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雪の夜話
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雪の夜話の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.56pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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美大出身の俊秀デザイナーだが、腕は立っても人とのつきあいが下手で、彼の才能をねたむ上司から疎外され、遂には数年間働いた東京の会社を辞め、遠い北国の郷里の実家に帰ってしまう。 其処で傷心のまま鬱々と日を過ごすうち、大雪の深夜、近くの公園に行って不思議な少女に出会う。彼女には、十七歳の受験勉強のころ、やはり大雪の深夜に一度だけ会って話したことがあった。彼女はその時の十五歳のままで少しも変わっていない。 二十五歳になった彼だが、大雪の降った深夜には必ず公園に行って彼女に会う。彼女から人間存在の真の意義を教えられ、様々な助言を受けるうち、彼は社会人としても家庭人としても立ち直る決心をする、一方、天界の門をくぐることを恐れ、霊的存在のまま地上でさ迷っていた少女も、彼との交友によって天上にゆく気力を与えられ、天界に上る決心をする。そして、彼女と彼は正月もまぢかに迫った大雪の夜、公園で盛大なお別れパーティを開く。 この大雪の深夜のお別れパーティの場面が、この物語中最大の圧巻で、とても美しく感動的でさえある。 彼女と彼はこの世では次元を異にする存在であっても、霊の世界では繋がっている。何時か一緒になることもできる。これは、肉体をともなわない霊と、肉体をともなった霊との、美しいラブストーリーである。 (注)雪の夜に起こった出来事がメインストーリーで、それまでの話はプロローグ、あとの話はエピローグである。この話を寓話ととると、何の寓話か分からない。寓話にはイソップ物語のように、教訓とか風刺とか寓するものがなければならない。夢か心象風景か体外離脱による超常体験か、いずれにしても、主人公の神秘的な実体験と考えるのがいちばん自然である。なお、神秘体験や霊界について疑いを持たれる方は、木内鶴彦著「生き方は星空がおしえてくれる」(サンマーク出版)を読んでみられるとよい。 | ||||
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初めて読んだ作家さんなので、他の小説と比較は出来ませんが、非常に気に入りました。 あらすじを分解して構造主義的に言ってしまえば「ありきたりなストーリー」なのでしょうが、この小説の醍醐味は話の筋ではありません。 おおまかなストーリーとしては、雪の降る公園で人の目に見えないはずの少女と出会った高校生の主人公が、大学に入り、就職し、挫折し、帰郷してまた少女に出会って・・・というファンタジー。 一応ハッピーエンドになります。 哲学が好きな人にはウケがいいでしょうが、ストーリー重視の人には面白くないのではないかと思います。 「しつこい、まどろっこしい、うじうじしてる」という方もいるでしょう。 あとは「映画はアクション映画しか観ません」という人はやめた方がいいです。 実に淡々と、静かに語られますので、そこで感想がまっぷたつに割れそうです。 哲学で言うと、プラトンとアリストテレスとヘーゲルを足して、そこにキルケゴールの絶望とハイデガーの実存を隠し味に数理哲学もプラスしたような話です(多分)。 題名「雪の夜話」は、この文章全体を実に如実に表しているように感じます。 文章そのものが、静かな雪の夜です。 解説にも書いてありましたが、本当に「地味」です。 そして、その中にとても濃縮された強さがあります。 自分は読み始めてしばらく、福永武彦みたいだと思いました。 が、福永武彦よりはむしろ力強く、地に足がついているというか現実的、おそらくこの本のテーマである「存在」「時間」「自我」を非常に堅実に描いていると思います。 陳腐に言えば「命の賛歌」と言えなくもありませんが、やはり違います。 「自分が自分であること」「いつから自分になったのか」「自分は自分にしかなれないのか」 そういった自我への問いかけが実に透明感のある美しい文章で、そしてまた秘めた力強さをもって描かれています。 | ||||
