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回転木馬のデッド・ヒート
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回転木馬のデッド・ヒートの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.37pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全52件 21~40 2/3ページ
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村上春樹の小説は長編をいくつか読みましたが、短編は初めてです。 八編が収録されていますが、どの話も文句なしに面白かった。 | ||||
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著者は、この作品は事実をスケッチしたものであるとくどいようにことわっています。 他人に聞いた話が自分の中に貯まって、発酵してきたかのように自らが書かれることを望んだのだと。 その話をそのまま文章にしたものであると。 さて、この言葉をそのまま信じていいのでしょうか。 人は奇妙なことに出会ったとき、すぐに忘れられる人とずっと憶えていて人格の一部になっている人と2種類あるのではないかと思います。 普通の姿をして普通の暮らしをしている場所に、実はとても奇妙な物語が宿されているようなのです。 他人の言葉にじっくりと耳を傾けるのが面白そうだと思いました。 村上氏の世界は案外近くにも存在しているのではないでしょうか。 | ||||
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村上春樹の作品群の中でも特に好きな作品です。日常の中の普通の人なら 見逃してしまうようなこと。 少し不思議に感じてもふっと、なんとなく通り過ぎて しまうようなもの。そんな形にならないものを繊細にすくいあげている作品です。 圧倒的に引き込まれるわけでもない、末梢神経を刺激するような作品ではなく脳みその やわらかいところをそっとふれる、そんな印象を私は持ちました。 | ||||
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村上春樹氏再読第三段。これまで短編『中国行きのスロウ・ボート』『蛍・納屋を焼く〜』と続けて読んできたが、この三作目になって一挙にレベルが上がっている。特にその中でも『今な亡き王女のための』の完成度は白眉である。立体感溢れる文章で描かれた該当作は冒頭から引き込まれる。ここに来て著者の文章力はほぼ完成したといって良いと思う。一見何気ない筋なのだが、とにかく文章の巧さで読ませる。この技量は相当なものだ。〜序文で著者は「これは実話」と本書に断り書いているが、それをトリガーにしていたとしても、全作品の9割はフィクションで糊塗されているだろう。記憶とは誰にとっても曖昧極まりないものだし、混濁を避けられない。それだけでなく自己と外部との関わりを言語化する事はそれ自体が-自覚的か否かにかかわらず-自己意識による取捨選択と創造化を回避する事は、原理的に出来ないからだ。〜本作は書かれた時系列を観ると、あの大名作『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』と同時期になる。『回転木馬のデッドヒート』の内容を俯瞰した結果、このあたりから村上氏は『自己』という世界を確立する作業に本腰を入れ始めたのだろう。 | ||||
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学生の頃、本書を初めて読んだ。中でも「プールサイド」は少なからず、生活全般に影響を与えた。35歳を迎え、改め読む。本書の主人公のような完璧な人生の分岐点は迎えていないが、肉体は完璧に維持できている。ふと、懐かしくも極めて現代的な感覚を持ちうる作品群である。 再読にあたり、図書館で全集で読むと「解題」にこれらは全て創作であるとの告白がある。やられたなと思いつつ、それがどちらでも深い意味は持たないのであろう。 | ||||
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村上春樹ワールドを手軽に8つも楽しめるお得な本だと思いました。 教訓とかメッセージとかを理解しようとするのではなく、雰囲気を楽しむべき作品群だと思いました。 私は、”レーダーホーゼン””タクシーに乗った男””ハンティング・ナイフ”の雰囲気を好ましく感じました。 | ||||
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村上春樹の中で最も好きな作品集の1つ 氏の小説は現実感を排した設定と巧みな隠喩を用いることで、読者を遠ざけているかのような印象を受けますが、 この作品集はスケッチ・ブックというだけあって、素材の良さをいかした表現方法は読者の胸に入っていきやすいと感じます。 僕はこの作品と、アンダーグラウンドが大好きです。 氏は自分の事を表現するより、相手の中から大切な物をすくい上げることの方が上手な気がします。 一度読んでみませんか? | ||||
