愚道一休
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あらすじ
「立派なお坊さんになるのですよ」母の願いを受けて、安国寺で修行する幼い千菊丸だが、禅寺は腐敗しきっていた。怠惰、折檻、嫉妬、暴力。ひたすら四書五経を学び、よい漢詩を作らんとすることをよすがとする彼の前に将軍寵臣の赤松越後守が現れ、その威光により、一気に周囲の扱いが変わっていく。しかし、赤松は帝の血をひく千菊丸を利用せんとしていることは明らかだった。建仁寺で周建と名を改め、詩僧として五山の頂点が見えたのにも拘わらず、檄文を残して五山から飛び出して民衆の中に身を投げる。本当の救いとは、人間とは、無とは何なのか。腐敗しきった禅を憎み、己と同じく禅を究めんとする養叟と出会い、その姿に憧れと反発を同時に抱えながら、修行の道なき道をゆくのだった。己の中に流れる南朝と北朝の血、母の野望、数多の死、飢餓……風狂一休の生そのものが、愚かでひたすら美しい歴史小説の傑作。(「BOOK」データベースより)
評判
愚道一休の評価:
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愚道一休の総合評価:
10.00/10点 レビュー 2件。
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もちろん渡れない橋や屏風の虎で有名な、頓智の天才が圧倒的なイメージだが勿論これは後世の創作。
本当の姿がまた一筋縄ではいかない。何しろ僧侶どころか庶民レベルでもとんでもないお人なのである。僧なのに酒や肉をたしなむのは当然、遊郭で歌えや踊れやのどんちゃん騒ぎ。尊敬していた兄弟子には口汚い罵詈雑言を浴びせるわ、高僧の葬儀にはとんでもないボロを着て現れるわ、懇ろにしていた遊女の屍を荒地に放り出し野犬や烏がついばむに任せるわ、現代の常識で見ればとんでもない、どこの宗派でも破門は確実の破戒僧なのである。
子供の頃は普通に母の願いでもある出世を夢見た一休は、なぜこうした奇矯な行動に走ったのか。それは五山十刹と呼ばれる格の高い禅寺とその僧侶たちのあまりの堕落にある。上っ面だけ言葉や身なりを着飾っても、内面の腐敗は目を覆うものがあったのである。あまつさえ師兄の養叟でさえそちらになびこうとしている。
これは何もかも一から壊すしかない、一休が選んだ道は「風狂」であった。仏教の戒律からかけ離れた行動をとることにより、悟りの境地を開くのである。常人には受け入れがたい思想であるが、彼は群衆に向かって艶歌を語り、禅問答を吹っ掛ける。いつしか「生臭坊主」一休の周りには彼を慕う庶民であふれかえる。
振り返って令和の世は政治家のみならずスポーツ選手や芸能人にも品行方正でなければならないという謎ルールがはびこり、それに反しようものなら国民からSNSという警策で袋叩きにあいかねない。
まことに困難極まりないが、それをものともしない現代の一休宗純の登場を無の境地で心待ちにしたい。