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日の名残り
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日の名残りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全354件 41~60 3/18ページ
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丁寧な語り口 見え隠れする自尊心 大きなことを成し遂げようとチャレンジするひとの脇にいて補佐をすることで自分も成し遂げたかのような錯覚 自己正当化、都合良く美しく改変された記憶 ある女性への思慕、そのものはおそらくは真実 踏み込めなかったことに対する後悔の正当化 いままで長く本を読むことをしてきましたが、 一人称で語る主人公には信頼を置いてきました。 本当のことを語る、本当でなければ本当ではないと認識している、オネストであることが前提です。 この本で信頼できない語り手という定義を初めて知りました。 一方で、はなから悪党だったり錯綜したする主人公の語りは疑うことを前提として読んでいる。 そんな偏見と思い込みをもつ自分を自覚し、そう言った意味でも衝撃を受けています。 スティーブンスはこの旅で自己の矛盾と向き合うことになります。 途中の呆れるほどのしつこい自己正当化も薄らいでいきます。 過去を振り返っていても仕方がない、前を向くのだという見知らぬ老人のアドバイスをこの後の人生で彼はどうしていくのか。 その余韻に浸っていこうと思います。 素晴らしい作品です。 | ||||
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古いですが問題ありませんでした。とても素晴らしい小説でした。 | ||||
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〇 魅力ある小説。その魅力は、古風な文体、主人公の思考(理想のバトラーとは何か)、垣間見えるイギリス領主の生活、イギリスの田舎の風景描写が生み出すものである。 〇 正直だが狭量でもある主人公の語る思想は著者の思想でもあろう。バトラーの仕事にすべてを捧げ、dignityを理想のバトラーが備えるべき資質であると考え、理想像に近づくべく精進する姿は、バトラー道を突き詰める求道者の姿である。そして、彼は理想を持ちつつ分を弁えている。自分のような者でも、人類の善のために貢献できる仕事をしたい。そのために力ある立派な主人を見つけ、その主人に誠心誠意仕えたることが一番だと考える。 〇 その主人が死に臨んで「果たして英国の外交政策に関する自分の判断は正しかったのだろうか」と述懐したとき、主人にはかかる判断の余地があるが、主人が正しいと(盲目的にあるいは白地的に)信じて尽くした自分にはかかる判断をする自由も能力もないことを知って不安を感じる。しかし、彼はまた明日から、自分の主人を信じて尽くすしかないのだ。人はそんなものではないだろうか。それでよいのではないだろうか。きわめて良心的な生涯だったのではないだろうか。 | ||||
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なんとも主人公のスティーブンスの古くさい格式張った、それでいてプライドの高いめんどくさい男っぷりがすごくて一体なんの物語なのかと思った。 ナチスに加担したと断ぜられた前の主人のダーリントン卿から、アメリカ人の今の主人へと館ごと仕える先が変わったスティーブンス。英国の執事としての矜持を胸に毎日の仕事をこなしている。そしてそこに絡むかつて屋敷にいたミス・ケントンからの手紙・・・。屋敷の運営のためにと彼女に会いに行くスティーブンスの数日間と過去が彼の視点でいったりきたりしながら見て行く。 彼の視点なのだ。 彼がどう思っているかだけが綴られているので、一方的な彼の勘違いの可能性も、読者は予想しながら読むのだ。そこが面白い。結局人間の認識なんて、確かなものなんてないんだという前提で進む。 一つは、彼の前の主人がどんなに善人であったかわからないが、結果ナチスに加担したとされたという事実。そして執事としてそれを誇りに思うべきなのに人にダーリントン卿に仕えたことを一瞬隠してしまうスティーブンス。「君の意見はどうなんだい」という問いかけに、仕事をすべてとしてそれ以外の答えを出すことをしなかった自分を認識し出す。 小説はすごく良かった。そして映画も見ることに。 | ||||
