黒衣の聖母: 山田風太郎傑作選 推理篇
- 悲喜劇 (46)
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河出文庫から2020年より刊行されている山田風太郎傑作選に推理篇の一冊として収められている短編集。 では、そこにあるのは推理小説群かというと、さにあらず。 意外な結末、ではなくて、そうなるであろう結末に向けての意外な展開、といった趣の作品が多い。 物語ることに関してはそうだのだが、時代はほとんど戦中もしくは終戦直後で、しかもかなり生々しい状況設定。 戦争・戦時をシニカルに見つめる、というのが、わたしが抱いていた風太郎さんのイメージだけど、この作品群は作者の怒りが、物語の奇想に隠されながらも前面に出てきているように感じた。 気に入った作品は「さようなら」。 これは上述とは異なり、昭和30年代の話であり、推理小説と言っていいかもしれない。 短編なので小じんまりとはしているけれど、つかこうへいさんの「広島に原爆を落とす日」を思い出すような劇的な物語で、とても切ない。 | ||||
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八十路坂だから、旧雑誌「宝石」時代から山田風太郎は読破している。持っているのは、光文社文庫の「怪談部屋」である。気にいった本には、白ボール紙で共函を作り、プリンター出力した背書名を貼り付け、焼け防止。デザイン人生だったから、プロ並みの出来だ。もちろん、購入した「黒衣の聖母」「赤い蝋人形」も、2冊入りの共函作り。この2冊、一度は読破しているが、カバーイラストに惹かれての購入である。楽しみながら読むため、電動ベッドのサイドテーブルに積読中だ。それにしても、何と意味深なイラストであろうかと、不思議な魅力を感じてならないのである。 | ||||
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1950年代に発表された短篇10編を収録。「推理篇」とあるが、戦中、戦後の戦地や東京を舞台にした「奇妙な味」ともいうべき、どこか滑稽で物悲しい作品群。 南方の孤島に取り残された兵士たちの悲喜劇を描いた『裸の島』、『女の島』『魔島』、病気の売春婦を助ける警官を描いた『腐爛の神話』など、風太郎流のエロ、グロに満ちているけど、どこかもの悲しい作品が多い。表題作の『黒衣の聖母』は、学徒出陣から戻った主人公と不思議な売春婦との物悲しい出会いを描いた傑作。 今の時代からは考えられない時代の話だけど、この時代への風太郎の批判、そして懸命に生きる人間たちへの優しい視線を感じる。 | ||||
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巻末の編者解説(日下三蔵 氏)によれば、 《二〇〇一年、第四回日本ミステリー文学大賞受賞を記念して刊行された光文社文庫版【山田風太郎ミステリー傑作選】の第五巻『戦艦陸奥(むつ)』(01年9月)は、桃源社版『戦艦陸奥』の八篇に「腐爛(ふらん)の神話」と「魔島」を加え、さらに長篇ミステリ『太陽黒点』を収録した風太郎戦争小説の集大成というべき一冊であった。 現在、『太陽黒点』は角川文庫版【山田風太郎ベストコレクション】シリーズで入手できるものの、『戦艦陸奥』は紙の本では買えなくなっているため、短篇集部分の十篇を独立させたのが、本書ということになる。》 p.412 ~ 413 つまり、『戦艦陸奥』(光文社文庫)から長篇『太陽黒点』を抜いたものが本書というわけです。本の値段だけ見れば、2001年当時、光文社文庫の『戦艦陸奥』は税込み1000円しなかったと思われます。それが二十年後の現在、本書が1342円(税込)、角川文庫の『太陽黒点』が 704円(税込)、両方合わせると2000円以上するんですねぇ。収録作は同じにもかかわらず、です。「なんだかなあ」と思わないでもありません。でも、『戦艦陸奥』を古本で手に入れるのと、未読の短篇を新品で(本書で)読む + 昔読んで大変面白かった『太陽黒点』を角川文庫版で購入して再読するのと天秤にかけた結果、わたしは本書と『太陽黒点』の新品を今回、購入しました。 山田風太郎の虚無感が作品に色濃く反映されているのではないか、それは一体どれほどの衝撃があるものかと、そんな怖いもの見たさのような気持ちから、本短篇集を買い求めた次第です。 本書収録の十篇は、以下の通り。 戦艦陸奥 [1953年、初出] 潜艦呂号99浮上せず [1953年] 最後の晩餐(ばんさん)[1954年] 裸の島 [1952年] 女の島 [1953年] 魔島 [1950年、初出掲載時のタイトルは、「黄金と裸女を追う男」] 腐爛(ふらん)の神話 [1950年] さようなら [1956年] 狂風図 [1950年] 黒衣(こくい)の聖母 [1951年] 印象的なカバー装画は、村田 修。 | ||||
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