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夏に凍える舟



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【この小説が収録されている参考書籍】
夏に凍える舟

夏に凍える舟の評価: 5.00/5点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(5pt)

全4巻 通読すると島の住民たちに話しかけたくなります

1「黄昏に眠る秋」2「冬の灯台が語るとき」3「赤く微笑む春」4「夏に凍える船」(ハヤカワ書房)。1~3は読む順序を変えてもさして支障ないが4は集大成なので最後に読んで欲しい。スウェーデンの南東部にある結構大きい島で 短い夏だけ観光客たちで賑わい、あとは氷に閉ざされた寂しい村落となる。ミステリなのだが重厚な小説として楽しめる。若いころ船乗りとして暴れたらしいイエルロフもすっかり齢をとってリューマチで痛む足を庇いつつ娘の助けを受けながら春になると老人ホームを出て壊れかけた家に戻ってくる。北欧小説らしく暗い雰囲気たっぷりで、加えて大昔からの住民たちの亡霊、エルフ、トロールが安眠を妨げる。そうしたなかイエルロフの年老いた友人、隣人たちや孫みたいな若者たち、それに怪しげな流れ者が騒ぎを起こす。各巻それぞれに書評子さんたちがストーリーを紹介されているが話としてきれいに纏まるわけでもなく、読み進むうちに住民たちのなかに引き込まれる妙な4冊だった。
夏に凍える舟Amazon書評・レビュー:夏に凍える舟より
4150019053
No.6:
(5pt)

楽しかった

またイェルロフに会いたいなあ。

伏線は全て回収されてはいるが、あまりにも多すぎる。
ミスディレクションについても、そう。
翻訳についても、問題あり。
地の文のところで、

いったい、どうしたんだろう。

とか書いたらアカン。
明らかにヨーナスでもイェルロフでもリーサでもない、作者(天の声)の部分で、

〇〇なんだけど

とか書いているところがある。
そこは、

〇〇したのであるが

と書かないといかん。

しかし、良い。
うんざりするほど長いが、一気読み。
夏に凍える舟Amazon書評・レビュー:夏に凍える舟より
4150019053
No.5:
(5pt)

過去の残響と老いを生きることを考えさせる

エーランド島4部作の最後である。
主人公のイェルロフは84歳と老いたが、物語はイェルロフが少年時代に墓堀人の手伝いをしていた時代に遡る。富農クロス氏の埋葬をしているときに棺からコツコツとノックする音が聞こえる。驚いて棺を開けてみたが死者は完全に死んでいた。この幽霊話のようなエピソードが繰り返し回想され、エピローグでその種明かしがなされるのだが、物語はそのクロス氏の子孫が経営するエーランド島のリゾート施設を舞台に展開する。他方、イェルロフと同年代で埋葬に居合わせた少年アーロンは貧しいエーランド島の生活から新世界を夢見て旅立っていく。このアーロンがもう1人の主人公であり、物語は1930年代からのアーロンの苦難と現在が重ねて語られていく。過去と現在を往復しつつ物語を進行させる手法は3部作に共通するものだが、本巻では現在が登場人物ごとに分けられ、巧みに緊張感を持ったストーリー展開がなされており、著者のストーリーテリングの熟達を感じさせる。

社会派の北欧ミステリーらしく移民問題が取り上げられるが、ここでは1930年代の大不況時代のスウェーデンから海外への移民である。
さらに、本書ではスターリン時代の大粛正が生々しく描かれている。体験談を含む多数の参考文献によるものであり、想像を絶する大量殺人が行われていたことに改めて驚かされ、政権幹部や摘発者らも明日は我が身の恐怖時代を実感する。
こうした過去の物語と現在のリゾート地のギャップが重ね合わされるわけだが、主人公の2人はともに80代の老齢であり、過去の人生の重みを負って生きる高齢者の生き様をも感じさせる作品となっている。

なお、これも4部作に共通するが、邦訳の表題はやはり??である。
スウェーデン語の原題はRörgast(幽霊パイプ?)だが、英訳はThe Voices Beyond、ドイツ語訳はInselgrab(島の墓)である。
夏に凍える舟Amazon書評・レビュー:夏に凍える舟より
4150019053
No.4:
(5pt)

過去と現在の出来事が、前3作に比べ、巧妙に、複雑に繰り返される。

秋・冬・春と続いて、エーランド島にもようやく夏がやって来た? 

読んでいる方の気分としては、あいかわらず重苦しい。過去と現在の出来事が、前3作に比べ、巧妙に、複雑に繰り返される。まるで、ワンシーンを複数のカメラで同時に撮影しているかの様に。

ペレストロイカで、旧ソビエト政府が認めなかったアラル海での惨劇ーー2回目はアンドレイ・サハロフ博士も立ち会っているーーのことやラーゲリ、粛清のことが静かに語られる。

人々にとって暖かい季節は、グラスノスチの意味も含んでいるのだろう。
夏に凍える舟Amazon書評・レビュー:夏に凍える舟より
4150019053
No.3:
(5pt)

老探偵の魅力

シリーズ全作読みました。イェルロフの洞察力と、推理に脱帽です。そしてエーランド島の美しい自然が目に浮かぶ素敵な作品だと思います。淡々とした文章なのにどんどん引き込まれるミステリーです。もっとイェルロフのシリーズがあるといいのに…と。
夏に凍える舟Amazon書評・レビュー:夏に凍える舟より
4150019053
No.2:
(5pt)

とてもいい

4部作どれもいい。久々、次々に読み進みました。終わってしまったのが残念です。
夏に凍える舟Amazon書評・レビュー:夏に凍える舟より
4150019053
No.1:
(5pt)

胸が痛くなるような静かな魅力

このシリーズは高齢の元船長が主人公です

ミステリとしては目新しくはないのかもしれませんが
長い期間にわたる望郷、家族、友人、金銭が織り込まれています
それは湿っぽいものではなく
日本人からみたらむしろドライで冷たく感じところもあります

潔く歳を重ね、その為に出来なくなることを受け入れても
元船長も友人も自分の人生の舵は自分でとり続けています

何もかもが押し付けがましくなく、
淡々と、とにかく全てが淡々と語られているのですが
ふと誰か一人に感情移入してしまうとその余白部分に
自分の感情が重なって、胸が痛くなるような不思議な気持ちになります

今回はシベリアが出てくるのですが
日本の高齢のかたにもシベリア抑留者は多く
このような経験を胸にそっとしまって普通に暮らしておられるのでしょうか

ミステリなのに、人生には避けられない嵐があるが
自分で前に進まなければならないのだと考えさせられる
私にとっては別格のシリーズです
夏に凍える舟Amazon書評・レビュー:夏に凍える舟より
4150019053

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