■スポンサードリンク


M8 エムエイト



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
M8 エムエイト
M8 (集英社文庫)

M8 エムエイトの評価: 4.09/5点 レビュー 57件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全48件 21~40 2/3ページ
No.28:
(4pt)

地震時の様相が実にリアルに伝わった

東日本大震災前に、詳細なデータを元に、実にリアルに地震の様相を描いている。被災後、防災・減災が叫ばれたが、今もって対策はとられていない。福島原発対策ばかり感心があるようで、本来の被害がどこにあったのか忘れ去られていくような気がする。また、そのとき話題になったが、いったい地震予知は可能なのか。この本が、もっと話題になっていれば、被災前に世間で論議されていたかもしれないと残念である。そう思うほど、よく書けていると思う
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.27:
(4pt)

首都圏直下型大地震シミュレーション、ラッキエストヴァージョン

M8(エムハチ)ではなく、エムエイトと読むんだそうだ。東日本大震災を身近に感じた今こそ読むべき本だ。

でも、擬似体験にはなり得ない。50%、と言う処か?なぜかと言うと、このストーリーは

1.予知が人的に可能であった。つまり、オーバードクターに、失脚した嘗ての凄い地震エクスパートが力を貸して、更には国家規模のスーパーコンピュータが地震予知をはじき出すことが出来た。其処にはストーリー中の地震予知判定会のメンバーが、現実の日本の地震予知学会に見られるゴタゴタ、縄張り争い程は強烈でなかった事。

2.現実では有り得ないくらい、頭の柔軟な政治家が災害訓練・演習として消防、警察、自衛隊、更には東京都職員全員をスタンバイさせている上で迎えた巨大地震であった。更には人脈等、数々の幸運が重なった上で迎えた、心構えの出来た地震災害であり、予測が現実となった率が物凄く高く、その結果減災が可能になった、と言うストーリーだからだ。

とは言え、地震で倒壊し、火災が発生し、人の為(実は車の為)に作られた歩道橋などが崩れて道を塞ぎ、帰宅難民の邪魔をする、と言うのは事実だろう。そう言う意味での、地震災害シミュレーション入門には充分なる、と思う。特にヘリコプタからの鳥瞰図は全体図を読者に想像させる上で、良い手段となった。

ストーリーでは静岡沖でM6.4の地震が起きる事が発端で展開が始まる。首都圏の乗った北米プレートの下に潜り込んだ太平洋プレートに、西側から押して来るフィリピンプレートが反発した事が原因となった前兆地震であった。そして本震がやって来た。実際に地下の中でプレートがせめぎ合い、どの様な結果が地上に齎されるかは分り難い。これに影響を受け火山噴火が伴えば、降灰で歩いて帰る事すら出来ない事も覚えておこう。

道に溢れ出した水道水、切れて垂れ下がった送電線の危険性、倒れ掛かった電柱、ガス管の損傷に因るガス漏れ、陥没した道路や地下鉄のトンネル、乗り捨てられた車や駅近くの大量の自転車、大切な家々も火炎の前では可燃物でしかない。日頃便利なモノ達が凶器となる。恩恵を享受しているだけでは二面性の片一方の姿は見抜けまい。行政も避難所を指定し安心し、住民もイザとなれば、XX小学校、と安心しているが、災害はそんな悠長ではない。災害の最中には物凄いスピードで変化が起きるものでは無いだろうか。

ライフラインで一番復旧が遅いと言われる水道が具体的にどの位かかるかを知らずに、防災グッズの水の用意は出来ない、と思った。非常食もメーカーが提供するものも良いだろうが、最小限の水で食べられるもの、例えば糒(ほしいい)等を手近に準備しておく事は可能ではなかろうか。自家製ならばゴミも少ないだろうし、戦国時代辺りの日本人が糒の袋の下に梅干を一ついれ、舐めては食べて戦の合間を縫って生き続けた事を考えると、干し野菜なども中々のものに見えて来た。

