ハーモニー
評判
ハーモニーの評価:
4.16/5点 レビュー 253件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全506件 161〜180 9/26ページ
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ハーモニーの評価:
4.16/5点 レビュー 253件。 A ランク
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以下、ネタバレ。
医療に管理され、痛みも苦しみも失い、自らの身体が社会の重要な資源として扱われる未来の世界は、紛う事なきディストピアであると感じることができるかどうか、がこの作品を身近に感じるためのポイントだと思う。健康で何もかもが仮想現実にナビゲートされ、医療サーバから健康的な指針を明示される。そこにあるのは、個を失いつつある世界。
勿論、この物語は、肺癌で亡くなった作者の影を感じざるを得ないテーマとなっている。医療に翻弄される作者自身が、その先に救いを求めた。身体を管理され、薄らぐだろうと思われる自らの意識と、死に向かっていたという状況が、この作品を、この作品のラストシーンをより感慨深いものとしている。そう読まれることは作者自身が望んでいただろうか。
文庫版は、当初真っ白なカバーに文字が配置されただけのものであった。そこに書かれているのは、「人間は、なぜ人間なのか。」という一文。物語の中で、手話だけの島の話が語られ、チェチェンを舞台にし、戦場でのタブーを生きることとして感じるという描写がある。無機質なサイバネティクスに愛着を感じ、復讐という主観さえも、全てを飲み込むことが進化だと物語は、描く。
意識というのは、選択を行わなければならない場合にこそ、意識として存在するのであって、選択する必要性を奪われてしまった場合は、意識は消滅すると。笑うことや楽しむことは選択の結果ではなく単なる行動としてそこで行われているという。HTMLのタグに良く似た装飾が本文にされているが、そこでは、最後にタグが閉じられて終わっている。
それならば、この完成したようにも見える人類のディストピアは、文献としてもう一段階先の誰かが見ているという存在を描いていると考えられないだろうか。
それがおそらく解放であり、希望である。そこに、意識は――。
と、良い点が色々あるのだが、マイナス面もある。バグダットの外側にWatch meをインストールしていない人間が存在していたのだから、全ての人類が意識を失っているとは思えない。また、ミァハの存在やら、小道具やインターポールなど、登場してくる人物が薄いのと、後出し気味な設定消化のためのモノや人達。伊藤計劃自信が解説の引用分で、感情が苦手でロジックを表現したいと書いているのが、まさにこのような印象に繋がるのだろう。
レイプによる肉体を傷つけられる事で生じる「意識」と、人間の選択のためにある「意識」の比較が上手く行っていたかというと、そこは印象が薄かった。主人公以外のキャラクターは、配置されているという印象が拭えない。
また、無意味にヲタク的な名前と会話に、性的な部分が過剰にあることが、物語から少々逸脱しており残念。男の作家だからこそ気になってしまう。