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裏表紙に「白い雪に覆われた現代の寓話」と書かれているが、的を射た書き方です。 雪がしんしんと降り続く夜に読んだら最高かもしれません。 前半部分は主人公のプライベートは一切描かれず、仕事オンリーの挿話になっており、後半とのギャップが面白い。 「4日間の奇蹟」「君の名残を」は越えていないなぁ・・・ | ||||
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1章を読んでファンタジックな心温まる話が始まるのか、と期待したが、2章の美大入学から 印刷会社の制作部デザイナーの現場説明的話が60ページ続き一気に読む気が失せる。 (私自身が美大-広告代理店制作部デザイナーだったので重箱の隅をつつくような意見をいわせてもらえば 企画・立案するようなデザインの仕事でチームを組まずに一人で仕事することはありえない。 コピーライターも存在せず文字組していたりする。 企画・立案するデザイナーと指示通りに版下を黙々と作る下請けのデザイナー(オペレータ)の仕事が ごっちゃになっていて60ページが説得力0だった。) その後もストーリーに必要ない色や光の知識の羅列はうるさく、雪の少女の言葉遣いが妙に 不自然(パラダイムが私たちを駆逐する〜とか、演えき的に命という語に〜)で 期待していた世界とはまったく違い半分で挫折してしまった。 | ||||
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自分にしか見ることのできない少女との対話によって、 自分とは何者なのか、魂とは何なのか、 そしてどう生きるべきなのかを見つけていく 「自分探し」の物語。 浅倉卓弥さんの作品はどれも地味な印象があります。 でも、作品の大きなキーワードでもある「雪」と 浅倉さんの作風がうまくマッチしていて、 趣のある作品に仕上がっていました。 ただし、雪子が語る哲学的な言葉は難解で、 特に大きな出来事もなく淡々とすすんでいくお話なので 小説としての面白みは少なかったな〜。 雪景色の描写はシンシンと降り積もる雪の様子が 静かに感じられてとても美しかったです。 | ||||
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少女と主人公との対話を読んでいて、「星の王子さま」と宮崎アニメとオスカーワイルドの童話そして中勘助を思い出しました。宮崎駿の全作品は「星の王子さま」への秘められた渾身の対話とメッセージだと思います。少女と主人公との繊細な対話にも、作者のサンテクジュぺリへの挑戦が感じられます。少女の15歳という微妙な年齢の設定もすばらしい。 通俗的な噂話と金儲けと、そして競争原理ばかりで、子どもの心を忘れるということがどんなに味気ないものか、生きることを見失っているのか、イノセントな存在からの現代のおとな社会への疑問(それは読者への疑問でもあるのです)が提示されています。 | ||||
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四日間の奇蹟で憶えたさわやかな感動と衝撃は最後まで見つけられなかった。四日間が自分の心を癒す演奏旅行という旅なら,この作品は自分の心の内面に向かった自分探しの旅になる。 小説というよりは,雪の夜に「自分にしか見えない」少女を通して自分自身の心に問いかける自問自答の会話集のような構成である。 それにしてもこの作者は少女とか子どもを描くと実に無垢でさわやかに描く。小さいこどもが持っている汚れのないものをそのまま描くことにより,大人になった誰もが昔は持っていたんだよ,と読者に言い聞かせているようである。 最後の最後に,四日間に通じるような「縁」を見つけられたのがよかった。しんしんと雪の降る夜に,心の奥が少し暖かくなるような,そんな作品である。 | ||||
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「四日間の奇跡」を読んで、非常に良かったので、本を買いました。 話は読みやすく面白かったのですが、「雪子」に惚れる事が出来なかった。 | ||||
