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室町お伽草紙 青春!信長・謙信・信玄卍ともえ 新潮社
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室町お伽草紙 青春!信長・謙信・信玄卍ともえ 新潮社の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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信長、謙信、信玄とタイトルにありながら結局エロい話になるのが面白いです。綺麗な信長、秀吉が見れる珍しい作品でもあります。一方謙信、信玄、光秀は扱いが悪く、その後の史実を反映しているかのようです。 | ||||
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あー、面白かった。 ちょっと、編者解説へのコメントの形で感想を書いてみよう。 <…一貫して質の高いエンターテイメントを書いてきた山田風太郎…> まさしくその通りでどれも一気に読ませてくれるし、本作もそうだ。 <…山田風太郎を取り上げた小林信彦は、「長いほどいい」として…> 短いのがつまらないというのではなくて、長い方が構成力、展開力、ペース配分といった力量が存分に出るんですよね。 <…シリアスなものと…明るいタッチのものがある。本書は、明確に後者の系列に属する。> そうなんだけど、武田信虎、玉藻の話は切なく、風太郎さんはこちらをメインに書くことも考えたのでは、と勘繰ってしまう。 <新潮文庫版で「青春!信長・謙信・信玄 卍ともえ」の副題が付され…一応、本書でもこれを踏襲した。> 卍ともえはともかく、いやあ、青春ですねー。青春感は副題には出てこない日吉丸が一番ですけど。 <…さながら忍法帖のセルフパロディ…><…この事件を踏まえたパロディである。> 本作のキーマンの一人は香具耶という名だけど、武将たちに難題が与えられるあたりはかぐや姫の物語がベースにあるんでしょう。 <…誰でも空想の世界に遊ぶことができる> 空想が少なくなってしまうかもしれないけど、アニメにしても面白いだろうなと思う、この疾走感は。 | ||||
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誰でも知っている信玄、謙信、信長が少壮の1552年を舞台として、さらに日吉丸=少年秀吉を絡める。各有名人に関する江戸時代以来の講談や読み物などで有名なエピソードを踏まえつつ、各有名人の人物像を際立たせる。有名度で劣る松永弾正は4者の引き立て役であり、さらに有名度で劣る行空=九条稙通は魅力的な人物造形が味わい深い。その上で完璧な正統派ヒロインとしてのかぐや姫を配する。娯楽作品として緻密に隙なく構築されている。本作品を読んでいて宮崎駿のアニメ映画を見ているような気持ちになった。もちろん「もののけ姫」ではなく「カリオストロの城」や「ラピュタ」あたりの屈託の少ない作品である。 しかしながら、読み終えてみれば本作品の動因であり真のヒロインは玉藻であった。香久耶姫の罪は明朗闊達・清純潔白・天真爛漫に過ぎて、自らの存在が周囲に及ぼす侵襲性にまるで無自覚なところにある。作者自身が「少しのうてんきにすぎるのではあるまいか。512p」と述べている通りだ。まさに「かぐや姫の物語」=「姫の犯した罪と罰」であった。太宰治が「かちかち山のウサギ」に向けた「処女の残酷さ」というフレーズも連想してしまった。 姫が発した害毒の一切を一身に受けて儚い生涯を閉じた玉藻こそが物語世界を「浄化」した功労者で在り、物語世界の善悪はあざなえる縄のように入り組み相互に入れ替わってしまう。一方でやはり玉藻がいたからこそ4大有名人はのほほんと結末を迎えることができた。その後の彼らの行状と末期も私たちがよく知るとおり。だからこそ本作品の結末はこうであったようにしか在り得ない。そこに切ない父子関係のやるせなさが漂ってくるところが著者の真骨頂である。多くの読者が知るように、著者の実父は村の医者としての激務の中、往診先で脳卒中となり亡くなっている。なんとなく著者の「そのような死に方をして自らを孤児としたこと」に関する実父への「怒り」とまでも行かない未分化な感情の蟠りとでもいうべき気配を、余分なことではあるが、読み取ってしまう。そこがヒロイン玉藻への読後感と相まって切ない。 | ||||
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忍法帖シリーズが極上な風太郎先生の未読作。 将軍の姫を最新鉄砲と引き換えに狙う外人商人の策に嵌まり、若き日の信長・信玄・謙信が争う中、幼い秀吉も活躍する忍法帖的な武将絵巻。 信玄の父&狐使いの妖女も暗躍し、風太郎先生得意のハチャメチャ世界が素晴らしく極上に楽しめました! 中学時代から好きな風太郎先生の知らなかった名作を読めて幸せでした! | ||||
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風太郎の室町小説河出文庫版も最後の一冊だ。たぶん山風は完読したと思う。 時は室町末期、1552年。日吉丸(秀吉)17歳、信長19歳、謙信23歳、信玄32歳。 のちに日本を揺るがす英傑たちが、自由港・堺に集結した。将軍の姉・香具耶を巡る戦いに火花を散らす。 キャラクターの年齢以外はすべてフィクションだろう。 同時代に生きた有名人たちが出会っていたらーーという架空日本史小説だ。 とにかく賑やかな作品で、アクションとユーモアが山盛りだ。登場人物が縦横に駆け巡る。痛快だ。 流血は多いが、ドタバタ喜劇の味わいに近い。有り得ない秘術や管狐なども登場する。 当時の鉄砲に関するウンチクが面白い。明るい伝奇時代小説の佳作だ。 意外性には乏しいので、星四個で。 | ||||