それでも、予測出来ない、否、出来るのかも知れないが、東北地方太平洋沖地震時の原発の様に、一般国民に知らしめたくない存在である危険なナニカが意外と身近な処にあるかも知れない。増してや、国をあげて株式会社日本の栄光よ、再び!、とオリンピック招致に成功したこれからは、隠したいものが沢山出て来るだろう。

それは自分で歩いて感じる以外に手は無いのかも知れない。ストーリー中で、災害が“想定外”にならなかった事にホッとしつつも、『違うよね。未だ甘い!』と呟く自分がいた。2004年の初版時には充分にショッキングだった、と想像するが、2011年以降、読者は災害モノには厳しくなっている。若い女性の場合は違うが、婦人服の店ではあの地震以来、スカートが売れないのだそうだ。

マグニチュード計算が7を超えると、各地からの情報を元に手計算で行われるそうだ。最終的には人間の手が必要なのだ。

この所、地震・火山・災害史と立て続けに読んで来た。その一連の流れとして、一気に読んだ。読んできたものが立体的・視覚的になった、とでも言おうか...。書かれている事は地震の本で読んで来た事に大変近い。
M8 エムエイトAmazon書評・レビュー:M8 エムエイトより
4087753387
No.26:
(4pt)

正確なシミュレーション小説

東日本大震災前に書かれた小説とは思えないほどのリアルな描写でした。首都圏直下型地震はまだですが、その備えとして参考になると思います。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.25:
(4pt)

東京直下型地震のシミュレーション小説です。

阪神淡路大震災の被災者たちを登場人物に多く起用したシミュレーション小説です。

様々な想定を小説に書きこんでいる力作だと思いますが、このくらいの被害で収まるかどうか心配なところです。

例えば、ナフサタンクが一つだけ炎上してどうにかこうにか鎮火させ延焼を防いだという想定ですが、東京湾沿岸にはそれこそ多数の石油や天然ガスの備蓄タンクがあります。

実際の地震が発生した時に、火災の被害をどれだけ少なくできるか、今のうちから防災の設備訓練を増やしておいてもらいたいと願います。
M8 エムエイトAmazon書評・レビュー:M8 エムエイトより
4087753387
No.24:
(5pt)

リアルさに圧倒された

首都直下型地震が数年以内に発生する確率が
70%だ、50%だといわれ、恐怖心ばかりがあおられる最近だが、
まず何をするより、この小説を読め!と言いたい。
イメージこそが人を動かすからだ。

都市型地震の破壊力が微に入り細に入り
これでもかというほど具体的に書き込まれているので、
自分だけは被害に巻き込まれないと高をくくっていられないことが
身に染みてわかるはずだ。

首都圏の具体的な場所やランドマーク的な建造物に何が起きるか、
読者にもまざまざと想像させてくれる筆力は恐ろしくも素晴らしい。
そのときどうやって自分や家族の身を守ればよいのか、
どう対応すべきなのか。多様なシチュエーションをイメージしつつも、
これが小説であることに安堵しながら、
読後にじっくり考えてみるのもよいかもしれない。
虚構でないかもしれないのだから。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.23:
(5pt)

すごい

舞台は東京。オーバードクターである瀬戸口が、関東大震災再来を予言する。その
シミュレーションは想像を絶するものであった。
 都知事の漆原は、その英断をもって東京の非常事態宣言を演習の形で出すのだが。
 阪神大震災を経験する予言者の瀬戸口、政治家秘書の亜紀子、自衛隊員の松浦は、
二度目の直下型地震に襲われる。道路の寸断、火災、想像を絶する世界。

 解説で、京都大学の防災研究所の教授が述べられています。
 「2003年の十勝沖地震は、発生確率60%で発生した。首都直下型地震は70%、東海地震は
87%である。1854年の安政東海と南海地震のときは、十一ヵ月後に安政江戸地震が起きている。」
 