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全体的に初期~中期にかけての村上春樹の作品のような印象を受けました。完成度は比べるまでもなく見劣りがしますが・・・。 何が悪いかと言えば、文章のリズムです。同じような内容のことを言い回しを変えてくどくど繰り返す。読み口の悪い比喩。メリハリのない会話文。このあたりがその理由かと思われます。 内容的には山も谷もないといった感じにはなっていますが、全体に通じたテーマを基にした流れがきちんと出来ているので悪くないです。作者の「命」に対する哲学のようなものが見えていいとは思います。「輪廻」と「無常観」といった感じですか? 文章のリズムとあっと驚く展開があれば傑作になったかもしれません。それだけに惜しい作品と言えるでしょう。 僕はこの作者の本を初めて読みました。前作、前々作は評判がいいようなのでそっちも読んでみようと思います。 | ||||
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大変好きで期待している作家なので特に辛い点をつけるが、 それでも仕方ないと思う。 文章に多少の癖はあるけれど読ませる筆力があり清潔感もある 稀有な作家として非日常的な出来事がおきたり、落ちがきちんと つかないとまとまらないファンタジーやミステリ以外の場= 純文でも活躍できると期待したが、今回は完全にはずれ。 やはりプロットが面白いということはエンタティメント小説には 不可欠な要素のようだ。 派手な「事故」や「出来事」が起こらないで日常だけの描写に ファンタジーをくっつけて描写しても上手く融合させることが 出来なかったし、作者が前2作ですでに言及している「命の流れ」 の考え方をただくどく説明しているだけのようなセリフが はっきり言ってうるさく、作品としての新鮮さなかったということである。 「個人的なファンタジー」の部分と「現実の社会人生活」の部分 の文章がひとつの作品として融合していない。 私個人は「現実の社会人生活」の描写の方が読まされた感はあるが、 この作者のもっている「命の流れ感」の説明はもういいよという感じ。 むしろそれをやるならわざわざ「現実描写」を持ってこなくてもいいし、 逆に最初から見え透いているヒロインの存在を持ち出さないで 現実的な描写だけで純文学としての小説に仕上げたほうがキズが 少なかったのではないかと思うと残念である。 並立して別々の出来事を一見関係なく記述していっても本当の 練れた作家は最後にその必要性が納得できるものであるが、 これはちょっと厳しい。むりやり「自分から人に頼ることが出来なかった」 自分を主人公に自覚させてヒロインの存在とあわせようとしているが、 意味がない。おそらくは作者も承知ではないか。 とても自分で納得しているとは思えない。 自分の持っている「生命の流れ感」に固執することをやめて、 もう少し素材、プロット、ストーリーを練って新しいことに 挑戦することでしか活路は開けないだろうと思う。 | ||||
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命とは何だろう?人は何のために生まれてくるのだろう?そして死んだらどこへ行くのか?だれもが心にそんな思いを秘めているのではないだろうか?命は決して消えるものではない。それは時の流れの中で光となり、形を変え、次から次へと受け継がれていく。始まりも終わりもない命の一部に自分たちがいる。雪の夜に始まり、雪の夜に終わる物語。その不思議な世界は、心を温かく包んでくれた。 | ||||
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「四日間の奇蹟」でファンになり、この本をすぐに購入しました。 「雪の夜話」は異なる孤独を抱えた主人公と少女の出会いと歩みの物語、という感想を持ちました。 結構ありがちな話かと思われるかも知れませんが、主人公の孤独への過程が現実のそこかしこで見られるもので恐らく誰もが経験したことがあり、共感を得ると思います。 自分のベストを尽くしていたのに何故か周りと折り合わずそこから離れてしまったことがある人、自分と同じ存在だと思うくらい親近感を抱いていた家族に対し「最も近い他人」という事実を実感したことがある人は結構入り込み易いかもしれません。 物語の流れとしては淡々としていて、所々「?」となる箇所もありますが、少女との出会い後の主人公の世界に対する視点の変化は、僕にとっては「そういう視点もあるのか」と納得されられたりと説得力を持っているとも思います。 神秘的な世界観を醸し出す描写も素晴らしいのでそれだけでも読む価値ありです。機会があったら一読してみて下さい。 | ||||
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四日間の奇蹟の作者の最新作なのと表紙に誘われ買った。文章力はすごく、途中でやめることはなかったが、盛り上がりもなく淡々と進んでいった感じがした。 また、ひどく哲学的な表現部分が多く、作者の主張にシンクロできなかった。自分の中の純粋な部分が壊れていない人やほのぼのしたい人には、おすすめかも。 | ||||