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若き織田信長・上杉謙信・武田信玄に、妖女・玉藻が南蛮銃300挺と引き替えに求めたもの。それは足利将軍家の美姫・香具耶だった。しかし姫を護るのは塚原卜伝に上泉伊勢守信綱。その争奪戦に松永弾正小弼久秀まで加わって大混戦。この戦いの行方で仕官先を決めようという少年・日吉丸が見たこの争いの行方は。 山田風太郎の室町ものの中で、最もエンタメ度数が高いのが本作だろう。文庫版の「青春!信長・謙信・信玄卍ともえ」という副題に示されているように、後に戦国乱世に覇を競った英雄たちが、若き日に出会い、1人の美姫を巡って激しい、しかしどこか間の抜けた戦いを繰り広げていたという室町−戦国意外史である。 時代伝奇、言い換えれば歴史パロディの名手である山田風太郎が得意とする中に、後に宿敵となる人物が、それよりもはるか以前に意外な形で出会っていたというパターンがあるが、本作はまさにそれである。 一見、荒唐無稽なようでいながら、史実に照らしてみると決して有り得ない取り合わせではないという山田風太郎伝奇一流の離れ業は、本作でも健在。それにしても本作の登場人物たちは、1人1人が主役を張れるほどの大物だらけ。この他にも山本勘助に明智光秀、千利休に武田信虎と、よくもここまでと感心するばかり。作者の作品の中では最晩年に属するものの1つでありながら、この旺盛なパロディセンスには驚かされるばかりだ。 このように実に楽しい本作だが、本作、余りにも山風過ぎると思った。キャラクター設定からその配置、ストーリー展開に至るまで、「山田風太郎ならこう書くだろう」とこちらが思った通りのものというか。 別に過去の作品の焼き直しというつもりは毛頭無いが、作品について、あれはこうなる、こうすればああなるという一種のメソッド通りに作っているような印象を受けた。クドさが無くサラッと読める胃にもたれない作品である。 | ||||
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織田信長、武田信玄、長尾景虎、日吉丸(後の豊臣秀吉)、松永弾正、千利休、上泉信綱、塚原卜伝 戦国ファンなら誰でも知ってるあの人たちが、京の都に集まり夢の競演 これだけでもうたまらないという人も多いでしょう 重要人物の一人、かつては貴族の最高位の関白であり、飯綱の術を使う不可思議な老人行空法師 こんな創作臭い設定のお方も、しっかり実在の人物なのです 誰でも知ってる大物にまじえて、知名度は低いもののこんな面白い経歴の人物を引っ張り出してくる山風のセンスは流石です 彼らが美しき足利の姫を、あるいは守り、あるいは奪うため 力と知恵を尽くし競い合う、歴史ファンタジーともいうべき作品 しかも、山風作品にありがちな陰惨な雰囲気はなく、珍しく非常に陽性な作品 妖説太閤記であれほど醜悪な姿を見せた秀吉など ほとんど別人のような陽気で真っ直ぐな、王道的主人公の少年となっています エンターテイメントとして楽しめることに徹した作品というべきか この作風が山風ファンの方の中には、あまり好ましく思えない方もいるでしょう しかし、逆に言えばより多くの人にオススメしやすい 肩肘張らずに、重いテーマも無く、ただ小説を楽しみたい そんな時にぜひどうぞ | ||||
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戦国スターが綺羅星の如く錯綜する。戦国時代の初期、日吉丸として豊臣秀吉が辛うじて登場する。そんな時代である。これは歴史小説ではない。これほど歴史を歪めた小説はあまり無いだろう。戦国時代の群雄が何故か荒廃した京都に終結して、合戦と言うか抗争(規模が小さいので)を繰り返す。当たり前の様に都合良く事件と見せ場が次々と展開する。世が世ならトンデモ小説になったかも、でも週刊新潮連載である。執筆時は山風センセ70歳位である。これも凄い。「マラタトウ」なる妖術に山風キャラ最強の上泉伊勢守がアッサリと敗れる。おお!王座交代だあ。ついでに千宗易も倒して欲しかったがこれは成らず。殆どゲームレビューになっているが、ノリが似ているのかもしれない。まあそんな風に楽しんだ次第。「マラタトウ」 ?読んだまんまの術である。ああ、恥ずかしい。 | ||||
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まだ歴史の舞台に登場する前の信長・謙信・信玄たちの青春騒動。その中を駆け回る秀吉。 もう、それだけで胸躍るのではないでしょうか。戦国ファンの方も、そうでない方も、 軽い息抜きに読める本です。もちろん、戦国ファンの方ならば、歴史舞台への萌芽を 読み取ることができるでしょう。ぶ厚いですが、あっさりです。 風太郎先生にありがちな、おどろおどろな肉の後味もなく、さらりとしていて気持ちのいい小説です。 | ||||
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