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未来の二つの顔
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未来の二つの顔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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本書の出版年は日本語版で1983年であり、発表は1970年代後半。 はるか昔のことで、とうに30年が過ぎている。 学生時代に熱狂的に迎え入れられたハードSFの第一人者が このジェームズ・P・ホーガン。 マイコンなる言葉が新鮮で、今思えば8ビットCPUでもそこそこ 遊べる時代。NECの88は出ていただろうか? コンピュータが知性を持つのか。 知性を持たせるために、どういう「プログラム」を 挿入すればいいのか。 「命令に従う」だけでは全く無意味であり、命令を コンピュータが制御できる余地をいかに残すのか。 その知性とはどういう振る舞いをするのか。 知性が発達していく過程はどうか。 そんな時代に「人工知能」を扱った本書はまたまたよく読まれて いた記憶がある。 さて、現在から見直すと…やはり「古びた」印象を受けてしまう。 ここの描写が古臭く感じるのではなく、「人工知能」がかくも容易に 生み出され、即現場で応用されるという設定自体が、現実味を欠く。 ホーガンが作家になる前に関わっていた仕事と関連が深いだけに 頭をひねる。 またコンピュータをプログラミングする際に、実行するか否かの 選択権をある程度コンピュータに留保していくやり方も、今では疑問。 ホーガンらしくリアリィティをもたせてはいるが、もう少し詳しい説明が ないと「感覚的に了解」できても、その後の物語の悲劇を生むには あまりに浅薄な印象を受ける。 この時代の雰囲気がよく出ており、時はまさにバブル前夜で、 かなりの「明るさ」を持った時代だったな…と懐かしく思う。 だからこそホーガンは「ハッピーエンド」にしたのだろうが、 終局の状況では、たかが数人の科学者の「思い」でもってこの危険な コンピュータを「人類の味方」とするが、まずありえない結末。 「コンピュータの知性」の進化が、当初の推測を裏切って 「コンピュータが暴走」した後ではなおさら。 百万分の1でも一億分の1でも「人類を全て滅ぼす可能性のある機械」を そのままにしていく選択などありえない。 時代の息吹を感じられるとは言え、この作品は忘れ去られるだろう。 ホーガンへの思いは大きいが、現在ではそういう評価しかありえまい。 なんにせよ歴史を感じる一作。 懐かしい作品 人には勧めない(☆2つ)が… 個人的には☆は5つ | ||||
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今読み直すと、ホーガンという作家の先見性と同時に70年代SFの限界も見える。高速コンピューターネットワークが地球を覆う21世紀、それは既に光通信やブロードバンドによるネットが現実のものとなった今では、SFではなく現実である。月基地から発射される鉱石を利用して植民用の巨大スペースコロニーが建造されているという辺りは、いかにも70年代的で楽天的だ。建造中のスペースコロニーを利用して人類の未来を占うAI進化の実験を行うというお話だが、AIが自意識を持つための条件としての外界と身体(ロボット)、センサー、シミュレーション空間を設定してある辺り、当時としては先駆的だったと思われる。AIの自意識の描写はやや物足りない。 当時の最新の人工知能研究を踏まえて書かれた作品だけに、その後の理論や技術を先取りした部分が多いが、その分、現実が作品を追い越して古びてしまった部分も目立つ。人間ドラマの構造がかなり単純明快なのも80年代以降のハードSFとの大きな違いで、良くも悪くも『スターウォーズ』との同時代性が感じられる。 | ||||
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