■スポンサードリンク


日の名残り



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
日の名残り
日の名残り (中公文庫)
日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残りの評価: 4.46/5点 レビュー 402件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.46pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全354件 281~300 15/18ページ
No.74:
(5pt)

傑作。

静謐な空気、文体の中に、どんでもないものが潜んでいる。英国執事が「最高の仕事」を自負した瞬間と、主人の貴族社会からの転落、父の死、恋人になれたかもしれない女性との決裂、が重なること。そのダイナミズムに圧倒される。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.73:
(4pt)

優雅な翻訳で奏でられる、古き良き英国の品格

内容は別の方に譲り、素晴らしい翻訳についてレビューしようと思います。
原著のストーリーの良さもさることながら、素晴らしい訳者様のおかげで良質の日本語小説となっています。

外国ものの訳書の中には、(原著での言い回しがあまりに日本語になじまな過ぎる場合含め)感情移入できないことがあるのですが、本書の翻訳は素晴らしく、言葉遣いの違和感に邪魔されることなく、品の良い英国執事の語りに導かれて物語を楽しむことができました。

あまりに主人公(執事)の語り口が優雅だったので原著(英語)ではどのような表現なのかと思い、日本語読了後に英語版を購入しましたが、比較してみて、雰囲気を作り出すための訳者の仕事の良さに拍手でした。

例えとして冒頭の一部分抜粋します。

(日本語)
ご想像のとおり、あの日、私はファラディ様のお申し出を真剣には受け止めませんでした。なんと申しましてもアメリカの方ですから、イギリスで普通に行われていることと、そうでないことの区別を、まだよくご存じではありません。不慣れゆえのご発言であろうと、その程度に考えておりました。

(英語)
As you might expect, I did not take Mr Farraday's suggestion at all seriously that afternoon, regarding it as just another instance of an American gentleman's unfamiliarity with what was and what was not commonly done in England.

執事らしい日本語敬語への変換も流麗ですが、直訳では存在しない「なんと申しましても」による妙味、次の文章にうまくつながる「不慣れゆえのご発言であろうと、その程度に考えておりました。」の追加に、なんと文章センスのある訳者様だと舌を巻きました。

ぜひ英国の古き良き品格を優雅な語り部と共にお楽しみください。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.72:
(5pt)

名作

英国近代史を踏まえて是非読んで欲しい。物語として読むのも結構だが、それだけではあまりに勿体ない。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.71:
(5pt)

品格を求めて

執事として個人的な感情を排し、一途に職業人を追求してきたスティーブンスを通して、品格とはなにかを主題に据え、物語は展開する。
イギリスの美しい街並みを自動車旅行しつつ、過去の回想を折り挟んでいくロードムービーふうの構成になっている。
華美ではなく敢えて自己主張しない慎みにこそ真の偉大さが宿る、と作中で執事の品格について語られるが、作品自体もそのように作られている。
執事の品格の追求を縦糸に、女中頭との微妙な関係を横糸に物語は自己主張することなく静かに展開する。
一見地味であり、ドラマティックな展開やサスペンスもないが、だからこそ上質な仕上がり。スティーブンスの語り口も、じつに心地よい。
先代主人、ダーリントンは人格高潔な紳士だが、誠実であるゆえにナチスが台頭する困難な時代背景に翻弄される男でもある。
職業人として個人の生を放棄して、一途に主人に仕えるスティーブンス。
しかしかれとて人間であり、ロボットではない。どんなにプロに徹しようとも、感情を完全に排することはできない。
ラスト・シーンで露わにするかれの感情は、飽くまで静かなものだ。
しかしそこまでいち執事としてそれを表にみせず、溜めに溜めたものであるため、読む者の心を揺さぶってならない。
これほど上質で品格ある小説は、文学史を振り返ってもきわめて稀だろう。
ぜひとも一読戴きたい。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.70:
(4pt)

イギリス人そのものである執事の物語

対独融和派だった(故に第二次大戦後は社会的に葬られる)イギリス貴族に何十年も仕えた執事スティーブンスが、1956年に数日間休暇をもらって国内を旅する中で、1920~1930年代の「お屋敷」の様子や女中頭との交流などを回想していく。
 過去と現在を往復しながら、最後の章に突き進んでいく構成が技巧的。最後の2ページをどう読み取るかによって本書のテーマは大きく変わりそうだが、私は「後悔」と「諦念」なのだろうと思う。
 池田潔『自由と規律』の中に、イギリス人は感情を露出することを嫌うという趣旨のことが書いてあったが、スティーブンスが理想的とする執事―そしてスティーブンス自身もそうである―は、その点でまさにイギリス人の典型と言ってよいのだろう。だから本書は、1人の執事の姿を借りてイギリス人を描いていると言っても良さそうだ。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.69:
(4pt)