 私は、この小説の前に、吉村昭の関東大震災を読みました。知識がないからこそ驚きでした。
単なる記録の羅列が衝撃でした。
 吉村昭の関東大震災に息吹を与えたら?
 それが「M8」です。作者は元日本原子力研究所研究員。現在はミッドナイトイーグルで
有名な高島哲夫。理系エリートの描く世界は、正確、かつ精密なシミュレーション。私たちを
十分驚愕の世界に導きます。しかしながら、吉村昭の関東大震災に比較すると、かなり遠慮が
あることは否めません。仕方がないと思います。

 未曾有とか、想定以上とか、はっきり言って馬鹿の台詞だと、少しずつ分かってきているの
ではないでしょうか。
 
 時は迫ってきています。是非ご一読を。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.22:
(4pt)

震災後に読みました。

東日本大震災以前に書かれた小説であるが、こうして震災後に読むと他人事ではない
怖さを強烈に感じる。関東に住んでいて震度5でも十分に衝撃であったし、私自身も
帰宅難民の一人であったが、もし首都直下型の震度7の地震が起きたなら・・・。

地震予知の段階から、実際の発生時、そして発生直後の2日間を丁寧に書き上げてい
る。そしてその中味は決して扇情的でもオーバーでもなく、非常に信憑性の高い内容
である。現実の大震災が起きた後ではあるが、復習の意味も込めて読んでみる価値が
あると思う。日本に生まれた以上、地震を避けては通れない。最善の備えとはなんな
のか、今一度考えさせられた。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.21:
(4pt)

役に立つ小説

芸術性の高い小説がある。
面白い小説がある。
また、感動する小説がある。
本書は面白く、ある種感動もするが、しかしその本当の価値は
役所がやってくれない大地震の際のシミュレーションを
やってくれたことにある。
実際に直下型大地震が起きた時に、少しは慌てないでいられるかも
しれない。しかしながら、本書に出てくるような「政治家」が
現実にはいないのがなんとも困ったことだ。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.20:
(5pt)

首都圏を襲う直下型地震を正確にシミュレートした作品

まず、前もって言うことがありますが、この作品は娯楽小説ではありません。今年3月11日午後2時46分に発生した東北地方太平洋沖地震の教訓として、近々東京都を中心とする首都圏を襲うであろう直下型地震を正確にシミュレートした、高嶋哲夫先生の「M8」を読破しました。これまで「第二次関東大震災」を描いた作品として、真っ先に思い浮かんでくるのが小松左京先生のSF小説「日本沈没」上巻の恐ろしいクライマックスとなった東京大震災の地獄絵図でしたが、作中の想像を絶するほどの最悪の被害数値はオーバー過ぎて、むしろ本当にそうなるとしたらゴジラ襲来でもない限り考えられません。本当に冷静かつ正確な、首都圏直下型地震のシミュレートを知りたいのならこちらの「M8」だと考えております。
 これまで首都圏直下型地震の小説となると、どういうわけかSF「日本沈没」や1974年の米映画「大地震」のあおりを受けたのか、不謹慎にも娯楽要素を加えたパニックものが多くなってしまうのですが、この「M8」はそうした傾向とは違い、現在の防災知識・意識そして対策をふんだんに駆使した、冷静かつ正確なシミュレート作品だからです。作中にも描かれているように、主人公が首都圏直下型地震の発生確率を複雑な計算で叩き出すというのは、当初この部分のみSFだな、と思ったのですが、今回の東北地方太平洋沖地震の発生確率が99%だった、という事実を考えれば、将来的には実現可能、被害を最小限にとどめることが出来るものと信じるようになりました。