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ノーベル賞作家カズオイシグロの代表作。大変著名な作品であるので、内容に関しては触れないが、これから読む方にアドバイスを二つ。その1、テキストは是非、ノーベル賞記念版で読むこと。村上春樹の解説が絶品で、英語圏の現代の古典の新訳および解説を書いてきた、当代いちの日本人作家の解説は一聴に値する。その2、映画を見て感動した方も、是非本作を読むべき。映画と異なる感動があります。これぞ、小説を読む醍醐味かと。 以下、蛇足ながら個人的感慨を。評者は65才で主人公の執事と同年代である。人生の黄昏時に、越し方行く末を考えると、主人公の哀感が大変よく分かる。個人的な事では、大切な人との関係でもう少しましなやり方が有ったのではとおもう。時代との関わりでは、我が国の絶頂期と斜陽期の二つを経験し、斜陽期に傍観者として過ごした事に不甲斐なさを恥じる。そんな評者には、お互いに好意を寄せながら結ばれる事の無かった女性に語る、主人公の優しい言葉が胸に染みる。「いまさら時計を後戻りさせる事はできません(中略)私どもは、みな、いま手にあるものに満足し、感謝せねばなりますまい」残る人生を誇りを持って生きたいと思わせてくれる。 | ||||
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大英帝国の残滓を引きずる1950年代のイギリスが舞台。 主人公は、栄華を誇った前主君の過去を回顧する。 多くの方が書くとおり、本書は歴史に残る名作だと思うものの、私はこの主人公が嫌いだ。 主人公は、重要な局面では、決して主体的に考えないし、行動もしない。 自分というものを持たないまま、主君であるダーリントン卿の判断を妄信し、考えないまま老境に至ってしまった。 自分の意見を持たないだけでなく、人間としても鈍感である。 たとえば、自分に好意を持っていた女中頭に対する応対も、機械のように冷たいものであった。 内心では主君の意思決定が間違っていることや、女中頭の心情や諸事情を薄々把握してはいるものの、結局は何も言わず行動もせず、単に従うだけである。 なんと情けないというか、ロボットみたいなつまらない奴だなと読んでいて思った。 主人公は全てを見て見ぬふりをした挙句、最終的には何も残らず、後悔することになる。 ここから未来を考え創っていこうとするも、もう60歳を超えた主人公に残された時間はどう見ても少ない。 これはまさに悲劇そのものだ。 個人的には、主人公のことは、反面教師とすべきだと思う。 とはいえ私はこの小説に思いきり引き込まれた。 執事としてのプロフェッショナリズムや、貴族階級がもっていた良い意味での騎士道精神、そこに対する主人公の崇拝と疑念や葛藤をはじめとする、言葉では言い表せない素晴らしい内容がふんだんに含まれている。 このあたりは私も上手く言葉では伝えられないが。とにかく良い作品なのだ。豊饒の海を読んだときの感覚に似てるかもしれない。 また、名家の没落という点でも感じるところがあった。 私の祖母は大地主の家に生まれ、20代まではまさに本書のような家で育ったものの、第2次大戦後の農地改革や新円切り替え等で資産をほぼ全て没収され、戦後は没落していった。 当時のアルバムなどはまだ残っている。私も祖母や親族からは、戦前の栄光をよく聞く機会があった。 本書の舞台は日本ではないが、繁栄した名家が没落していく点では、私の家とも重なり、とても引き込まれるものがあった。 長々と書いたが、本書はとても良い本であることは間違いない。読んで本当に良かったと思う。 | ||||
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「偉大な執事」とは・・・。「品格」とは・・・。 主人公はイギリスの風景をバックに車で小旅行しながら、昔を回想する。 息子と父の関係、男と女の思いが、静かな口調で丁寧に描かれている。 素晴らしい作品。映画も是非見たい。 | ||||
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初めてのaudible作品 タイトルに惹かれて… イギリスの田園風景に想いを馳せながらゆったりとした気分で聴きました 聴き終えて何かとても清々しい気分になった作品 日の名残り…美しい… | ||||
