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日の名残り
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日の名残りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全354件 241~260 13/18ページ
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読み始めたら止まらいないというのは、この本の事だろう。 日本にはいない 執事の矜持がよくわかる。 かつてのご主人さまに仕えていた頃の回顧を通して、主人公に寄り添うような感じで読んでいく作品。 じっくり主人公に肩入れした読者には、言葉にならないラストシーンが待ち受けています。 訳者のあとがきがすべてを物語っているので、絶対に先に読まない事です。 そして、作品を読んでしまった後は、必読です。 作品に対する理解が、より一層深まることは間違いありません。 | ||||
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私はスティーブンスとは仲良くなれないタイプだなぁ。 彼の大切にしている品格と言うものをイシグロはどのように捉えているのだろう? 抑制の効いた文体はイシグロの特徴なのか?作品が変われば変化するのか? もう一冊読んでみたい。 | ||||
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カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞を知り、初めてkindleで購入。一日で一気に読了。 この小説がどのような点で評価されたのかについて考えた。 英国において失われた「執事」の文化を日系の作家が捉えた描写の精妙さがエキゾチシズムと感じられたのだろうか。 欧米人にも日本の「武士道」は知られているが、主人公スティーブンスが追求している執事の「品格」が、どこか「武士道」と重なる。スティーブンスがダーリントン卿に対してもつ、信仰にも似た滅私的な態度は、「武士道」の主君への忠を彷彿させるだろう。 「武士道」が、武士階級がなくなった明治時代になって、理想化されたものとして生み出されたように、スティーブンスのいう「品格」は反時代的であり、現在社会から遊離しているのではないだろうか。 主人公であるスティーブンスが語り手となって、物語は進行するせいか、その中に感情移入してしまうと、作者が含ませたトゲが鈍り、アイロニーが淡くならざるを得ない。作者の意図を汲んだ土屋政雄氏の訳文は、そうした屈曲を十分ていねいになぞっているのであるが……。 最後の場面-ウェイマスの桟橋で「夕方が一日でいちばんいい時間なんだ」という行きずりの男の忠告をスティーブンスは理解しかける。けれども、残りの時間を楽しもうとして、思い立ったのは、ジョーク(冗談)の技術の研究であった(アイロニー!)。 スティーブンスが執事人生で最大の勝利感を感じた夜、彼はダーリントン卿がもった重要な会合のために部屋の外で控えていた。ちょうどその時、惹かれ合っていたミス・ケントンは他の男からの求婚を拒むようにスティーブンスから求められるのを心待ちにし、哀しみにくれていたのである。 スティーブンスが関係した会合とは、ナチスに利するだけのものであったことが後に分かり、しかも彼はその場に一時間立っていただけだった(アイロニー!)。たしかに身にまとった「執事職」を「脱ぎ捨てるような真似」は、絶対にしないことを守った。それは勝利であった。けれども、ミス・ケイトンは去り、二人の人生に大きな悔悟を残したのである。 もし、第三者の視点から、回想ではなく、進行形で語られていたら、皮肉やユーモアが際立つことになったかも知れない。しかしそのようなシニシズムに堕することを作者は好まなかった。 上では二点だけを例としたが、スティーブンスの言動と時代との不調和は、枚挙に遑がないほどだ。それらに暖かい愛情を注ぎつつ、肯定も否定もしないところが優れた作品である所以であろう。 このような熟達の小説を35歳で執筆したカズオ・イシグロの感性に英国人はエキゾチシズムを感じたのだろうか。 | ||||