 作中には本当に首都圏直下型地震―――南関東直下地震が発生します。マグニチュード8.2の巨大地震で震度6強、震度7に見舞われた震源地は東京都の中野区から新宿区の地下30キロメートルと、まさに人口密集地帯のど真ん中!さらには数日も震度5弱の余震が続くという展開では、頻繁に緊急地震速報のチャイム音が鳴り響いたものと頭の中で想像してしまいました(注意:実際にこの小説が書かれたのは2004年、集英社文庫で刊行されたのが2007年の8月でした。気象庁が緊急地震速報を一般に向けて発表を始めたのは2007年10月1日からです!緊急地震速報は最大震度5弱以上の強い揺れが予測された場合に、震度4以上が予測される地域を広く、気象庁が一般に発表するものです)。
 他にも、作中における豊洲の石油コンビナートの火災事故、JR・私鉄・東京メトロ等の公共交通機関が不通となったことで多くの帰宅難民が増加した等、今回の東北地方太平洋沖地震で実際に起きてしまった事態を思い起こされる場面が沢山出てきました。しかしその中でも神戸の悲劇を繰り返してはならないと、主人公をはじめ、震災に立ち向かう人々の姿が何と輝かしく見えることでしょうか!

 日本列島で地震が起こらない場所というのはどこにもありません。しかし地震を経験したことで私たち日本人がこれまでの長い歴史の中で強く成長してきたのはまぎれもない事実だと考えております。地震大国・日本で生きる私たち日本人は、作中の主人公の台詞にもあるように、

 「来るなら来い。絶対に負けない」
 「がんばろう、神戸………そして、日本。それしかないやろな」

 という強い心構えと希望を持つことでしょう。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.19:
(4pt)

高嶋 哲夫

このひとの作品はなんだろう?
大地震/津波/原発...今回の東関東大震災と場所、要因は一致しないものの災害事象は符号する。普遍的な災害テーマを選んでいると片付ける事もできようが、震災発生時にこの作品を思い起こし、豊洲を職場にする我が身としては、東日本大震災直後の豊洲近辺の火事は相当ビビり、君津のコンビナート火災の早期鎮火を願った。
先週、東北に支援に入る機会があったので、移動の際に書店にて「東京大洪水 (集英社文庫)」を購入し未だ読了していないが、石巻、南三陸といった海岸地域の状況を実際の目にし、「TSUNAMI 津波 (集英社文庫)」を早く読みたい/読まなくてはと思った。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.18:
(4pt)

地震の恐ろしさ

M8。マグニチュード8である。ずばり、日本でM8の直下型地震が起きる。場所は読んでのお楽しみ。主人公になるのは阪神大震災を学生のときに経験した若手の地震学者。地震予知のシミュレーションをしていて、その予想が半年後の直下型地震だったのだ。主人公の彼女も友人も、阪神大震災を経験し、それぞれ地震に関する仕事に就く。彼らの真摯な姿勢を読み取ると、フィクションだが、震災の与えた影響の大きさを思わずにはいられない。
 最初、いくつかの余震が起こる。それを計算に入れてシミュレートしていくと、予測はさらにシビアなものになっていく。
 引き込まれるように読ませる力がある。著者は元科学者だけあって、その地震に関する科学的な説明は正確で、このストーリーにリアリティを与えている。東海地震についても触れられているが、南海地震、東南海地震を含めて、あと何十年かのうちに起こるのは間違いない。この本は、その時のシミュレーションとしても読める。こういった小説は好きなのだが、構成を変えればもっと面白くなったと思う。個人的には、台風をテーマにしたジェミニの方舟のほうが気に入っている。
 この本にあるように、地震の予測シミュレーションは可能になるのだろうか。東海や南海地震が予知できるなら、被害は相当減らせるはずだ。そんな日ができるだけ早く来ることを願うのみである。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.17:
(5pt)

緻密なシミュレーション作品

いやー、この作品は凄いですね。地震災害のことばかりでなく、人間たちの心理描写にも細かいシミュレーションが施されていて、読んでいて作品の中に引きずり込まれそうになります。

まもなく東京に直下型の大地震が来ることをコンピュータシミュレーションによって予知した瀬戸口の行動や、彼に関わりのある人物たちの言動や行動が実に上手く描かれています。
一人の人物によって動かされていく国や東京都の巨大な組織の様子、頑固なまでに自分たちの主張を通そうとする地震学者たち、防災の重要点を軽視している現状の在り方など、考えさせられることが多く伝わってきます。

