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(短編集)
宇喜多の捨て嫁
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宇喜多の捨て嫁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 21~40 2/3ページ
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タイトルをみて宇喜多直家の娘の生き様が描かれた小説だと思った.読み始めると,最初のうちは四女である於葉を中心に話が進む.直家はところどころに顔を出す程度である.そして前半の早い部分で直家は逝去する.あとは於葉の生き様を描いてゆくものとばかり思っていた. ところが章立てが変わると,場面は直家幼少期に移る.回想シーンらしく描かれており,於葉のこれからの人生に直家がどれだけ影響を与えたかを示すための章だと思った.ところがその次の章になっても,更にその次の章も,そのまま直家の生涯が書き続けられてゆく.最終章になると,また場面転換される.今度こそ於葉のその後を描くのかと思いきや,最後まで直家を描く. 場面展開が絶妙である.読後にして思えば,このタイトルも考えに考えられたものなのだろうと推測がつく.いい意味での「裏切られた感」がずっと続き,退屈する場面が無い. 私は宇喜多直家が好きで,これまで何冊か直家を主人公にした小説を読んできた.が,直家が梟雄と呼ばれるに至る過程で,(表向きの)主君である浦上宗景の影響をここまで深く描いた作品を読んだことは無い.場面転換だけでなく,内容的にも心地よい「裏切られ感」が続く.浦上宗景という人物にまで興味を抱いてしまった. お薦めの一冊です. | ||||
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あれやこれやと言いませんよ。 とにかく、ともかく、宇喜多直家と彼を取り巻く人間関係のドラマを楽しんでみて下さい。 | ||||
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宇喜多直家という題材は歴史小説として書くにあたっては非常に難しい題材だ。 その謀略と殺戮にあけくれたイメージがあり、読者としても感情移入しいくい存在となりがちである。 それを非常に巧妙な筆力と構成によって読むものを共感へと導いていく。 これはなかなか常人にはできるものではない。 非常に優れた作品です。 (リアルおもろー) | ||||
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高校生直木賞というのがあるのだが御存知でしょうか?全国の高校の図書部?約20校が自分達の大賞を自ら読み込んだ選書の中から賛否討論をして毎年1冊を選ぶというもの今年で2回目でこの作品が今年の大賞です。へへん・・高校生ならラノベとかじゃねえの・と甘く仕合ったら、この打ち込みですよ。奴等、本気と書いてマジって読むやつですわ。ちょいと見直しました。 裏切りと謀殺を繰り返し業を重ねる宇喜多直家、自分の娘4人も全てその道具として利用し抜きます。1編目で末娘の婚礼から直家自身の破滅までを描き、2編目以降で幼少期の直家:八郎が如何に苦悩し、運命に人生を塗り込められてゆきこのようになってしまったのかを描き明かしてゆきます。その筆致と世界観たるや・・そう!スターウオーズエピソード3のダースベーダーの悲劇の構成そのもの。。。身奮いして喰い入るように一気読みしてしまいました。目が離せませんでした。BGMは是非ジョンウイリアムスで・・・・ | ||||
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武将の娘がどんな覚悟で嫁にいくのかが、少しイメージできました。 戦国時代はやはり戦の世の中なのですね。 | ||||
