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死神の浮力
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死神の浮力の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.97pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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私もそうですが、千葉を中心とした前作の世界観を楽しみにしていた方には十分楽しめると思います。周りの同僚が手を抜く中、独特のこだわりで仕事を続ける千葉はハードボイルドの主人公に通じる所がありますし、人間とのずれたやり取りもハードボイルドっぽさをうまく増していると思います。 一方でストーリーラインについては犯人側の人物像の掘り下げがほとんどないので、物足りなさを感じました。犯人のタイプはマリアビートルの少年に近い設定ですが、あの少年と比較しても動機が全く伝わってきません。いくら良心がないという設定にしても、ちょっと入り込めないなあ、と。 又、前作は苦境に単独でチャレンジする人物の姿・物語を千葉がクールに観察するスタイルが多かったのに対して、今回の被害者はかなり千葉に頼ってくるので、必死な人間とクールな死神というコントラストが弱まっている印象も持ちました。 期待が大きかっただけにちょっと残念です。 | ||||
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『死神の精度』に続く二作目.前作は連作短篇集でしたが,本作は長編となっています. 娘を殺された夫婦の復讐劇…の体を取りつつ,『死』に対し深く迫る作品という印象で, 同じく『生』へも強く意識を向けさせられ,著者らしい言い回しでの父と息子との回想は, 時に格好よく,時に重く,死はもちろん,そこへ向かう『今』を生きる描写は強く残ります. 中でも,不意にわき起こる漠然とした死への恐怖は,大きく共感,惹かれるものがありました. また,もう一つの物語となる復讐劇は,いささか流れが鈍く感じる部分はありましたが, 標的となる男,そこから放たれる悪意の数々は,分かりやすい『悪者』のそれとは異なり, 静かにねばねばと絡みつくようで,その不快感や苛立ちは,言葉にしがたいものがあります. とはいえ,決して折れない執念を見せる中,どこか明るささえも漂わせる夫婦のやり取り, さらには,本人の意思はさておき,するりと間へ滑り込んでいく死神の男の立ち振る舞いは, 置かれた状況ほどの重たさはなく,こちらもそのスマートな文章が読みやすさとなっています. その結末は,一種の痛快さは確かにあるものの,笑うに笑えないブラック風味が強いもの. さらには,エピローグでも別の悲しく残酷とも言える『その後』が語られ,閉じられますが, こちらは,わずかかもしれませんが救いが残され,あの男が漏らした思いがけない『一言』は, 作中では絶対にあり得ない,雨模様の空に覗く日の光のようで,穏やかな余韻となって残ります. ただ,世界観の説明が中盤ごろまでなく,初めての人には途中まで分かりづらいかもしれず, このほか,それまでの小さなあれこれを後々に引っ張り出す,伏線とその回収といった演出が, その都度,巧さやおもしろさはあるのですが,少しばかり目立ち過ぎのようにも感じられました. | ||||
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