(短編集)

片桐大三郎とXYZの悲劇

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評判

片桐大三郎とXYZの悲劇の評価:

3.43/5点 レビュー 14件。 C ランク

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平均点3.43pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21〜28 2/2ページ
No.8
(3pt)

キャラは秀逸だが・・・

片桐大三郎のキャラが何と言っても秀逸。 日本を代表する銀幕の大スターの、あの人とあの人とあの人のアマルガムかなあと、想像しながら楽しく読みました。 でもミステリとしての論理の詰めの部分でちょっと不満があり、この評価にしました。 たとえば最初の話ですが、片桐の推理のキモとなったアレ、被害者が吊革に掴まっていたという描写はどこにもないですよね。 それから三番目の話では、犯人が携帯を持ち帰らなかった理由は他にも考えられるので、推理が強引に感じました。 犯人の名前をズバリ当てる場面は痺れましたが、まさか当てずっぽうだったなんて・・・。
片桐大三郎とXYZの悲劇 Amazon書評・レビュー: 片桐大三郎とXYZの悲劇より
4163903356
No.7
(5pt)

「読者を選ぶ」傑作

クイーンの4部作を既読か否かで印象が変わる(と思われる)作品。 ある年代以上のミステリ好きにとっては当然の「基礎教養」であった作品群を全く読んでいない読者の受け取り方は想像しかできないが、「借景」を欠いた舞台と「意味不明」な思わせぶりな記述に低評価を下すかもしれない。 騙されたと思って、4部作を読んでから、再読することを強くお勧めします。
片桐大三郎とXYZの悲劇 Amazon書評・レビュー: 片桐大三郎とXYZの悲劇より
4163903356
No.6
(2pt)

一変。

『シュークリーム・パニック』の今二つな出来に著者に距離を置いてから、久しぶりでした。主人公、片桐大三郎の役者人生の歴史を書かれても、作者の脳内設定が連なっているだけなので、感心できません。また、ユーモアも空回り気味。読むのに苦労した作品集でした。しかし、最後の一遍で評価が一変しました。これがまた…。やっぱり、本格ミステリは、こういう不意打ちがあるからやめられないのです。読者に「え…え…まさか…?」と思わせる、素晴らしい技巧!感嘆しっぱなしです。
片桐大三郎とXYZの悲劇 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 片桐大三郎とXYZの悲劇 (文春文庫)より
4167911221
No.5
(2pt)

一変。

『シュークリーム・パニック』の今二つな出来に著者に距離を置いてから、久しぶりでした。 主人公、片桐大三郎の役者人生の歴史を書かれても、作者の脳内設定が連なっているだけなので、感心できません。 また、ユーモアも空回り気味。 読むのに苦労した作品集でした。 しかし、最後の一遍で評価が一変しました。 これがまた…。 やっぱり、本格ミステリは、こういう不意打ちがあるからやめられないのです。 読者に「え…え…まさか…?」と思わせる、素晴らしい技巧!感嘆しっぱなしです。
片桐大三郎とXYZの悲劇 Amazon書評・レビュー: 片桐大三郎とXYZの悲劇より
4163903356
No.4
(4pt)

柔らかな手触りの奥に潜む、鈍くて重い手応えも持つ連作

デビュー作の『日曜の夜は出たくない』以来、『過ぎゆく風はみどり色』『星降り山荘の殺人』『闇ニ笑フ』などで、大仕掛けなトリックを大胆不敵な構成で描き、「天然カー」とも呼ばれた倉知淳さん。その彼は同時に、「猫丸先輩シリーズ」などの諸作で、のどかで優しげなムードの文章の奥に、人間の底に潜む強烈な悪意とそれに対する諦観のようなものを味わわせてくれていた作家でした。

本作は御存知のようにドルリー・レーン四部作を下敷きにした、ミステリ好きへのプレゼントです。高名な著者の遺稿紛失をめぐる謎、現場の足跡を消した痕跡の意味、服を貫く穴が語る犯行の経緯の真相、などとクイーンの原典を利用しつつそれを絶妙にすり抜けていく数々のモチーフを、やはり「なぜ四部作にしたのか」と露骨に匂わせる意味ありげな装置に乗せ描き出してくれています。
かつて某映画で「初代金田一耕助」を演じたこともある三船敏郎を思い起こさざるを得ない時代劇俳優の大スターが、映画ファンなら誰もが一度は聞いたことのあるようなエピソードを巧みに生かした舞台設定で闊歩するのを、ごくフツーの女の子が聴力をなくした彼の「耳」となって、時に振り回され時に担ぎあげられ時に鯛焼き代を返せと迫られつつ、事件の現場を駆け回るシリーズです。