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この作品は、宇喜多直家の一生と、彼の周りの人々を描いた6つの短編により構成されている。 体中の古傷から血膿が滲み出る奇病・尻はすを患う直家。 美しくもグロテスクな表紙を開いたその時から、宇喜多直家の深い業に引き込まれていくように感じられた。 (遊び紙や内表紙に使われた、真っ赤ででこぼこした紙が血膿を連想させる、素晴らしい装丁) 表題作『宇喜多の捨て嫁』は、父直家を嫌う四女・於葉を主人公としているため、直家が非常に不気味で嫌悪感を抱かせる存在として描かれている。 謀に嵌ることの恐ろしさに寒気を感じると同時に、戦国時代の闇の部分に引き込まれた。 そして、於葉の夫・後藤勝基の男気に酔いしれた。 『無想の抜刀術』直家の少年期の話。 個人的な感想ではあるが、今までいくつかの作品で見てきた『八郎』たちの中で、唯一ありのままに生き、最も悲惨にまみれているのが、この八郎。 徹底して描かれた不遇の少年期が、その後の話に繋がっていく。 『貝あわせ』そんな少年期を過ぎ、武功により城を得て、普通ならどんどん出世していくサクセスストーリーになるはずが、そうはいかないのが直家の人生。 良い家臣、出来た奥方と可愛い娘たち、頼りになる義父に恵まれ、読んでいるこちらが安堵したのも束の間、後半は胸を締め付けられるような描写が続く。 祖父の仇である島村盛実は当然ながら悪役として描かれることが多いが、この作中では島村は魅力的な人物として描かれているのが興味深い。 『ぐひんの鼻』主君・浦上宗景を主人公とした作品。 俗な言い方をすれば、中二病をこじらせたパワハラ上司の宗景。 主人公になり内面が描かれることで、より一層醜悪さが感じられる宗景の生き様。 そんな宗景の目から見た、成長した直家とその家臣たちの描写が圧倒的であり、暗くも胸のすく展開が待っている。 こういう男に仕えたからこそ、直家は家臣を大事にしたのだなと思った。 『松之丞の一太刀』浦上宗景の子・松之丞を主人公とした作品。 自分を害するものに対して、無意識のうちに反撃を行う直家。 その娘婿となった松之丞は、命の危機に瀕しても攻撃ができない、戦はしたくない、という心の持ち主。 真逆に見える二人が交差するこの話に、最も直家の人間性を感じた。 悲しくも、胸が熱くなる一話。 『五逆の鼓』浦上宗景の兄・政宗に仕えた、江見河原源五郎を主人公とした物語。 それまでの話とは大きく舞台が変わるため、一見本筋とは無関係に見える。 だが、江見河原が宇喜多に寝返ったところから、最後に向けて一気に目が離せなくなる。 何冊かの本やwikiなどで宇喜多直家について知ってから読んだが、新たな視点からの人物描写が秀逸で、引き込まれた。 温かさや悲しみや怯えといった、人間らしい感情を持った直家が魅力的で、血にまみれた梟雄となっても、その奥底には直家という人間が生きているのが、私には嬉しく感じられた。 | ||||
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戦国の世にあって,自分の人生を生き抜いた宇喜多直家の生き方が,心に重く響きました。平和と戦乱,家族と領民,生きることと死ぬこと,一見平穏な時代を振り返って,直家の生き方は刺さるものがありました。物語の配列が絶妙です。一気に,読了しました。 | ||||
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まず構成が読ませるなと思いました 1話の最初から直家の衣服を洗って売る老婆・・・何気ない言葉だけの登場の「腹裂き婆」なのだが その謎が2話、4話、6話とだんだん分かってくるのもいい 2話、3話は直家視点なので直家がとても良い青年にしか思えない展開が続くが 恐ろしくなっていく様を4話の浦上宗景視点から見ると恐ろしさが倍増するというか 人の恐ろしさというのは本人視点からじゃなかなか描けないものなのだなと思いました | ||||
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キンドル版で1500円以上。処女作にどうかと思いましたが、行間がスカスカの昨今の作家さんの作品とは違う。読み応えがありました。 縦糸を武人直家の活躍、横糸を母との関係及び娘を絡めた筋書き。母の話しが比較的長く、果たして必要なのか、と思いましたが、最後まで読むとなるほど、と納得できます。もちろん史実ではなく、創作ですが、きちんと話しの駒として生きていました。買って良かった。 しかし、斉藤道三、松永久秀と並んで三悪人と呼ばれますが、妖怪なのは、直家ではなく浦上宗景。この時代は妖怪が多くて面白い。松永久秀も書いて欲しいし、司馬遼太郎を超えた斉藤道三も書いて欲しいものです。 | ||||
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デビュー作にして、直木賞候補作となった、大型新人の野心作。 歴史・戦国マニアならご存じの、「悪人」大名、宇喜多直家を、その祖父から子供までの4世代に渡って深く掘り下げた作品。 岡山の宇喜多というマニアックな舞台設定(戦闘エリアも基本的には全て岡山です)で、裏切りと暗殺が日常の世界を、甘美かつ痺れるスタイルで描ききった力量は、直木賞候補作家がダテではないことを感じさせてくれる。 とにかく文章が美しく、その設定と考え抜かれたストーリーも圧巻の一言。 とはいえ残念ながら小生は戦国小説、歴史小説を全く読まないので、折角の重厚かつ濃厚な文章も、味わいきることができませんでしたが、それは小生の能力、知力の至らなさゆえ、やむを得ないと思っています。(そういう個人的な理由で★は4つにしています。) とにかく戦国下克上のヒリヒリした世界にどっぷり浸らせてくれる、王道ど真ん中の本格的な作品。 歴史小説好きには是非とも手に取ってもらいたい一冊です。 | ||||
