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(短編集)
バナナ剥きには最適の日々
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バナナ剥きには最適の日々の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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表題作は,著者の SF 作品にはやや珍しく,既知の科学法則の中で実現可能な話なのが良いです.「主人公」の思索にもほとんど飛躍がありません.その意味で,ある種のリアリズムが作品にはあります.今まさにこの宇宙のどこかでこんな探査球が旅をしている,なんてことが,理論上は完全に可能なので,そんな可能性に思いを馳せてしまいます. やや内輪ネタめいたところもありますが,個人的に偏愛を覚えるのは「捧ぐ緑」です.(ごく狭い)一部界隈の研究者にとっては半ば以上あるあるネタみたいなところがあるので,読みながらにやにやしてしまいました.「ゾウリムシは信仰を持つか」という研究テーマについても,確かに実験に落とそうと思うとそんな感じになるなあと,ふむふむ言いながら読み進めました. ところが解説へ飛ぶと,「独特の『わからなさ』が立ち上がる」と書かれてしまっています.ややひねくれた見方にはなりますが,「研究の話を正確にしたところで専門外のひとには真面目に受け取ってもらえず,茶飲み話のレベルでおもしろがってもらうのがせいぜいだ」という,短編冒頭の愚痴が回収されてしまっているわけです.そんなところも含めてにやにやしました. | ||||
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なんとなく理解できるような、 でもなんだか頭がぐるぐるしてくるような、 不思議な感覚になれる本です。 文章の内容に引き込まれるから面白いというのではなくて、今までに感じたことのない頭のぐるぐる感覚を与えてくれた本ということで、面白い本だなと手元に置いています。 こんな本もあるのだな、と感慨深く思います。 | ||||
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10作収録。 変わらず「わからないけどおもしろい」作品。初めて円城塔を読むならば、これから手にしてもよかったかもしれない。 個人的には怪奇幻想色のある「Jail Over」がお勧め。 | ||||
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『どちらかというと分かり易い最新作品集』との評が物語るように、氏の中でも分かり易い気がする本作。 ですが安心して下さい、気のせいです。相変わらず分からないのに面白い不思議さは、仕組みが分からなくても利用出来る便利な家電と似ているかもしれません。 | ||||
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色んな媒体に掲載された作品を集めたもので、作者にしては読み易い。そして何となくわかったような気になるのが知的優越感をくすぐる。作者が圧倒的な理系知識を基に小説を書いているのは凡人にもわかるので、少しでも理解出来ると嬉しくなるが、こんなもの訳がわからん、と正直に貶してしまうと自分のバカさを告白するようでそうはし辛い。円城塔がそういう作家なのは確かだと思う。悪く言えばずるい。 たぶんもっともらしくはあるが、ただのホラ話なのだろう。仮にそうだとしても、こんなに理屈っぽそうに書ける事自体が凄いし、わからないけど面白く読めるのだ。個人的には難解な現代詩のようなequalが気に入った。 円城塔が面白いフリをするのはカッコ付けたがりの、私みたいな人間だと思う。いや、ホントにずるい作家だ。 | ||||
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知的快楽という言葉があるが、円城塔ほど知性の快楽の深さを知らしめてくれる作家はいないだろう。 自分語りとうんちくと思考実験と、それらに冷や水をかける読書感想文みたいな唐突なユーモア。円城塔と他の作家を隔てる、これらの熱のこもらないやりとりが不可解な設定をさらにねじれさせる。 かと思いきや読み終えてみると、普遍的な青春ドラマや思い出話だったような気もする。この「残らなさ」がある種の人々にとってはたまらない。かくいうぼくもその一人です。宇宙人を探索するために送り出された衛生の妄想とひとり言を描く表題「バナナ剥きには最適の日々」などがいい例だろう。 我々は未知を追い求める存在であるが、現実がその様子を冷笑する。未知ってなんだろう、わからないってなんだろう。そうした紙にもならない疑問を小脇に抱えて現実に生きている。そうした瞬間にふと円城塔を読んでみる。すると、「わからない」ことそのものがそこに姿を表す。読書の最中僕らは理解不能ななにかと向き合い格闘し、わからないまま読み切り、結局なにも残らなかったりする。メッセージとかも特にない。なぜ残らないのかそれ自体もよくわからない。合理的に片付けられないような、かといって合理以外の何物でもない文章と対峙して見えてくるのは、なぜだかそれを冷笑しきれない現実だ。ぼくはそれがたまらない。 文芸誌にとどまらず、円城塔がいろいろなフォーマットで発表してきた作品が本書には勢ぞろいしている。円城塔作品に慣れている人には小粒ぞろいに感じられるだろうが、初読者の自分には円城塔の持つ世界観を俯瞰するためのカタログにもなった。いい入門書であるが、入門書と呼ぶにはまったく理解し難いのでご注意を。 | ||||
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解説に「なぜ『わからないけどおもしろい』と感じるのかがちょっとわかる(かもしれない)作品集」とありますけど、そう思います。円城さんの本を読むのは2冊目ですが、わからないけどおもしろい、でも前に読んだ時より少し近づけたかも、という感じ。 カルビーノやボルヘスを読んでいるように感じる時もある。軽さ/重さ、明るさ/暗さ、陽気さ/切なさ、そういったものがぺったりくっついていたり、メビウスの輪のようにつながっていたり。非とか無とか全とか、そんな文字が頭に浮かんだり。 おもしろいんだから、わかる/わからないなんて、どうでもいいんじゃない? そう、そのほうがすんなり読める。読み終わってから、なんでおもしろかったんだろう、どこを気に入ったんだろう、と考えたほうが作品全体と素直に向き合える。 でも、それだと作者と読者の対話であるところの小説というものの存在が少し薄れてしまうような気もする。これまでよりさらにおもしろく読もうとするならば、わかろうとする努力も必要だよな。わからなくたっていいじゃないかと開き直って読むとしても。 うーむ、面白い作品集であるが、いろいろと考えさせられる作品集でもあるな。 | ||||