ただのパニック作品という感じではなく、実際の災害時にも役立つシミュレーション作品だと思います。
是非、この本を手にとって皆さんに読んで貰いたいですね。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.16:
(4pt)

備えなければ

もし東京で大地震が起きたら?
その時に何をすべきか?何を備えておくべきか?そして行政が何をしているか?
がイメージ出来る物語。
地震は恐いよねー。火事なんかと違って防ぐ事が出来ないもんなー。

■読んで欲しい人
・東京に住む人
・東京で働く人
・東京都知事や政府の人
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.15:
(5pt)

地震よりもっと恐いことを知った

これはこれは、とてつもなく恐い話だったな。
といっても、それは東京を襲った地震のことではない。
もちろん自身が怖くないわけはなく、それはむちゃくちゃ怖かったさ。
でも、もっと怖いのは、その東京を襲う地震の存在を「知って」も、それを伝える手段が、実は、ない、という恐ろしさ。
そりゃそうさ。大権威の集まった地震の委員会が、皆東海地震の方にしゃかりきになっているとき、一介のオーバドクタが、東京に地震が来る、って言って誰も本気にはしないわなぁ。
実際、来ると言ってこの1000万都市の住民が避難して、もしも(予測通り)来なかったら。。。
当然こない方がいいのだが、来ると予知して皆を避難させ、対策を講じさせて、で、結果としてこなかったら。
そう思うと「100%か」と問いたくなる気持ちもわからなくはないし、科学者としては、やはりなかなか「絶対に」とか「100%」とかは言えないものさ。

しかし、自分が自分の命をかけてでも、その災害が起こると確信した場合。。。
いったいどうやって、皆を、施政者を、そう納得させられるのか。
自分としては絶対に起こる大惨事を防ぎたい、防げると思いつつも、これを伝えることができない怖さ。
これは、非常に怖いですよ。実際。
いやあ、これはとっても興味深い、面白い小説でした。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.14:
(5pt)

理系的に正しいパニック小説

理系的に正しいパニック小説
シミュレーションの手法なども構造力学系の人にはなじみ深いであろう
あと弟者から聞いたのだが、自衛隊に入るときに志望動機を災害救助だっていうと
本作とは違ってお断りされる傾向があるんだそうなのでご注意あれ
まあ狭い意味での本業じゃないからなあ
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.13:
(4pt)

地震への備えの大切さを再認識させられました

前半は地震予知に携わる科学者のジレンマがよく描かれていて身につまされました。そして、後半の地震発生からの描写は特に真新しいものはないのでしょうが、地震の恐ろしさを十分に伝えてくれるものでした。実際には、本書のようにある程度十分な対応体制が敷けたときに地震が起きるはずもなく、しばらくはどこからの援助も来ない、もっともっと悲惨な状況なのだろうなと思うと空恐ろしい思いがしました。
リーダーシップを発揮して果敢に行動する都知事と優柔不断で役立たずの総理という対比は、石原対安倍と具体的にイメージできて面白かったです(福田さんが危機管理に強いかどうかわかりませんが、安倍さんはいかにも国の危機に直面したら真っ先に腹をこわして機能不全に陥りそうな印象ですね)。
 本書を読んで、家具の転倒防止器具の点検と防災用品の確認、さらに家族皆に万一のときの避難場所とか災害時伝言ダイアルの使い方を再確認しておきました。
あまりに荒唐無稽な「ミッドナイトイーグル」とは同じ作者の作品とも思えない感じで、一読をお勧めします。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.12:
(4pt)