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本当の歴史小説を読んだ気がしました。下剋上とは何だったのか初めて理解した気がしました。 | ||||
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直木賞候補ということで、評判を聞いて手に取った本。 もともと歴史にさほど詳しくなく、宇喜多直家の名も大河ドラマで聞いたことがあるぐらいだったが、読み始めると止まらず、面白く読めた。 表題作では、策略のために実の娘を利用する非道の人物として描かれていた直家だが、読み進めるごとに彼の人間的な一面が浮き彫りにされる。気の毒な出自から始まり、彼が敵に囲まれた戦国の世で生き延びる術として策略を重ねねばならなかったことが分かる。身内にとっては非道な人間だが、家臣を大切にしたというし、意外と部下にとってはよい武将だったのかもと思わされる。 信長や秀吉の活躍の影に隠れがちな、アンチヒーローに光を当てた力作。デビュー作で直木賞ノミネートの実力派、今後が楽しみな歴史小説家の登場だ。 | ||||
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NHK大河で陣内孝則さんが演じていた宇喜多直家の一生の興味が湧き、本書を一読。どこまでが史実で、どこからが創作なのかはありますが、この時代の播磨灘地方一帯をめぐる乱世暗闘の凄まじさがひしひしと迫る一作でした。正に一気読み。 「疑われたら最後なのじゃ。主に灯った疑心の火を消すことが不可能なのは、古今東西の歴史が証明している」(100頁) 「そうせねば、今度は我が一族が主から仕物される。浦上家には人質もとられている。一族のためには殺らねばならなかった」(同) 「婿殿、計略を覚えるのじゃ。孫子も、”兵は詭道なり”と申しておる。百の兵を損じる勇ましき手柄よりも、千の兵や万の民の命を安んずる謀(はかりごと)を駆使せよ。力攻めなど最後の手段じゃ。民のためを思うならば、悪人と罵られることを厭うな」(145頁) なお、評者の一押しは「貝あわせ」。やったと思ったら裏切り者にされていたという劇的展開が見事。本書全体として文章はやや荒削りで意味が取りにくい箇所もありましたが、期待の大型新人の方ですね。 | ||||
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表題作を雑誌掲載時に面白く読み、単行本の発売を楽しみにしていた作者さんです。 全編、期待に違わぬクォリティの高さでした。 宇喜多直家、という一般的にはあまり知られていないであろう戦国武将をメインに据え、 彼とその周辺人物、そして彼の生きた戦乱の世が骨太な筆致で描かれています。 これでもかとばかり繰り返される裏切り、謀略、争い。 残酷な運命に翻弄されながら、それでも必死に生きてゆく人々の姿。 気付けば物語世界に引き込まれて、最後のページを閉じるまで出られなくなっていました。 考え抜かれた構成なのでしょう。 時系列や視点人物をあちこちに飛ばしながらつづられてきた物語が、 最後の一話で最初の一話につながって、ぴたりと円環が閉じる。 なんと見事な、とうならされました。 ・・・じゃあなんで星が一つ少ないのか、という理由ですが。 まず一つは、諱(いみな)の横に官職名のルビを振るという表記のしかた。 斬新ではあるけれど、やはり読みづらい もう一つは、宇喜多“和泉守”直家、という、官職名を“ ”に入れた表記のしかた。 これもわかりやすくするための工夫なのかもしれませんが、“ ”の多用が、目にうるさく感じられる。 普通に、宇喜多和泉守直家、でいいじゃないですか~、と思ってしまったのでした。 細かい点ですが、字面の印象って意外と重要ではないかと。 ぱらっとめくってみて、「うーん・・・なんか読みづらいな」と思ってやめちゃう人もいるかもしれません。 というわけで星四つですが、内容的には文句なく星五つです。 血みどろの戦国時代にどっぷり全身浸ってみたい方、ぜひどうぞ。 | ||||