記憶の名残り

今まで貴族社会を舞台とした小説を数々読んできたけれども
これほど高貴な小説にお目にかかったこともない。

といっても主人公は貴族ではなく貴族を支えてきた執事である。
その執事が貴族を語る。貴族の主人公や作家が貴族を描くのはたくさん読んできたけれども、
執事の視点から描いたものは珍しいのではないだろうか。だからこそ、視点が斬新でおもしろい。

『わたしを離さないで』でも感じたが、カズオ イシグロはなんて記憶の使い方が上手いのだろう。
この人の現在から過去へのアクセスの仕方、さらには現在と過去の距離のとり方、自由自在である。

イングリッシュガーデンで紅茶を飲みながら、平原に暮れる日を眺めているような優雅な気持ちになります。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.68:
(5pt)

「The Remains of the Day(日の名残り)」の題名そのものの、ほの悲しく、郷愁を誘う作品

英国のバトラー(執事)が、生涯一度の短い旅の間に、自分の半生を回想していく物語。
貴族の館とそこで働くバトラーは、英国の文化・慣習の一つの象徴と言えるが、それを日本生まれのカズオ・イシグロが取り上げ、精緻な描写でこれだけの長編を書いたことがとても驚きである。この作品が英国最高の文学賞と言われるブッカー賞を受賞したことから、英国人にとっても高い共感を得られた作品であることがわかる。
自分の女中頭への本当の思いに気づかぬまま離ればなれになってしまう個人的な悲劇と、長年仕えたダーリントン卿が後年には対独協力者と評価されてしまう歴史的な悲劇が、主人公の仕事振りそのままに抑揚を抑えた文章で淡々と、しかし優しさと温かさを持って語られていく。
『The Remains of the Day(日の名残り)』の題名そのものの、ほの悲しく、郷愁を誘う作品である。
(2013年1月了)
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.67:
(4pt)

職業と人生について

ミス・ケントンのスティーブンスに対する好意にホッとした. ジョークの悩みの様に,環境によって悩みは違うが,時間によって変化するのだから,悩むこと自体のバカバカしさを悟った.
日の名残りAmazon書評・レビュー:日の名残りより
4120019470
No.66:
(5pt)

世界最大の品揃えを持つオンラインストアの創成に最も大きな影響を与えた名作

初めて買ったKindleで一冊目の有料購入書籍として、この書籍を選ぶことにしました。

 本作はAmazonにとって極めて特異的な作品でありましょう。何故ならAmazonの創業者であり現在も主要株主兼CEOであるジェフ・ベゾスは、(配偶者であるマッケンジー・ベゾスによれば)Amazonを立ち上げてから1年が経ったころ本作を読んだとされ、その後ベゾスは本作をインタビューで「一番」好きな本として本作を挙げ、影響を受けたことを公言しているからです。

 一番というのは尋常ではありません。ましてや超多読とされているベゾスの選択の中で、です。世界に存在する数多の書籍の中で本作を何度も読み、そして「一番」好きだといえる方は、何人いらっしゃることでしょうか。

 ベゾスは本作について「自分自身にとってのフォーカスは」と前置きがありながらも「人生の終わりを迎えて、自分が愛する人に対して自分は何のアクションもおこさなかった、そのことに対する後悔」にあり「人生の最も深い後悔は、Commissionによって生じるのではなく、Omissionから生じる」という、人生訓を読み取った(あるいは自分の人生訓を投影した)と言っています。

 もしかすると、私がその一人であるように、人文系学科出身の人間であれば作品からこういった人生訓を導こうとする働きをある種の防衛機制のように反射的に避けようとし、ともすれば醜悪とし、敵対的なものとしてさえ見做すかもしれません。そして、複雑なものを複雑なままに受け入れようとし単純な解釈を意図的に停止させ、その複雑性の中に逃げ込むことこそを高尚なものとしていなかったかと問われたならば、現在の私は困惑の表情を浮かべることくらいしかできないことでしょう。

 20年後に、この作品の本質の何か一つに躊躇なくフォーカスした上でこの作品が一番好きだと言えるようになりましたら、本当の意味でこの作品を味わえたことになり、何者かとしての品格を持ち得たと言えるのかもしれません。その時は、私も気の利いたジョークを交えて再びこのレビューへのコメントを行うことをお約束しましょう。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.65:
(4pt)

執事の人生

この小説の歴史的背景を理解していればさらに楽しめたのかもしれない。
そうでないわたしは、執事の仕事への理解が増し、その生き方が勉強になった程度。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.64:
(5pt)

