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(短編集)
毒の矢
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毒の矢の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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| 本書は表題作である「毒の矢」と「黒い翼」の2篇を収録した横溝正史の推理小説。どちらの作品も名探偵・金田一耕助が活躍するが、相棒といえる警視庁の等々力警部は登場しない。この頃の耕助はまだ緑ヶ丘町の高級アパート・緑ヶ丘荘に住んでいないが、緑ヶ丘署の島田警部補が初めて登場し捜査主任を務めており、以降金田一とは馴染みの間柄となる。 ●毒の矢 「毒の矢」は昭和31年1月「オール読物」に短編として掲載され、その後長編化された作品。東京・世田谷の緑ヶ丘町に住むピアニスト三芳欣造は、「黄金の矢」と名乗る謎の人物から届いた密告状のことを心配し、以前友人を助けてもらったことのある金田一耕助に相談を持ちかける。欣造から見せられた手紙は、彼とは一字違いでよく誤配される三芳新造宛てのものであり、妻の不倫、しかも同性愛関係を告発するものだった。 それから一週間後、各所にばら撒かれた「黄金の矢」の密告状によって騒然とする町内で、とうとう血なまぐさい殺人事件が起きてしまう。新造の妻悦子の同性愛相手だと密告されていた、アメリカ帰りの富裕な未亡人・的場奈津子が自宅で殺害されたのだ。上半身を裸にされた彼女の背中にはトランプの入れ墨があり、13枚のトランプのうち、ハートのクイーンの上に矢が突き立てられていた……。 警察による捜査はなかなか進展せず、ある人物が殺されそうになったり、被害者の意外な過去が明らかになったりするが、最後は金田一らしい人間味あふれる結末になっており読後感はよい。終盤、金田一の推理に感銘を受けた山口刑事が、新聞の綴込みをわしづかみにしたまま、身をもってまもろうという気構えを見せるシーンは印象的だ。いたいけなボンちゃんが活躍するところも読んでいて微笑ましかった。 過去の秘密をネタにした脅迫状が届くというと、似たような道具立ての長篇として団地を舞台にした「白と黒」が思い出されるが、ストーリーやトリックは大きく異なっており、比較して読んでみるのも面白いかもしれない。 <登場人物> 的場奈津子 … アメリカ帰りの寡婦。背中にトランプの入れ墨。 的場譲治 … アメリカで死亡した奈津子の夫。サーカスを経営。 的場星子 … 奈津子の養女。小児麻痺で両足が不自由。 三津木節子 … 星子の家庭教師兼看護婦。佐伯達人の想い人。 お種 … 的場家のお手伝い。 深井英蔵 … 的場家の別棟に住む爺や。庭師兼下男。 お咲 … 栄蔵の妻。的場家の女中。 八木信介 … 成城に住むキリスト教の牧師。的場奈津子と懇意。 三芳新造 … 画家。的場家の隣に住んでいる。 三芳悦子 … 新造の妻。 三芳欣造 … ピアニスト。金田一とは昵懇の間柄。 三芳兼子 … 欣造の先妻。和子の母。交通事故で死亡。 三芳恭子 … 欣造の後妻。ピアニストだった兼子の愛弟子。 三芳和子 … 欣造と兼子のひとり娘。的場星子とは友人関係。 佐伯達人 … 声楽家。三芳恭子の別れた夫。 佐々木先生 … 緑ヶ丘病院の医師。検死を担当。 沢村先生 … 緑ヶ丘病院の若い医師。的場星子の主治医。 橘署長 … 緑ヶ丘署の署長。金田一の名前を知っていた。 島田警部補 … 緑ヶ丘署の捜査主任。 山口刑事 … 緑ヶ丘署の刑事。 北川刑事 … 緑ヶ丘署の刑事。 北山刑事 … 緑ヶ丘署の刑事。 緒方刑事 … 緑ヶ丘署の刑事。 金田一耕助 … 三芳欣造の依頼で脅迫状の調査に乗り出した探偵。 ●黒い翼 「黒い翼」は「毒の矢」の翌月「小説春秋」に発表された短編で、両事件は連続して発生したことになっており、金田一がこの事件に巻き込まれたのも「毒の矢」事件を解決した緑ヶ丘の有名人だからという理由である。ちなみに2つの事件は舞台だけでなく、犯人が郵便物を利用している点も共通している。 その当時、世間では「黒い翼」と呼ばれる不幸の手紙が流行していた。烏羽玉のように真黒に墨でぬりつぶした葉書のうえに、不吉にひかる鉛筆で書かれた「黒い翼」は、同様の文面の葉書を七名に出さなければ、秘密が暴露され流血の惨事がもちあがるだろうと告げるものだった。 一年前に自殺した映画スター藤田蓉子。彼女の服毒死には多くの謎が残っており、その跡を継ぐ形で人気映画女優に登りつめた原緋紗子にもたくさんの「黒い翼」が届いていた。映画監督の石川賢三郎はこれを心配し金田一耕助に助けを求めるが、蓉子にゆかりのある男女を集めた一周忌パーティで事件が起きてしまう。 その日は全国から「黒い翼」のはがきを集め、藤田蓉子一周忌法要として一気に燃やしてしまうイベントが、テレビなども呼んで盛大に執り行われた。無事に終わったことを喜び仲間内で慰労会を行っていたところ、蓉子の元マネージャー土屋順造と、蓉子の主治医で最後を看取った小泉省吾が再び毒に倒れたのである……。 グラスのすり替えは「百日紅の下にて」でも使われたものでお約束すぎる気もしたが、金田一が解き明かす事件の真相や藤田蓉子の秘められた過去は驚くべきもので、犯人が「黒い翼」という途方もなく迂遠な手段を選んだ理由も予想外だった。 <登場人物> 原緋紗子 … 大スター女優。親友だった藤田蓉子の家を購入。 藤田蓉子 … 去年変死した映画女優。元浅草劇場の踊り子。 藤田貞子 … 蓉子の妹。原緋紗子の女秘書。 田口健吉 … 浅草時代の蓉子と同棲していた学士。獄中死した。 春日恭子 … 蓉子と仲がよかった隣家に住む弁護士の娘。 石川賢三郎 … 東亜映画の映画監督。映画界で一大勢力を持つ。 三原達郎 … 東亜映画の人気俳優。 丹羽はるみ … 東亜映画の三枚目女優。 梶原修二 … 新聞記者。 土屋順造 … 藤田蓉子のマネージャーだったが現在は無職。 小泉省吾 … 緑が丘の開業医。藤田蓉子の主治医だった。 小泉郁子 … 省吾の妻。 佐々木先生 … 緑ヶ丘病院の医師。検死を担当。 橘署長 … 緑ヶ丘署の署長。 島田警部補 … 緑ヶ丘署の捜査主任。 金田一耕助 … 黄金の矢事件を解決したことで知られる名探偵。 | ||||
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| good | ||||
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| 高級住宅街、緑ヶ丘で起こった謎の事件… 刺青の入った未亡人がこの矢の餌食になります… 今回の作品は犯行の裏に何とも恐ろしい事実が隠されているのです。 おまけに犯人も金田一耕助が言わないとわからないようになっていますし、 途中でこれが犯人だろ?と思わせるような罠まであるので 最後まで犯人の目星が付かないようになっています。 もう一つの作品、「黒い翼」では謎の脅迫状から ある有名女優の死が解明されるミステリー。 これもどういうトリックなのかが最後までわからないので 思わずハラハラさせられます。 どちらも一気に読める作品です。 | ||||
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