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イシグロ氏、ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。ということで、また引っ張りだして読んでみた。昔読んだ時は断然「私を離さないで」派だったけど、今読むとこっちの方が好きかも。 クライマックスのウェイマスの桟橋の夕日のシーンは言わずもがな。もうね、小説の構成が、もうね。全てはこの、隣に居合わせた見知らぬ男に、このセリフを言わせんが為の前振りに過ぎなかったんだなぁという、気持ち良いしてやられた感。 …と、まあ王道な読み方でも楽しめるし、もちろんちょっとしたイギリス歴史小説としても楽しめるし、私はこの小説、世間知らずのスティーブンスの「初めてのおつかい」的な、コメディタッチの冒険譚としても楽しめるのではないかと。 主人公のスティーブンス氏って、頑固でプライドが高くて、変に見栄っ張りで、イケ好かない奴なんだけど、馬鹿真面目に努力しても、その努力の方向性がズレズレだったり、憎めないキャラクターなんだよね。 以下、私が読みながらツッコんだところ。 旅行1日目、通りすがりのオッサンの挑発に乗り「絶景の丘」にすたこら登るスティーブンス氏。 ナショジオでしか見たことない世界の景勝地より、やっぱりグレートブリテンの景色には品格があるぜ(ドヤぁ) レジナルド様に「生命の神秘」を説こうとシャクナゲの茂みに隠れる、が未遂に終わる。 気になってるミス・ケントンの前でついついいけずな態度を取ってしまうスティーブンス氏。 仕事終わりにミス・ケントンの部屋で行われるココア会議(おまいら中学生か!) ガス欠になったり、つい見栄張って素性を偽ってしまったりと、失敗した後は素直に失敗を認め、たかと思いきや往生際悪くエクスキューズを並べまくる。(で、毎回言い訳の文がその後2〜3ページ続く。) 新しいアメリカ人のご主人様にアメリカンジョークで応戦するも、盛大にスベり、ラジオを聴いてネタを仕込むも、田舎の農村の酒場にて(しかも同じ鳥ネタで)場を凍りつかせ、極め付けはラスト「お帰りになったファラディ様を、私は立派なジョークでびっくりさせて差し上げることができるやもしれません。(ニヤリ)」(なんだその鋼のメンタル) これ、絶対イシグロ氏も狙ってる〜。 とか、下世話な視点で楽しんでました。天下のノーベル文学賞に対してスミマセン。でも面白かった〜。 | ||||
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素晴らしい日本語翻訳も手伝って、1ページ目から名作であることを確信します。ぐいぐい引き込まれ、ラストが待ちきれず一気に読了しました。 ちょうど先般ロンドンからオックスフォードシャー経由でデヴォンシャーまで車で旅行したこともあり、スティーブンスにすっかり感情移入してしまいました。1920年から30年代にかけてのイギリス貴族の政治・戦争への関与とはこうだったのかもしれないと、ダーリントン・ホールがまるで実在の館のように感じられワクワクしました。 イギリスには貴族の館が点在し、幸運な場合はザ・ウォレス・コレクションやチャーチルの生家チャッツワース・ハウスのように一般公開され我々の目に触れることができますが、もしダーリントン・ホールのモデルがどこかにあったなら…。鋭く限りなく温かい人物描写とともに深い余韻に浸れる芸術作品でした。日本人が英国で国際的に活躍していることも本当に誇らしいです。ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。 | ||||
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10年ほど前に読みました。 とても美しい日本語で埋め尽くされた翻訳によって、 綿密に考え抜かれたすべての感情にうったえかける物語が 無駄なくこの一冊の本にすっぽりと入っているような作品。 読後感は爽やかで感慨深く、 海外文学でこんな作品があるなんてと 静かな驚きと喜びで満たされました。 情景描写が秀逸で '夕日が少しだけ開いた扉から細く入ってきている' 場面が 「日の名残り」のことを思い出すたびに頭に浮かびます。 それは、5歳まで日本で生活された作者ならではの表現なのだと思います。 また、映画も本当にステキな作品ですので読後に観てみるのもおすすめです。 ノーベル賞、受賞おめでとうございます。 ニュースを聞き、ファンの一人としてまるで自分のことのように晴れがましく、 誇らしい気持ちでいっぱいです。 次回作もどんな驚きに満ちた作品を書いてくださるのか期待しております。 | ||||
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ノーベル文学賞受賞、おめでとうございます。 たまたま、まさに、これを読んでました。 著者は、長崎生まれ、イギリス育ち。 本作品は、イギリスの執事の物語。 第二次世界大戦の裏の名家での交流を執事として見ながら、 執事としての伝統を守っていこうとする主人公。 しかし、伝統の周囲には、変化の流れもあり、軋轢が… 英国の香りが漂う作品だと思いました。 | ||||