現在から過去の思い出への移行

執事と言う仕事の中からイギリス貴族の様子が良く出ていると思う。
進行形の中から過去の思い出が鮮やかに浮かび上がり引き込まれた。
このものがたりがカズオイシグロという日本人の感覚から書かれているのが素晴らしい。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.63:
(5pt)

日の名残り

本当にこの題名がぴったりな作品だと思います。「ちいさいおうち」を呼んだあと、これも面白いとすすめられて読んだ作品です。
2つを見比べるととてもおもしろいですね。基本的なスタンスが二人とも同じというのが・・・両方とも自分に都合のいいように書いているというか笑。でもその、都合のよいように書いた結果そのそこに、その人の愛とかいろんなものが感じられて、なんともいえない感情を呼び起こすんです。主人公は、悪い人ではないですが、いい人でもないです。イギリス人のみ大絶賛で他の人種はバカにしているところがありますし、向き合わなければいけないところから目をそらしたり、ダメな部分が結構あります。でもすごくふつうで、まじめな人です。だからこそ最後の日の名残りに感動できました。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.62:
(4pt)

独特の世界感と美しい

良い本というのは、読者を独特の世界に引き込む力を持っています。
この著者の本は、「私を離さないで」に続いて、本作を読みました。 当初、純文学作品であること。 英国の執事を主人公にしているということで、あまり馴染みがなく、読むのを躊躇しておりました。しかし、読者レビューの評判が良いので、読んでみました。
この著者の良いところは、独特の小説の切り口と文章が読みやすく、かつ美しいことです。英文の原書を読みたくなります。
内容ですが、執事という職業やその職業倫理に馴染みがないのですが、この主人公の女中頭のミス・ケントンに対する態度に不自然さを感じました。。著者もこれは意図して書かれているのでしょうが、あまりにもビジネスライクな態度に終始しており、この非人間的な態度が、主人公曰く、「品格」というものかもしれませんが、読者の私からは、とてもりっぱな執事とは思えませんでした。面白みのない・ジョーク一つ解しない性格のようですが、これが英国伝統の良い執事なんでしょうかね。この執事の心理描写をもう少し、きめ細かく描ければ、星5つになったのですが、あと一歩です。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.61:
(5pt)

余韻までが香り立つ傑作

「日の名残り」(カズオ・イシグロ:土屋政雄 訳)を読んだ。両手指の間をすり抜け落ち続ける砂を見つめるに似た痛みを伴う焦燥感に打ちのめされそうになりながら読み続けた。でも読了感は爽やか。これは傑作だと思う。「わたしを離さないで」が嫌いなので他の作品を読まずにいたが、ちょっと反省
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.60:
(5pt)

執事として,そして人間として迎えた人生の夕暮れ

結論から先に言えば,名作です。
90年出版の日本版ハードカバー(中央公論社)を読み,そのあと原文を読み,
そしてこのたび23年ぶりに日本版を再読しましたが,
名作の認識をさらに深めました。

1956年,人生の夕暮れ(日の名残り)時を迎えた老執事スティーブンスが,
ふいに与えられた休暇を利用して,
かってダーリントン・ホールで一緒に働いた女中頭ミス・ケントンに会いに行くことから,
物語は始まる。
スティーブンスは,フォードに乗ってイギリス各地の名勝を巡りながら,
昔を回想しはじめる。

ダーリントン・ホールの主,ダーリントン卿は,
古き良きイギリス紳士で,イギリス外交のキーパーソンである。
1920年から30年代,ダーリントン・ホールでは,
イギリスの非公式外交が連日のように繰り広げられる。
ダーリントン卿は,その紳士的使命感から,
ベルサイユ条約以降,危機に陥ったドイツと
欧米各国との間を取り持とうと奮闘する。

スティーブンスはダーリントン・ホールの有能な筆頭執事であり,
コミカルなまでに禁欲的な人間である。
執事としての分をわきまえ,品格を保ち,
世界史の「車輪」たる主が存分に力を発揮できるように完璧に仕えることを
最高の栄誉と考えている男である。

しかし主のダーリントン卿のことを最優先に考え,
理想の執事像に自分をはめ込むことに熱心なあまり,
スティーブンスは,
「人間として」の自らの自然な感情に気が付くことができない。

そのクライマックスが物語後半「四日目―午後」の章における回想である。

ミス・ケントンは,自分はある人から今求婚されており,
今晩その人に会いに行く,「どう返事をしたらいいものか」とスティーブンスに問う。
しかしスティーブンスは執事としての仕事を全うしようと,
その場を足早に立ち去ってしまう。

一方同時に,館内ではダーリントン卿が,
ナチスのリッベントロップ駐英大使と,英首相・外相との仲介を果たしていた。
若いころから屋敷に出入りしていた,ダーリントン卿の友人の息子,レジナルドは,
ダーリントン卿がその「紳士的善良さ」をナチスに利用されて,
深みにはまって溺れそうになっていると必死になって警告を与える。
しかしスティーブンスは,
自分は執事であり,それについて何か述べる立場になく,
卿を信頼していると頑なに繰り返す。

