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死屍累々の夜
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死屍累々の夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.57pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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犯人は派遣形の売春をしているのだから、旅館を乗っ取る必要がない 実際最初は乗っ取った旅館で売春をするが、途中から全く売春をしなくなり 何のために乗っ取ったのかわからない 乗っ取りにあたり三千万円もの現金を使っているが半額くらいしか回収できていない 必要もないのに危険な殺人や監禁をする理由がない 色んな謎がどんどん出てくるが、最後に明かされるのはほんのちょっと(うたの出生の秘密くらい) でほとんどは謎のまま この著者の作品は他にもいくつか読んだがだいたい同じパターンで、謎は明らかにされないし、動機がわからないものばかり 一応文章などは読みやすいし、展開もいいのだが、最後がすっきりしないので、もう読むつもりはない。 | ||||
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最後まで主犯の動機やら重要な部分は解明されない。なにを考えてるのか分からないで済まされては…。 一家乗っ取りはクリーピーとは似たような金絡み手口だったが、クリーピーのようにきれいに収まった高揚感はなかった。 立て続けにこの著者の本を読んだが、クリーピー以外は面白くない。枯れたと判断した。 | ||||
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昭和59年、大量惨殺事件を起こした挙句、集団自殺で果てた木裏健三。 俗にいう「木裏事件」を、事件から30年を経て、因縁のあるジャーナリストが改めて見直し、書きつづったノンフィクション、という形の小説(ノンフィクショナルノベル)。 読み始めてすぐに私の脳裏に浮かんだのは、佐木隆三氏のノンフィクション小説や映画「復讐するは我にあり」で有名になった西口彰だ(小説では榎津)。 キリスト教の信者の家に生まれた西口と売春宿で生まれた木裏。 大学教授や弁護士に化けて、次から次へと殺人を犯し、日本列島を縦断しながら逃亡した西口と違って、本作の主人公木浦は、東大での本当のインテリだが、人を騙すこと、殺すことなどなんとも思わず、やはり人間の心をもたないサイコパスだ。 また、2人とも頭が良いが、結局は犯行の目的が常人には理解不能で、まともじゃない破滅という結末に自ら突き進んでしまうところも、逃避行という最終手段も良く似ている。 本作でも、大殺戮をする木裏だが、加害者とはいえ、それなりの手間や苦労があるだろうに、何のための犯罪行為だったのか、結局は誰にもわからないところが、とってもノンフィクションっぽく書かれている、というべきか。 一家がまるまる監禁され、拷問され、殺される過程は本当に恐ろしく、真正面から向き合って読み進めるのがとってもつらかったが、最近起きた尼崎や北九州での殺人事件を考えると、こんなこと、またはこれ以上の残酷な出来事が実際に起きていたのかと思うと心底ぞっとする。(あれらの事件あっての、この作品なのかもしれないけど) フィクションなのに、まるで実在する犠牲者の無念が胸に迫ってくるような作品でした。 | ||||
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「クリーピー」で初めてこの作者を知り、他の作品も読んだ中で、 これが一番面白かったです。 読み出したら止まらない、猛毒に満ちた話でした。 もとは東大の教壇に立ったほどのインテリでありながら、売春宿の経営に身を転じた主人公。 ドストエフスキー「悪霊」の主人公スタヴローギンと重ねて読み進めましたが、 大きな違いとして背景に「神」がないところに、純粋な悪を感じます。 集団自殺の場面に漂う哀愁が、深く余韻として残ります。 | ||||