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ノーベル賞を取ったイシグロさんこの本もイギリスで賞を取っているようですので,読んでみたい | ||||
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『わたしを離さないで』も楽しませて頂きましたが、個人的には『日の名残り』の世界観の方がずっと好きです。 小説の中でありがちな、登場人物の他のことを薄く書かれているようなことはなく、緻密に正確に記載されているので、スーーっと感情移入できます。 まるでスティーブンと一緒に歩いている感覚にとらわれていきます。 漫画とは違う、小説の面白さは、世界観を自分の頭の中で描けることですが、翻訳本は翻訳家の技量によって大きく作用されてしまいます。 その点、この本の翻訳は素晴らしい!!! 立板に水が流れるように、詰まるところ無く、自然と楽しめます。 イシグロ先生と翻訳家の土屋 政雄 先生にも敬意を評します。 イシグロ先生の本はさることながら、土屋先生が翻訳された本もこれからはマークしておこう! | ||||
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第二次世界大戦が終結して10年後のロンドン近郊、旧イギリス貴族の由緒ある屋敷。新しいアメリカ人の主人から短期間の休暇を与えられた執事、スティーブンスは、西へ向けてのドライブ旅行に出かける。過去に屋敷を去ったミス・ケントンの消息を訪ねると言う目的を持って。 展開されるイングランドの田舎の素晴らしい光景。諸外国の派手さではなく、落ち着き、慎ましさこそ、イギリスの持つ真の美しさである、と思う。 道中に出会うさまざまな人々との会話を通じ、執事としての栄光の日々が思い起こされる。 自らの職業的あり方を貫き、それに耐える能力こそ、品格の有無を決定するとの思いは揺るがない。 そして、品格を体現したという自負心。誇り。 自ら仕えたダーリントン卿こそ、真の紳士。 しかし、過ぎ行く大英帝国の残照が、影を指す。 そして、ミス・ケントンとの再会。過ちの人生がはっきりと姿を現す。 旅を終えて気づくのは、過ぎ去った執事としての栄光の人生。些細なミスの多さが、体力・知力の衰えをはっきり示す。 パックス・ブリタニカの権勢はとうに過ぎ、米ソ超大国に挟まれ、1960年代に植民地の独立が相次ぎ、衰退するばかりの祖国。 そして、もしかしたら歩めたかもしれない、ミス・ケントンとの結婚生活……。 それらが夕焼けの光景に重なり、スティーブンスは静かに涙を流す……。 「日の名残」 タイトルが見事な、美しすぎる物語。 英国最高のブッカー賞受賞作。納得だ。 | ||||
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ダウントンアビーを見ていたのでとてもよく理解できました。イギリスの階級社会と質の高さを改めて垣間見た感じです。カズオイシグロ新作がでましたね。楽しみです。 | ||||
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美しい表現だし、自分も過去を振り返る日々が来るくらいに年老いたらそうなるのかもしれない。 今はそう思わない、人生の節々で印象の変わる本かもしれない。 | ||||
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これほど丁寧語が徹底されて、イヤミ感が皆無な文章は初めて読んだ。 自分の恋愛感情も深く押し殺して、最後まで執事としての職務を全うする姿勢に感動した。 AmazonのCEOが心に残る一冊に上げていたので読んでみたけど、一流の人は一流の文学を読んでいるんだなぁ。。。 | ||||
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名家の執事を務めてきた主人公は,現在ではアメリカ人に支えている. 主人の不在中に遠出した主人公は過去と人生を振り返っていく. 旅の合間に,「執事」とは?という命題の一人語りを中心に物語は進む. イギリスの低迷とアメリカの台頭という時代の流れを背景に それを受け入れることと,英国執事としてのプライドの両立に苦労しつつ, それをそれとは語らずに表現する筆力は大したものである. 一見謙虚な語り口の中に隠しきれない尊大さが滲み出ていて, それを第三者の視点を使わずに,十分に読者に伝えている. このような一人称の使い方があるのかと感心した. 大きな事件や深遠なメッセージ性があるわけではないが, 古き良き英国上流階級の雰囲気がよくわかる作品である. | ||||