私の場合、連作四部作であることに意味があるのだろうと思って眺めていて、まんまとしてやられました。第一作で妙に事件の説明に無駄に見える描写が多いと思い、警察の捜査が杜撰だとか関係者の事情聴取に面白みがないとか勝手なことを感じつつ、お決まりのフレーズをひょいひょいと斜め読みしていたら、最後の作品では見事に背負い投げで場外まで飛ばされました。背筋の寒くなるような非常に後味の悪い事件から、身近で温かい話に展開していくのは北村薫の『空飛ぶ馬』の構成に似ているな、などと思ったらもう作者の術中にはまっていたわけです。
大仕掛けの中に巧みな小技が生きていて、たとえば犯人が警察と駆け引きしている時の不思議な行動の理由について猫丸先輩シリーズの「日常の謎」的な解決が示されますが、殺人事件でもあるこの事件に不釣り合いのように見えるその心理も、犯人の性格設定によって納得させられてしまいます。決して一度読んだら他の作品を手に取る気がなくなる稀代の大作というものではありませんが、十分な楽しみと手ごたえを感じさせてくれる逸品です。
むしろ、こういう締めくくりでは、また片桐座長と野々瀬乃枝のコンビの活躍を書いてもらわないわけにはいかないだろうと思わせてくれる流れと言えるでしょう。ぜひぜひ続編、できれば再び三度の「四部作」によるシリーズ化を期待しています。
片桐大三郎とXYZの悲劇 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 片桐大三郎とXYZの悲劇 (文春文庫)より
4167911221
No.3
(4pt)

柔らかな手触りの奥に潜む、鈍くて重い手応えも持つ連作

デビュー作の『日曜の夜は出たくない』以来、『過ぎゆく風はみどり色』『星降り山荘の殺人』『闇ニ笑フ』などで、大仕掛けなトリックを大胆不敵な構成で描き、「天然カー」とも呼ばれた倉知淳さん。その彼は同時に、「猫丸先輩シリーズ」などの諸作で、のどかで優しげなムードの文章の奥に、人間の底に潜む強烈な悪意とそれに対する諦観のようなものを味わわせてくれていた作家でした。

本作は御存知のようにドルリー・レーン四部作を下敷きにした、ミステリ好きへのプレゼントです。高名な著者の遺稿紛失をめぐる謎、現場の足跡を消した痕跡の意味、服を貫く穴が語る犯行の経緯の真相、などとクイーンの原典を利用しつつそれを絶妙にすり抜けていく数々のモチーフを、やはり「なぜ四部作にしたのか」と露骨に匂わせる意味ありげな装置に乗せ描き出してくれています。
かつて某映画で「初代金田一耕助」を演じたこともある三船敏郎を思い起こさざるを得ない時代劇俳優の大スターが、映画ファンなら誰もが一度は聞いたことのあるようなエピソードを巧みに生かした舞台設定で闊歩するのを、ごくフツーの女の子が聴力をなくした彼の「耳」となって、時に振り回され時に担ぎあげられ時に鯛焼き代を返せと迫られつつ、事件の現場を駆け回るシリーズです。

私の場合、連作四部作であることに意味があるのだろうと思って眺めていて、まんまとしてやられました。第一作で妙に事件の説明に無駄に見える描写が多いと思い、警察の捜査が杜撰だとか関係者の事情聴取に面白みがないとか勝手なことを感じつつ、お決まりのフレーズをひょいひょいと斜め読みしていたら、最後の作品では見事に背負い投げで場外まで飛ばされました。背筋の寒くなるような非常に後味の悪い事件から、身近で温かい話に展開していくのは北村薫の『空飛ぶ馬』の構成に似ているな、などと思ったらもう作者の術中にはまっていたわけです。
大仕掛けの中に巧みな小技が生きていて、たとえば犯人が警察と駆け引きしている時の不思議な行動の理由について猫丸先輩シリーズの「日常の謎」的な解決が示されますが、殺人事件でもあるこの事件に不釣り合いのように見えるその心理も、犯人の性格設定によって納得させられてしまいます。決して一度読んだら他の作品を手に取る気がなくなる稀代の大作というものではありませんが、十分な楽しみと手ごたえを感じさせてくれる逸品です。
むしろ、こういう締めくくりでは、また片桐座長と野々瀬乃枝のコンビの活躍を書いてもらわないわけにはいかないだろうと思わせてくれる流れと言えるでしょう。ぜひぜひ続編、できれば再び三度の「四部作」によるシリーズ化を期待しています。
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4163903356
No.2
(5pt)

