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(短編集)
毒の矢
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毒の矢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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<表題作の感想のみ。ネタバレ注意> 中島河太郎は、フィーチャー元として『矢の家』を挙げていた。 著者が編集者当時に彼の書を翻訳して日本に初紹介したらしい。一応わたしも所持しているがまだ未読の状態で、代わりに(というかなんというか)ミス・マープルものの『動く指』を思い出した。当時邦訳はまだ出ていなかったが、著者はクリスティのファンでもあるし、原書を読んでいた……なんてことはないかな。 本作と次の「黒い翼」はどちらも緑ヶ丘町が舞台である。 「霧の中の女」や「鞄の中の女」他の記述で、金田一耕助が緑ヶ丘荘に転居するのは1957年1月だろうと考えていたが、ちょうどその一年前の本作で緑ヶ丘町がフィーチャーされていて、おいおい設定が崩れるじゃないかと大いに危うんだ。 落ち着いて読み直してみるとw、金田一耕助の住居自体が緑ヶ丘だとはひと言も触れられていなかった……。この先何度も顔を合せることになる、緑ヶ丘署の「ふかし饅頭のようにかわいくふとった」(P.32)島田警部補とも初顔合わせのようだ。 いずれにせよ、本作の時点では、別に事件の発生場所だという記号で良い筈の緑ヶ丘について、その地の略歴などにも触れられていたのが不思議だ。緑ヶ丘は戦前から閑静な住宅地だったとしながらも、戦後大いに造成・発展し、それに合わせて大量に人間も流入してきたから、隣人といっても過去をよく知らない人たちが暮らす新興住宅地だと紹介されている。 戦後すぐに発表されて人気を博した一連の金田一ものは、いずれも地方の旧家にまつわる複雑な人間関係を背景にした陰惨な連続殺人だが、旧来の因習の中にい続けた人と、一旦都会に出た人間が再び帰ってきてぶつかることが、事件のきっかけとなることがままあったように、多くの文化基盤を持った人たちがぶつかる設定を組み込みやすいという考えがあったのかもしれない。 この時期、社会派推理小説なんて言葉がすでに生まれていたかは知らないが、松本清張の活躍は始まっていたし、著者にも、現代的な社会背景の中で金田一耕助を活躍させなければという欲求、あるいは周囲からのプレッシャーでもあったのかもしれない。そういった遠望のうえで、翌年金田一耕助本人が緑ヶ丘町に転居することになったと考えればとてもよく判る。 「緑ヶ丘というところは、なんとまあすごい美人ぞろいなんだろうと、舌をまいて驚嘆せずにはいられなかった」(P.97)のが理由かもしれないがw 物語について云えば、ボンちゃんの記憶力の良さがすべてだった。 何らかの発達障碍がある人に、まま写真記憶のように常人以上の能力があることは、そこそこ知られている。本作に現代用語は使われていないが、特段の説明がなくても、そのような事例があることが当時からかなりポピュラーだったということか。 まさか刺青にアリバイトリックをもたせるとは思わなかったので、なかなか面白いと思ったが、一瞬欺瞞できれば用は足りるとは言え、それが可能だった犯人の技量の確かさと、枚数(つまり構図)のテキトーさが今ひとつしっくりこなかった。そのあたりはもう少ししっかり描写してフォローが欲しかったところだ。特に本作は、一度雑誌掲載されてから加筆されて中篇化しているのだから、そのあたりの補足だってできたのではないか。 一方で、事件解決後もやたらにエピローグ的な描写が長くて、たしかに障碍のあるボンちゃんの行く末は少々心配だったが、それでも辟易してしまった……。 ところで、的場星子の渾名がボンちゃんであることの理由って、どこかに書かれていたっけ? | ||||
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「毒の矢」というタイトルですが暗躍する怪人物は「黄金の矢」。 別に「死神の矢」という小説もありますが、こちらには怪文書は出てきません。 「悪霊島」では凶器が黄金の矢でした。 ハートのクイーンは「スペードの女王」を連想させます。 なんとなくややこしくてなかなか手が出なかった小説でした。つまり似たような道具立てが錯綜して私の中では印象を弱めていました。 「悪霊島」「死神の矢」「スペードの女王」の3作とは全く違う話なんですが、タイトルで損しているのではないかと思います。 金田一の緑ヶ丘町物は少年少女がキーパーソンとして登場する話が多いのはなんとなく興味深いです。 もう一本の「黒い翼」の方がより長編向きだったかもしれないです。 芸能界話としてはひょっとして「仮面舞踏会」に影響を与えたのかもしれません。 怪文書話ですので「白と黒」の元ネタとして混同しがちですが、あちらの元ネタは「渦の中の女」だそうですので、お間違いなく。 | ||||
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横溝正史の作品は、ほぼ読んでいるのですが、この作品は、未読でした。今回、入手できて、とてもよかったと思っています。 | ||||
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「毒の矢」と「黒い翼」の2編が収められている。 「毒の矢」には、3つのバージョンがある。ひとつ同タイトルのは短篇、2つ目が本書に収められた中篇、3つ目が長篇『白と黒』だ。いずれもモチーフは同じだか、トリックや展開、犯人は異なっており、すごい仕事をするなあと驚かされる。比較しながら読んでみると面白いだろう。 ただ、まあ、本書の「毒の矢」はいまひとつの出来のような・・。 「黒い翼」は、不幸の手紙を取り上げたもの。意外な動機が隠されており、なかなかのもの。 | ||||
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