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この本を読んだあとに抱く感想は様々だろう。執事である主人公のストイックな姿勢と品性に日本人が失ってしまった「サムライ魂」に通じる気高さを感じ憧れを抱くかもしれない。もしくは、執事という仕事の品性にすべてを捧げた主人公の人生を哀れと思うかもしれない。どう思うかは人によって分かれるだろう。いずれにせよ、読後は胸を押し付けられるような哀愁と人生の愛おしさを感じることになる。 何よりもこの本はゆっくり読んでほしい。決して結論を焦って読んではいけない。そもそもこの小説にはドラマチックな展開はない。終末に向かって淡々と小さなエピソードが積み重なるだけだ。しみこませるように文章を味わいながら、細かな心の動きを感じながら読んでほしい。すると主人公の独白の中にときおり人生の重要な教訓をみつけることができるだろう。「あのころは無限の時間があるような気がしていた。一瞬一瞬が人生を決定づけ、いまは夢全体が永遠に取り返しのつかないものになった」という一節に出会えただけでもこの本を読んだ価値があった。 結局、人生の満足というものは、他人にどう思われるかではなく、自ら設定した基準に対し忠実に実行することの誇りである、というなのだろう。 | ||||
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初めて読んだのは10代でした。日の名残りという哀愁のある響きと英国執事、日系作家の本というのに惹かれて読みました。世間や人生に無知の私はうっすらと感動を覚えただけでした。ただ、ミス・ケントンの「人並みの幸せに早く気づいて感謝すべきだった」という言葉が頭に残っていました。最近ダウントンアビーの執事を見てこの本を思いだし、10数年ぶりに読みました。当時は政治の話はさっぱりでしたが、今は理解でき、父親の話、ミス・ケントンとの再会には涙が出ました。スティーブンスの不器用さ、遅すぎた認識、盲目的な忠誠心…。10代には気付けなかった事が色々ありました。スティーブンスは執事の仕事は完璧にこなしても、個人的なことまでは完璧にはできなかったんですよね。仕事一筋な為に見えてなかった大切なこと、それに気付いた時にはもう取り返しのつかない時になっていて、でも周りも自分もこれからも人生を歩んでいかなければならない…。この本は切ないながらも読者を前向きにさせてくれます。最後にスティーブンスが現主人の為にジョークの練習に取り組もうとするように、私も今できる前向きな努力をしていかないと、と思いました。翻訳が素晴らしく、スティーブンスの一人称はきれいな日本語でとても読みやすいです。必ずまた再読したくなる名作です。 | ||||
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10年近く前に一度読んで、面白い本だな、と思いました。 先日ブックオフで見かけたので手にとって見てみました。 本にかなり書き込み(傍線や丸印)があり、それらにも惹かれて購入。 やはり良い本は何度読んでも良いものです。 時代設定、登場人物、舞台、全てが必要であり、十分な条件です。 言葉遣いも独特です。訳者も苦労されたのでは。 タイトルも秀逸です。 | ||||
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素晴らしい翻訳。もしカズオ・イシグロが日本語能力を失わず保持していたら、こんな文体でこの作品を書いたのではないかと思わしめる、ベテラン翻訳者土屋氏の実力が遺憾なく発揮された珠玉の小説。偏屈で石頭で無意味なまでに徹底して保守的でカビが生えたような英国ブルジョワジーの中で人生を過ごした執事の晩年の回想録が、人間の営みの深淵、悲しみと喜びを淡く優しく照らし出すとは……。この作品を読むまでは想像もできないほどの設定で、連動しないはずの普遍性まで深く掘り込む筋書きに感想も出ないほど圧倒される。 | ||||
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色々と考えさせられる小説です。ああ、こういうことあるなぁとか、こんな場合どう振る舞うのが正解なんだろうと、考えさせられました。 | ||||
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ページを開いた瞬間にビジュアルイメージが広がるような文章表現、好奇心を唆る世界観とストーリー展開に加えて主人公が回顧する語り口調で書かれており目新しさもある。 | ||||
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