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村上春樹が、小説を書く上で人から見たり聞いたりした内容。 それはある部分は長編小説にの一部として活用されるかもしれないが、ある部分は不要なものとして彼の記憶の中に埋もれていく。 しかし、そんな不要物の固まりが自ら意思を持って表面に出て来ようとすることがある、と彼は言う。 そうやって表面に出てきた事実の破片が、この「回転木馬のデッド・ヒート」だ。 この本は8つの短編からなっている。 そのひとつひとつがそれぞれにまったく異なる特徴を持ち、当然だがリアリティを持って私たちに迫ってくる。 原則として事実に即して書かれているからだ。 私はこの短編集に出てくるような事態に遭遇したことは一度もない。 しかし、生きていればこの先、いずれかの話に似た話を自分以外の人から聞かされることがあるような気がする。 そして、残念ながらこの短編集に網羅されている話はすべて愉快な話からは遠いところに位置している。 ドイツ人用の半ズボンが原因で母が夫と娘を捨てた話【レーダーホーゼン】。 上手くもないチェコ人の画家から買った何気ない絵に描かれていた男に偶然出会う【タクシーに乗った男】。 人を傷つけることが天才的に上手い女が人生でたどり着いた先は【今は亡き王女のための】。 出版社に勤め不倫をしていた女が職を失い、休暇中に男を買う話【雨やどり】。 特に私が好きなこの4つの話は事実であるにもかかわらず、作り話のように完成されている。 あまり愉快な話ではないけれど、だからこそリアリティに溢れている。 | ||||
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回転木馬がデッド・ヒートすることなんてあり得ない。 もしそんなことがあったら・・・・・・・ そう思える作品群なのだ。 作者の設定自体がフィクションだと考えた方が理解しやすいのかもしれない。 こういう世界での話なのだと。 そう考えると,理不尽に思える設定も妙に納得できるのだ。 | ||||
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村上春樹は長編を中心にほとんど読んでいる。電車の中で何か軽く読めるものがいいなと思って読み始めたが、冒頭の「はじめに」から広がる村上ワールドに魅了された。8本の短編が収められており、どれも10分ほどで読むことができるが、バイキングで様々な料理を味わえるように、楽しむことができた。短淡々とインタビューを記録しているような話もあるのだが、一見平凡な日常生活の少し不思議なエピソードにカタルシスを味わい、また人間や人生に関する考察を得ることができた。 | ||||
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登場人物はすべて実在する。そして各々のエピソードを筆者に話す。それを筆者がまとめた本。 登場人物は客観的な事実だけをそのエピソードから読み取ると、とても魅力的な人達ではない。ドイツに行った時に夫へのお土産として、半ズボンを買う中でその夫との別れを決心する妻だったり、友人の彼女や妻と寝る男だったり、彼氏と別れて寂しくて売春する女の子だったり。 でもこの筆者が書くと、その人たちはすごく高貴で、その行動はごく自然なことのように感じられてくる。やはり不思議な書き手。 | ||||
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人生の信号は、それが危険を知らせる信号でも、 安全を知らせる信号でも、劇的ではなく、静かに起る。 それらは存在感を徐々に大きくさせて、後に影響を残す。 ↑ それ→人生の信号 それら→安全を知らせる信号、危険信号 そのような、過去に起った、大きな変化の折り返しを記す。 短編小説のように実話がまとめられた、経験による説話集。 他の村上さんの多くの小説と、ずいぶん違うタイプだと思います。 20世紀から起る説話のような話を、短編でまとめた本。 | ||||
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「誰に追いつかれる訳でもなく、誰に追いつく訳でもない。 一つの場所で、グルグル廻り続け、壮絶なデッド・ヒートを 自分自身の『内部』で展開する。」 別に石川R太郎氏に阿呆な説教をされるまでもなく、 こんな事は、20代の頃から知っていた。 その伝で言うのならば、「欝」に為るのは 単なる「デッド・ヒート」の遣り過ぎに過ぎない。 従って、SSRIを飲みながら、自分で治す。 他人は関係無い。そいつ自身の「こころの問題」は そいつ自身の「個人的な問題」に過ぎない。 他人にとっては、如何でも良い事だ。 そう、確かに「水臭い時代に為った」と 旧人類世代が、嘆いていたのが、本書が刊行された 80年代後半と言う時代だった。 他人の事は如何でも良いし、自分には関係無い。 そいつが如何言う人生を歩もうが、私の人生では無いから、 全然、知った事では無い。 インタヴュー集か、または、ルポルタージュ文学の体裁で編集された短編集。 他人が自らの口で語る「他人の人生」の様々な断片。 しかし、所詮は「他人事」。 | ||||