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ノーベル賞を受賞されるまで、カズオイシグロ氏の名前すら知りませんでした。そして、難しく、堅苦しいイメージを持っていた本作でしたが、なんと読みやすく情緒たっぷりで驚きました。イギリス・ロンドンに2年ほど暮らした当時のことも思い出しました。イギリスに縁のある人なら、これだけその文化、気質、風景が見事に文中に現れていることに感動できると思います。素晴らしい国です。そして、素晴らしい作品でした。 | ||||
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“自分が信じた真に価値のあるものへ尽くそうと願い、その試みのために人生の多くを犠牲にする覚悟を持ってそれが実践できたならば、結果はどうあれ自らに誇りと満足を覚える” これがスティーブンスの矜持である。よって父の死に目に立ち会えなかったことも、ミス・ケントンと生涯を共にするチャンスを逃したことも、悲しさは覚えても後悔はしていないはずだ。 このことから、巻末の丸谷才一氏の解説は全くもって同意ができない。 しかし同じ一冊の本を読んだのにも関わらず、人によって真逆の捉え方になるところは小説の面白さであり、本というものが秘める可能性である。 | ||||
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英国紳士の執事として仕事に没頭した スティーブンスが、仕事を離れて執事としての役割を脱ぎ過去の輝かしい時間を振り返る 最初は人に誇れるような仕事の数々 やがて、あのときはこうすれば良かったなという別の選択肢を選んだ自分を想像する 私が過去を振り返るときにも同じ順序をたどっていることに気が付く。 夕暮れと世界の幸せそうな人々を見ながら、孤独な自分を後悔する。 それでも、彼には名家で数々の行事をこなしてきた自負が有り。一流の執事として一事を成してきたという拠り所がある。苦手なジョークも、自分の自信のあるフレームワークに押し込んで解決しようと前を向く。 後悔や違う自分をまったく想像したことのない人はいないと思う。 でも、人はまったく別人には変われないし 変わる方法を考えても結局今までのやり方からしか考えられない。 スティーブンスには前を向いて努力出来る自信が有る。それは執事として一事を成し遂げた自信が有るから。 私は一人で前を向かなければいけないときに、拠り所する自信が湧くだろうか? 自分の目の前のことを一流としてこなしたと自信を持って言えるだろうか 結局目の前のことは世界から見たらほとんどのことはちっぽけなこと。 でも、振り返ったときに何も無い人生だったなって 思わないように自分なりに努力しよう そう思った。 また読み返したい | ||||
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ありがとうこざいました。 | ||||
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なんど読んでも情景があざやかです。ずっと手元に置いておきたい。 | ||||
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一人の執事の旅と彼が使えてきた人の回顧録です。 決して、盛り上がりはないけれどもそこには執事という職業に対する 真摯さを感じます。 そんな彼にも、様々な波乱万丈はありました。 彼の父が使えている途中にだんだんと衰えていき、そして死の床へと尽きます。 だけれども執事がゆえにそれに最初から立ち会うことすら犠牲にするのです。 執事がゆえに。 また、そんな彼を密かに思う、女性の存在もありました。 だけれども執事としての職務がゆえに 彼はそれに気づいていたとしても、それを退けなければなりませんでした。 あえて彼が職務上という名目で振り払ったとしても 実は思っていた、というのは最後の再会の場面でわかることでしょう。 そして再会の場面でも… ただただ穏やかに進んでいきます。 この表題のように。 だんだん塗膜が閉じていく感覚を最初から最後まで。 | ||||
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好きな作品です。田辺誠一さんの朗読も心地よいです。さすが俳優さん! | ||||