この夜,スティーブンスは,「地位にふさわしい品格」を保ち続けたと,
「執事として」の勝利感と高揚を感じる。

しかしその後,ダーリントン卿は,
ナチスドイツとの関係を問われ,非難を浴びて,
戦後失意のうちに亡くなる。
ミス・ケントンは,結婚して孫が生まれる年となった。
スティーブンスは,「人間として」の自らの欠けていたものと,取り返せない過去を想う。
最終章,今まで語られなかったスティーブンスの内面の感情が初めて零れ落ちてくる。

しかし同時に,新しい主,アメリカ人実業家ファラデーの陽気な性格に合わせようと,
スティーブンスはジョークの習得に生真面目に励み始めるのである。

その「ジョーク」こそがスティーブンスに欠けていた「何か」を象徴しているのであるが,
また同時に,
その生真面目な態度こそがスティーブンスの所以なのだ。
そしてそのような人生に対するぎこちないけれど真摯な態度と,哀切な結末が,
読者の心を打つのである。

 先述の四日目午後などの物語構成だけでなく,
その他,ディテールの記述,例えば「銀器の扱い」の記述は執事の性格を上手く浮かび上がらせており,
素晴らしいです。

原文も,冒頭から,

It seems increasingly likely that I really will undertake the expedition that has been preoccupying my imagination now for some days.
An expedition, I should say, which I will undertake alone, in the comfort of Mr. Farraday’s Ford; an expedition which, as I foresee it, will take me through much of the finest countryside of England to the West Country, and may keep me away from Darlington Hall for as much as five or six days.

と暗誦したくなるような,
非常に美しく格調の高い文章が続きます。
 
途中まで読んで投げ出したくなった人も,
この物語は派手な展開は一切ありませんが,
最後に素晴らしいラストが待っていますので,
何とか最後まで読み切ってください。

絶対の自信を持ってお勧めします。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.59:
(5pt)

名作です。

「文学作品というのは内容が難しそうで・・・」と思っている人には先ずこの本をおすすめします。
非常に読みやすい日本語訳で、徐々に明らかになっていく物語の全貌、語り手である執事の、かつての御主人様の回想を通じた成長は読んでいてわくわくします。
何だかよく分からないエンディングを迎える文学作品も多いですが、この作品は意味するところが非常に分かりやすく、また後味も悪くない。
ある程度大人になったらもう一度読みたい作品でもあります。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.58:
(4pt)

最後まで、いや、あとがきまで読んで分かったというか

冗長とも取れる長い長い執事としての半生の語り。
これが英国の執事というものなのかと唸らされるほどの考え方への違和感。
執事としての在り方や自分の仕える卿への思いがあまりに正当化されすぎていて
途中投げ出したいほどの違和感にまで高まってしまった。

しかし、それにしても高い評価。
何度も「本当に見間違いではないか」とレビュー欄を確認してしまうほど。
それでも読み進め、最後まで読んで初めて理解した。
タイトルの『日の名残り』の意味も含めて。

人生の最後に近づいた夕暮れ時、自分が振り返って初めて気が付くことがある。
現代の日本に生きる私たちにも同じことが当てはまらないだろうか。
彼が執事として最良であろうとしたことが、必ずしも彼にとって、
卿にとって、またあるいは世界にとって最良ではなかったこともあるはずだ。
気付いた時にはもう既に日は暮れかけていて、問題は自分の手の届かないところに
行ってしまっている。
私の目の前で起こっている、例えば仕事、例えば諸々の問題・・・これらは
果たして私の人生の夕暮れ時にどのような形で思い返されるものなのか。

読み終えた本を閉じて、しばらくして余韻のように押し寄せる想い。
多くの人がこの本に高い評価を寄せる理由は後になって分かる。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.57:
(4pt)

課題図書

研究会の課題図書でした。
書店へ行かず、すぐに手に入ったので助かりました。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037
No.56:
(5pt)

イギリス文学。

映画を見て、この本を読んでみて、すごく執事の仕事へのひたむきな姿勢を痛々しく感じながらも、 なにか自分の生活にも反映して読んでいた。 いい本だと思う。
日の名残りAmazon書評・レビュー:日の名残りより
4120019470
No.55:
(4pt)

時間の流れはよどむ川のように

同じ時、同じ場所で政治が語られ、女性のヒステリーに近い時間も流れる。
うわべの冷静さと内側の感情の機微が語られている。
日本では語られない風景が印象的だ。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:日の名残り (ハヤカワepi文庫)より
4151200037

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!