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読み始めたら止まらない、いや途中でやめることが出来ない、いわゆる徹夜本である。この作品は木裏健三という東大卒にして売春宿の経営者という得意なキャラを持つ人物にまつわるルポルタージュという形式で書かれている。木裏は目的のためなら平気で次々と人を殺せる、人間的感情を持たないサイコパス的な人格の持ち主である。いったい何が彼をそんな人間にさせたのか、またこれだけの冷酷な犯罪者でありながら付いていく手下や女たちがいるのか、まるでカルト宗教の教祖のようである。どこにそれほどの人間的魅力があるのか、また一体どんな理由が彼のそのような人格形成させたのか、残念ながら最後まで読んでもその結果はわからない。確かに彼には人間の禁忌に触れるような過去の出来事がある、とはいえそれだけの原因でこのような異常な人間になったとも思えない。とにかく分からないのである。作者は分からないものは分からない、一番危険なのはわかったふりをすることである。そう言いたかったのかもしれない。 | ||||
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著者の前川裕氏のミステリー作品は、『クリーピー』、『アトロシティー』、『ハーシュ』、『アパリション』、『イン・ザ・ダーク』などというカタカナのタイトルが特徴だったが、突然『死屍累々の夜』という漢字だらけのタイトルが現れた。実は、この作品は、何ヶ月か前に購入し、家族はすでに読み、絶賛していたのだが、評者はなかなか読むタイミングがなかった。昨晩、読了したが、これはすごい。文体も洗練されていて読みやすい。ノンフィクション・ノヴェルという事実に基づいた小説のジャンルはあるが、前川氏が称するノンフィクショナル・ノヴェル、事実に基づいたかのような小説、もまたリアルである。この作品を読んだある雑誌の編集者が、ノンフィクションだと思いこんで、背景の事実をインターネットで調べまくったという話もうなずける。物語は30年前の集団自殺をテーマにドキュメンタリータッチで展開する。カリスマ的な支配者の下にある集団の中での人間の心の弱さ、もろさ、恐さに鳥肌がたつ思いがする。虚無、狂気、愛、切なさが、読後の余韻として残る逸品だと思う。この流れの次回作を期待したい。 | ||||
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前川裕氏の作品は本作が初めてでしたが、秀逸なプロットや端正な文章と描かれた凄絶な事件のコントラストなどにより、最初から最後までおどろおどろさせられながらの一気読みでした。人間存在の不可思議さ・悲哀さにも打たれるところがあり、読後の余韻も格別の一冊です。(強いて云えば、光クラブ事件の山崎晃嗣やイエスの方舟事件の千石剛賢といった人物像を思わせる主人公の生涯を主軸に、北九州連続監禁事件や尼崎連続変死事件などの趣きを加え、土屋隆夫の『危険な童話』・江戸川乱歩の『孤島の鬼』風にまとめたという感じでしょうか。あと、個人的には、元旗有紀の(想像上の)美肢体が脳裏から離れません・・・) 「セックスはいいものでしょ。でも、ただはいけません。それは食い逃げと同じですから」・・・「このお金をいただいていいものか迷いますので、警察と相談してみます。これが売春とみなされなければいいのですが-」(30頁) 「組長ともあろうものが、自分の愛人にこんなアルバイトをされるとは、何事ですか。その責任を私に押しつけるのは、恥の上塗りでしょ」(32頁) 「分かった。親の所に行きたいんだろ。お前にはそれしかないのかも知れん」・・・「三郎、葬(おく)ってやれ」(191頁) 「あのもちもちした柔肌。一度経験したお客さん、病みつきになるんじゃないの」(205頁) 「哥たちは、実際、生まれたままの姿で何時間も抱き合ったのだ。今でも哥が思い出すのは、本当に柔らかくて気持ちのよかった有紀の乳房の感触だった」(213~4頁)。 「「有紀さんとはもうやったのか?」三郎は思わず苦笑しながら、首を横に振った。この老人も狂っていると、言いたげだった。「だったら、早くやったほうがいいに。木裏さんもやっとるかも知れんで」」(221頁) 「有紀は、・・・ ほとんど全裸に近い状態だった。許されていたのは、下半身の白い下着だけで、上半身には何も身につけていなかった。・・・ 胸に掛かったロープは殊更強く胸を締め上げ、幾分ピンクがかった乳首の突起を際立たせていた」(238~9頁)。 「有紀さん、本当に自然ないい香りを体から発散するんです」(302頁)。 なお、一方では、何故に書類の有効性確認が必要であったのか(131頁)や有紀が屈服するに至った経緯がつかめなかった点(193~205頁)、松中がゲロるのが唐突過ぎるように見えた点(228頁)、こんなに早く警察署に行ったら死ぬものも死ねないのではといった点(280頁)等々、流れとしては一読者として腑に落ちなかった点も若干あったことを付言しておきたいと思います。総じて云えば、★5つは間違いないのですが、ヴィンテージ物の蒸留酒や醸造酒といった趣きではなく、かといって混ぜ物としてのジュースでもなく、上質なカクテルの味わいのする一品でした。 | ||||
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