、これはラノベではなく、本当に重厚な物語です。私は子供の頃ピアノを習っていたものの、練習嫌いで全くものにならず、どんな演奏が素晴らしいのかなど、まったくわからない素人です。しかし、素人でもまったく飽きさせることなく、ピアノ演奏のくだりに読者をぐいぐい引き込んでいく作者の凄さを感じました。

後は、ベルリンの壁が壊されるまでの怒涛の潮流。まさか、自分が生きているうちにベルリンの壁が壊される日が来るとは、と本当に魂が揺さぶられる感じがしました。そうした想いがあるので、余計に読んでいて感動したこともあると思います。

クラシックには本当に遠ざかっていましたが、この本に載っている曲をyoutubeで聴いてみました。聴きながら読めばよかったと後で後悔しましたが、やっぱりクラシックって素敵ですよね。バッハつまんないとピアノを習っていた頃はそう思っていましたが、年取ると、色々な経験を経てきたせいか、なんかじんわりきてしまいます。

とにかく、読んでいて終始興奮しつつ、なんかうるうるしてしまいました。久々に、読み終わって、非常に満足した一冊でした。皆さんにおすすめしたい!!
革命前夜Amazon書評・レビュー:革命前夜より
4163902317
No.4:
(5pt)

全てのクラシック愛好家に

読んでいて登場する音を聞きたくなる小説。それがベルリンの壁崩壊直前の息詰まる社会状況と共に展開される。ネタモとはあるみたいだが、やはりクラシックとむすびつけたことが、私にとっては、異様にリアルに感じられた。
革命前夜、何を大袈裟なと思われるが、確かに自分が30代の頃、戦争を知らない世代が、戦争終結のような感慨を持った事件があったのだ。
革命前夜Amazon書評・レビュー:革命前夜より
4163902317
No.3:
(5pt)

水のような音を奏でる青年の、心技の成長物語

著者の須賀しのぶさんは、軍隊や歴史物が得意な女流作家。
なので、単なる音大学生たちの物語でなく、しっかりと歴史と結びつき、「歴史物」と「音楽物」、一冊で二味楽しめる作品になっています。

舞台はまだベルリンの壁で東西分かれていたドイツ。物語の中では東ドイツ、西ドイツというなじみのある言葉ではなく、DDR、BRDと呼ばれていますが、歴史ごころがなくても主人公・眞山も日本からの留学生のため、異邦人として扱われる彼に共感しながら、当時の情勢を中からうかがい知ることができます。

ピアノの勉学のために渡独した眞山は、無難な音しか出せない自分に悩んでいます。そんな中、強烈な音の才能をもつ者たちと出会い影響され、音楽の道を邁進はずが否応がなしに東西の緊張に巻き込まれ…。

音のない小説という媒体でありながら、天才的な才能を持つ人物たちの音色がどう違うから個性的なのか、分かりやすくかつ魅力的に描かれてます。
そして歴史の面でも臨場感が凄い。周知の歴史的事件の内側へ1歩踏み込んで展開される、知られざるドラマに圧倒されます。

常に予想を裏切るストーリーと巧みな伏線で、飽きることなく最後まで一気読みしてしまいました。
個性とは、自由とは。エンターテインメントだけでなく、いろいろ考えさせられるお話です。
革命前夜Amazon書評・レビュー:革命前夜より
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No.2:
(5pt)

気づいた時には、読者である自分もまた、歴史の大転換点の急流のなかに立たされている

お若い方々にはあまり実感がないかもしれませんが、私が子供だった頃にはまだソ連という大国があり、ベルリンには東西を分断する壁が厳然と存在していました。
 テレビのドキュメンタリーで、思想の自由をうったえて、刑務所(精神病院?)に閉じ込められたひとたちの映像をみて感じた、『東』側の、底知れない恐ろしさ、不気味さは、今もよく覚えています。そしてその数年後に、ベルリンの壁の上にのぼってツルハシで壁を壊す人々の映像が流れたのを見た時の衝撃もまた、よくよく覚えています。歴史というものは動くのだ、と、歴史が動くその瞬間というものが現実にあるのだ、それはこうして、今、現実に起こり得ることなのだ、と。
 その興奮と高揚。
 しかしまた同時に『東』、特に東ドイツというのは、高い芸術性を保つ国として憧れの対象でもありました。冬季オリンピックの『カルメン』の圧倒的な演技力で金メダリストをとったフィギュアスケーターのカタリーナ・ビットは東ドイツの選手でしたし、まだインターネットがなく海外のレコードやCDを買うのにも一苦労だった時代、東ドイツの少年合唱団の情報を雑誌の小さな記事で読んで、一度でいいから聴いてみたくて、いつ来てくれるか、いつ来てくれるかと来日を公演を毎年まちわびていたものです。
 東西ドイツの瓦解で、彼らはどうなってしまうのだろう、と、途方もない不安を感じもしました。

 ベルリンの壁が崩れたその時、私はまだ経済的に自立していない学生で、その空気のなかに飛び込んでいく手段も情報も才能も持ちませんでしたが、もし飛び込めていたとしても、この本の主人公のようには振舞えたかどうか。とてもではないけど、こうはできなかったろうと思います。
二人の正反対の天才ヴァイオリニストと真正面から対峙して、自分の才能や覚悟の程に悩みながらもそれでも一歩も引かない主人公は、豪雨で氾濫した怒涛の急流の中でしなりながらも絶対に折れない青い竹のような、そんな印象があります。
 その強さしなやかさに感嘆し、どうなるんだろう、がんばれ、と思いながら読み進めていくうちに、読者は、主人公と一緒に歴史の大転換点に巻き込まれていきます。気づいた時には、読者である自分もまた、歴史の急流のなかに立たされている…子供の頃に見たドキュメンタリーのおそろしさを、今またこの本の中で追体験することになったのです。

 私はクラシック音楽に詳しくないので、それがとても残念でしたが、クラシックに詳しかったらこの本は何百倍も楽しかったのだろうなと思います。
主人公がバッハをはじめとした音楽について思い巡らす描写は、文体も語感もひたすらに美しく、文字で聴く音楽というものがあるのだなあ…と思わされました。

東西冷戦やベルリンの壁の崩壊に興味がある方、クラシック音楽がお好きな方のほか、萩尾望都の世界観、たらさわみちや竹宮恵子が描いた数々のクラシック漫画が好きだった方も楽しめるかと思います。
革命前夜Amazon書評・レビュー:革命前夜より
4163902317
No.1:
(5pt)

共産圏“のだめカンタービレ”wwwww

「時は昭和天皇崩御直後の1989年、ソ連邦もベルリンの壁もまだあった時代に、東ベルリンの音楽学校を舞台に主人公と愉快な仲間たちが繰り広げる笑いと涙に溢れた音楽ラブコメ」…んなわけはない。
そもそも共産圏なんて言葉を聞いても若い世代には「なんのこっちゃ」ってな感じだろう。
それでも「のだめ」の連載開始時期(2001年)と比べてもわずか10年と少し前にはこんな時代と体制も存在していたのだと思うと仲々に感慨深いものがある。
まあ、「のだめ」と比べながら読む必要はまったくないが、主人公たちの昏い心情の表出や音楽的な描写にみられる精妙さといい、暗く陰鬱ながらページを捲らずに入られない推進力といい、音楽ミステリ好きには見逃せない作品であろう。のだめファンもそうでない人も是非手にとって見てほしい。
革命前夜Amazon書評・レビュー:革命前夜より
4163902317

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