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タイトルに惹かれて読みました。歴史モノに疎いがそれでも一気に読めた。わかりやすいし難しさもない、それでいて格式ある読み物でした。確かに今年読んだ読み物のなかで心に残る一冊となった。 現代の企業で行われるM&Aなんて生ぬるい。これは戦国時代といっても鎧モノの類でなく、まさしく人の生きざまを描いたもの。今、平凡な人生を送るなかで些細なことでつまずきますが、心の中では嵐となってます。だからでしょうか。凄惨な戦国時代を生きる登場人物に感情移入して自分自身を投影してしまいました。そして読後感はしんみりと。なんといってもそれぞれの人物の行動の根底に愛があったことを感づかされた気がします。 | ||||
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連作短編だが、通読することで宇喜多直家という男の生きざまが浮き彫りになる。 宇喜多直家はいかにして「あの」宇喜多直家になったのか。 冒頭、「宇喜多の捨て嫁」で娘・於葉の目から見た、歴史ドラマや小説でおなじみの悪人・直家を印象付けておいて、2作目からは幼少時の直家の話となる。3作目の「貝あわせ」が直家の悲壮な決意で幕を閉じたあとは、他の視点人物から見た「あの」宇喜多直家が描かれており、その間にあったであろう彼の変化と葛藤に、胸を痛めずにはいられない。最終話「五逆の鼓」の、様々な人物の業の深さに、読後しばらく考えさせられた。 作者が何かのインタビューで「人間を描きたかった」と言っているのを耳にしたが、まさに宇喜多直家という複雑怪奇な男を描き切ったといえよう。 | ||||
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歴史に全く疎い私でも、引き込まれて読み進んでしまう作品です。 直家を決して悪党とは思えない、切なさ、辛さが伝わってきます。 愛情があるからこそ、のようなものさえ感じられます。 胸にきました。 | ||||
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愁眉極まる屍を越えていく宇喜多和泉守の後ろ姿を見ました。 通俗小説に堕していない。戦国という舞台を借りて、生きていくことの厳しさが描かれている。 捨て嫁は、捨て駒。尻はす 和泉の守の業病。 血膿の腐臭か 屍の死臭か。 | ||||
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※誤って消してしまったので再送です。 マイナーな戦国武将・宇喜多直家のお話。 表題作の「宇喜多の捨て嫁」は最初は名前を把握するのに手間取ったが、後半からはスラスラと読めた。終盤の囲碁の場面はハラハラした。 「無想の抜刀術」はうってかわって、二人称視点。二人称の歴史小説は初めてなので戸惑う。最後に二度大きなどんでん返しがあり、一度目は見事。二度目のはどうだろうか。個人的にはありかな。 「貝あわせ」は、最初はまったりと進む。ホームドラマのノリで正直飽きかけたが、後半はドドウの展開。これを前半でもやってほしかった。 「ぐひんの鼻」「松之丞の一太刀」を読んで、作者は歴史小説を書こうとしているのではないと思った。きっと、現代小説ののりで、歴史は題材に選んだにすぎないのだろう。 「五逆の鼓」は、収録作の中で一番感動した。冒頭作のエンディングとリンクするが、一読目と全く違う感動があった。 普通の歴史小説と思って読むと★3つ、最初から歴史小説ではないと思って読んでいれば★4つかな。 ある意味、おしい。 | ||||
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宇喜多直家と言えば、悪党達が跋扈する戦国乱世の中でも最悪中の最悪の人物との評価が一般的なのでしょう。 暗殺・毒殺・裏切り・偽りの降伏、本書でもその様な直家の評価に沿った直家像が描かれています。 そして、何といっても「尻はす」持ちの直家の血膿・腐臭が全編に渡って溢れ・漂ってくる所が本書の特徴でしょうか。 一方で、何故直家がそのような人間となって行ったか、丹念に織り込まれたストーリから作者の意図を理解する事が出来ました。 当たり前ですが、生まれた時は人間皆似たようなもの。 若き日の快活で素直な直家が、次第に戦国の梟雄として変容していく姿は、あたかもスターウォーズのダースベーダを彷彿とさせます。 読後に感じるものは、直家持つ寂しさ・孤独感の凄まじさ。 久しぶりに、どっぷり世界観に浸れる一冊に出会えました。 | ||||
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