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古き良き英国紳士に囚われ続けたがゆえに晩年大きなものを失ってしまったダーリントン卿。 そのダーリントン卿に仕え、執事としての「品格」に固執し続けたゆえに多くのものを失ってきた可能性に気付いたスティーブンス。 長いことスティーブンスに想いを寄せ、結婚相手を愛せなかったが、30年後孫もできて愛せるようになったというミスケントン。 「真の品格」「真実の愛」など幻想に過ぎない、普遍的なものなど全く無いのかもしれないという人生の悲哀を感じた。 また、ふと「私を離さないで」と絡めて考えてみた時に、読後感に似ているものを感じる。どちらにも共通するのは登場人物がその時その時を全力で生き、そして最後は人生を俯瞰してみるという点。 答えはなかなか見つからないが、どちらも人生についての多くの示唆を与えてくれる。 | ||||
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この作品についてはまず最初に映画の方を観、その英国らしい映像美や、主役を演じたアンソニー・ホプキンスの抑制の効いた、味わい深い演技に感銘を受けたのですが、後ればせに原作を読んでみると、やはり近来読んだものの中でも最上の文学作品の一つと思わざるを得ませんでした。 英国の上流階級特有の格調高く洗練された言葉遣い、貴族から庶民に至るまでの登場人物の彫りの深い活き活きとした人物造形、その場の空気感さえ漂わせるような情感豊かな風景描写などは、(そのルーツがどうあれ)作者が英国の教養の中で育ち、その歴史と文化を紛れもなく体現していることをまざまざと物語っています。 読者をあっと驚かせるようなスリルやサスペンスの類を期待する人にとってこの作品は、鼻持ちならない「スノッブ」の世界を細密に描写しただけの退屈なものとしか映らないかも知れません。しかし作品の主眼は、相応しい品格と誇りを備えた英国の執事であることに生涯を捧げた主人公スティーブンスの愚直なまでに誠実な生き様を描くことにあるのであり、その複雑に構築され、巧妙に韜晦された語りを充分に味わい、理解するには、一定の精読、あるいは再読が必要であるように思います(少なくとも当方は、そうでした)。 敬愛するダーリントン卿に対する彼の崇高な忠誠心は、主人の政治的な過ちによって、結果的にあまりにも苦い形で裏切られ、またこの忠誠心ゆえに、彼は父親の死に目にも立ち会うことができず、さらには副主人公であるミス・ケントンとの間に生じ得た愛情の可能性の扉さえも自ら閉ざしてしまいます。聡明で、率直で、情の濃い、何ともいじらしいミス・ケントンの人物描写、また彼女と主人公との間の悲痛にして純粋な愛情の交錯の経過を描き出す作者の文学的技量には、感嘆するほかありません。そのけなげで崇高な志ゆえにあまりにも多くのものを失ってしまった主人公が、最後に自らの生涯を振り返り、自らに言い聞かせるように、また自らを励ますように語る言葉は感動的です。「私どものような人間は、何か真に価値あるもののために微力を尽くそうと願い、それを試みるだけで十分であるような気がいたします。そのような試みに人生の多くを犠牲にする覚悟があり、その覚悟を実践したとすれば、結果はどうであれ、そのこと自体がみずからに誇りと満足を覚えてよい十分な理由となりましょう。」 弱冠三十五歳にしてこれほど陰影に富んだ、静かな諦念に充ちた、苦み走った、味わい深い物語を書き上げた作者の才能(と努力)には驚嘆と敬服を覚えざるを得ません。この作品によって英国は自国の文学の伝統に偉大な一ページを新たに加えたと言っても、全く過言ではないと思います。 一読しただけで「ブッx・オフ」に売り飛ばしても惜しくないと思う小説が世上に氾濫する中、この作品は折に触れて何度も書棚から取り出し、あたかも上質なウィスキーのように、じっくりと味わい返したくなる作品だと思います。日本語として充分にこなれた、誠実丁寧な土屋政雄氏の日本語訳もまた、称賛に値すると思いました。ノーベル文学賞の選考委員は相応しい仕事をしたと、素直に思いました。 | ||||
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執事のスティーブンスを通して伝統的な英国が描かれており、時が穏やかに流れるように感じられる趣のある本です。 翻訳も読みやすく、同名の映画も素晴らしいので小説と映画両方オススメです。 | ||||
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ラスト1ページが、感動ものです。 | ||||
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キンドルであったのでたすかった | ||||
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