作者の新しい代表作となるミステリ中編集

寡作の倉知先生ですが、一方滅多に出ない新作がレベルが高いことでも知られています。
今作で探偵を務めるのは聴力を失い俳優を引退した往年の銀幕スター片桐大三郎。彼は有り余る知名度を武器に秘書を引き連れ趣味である殺人事件の捜査に邁進します。
タイトルやキャラ設定、言うまでもなくクイーンの「レーン四部作」へのオマージュです。
パロディではなくオマージュなので、設定や状況は似通っていてもギャグではなく(倉知先生らしいユーモアはありますが)まっとうなミステリになっています。
作品ごとの長さも各編二段組約100ページのボリュームがあり、発端から解決まで間然とすることなく楽しめます。
一つの証拠から事件を解決しラスト片桐の犯人に対する人を食った発言が楽しい「ぎゅうぎゅう詰めの殺意」。
『被害者はなぜウクレレで殺されていたのか』という疑問から犯人を一気に導く過程が見事な「極めて陽気で呑気な凶器」。
冒頭の伏線と片桐の言動の真意が驚愕の展開見せる「途切れ途切れの誘拐」。
レーン四部作読者であればニヤリとする「片桐大三郎最後の季節」。
全編通して素晴らしいのは倉知先生の哲学である「初心者にも分かりやすいミステリを書くこと」というテーマが貫かれていること。どの事件も分かりやすい構図と一発で理解できる真相を持ち合わせているのに謎はしっかりと伏せられています。
「星降り荘の殺人」「壺中の天国」に続く倉知先生の新しい代表作になると思う一冊です。
(それからアマゾンのデータは間違っていて本当は399ページあります)
片桐大三郎とXYZの悲劇 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 片桐大三郎とXYZの悲劇 (文春文庫)より
4167911221
No.1
(5pt)

作者の新しい代表作となるミステリ中編集

寡作の倉知先生ですが、一方滅多に出ない新作がレベルが高いことでも知られています。
今作で探偵を務めるのは聴力を失い俳優を引退した往年の銀幕スター片桐大三郎。彼は有り余る知名度を武器に秘書を引き連れ趣味である殺人事件の捜査に邁進します。
タイトルやキャラ設定、言うまでもなくクイーンの「レーン四部作」へのオマージュです。
パロディではなくオマージュなので、設定や状況は似通っていてもギャグではなく(倉知先生らしいユーモアはありますが)まっとうなミステリになっています。
作品ごとの長さも各編二段組約100ページのボリュームがあり、発端から解決まで間然とすることなく楽しめます。
一つの証拠から事件を解決しラスト片桐の犯人に対する人を食った発言が楽しい「ぎゅうぎゅう詰めの殺意」。
『被害者はなぜウクレレで殺されていたのか』という疑問から犯人を一気に導く過程が見事な「極めて陽気で呑気な凶器」。
冒頭の伏線と片桐の言動の真意が驚愕の展開見せる「途切れ途切れの誘拐」。
レーン四部作読者であればニヤリとする「片桐大三郎最後の季節」。
全編通して素晴らしいのは倉知先生の哲学である「初心者にも分かりやすいミステリを書くこと」というテーマが貫かれていること。どの事件も分かりやすい構図と一発で理解できる真相を持ち合わせているのに謎はしっかりと伏せられています。
「星降り荘の殺人」「壺中の天国」に続く倉知先生の新しい代表作になると思う一冊です。
(それからアマゾンのデータは間違っていて本当は399ページあります)
片桐大三郎とXYZの悲劇 Amazon書評・レビュー: 片桐大三郎とXYZの悲劇より
4163903356