科学と疑似科学のコラボ

2007/10/1から一般向け運用が始まった『緊急地震速報』に影響されたわけではないが、地震予知(むしろ予測かな)を題材にした本作を読んでみた。
さすが理系出身の作者(専門は原子力工学らしい)だけあって、シミュレーションで地震予測を行うという設定は面白い。ただ、所々にマイナスイオンやら宏観現象(地震の前に動物などが奇妙な行動をとるといったやつ)といった現時点ではオカルトチックなネタが出ているところには突っ込みを入れたくなってしまったw
展開も早くさらっと読め、暇つぶしには最高だと思う。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.11:
(5pt)

阪神大震災の経験

私は12年前の阪神大震災の時、その直下にいました。
現在は東京に住んでいます。
今でも東京の小さな地震のたびに恐怖を思い出し、動悸が激しくなります。
また映画やテレビの地震のシーンでもとても不快な気分になります。
そのためなるべく地震のことを考えないようにしてきたように思います。
今回この本を手に取ったのはそんな自分自身に区切りをつけ、地震に向かい合ってみようと
考えたからです。ちょっと大げさな表現ですが。
よく東京であのような大地震がおこったら「どーせ皆終わりだよ」なんて、
軽口をいう人がいますが、そんなことは決してありません。
阪神間でのあの自身の死者は約6300人。神戸人口の0.5パーセント以下です。
それでも未曾有の大災害には違いません。
亡くなった方に失礼な表現化かも知れませんがしかし99.5パーセントの人は生き残るのです。大切なのは生き残った時の備えです。
私は阪神大震災の時は学生でした。
今は結婚して子供が一人います。守らなければならない人がいます。
この小説では東京直下型地震で約20000人の方が犠牲になると想定しています。
やはり0.5パーセント以下です。
私は生き残ることを大前提に備えをする必要性を考え直しました。
阪神大震災を経験した私にこの小説の小説としての完成度やストーリーを
冷静に分析することはできません。
ただ、この小説は私に地震への備えの気持ちを再認識させてくれました。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.10:
(4pt)

地震対策の未熟さに対する警鐘本

東京直下型のM8の地震が起こるストーリーで、阪神大震災の被害者である地震研究者を主人公に置き、地震が起こる前後の状況を描写している。前半は、主人公が我が国では一般的でないコンピュータ・シミュレーションと、気象・動物の異常動態の合わせ技により近日中に東京直下型の大地震が発生することを予知し、それを何とか政府首脳にインプットし、対応策の発動を求めようとする展開。人間の性向上当たり前のことだが、起こるかどうか分からない将来の事象に対して本気で備えるための決断をするのは、たとえば現在の温暖化問題への対応を見ていても分かるようになかなか現実世界でもできることではない。

後半は実際に地震が発生してからの初動対応について。ここでは自らリスクを取って次々と能動的にリーダーシップを発揮する都知事と、優柔不断でなかなか判断を下せず対応が後手後手にまわる総理大臣(実世界でも同じか)をうまく対比させながら描写している。有事の際にこそリーダーの器の大きさというのが試されるのだなあということをしみじみと考えながら通読した。

文献からのインプットだけでなく、地震の被害者への取材をきちんとやればもう少しリアリティを出せる部分がありそうなのがちょっと残念だが、なかなかの出来の作品だと思う。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005
No.9:
(4pt)

さすが東京都知事

阪神大震災のとき、シャワーを浴びていた。奈良でも結構揺れた。近鉄は走っていて職場までは行くことができた。会社についてからテレビで惨事を知った。それから千葉に住むようになり地震に対し恐怖心はなく「まただ」と安心しきっている。このM8での東京の惨劇はひどいものだが自分には何か現実味がないといったところ。
地震の危険を察知し、それをどう迅速に行政に反映させるのは、トップのリーダーシップ。
東京都知事にはそれができ、総理大臣にはそれができない、今の日本を映し出している。

最近10年の地震予知研究は大変進展しているそうである。「地震予知の科学」東京出版会に詳しく書かれており、M8でのシミュレーションと同じものが書かれている。
M8 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:M8 (集英社文庫)より
4087462005

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!