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短絡思考なのか表紙のデザインで思わず購入してしまいました。 ちょっとメルヘンチックな感じしませんか! これはきっと面白いぞ!と決め込んで読み始めましたが、想像以上に深いものが有りました。 高校生の和樹が公園で出会った不思議な少女、この少女と和樹の会話の部分が微妙で、少々難しいと感じる方も居るかも知れませんが、良くかみしめてみると非常に重たいものを感じます。 確かに、この世に生を受けて誕生しても自分を自分として認識したのは何時と聞かれても、そうそう簡単には答えられませんものね。 最後に、この少女(雪子)は天に帰って行きますが、時を同じくして、和樹の妹の夏子に赤ちゃんが誕生します。その子の名前は雪子・・・どうです、面白そうじゃ有りませんか! それと、作中「生き続けるという事は、失われていくものを見続けることなのか」と言う言葉が有ります。確かにそうなのかも知れないと、妙に納得しながら読みました。面白いですよ。是非読んでみて下さい。 | ||||
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浅倉卓弥の処女作「四日間の奇蹟」でこの作者の描いた優しい世界。その世界観が好きになり、それ以来この作者にはまっている。 二作目「君の名残を」は作風が違ったがこの作品はまた最初の作風に戻っている。 挫折し、傷つき、ボロボロになって...それでも時は止まってくれない。けれども立ち止まるのがが悪いことではない、この作品はそれを教えてくれる。 ゆっくり自分と向き合い、自分を見つめなおす。自分を知り、自分を受け入れる。それがたとえどんな自分であっても... | ||||
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四日間の奇跡を読んで気に入ったので浅倉卓弥さんの他の作品を読んでみたくて読んでみました。主人公が少女との会話の中で生まれた疑問に悩み、答えを出そうとしている様子に、自分を重ねながら読みました。考えさせられました。読み終わってみると、自分も主人公と共に一つ成長できたような気さえしました。四日間の奇跡とはまた違う雰囲気の気持ちの良い作品です。 | ||||
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『四日間の奇蹟』の著者の最新作ということで手に取りました。全体を通して良く言えば哲学的な、悪く言えば少々理屈っぽすぎる文章で、読みながら頭に『?』が浮かぶ箇所も多々ありました。ハッキリ言ってスーッと一気に気持ち良く読める作品ではないです。 そんな文体でも、途中で読むことを放棄したくなる気持ちも沸かずに続きを読んでしまうのは、『四日間の奇蹟』の時から変わらず、著者の読者を引き込む力が非常に強いためでしょう。加えて『四日間の奇蹟』同様に、その時々の風景の描写が素晴らしいです。特に今作の主な舞台である雪国の景色の描写は、著者が札幌出身ということもあるのでしょう、とても素晴らしいものだと思います。 雪国出身の方や今現在そういう地方に暮らしている方は特に、この作品中の細やかで繊細な描写に共感することができると思います。ただストーリー自体は『四日間の奇蹟』と比べ盛り上がりどころに欠け、淡々と過ぎていってしまったという感が拭えません。 あと『四日間の奇蹟』同様登場人物がよく喋ります。喋り過ぎと思う気もするほどです。登場人物の話した言葉全てに「」を付けてみたら、きっとものすごい量になるでしょう。もう少し登場人物が話す言葉を厳選してコンパクトにまとめる事ができていれば、今より随分読み易い作品になっていたように思います。 そのため今回は☆3つにさせてもらいました。 | ||||
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処女作「四日間の奇蹟」に感動し購入したのですが、こちらはそれに比べてストーリーのテンポが悪いように思えました。また、肉体と心(魂)が離れて存在できるという「四日間の奇蹟」から続く作者の考えにはどうも馴染めません。そして、会話の部分に難しい語彙や長い言い回しが多く含まれることも違和感を感じざるを得ません。 | ||||
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