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私が初めて読んだ村上春樹の短編集です。この作品は私にとってはもろツボでその後、村上春樹の他の短編集を買い漁るきっかけとなった本ですが、結局読んだ中では、これがダントツに好きです。 この作品を面白いと感じる最大の理由は、「物語が未完成であるから」だと思われます。実際、著者自身が前書きでこの短編は人間群像を描いたスケッチのようなものであると述べています。しかし、スケッチであり、伝えたいことが曖昧、もしくは無い、からこそ、読者の想像を掻き立てているように思えます。ちょうど、ミロのビーナスは腕が無いからこそ、無限の腕を持っているように。 また、描かれている人々に読者が共感しやすい何かを持っているため、読者の個人的な経験を登場人物に投影しやすい、つまり想像が描き立てられやすいようになっていると思います。 非常にオススメです。 | ||||
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「原則的に事実に即している」という短編8編。これより後に出版された、筆者が体験したことを書いたという「東京奇譚集」があるが、本書は筆者が聞いたことを書いたという。どちらも読後感は似たものがある。煮え切らない何かが残るような感覚。それが何かを確かめようと読み直すが掴みきれない。 個人的には、「今は亡き王女のため」が一番リアリティを感じる。その逆は「タクシーに乗った男」。どちらのタイプも面白い。 | ||||
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人間は生きていく以上大切なものをどんどん失っていく。けれどもたとえそうであったとしても別の「何か」を心の支えにして生きていくしかないのである。この社会から降りるという選択肢はないのだ。 | ||||
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本書は、村上春樹さんが、人から聞いた話を装飾することなく再現した短編集です。 本当の話でありながらも、ここまで楽しませることができるのは、 他のレビュアーの方がおっしゃるように、村上春樹さんの聞き手としての力量のおかげであると思います。 それは、のちの作品で、地下鉄サリン事件関係者にインタビューをした「アンダーグラウンド」にも通じていきます。 インタビュアーとしての、村上春樹さんの力量もなかなかのものです。 そして、それを文章化することにも秀でているから、本作もおもしろいのです。 | ||||
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旦那にドイツで半ズボンを買う「レーダーホーゼン」、自分のために買った「タクシーに乗った男」の絵、知人のパートナーと寝る「嘔吐1979」、好きな女の部屋を覗く「野球場」など、「事実に即して」村上氏がまとめた短篇/ドキュメンタリー(?)8篇を収録。 どの短篇も緻密な構成で、言葉の一つひとつ、単語の一つひとつを徹底的に吟味して紡いだ物語という印象を受けます。その短篇はどれも完成度が高く、よく書けている、と感じさせると同時に、奇妙なあと味を残します。それは、人の感情の井戸の底のほうにある、得体の知れないいびつさを垣間見てしまった、そんな感触なのかもしれません。 | ||||
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いくつかの短編集で、作者曰く全て実話とのこと。 これが本当に実話だったとしたら、真実は小説よりも奇なりとはよくいったものです。 私自身、昔読んだ「ノルウェーの森」以来の村上春樹作品だったのですが、それを読んだ当時は若かったというのもあって評判ほどのよさがわからなく、それ以降は敬遠していました。 これはしみじみとした面白さを感じることができ満足できました。所々に村上さんの考え方とかを垣間見ることができ、それもよかったです。 これを機に長編作品も読みたいと思わせてくれる一冊です。 | ||||
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村上春樹が他人から聞いた「語ってもらいたがっている」話を小説としてまとめたもの。どの話も奇妙な味わいがあり、これが本当の話だったら、なんだか人間の奥深さ(あるいは、村上春樹の語り手としての奥深さ)を見せ付けられたような気がする。嘔吐1979なんかはとにかく魅力的。突然に嘔吐するようになって、知らない男からの電話がかかってくるようになる、まるで都市神話のような趣の話なのだが、奥になんだかすごいダークなイメージが漂っていて素晴らしい。 | ||||
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