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言霊たちの反乱(言霊たちの夜)
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言霊たちの反乱(言霊たちの夜)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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くだらない、バカバカしい、ってのが最高の褒め言葉であろう。声だして笑った。 | ||||
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<芸術ミステリ>とも呼ばれる長編ミステリを発表し続けてきた著者の最新作は、「コミカルな日本語の言葉遊び」小説でした。 これまでのイメージを完全に覆す、連作ミステリ、次の4編が収録されています。 【漢(おとこ)は黙って勘違い】 「日本語の同音異義語の多さ」をフル活用した作品で、主人公は、日本語を「聞き間違い」しまくります。 その影響で、主人公の運命はどんどん悪い方向へ向かっていくことに…。 【ビバ日本語!】 こちらは、日本語の「非論理的な構造」がモチーフ。 主人公の日本語講師は、外国人に日本語の文法を詳細に説明。 でも、その外国人が文法ルールどおりに話すと、「変な日本語になってしまう」、この不思議。 【鬼八先生のワープロ】 これも「同音異義語」がモチーフ。 文芸評論家である主人公は、原稿の締め切り期限ぎりぎりのところで、ワープロが故障。 故人の作家「伴鬼八」の持ち物であったワープロを借りるのですが、「変換ミスが続出」。 本作品、物語前半に、手書き原稿である「文芸時評」が5頁ほど載っていて、きちんとした「評論」になっています。 ところが、「変換ミス」によって、全然違う読み物に。 どんな読み物かは、作家名で、ある年代以上の人は想像がつくと思いますが、感心したのは、5頁程度の「全文」が、変換ミスされること。 途中を省略したりしないところが、この著者のフェアなところです。 【情報過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群】 ステレオタイプ化された言葉づかいへの痛烈な批判である本作品は、一時期ネットを賑わせた著者自身の体験がベースになっていると思われます。 <芸術ミステリ>の「花窗玻璃 シャガールの黙示」で、外来語をすべて漢字表記するという離れ業を演じた著者が全く別のアプローチで、「日本語の面白さ」を追求した傑作短編集。 最初の2編を読んだあたりで、表紙中央の青い部分をじっくり見てみたら、書かれている内容に、思わずニヤリでした。 | ||||
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近年のライトノベル化するメフィスト賞受賞作家のなかで、大人向けの博識系本格ミステリーの書き手として評価を高めてきた深水黎一郎氏の非ミステリー短編集。全てが日本語の構造から来る勘違い(一部英語もあり)をメインテーマにしたギャグ短編。簡単に言うと、アンジャッシュの勘違いコントと言うのか、一昔前の清水義範が書きそうな雰囲気の内容。いずれも軽く読んでいるとどういう勘違いが仕掛けられていたのか気付かないので、何度も読み返したくなる構造だ。 体裁としてはギャグ小説だが、読み終わると日本語という言語の不思議さと高尚さと面倒くささに必然的に気づかされる。やはり博識系ミステリーの深水氏らしい作品だと思えてくる。 | ||||
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なかなか、言いまつがいならぬ聞きまつがい系が楽しめました。 てっきり長編だと思っていたら短編で。 一話目も、すごいのですが、日本語教師の話もナカナカすごい。 外資系勤務で多国籍なので、何となく理解できるところもあって、うんうんと。 でも、最後の話はちょっと救いようがなく、グロさもあり、好きぢゃ無いかもです。 | ||||
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本を読んでこんなに笑ったのは生まれて初めてです。 帯にもありますが、正に言葉の魔術師。 深水黎一郎、お剃るべし、いやもとい、恐るべし! 最初、この作者のこれまでの作品とのギャップに戸惑いましたが、 終わってみると一本芯の通った、やはり作者ならではの作品でした。 これは余技なのではなく、かなり時間と手間をかけて書かれたものだと思います。 | ||||
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重厚なヨーロッパ文化をミステリに仕組んできた著者が、いきなり筒井康隆ばりのギャグに? とびっくりして読み始めたのですが、最初はその才気が暴走したテクニック小説と思いきや、後半の作では、コトバとは何か、広告とは、オリジナルとステレオタイプの表現とは? とずしんと心の底に落としこまれるようなテーマに収束します。 『漢は黙って勘違い』は、同音異義語を耳からきいての勘違いがドミノ倒しのようにつぎつぎノンセンスな事件を引き起こし、最後は・・・というもの。筋はわりあいにストレートで、日本語の面白さ(たとえば「数パーセント」を「スーパー銭湯」と聞くなど)を著者らしく濃厚に追い詰めてゆきます。 『ビバ日本語』も外国人に日本語を教えるという設定で、いかに日本語が「非論理的か」を語っているうち、ふたりでノンセンスな世界に飛翔してしまう、という、これも笑いがメインですが、コトバというものの不条理性に一歩踏み込みます。 『鬼八先生のワープロ』。これはもちろんあのSM小説の大家のことですが、悪筆ゆえにコンプレックスを抱いてきた文芸評論家が、敬愛する鬼八先生の遺品のワープロを手に入れ、生意気な若手作家をこてんぱんにしてやろうと、痛烈なこきおろしを書き始めますが、あとで変換を見てみると、鬼八先生語録に変換されていて、このワープロには生命がある、と絶叫する・・・・ そして最後の『情緒過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群』こそ著者がツイッターなどでも発言してきた、情報操作や公的電波の倫理、ステマネなどについての痛快なツッコミ小説でもありますが、TVが愛用するステレオタイプの惹句と「クサイ盛り上げかた」に、アレルギーを発症した主人公が、某事件の犯人に仕立てられ、TV局の「生中継」で思いのたけを吐露するものの……その結果のカタストロフィは読んでいただくしかありませんが、あくまで緻密な文章の中に、著者の哄笑がとどろきわたる快作です。 内容をこのように書きましたが、表面の主題だけが読みどころなのではなく、ミステリ作家として頭脳明晰すぎる著者は、各作品に、自分に対する自虐的批評やくすぐりもしっかり織りこみ、著者の他作品の読者には二重に笑えるしかけが用意されています。 矛盾やノンセンスを表面に展開して笑わせるだけでなく、二重底のその下から、冷静な目がじっと見つめている。それは日本語をメスのように解剖する作家の目であり、書くということにまつわりついてくる、常套パターンや情報による「感動」の洗脳、そんなものを鋭く腑分けしてゆきます。皮肉で鋭利でありながら、なおかつ日本語と運命をともにするものの深い覚悟。この真摯さが、いつものこの著者だな、と思います。 著者のミステリを読んでいない読者にも、日本語についての蘊蓄と警鐘の(爆笑)書としてお勧めします。 | ||||
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