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表題作の他、「パラダイス行」、「祖母の記録」、「『AUTOMATICA』『円城塔』」、「equal」、「捧ぐ緑」、「Jail Over」、「墓石に、と彼女は言う」、「エデン逆行」、「コルタサス・パス」(文庫化に当たってのボーナス版の由)の全10編の作品から構成される短篇集。本作のキャッチ・コピーは、「分らないけれども面白い円城作品をチョット分る(かもしれない)作品集」の由。言い得て妙である。 冒頭作の「パラダイス行」で、のっけから「ないはないはない」との哲学(禅?)問答が提示される等、円城氏の世界にドップリと浸れる。特に、<文章の自動生成>を扱った「『AUTOMATICA』『円城塔』」(『円城塔』も表題です!)が作者自身による円城作品の自己解説となっていて、円城ファンには見逃せない短編。私も、金子邦彦氏「カオスの紡ぐ夢の中で」で知ったのだが、円城氏は院生時代、金子教授の研究室に在籍し、複雑系(あるいはカオス)の研究をしていた由。その時、今で言う<遺伝的アルゴリズム>等の人工知能技術を用いて、計算機シミュレーションを行なっていた様だ。円城氏が計算(機)理論にも詳しい理由が頷けた。更に驚くべき事は、金子氏の作品(構成は鵺の様)中の"小説もどき"中に、円城氏が<小説自動生成プログラム>として登場するのである。<小説自動生成プログラム>としての円城氏と人間(!)の作家としての円城氏との関係が、本短編において、書き手と読み手との間の相互作用に基づいて簡潔(無碍?)に説明されている。 表題作は、宇宙物理学を突き詰めると、哲学や詩の世界へ彷徨ってしまうのかと思わせる印象的な短編。「捧ぐ緑」はゾウリムシの進化実験を扱ったものだが、茶飲み話→講演→着想外の結末へと至る展開が奇抜。「Jail Over」は珍しくホラー味が漂う短編だが、結局は"わたし"と"わたし"が繰り出す妄想との関係を主に、幾つもの表象に対する位相(例えば、脳=牢獄)を埋め込んだ最も円城氏らしい良く分からない作品。「墓石に、と彼女は言う」、「エデン逆行」、「コルタサス・パス」の三編も多次元宇宙、鏡像、創世記、一瞬の邂逅等を扱って神秘的雰囲気(良く分からない感)を漂わせている。「コルタサス・パス」には「よくわからないということがよくわかった」という自虐ネタとも取れる台詞まで出て来る。本当に良くは分らないが、魅力溢れる作家だと改めて思った。 | ||||
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今作は一見さんもとっつき易いと思われます。 ・「バナナ剥きには最適の日々」表題作。 どんな高性能A・Iでも暇を持て余せばくだらんことを考え出すんだろうなと……おもし ろかった。 ・「祖母の記録」不謹慎だろうけど寝たきり老人の活用法としてユニークだなと感じた。 超高齢化社会をエンタメ脳で乗り切る…… アリだと思った。 ・「コルタサル・パス」自分が生きている現在(いま)も数年とはいわないが早ければ数十年後には〝こんな風に〟語られて〝あん な風〟に扱われる日が来るんだろうなと……ちょっぴり哀しくなった。 全体的に本当読み易かったです。 | ||||
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他の作品には嵌れませんでした。 描き下ろしも入ってて欲しかったです。 | ||||
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帯に「どちらかというとわかりやすい」とか書いてあったから買ったのに、相変わらず分かりづらいですね(褒め言葉) 普段よりは読みやすい気がします。難解な言葉が出てこないので。 読みやすい短編が半分くらいあるのは珍しい気がします。 でもたまに文章が論理式みたいな構造になるのはいつものこと。そこに至るとなんかもう、理解を放棄し始める。いちいち命題の真理値とか考えたくないし。そこら辺は、空気を楽しめばいいんじゃないかと思うので、問題ないのですが。そこの厳密な真偽はストーリーに関係してませんし、多分。 本書ののっけから「ないはないはない」とか訳のわからんことを言い出す主人公が出てきたりで、本当に不思議空間を生み出すのが上手な作家だと思います。 いつも、訳がわからないのに、何時の間にか引き込まれています。 短編集なだけあって、様々なアイディアを垣間見ることができるという意味でも、この作家さんの入門書にちょうどいい気がします。 少なくとも表題作はとても読みやすいので、軽く手にとって見て欲しいなあ、と思います。 | ||||
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これまでの作品と比べて読みやすい短編集。 (≠意味が理解しやすい) 収録作品は以下の9編 ・パラダイス行 ・バナナ剥きには最適の日々 ・祖母の記録 ・AUTOMATICA ・equal ・捧ぐ緑 ・Jail Over ・墓石に、と彼女は言う ・エデン逆行 細部を辿ろうとすると迷宮に迷い込むのはいつものこと。 元ネタを探るもよし、文体を味わうもよし。 自分の思うがままに読み進めるのが一番楽しめるはず。 | ||||
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表題作も切なくて良かったし、何より「equal」が素晴らしかった。 発想も文章もとにかく美しい。 抽象と具象がくるくる自在に入れ替わって、読んでいると心が跳ねる。 手足を縛っている見えない紐が、ぱちぱち切られてゆくような快感。 これほど自由な空間を本の中に作り出せるのは、円城塔だけだ。 | ||||
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