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美の神たちの叛乱
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美の神たちの叛乱の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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ルノアールの贋作を扱ったコン・ゲームの体裁を装った愛の物語。舞台の殆どは美と芸術に相応しくパリである。500頁超の大部であり、力作である事は認めるが、私が期待している作者の"冴え"は感じなかった。私は中編集「夜よ鼠たちのために」を作者の最高傑作だと思っているのだが、読者の眼に映る"見かけ"を一瞬の内に反転させてしまう作者のミステリ的手腕("冴え")には感服したものだ。 本作もルノアールの贋作、モデルの贋作、女装した男娼......といった贋作だらけの世界で、真偽を一瞬の内に反転させてしまう、あるいは読者に真偽を掴ませないといった上述のものと同様の趣向を期待していたのだが、残念ながら平凡な出来。冒頭、登場人物達の関係が分からない内は暗中模索で、その先の展開に期待したのだが、関係が分かってからはラストに作者が用意してものだけを期待して読み進めた(大部なのだが、作者特有の抒情的描写を除いて骨格だけを抜き出すとかなり薄っぺらなのである)。一応、コン・ゲームであるからには、当然、登場人物達の騙し合いはあるのだが、読者が期待するのは作者が読者に仕掛ける騙しである。それだけに、平々凡々たる結末には落胆させられた。連城先生、まさか、「贋作だらけの世界の中で真実は愛だけだ」なんて事を主題にしている訳ではないですよね。 その中で、特筆すべきは"怪物"と呼ばれるマダムの造形である(作者は何処から思い付いたのであろうか ?)。このマダムの"怪物"振りを紹介する訳には行かないが、本作はこのマダムあってこその物語である。「美の神」という題名も悪くはないが、作中でも言及される「ネメシス」の物語といった方が相応しい作品だと思った。ラストは、実はこのマダムは「***」であった、という様なオチになると思っていたのだが......。 | ||||
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