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(短編集)
覆面作家の夢の家
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覆面作家の夢の家の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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『覆面作家は二人いる』、『覆面作家の愛の歌』に続く覆面作家シリーズ第3巻です。世界社『推理世界』の編集者・岡部良介と新人推理作家で素封家の娘・新妻千秋が事件の謎を解決していく短編集。千秋は屋敷の中では内気なお嬢様然としているが、一歩外へ出ると男勝りな素人探偵と化す、特異な性格です。1999年に角川文庫で出版されたものを加筆修正し、<円紫さんと私>シリーズの表紙絵を描いた高野文子のイラストを数葉配して再文庫化した新装版です。 ◇「覆面作家と謎の写真」 :洋々出版『小説わるつ』の編集者・静美奈子(しずか・みなこ)は元同僚・鳥飼さくらとディズニーランドに行ったことがある。その時の写真をみせてもらったところ、別の同僚の唐崎が写っていた。しかし唐崎は当時も今もNYにいるはず。なぜ唐崎の姿が写真に撮られていたのか。 果たして心霊写真か、いや、唐崎はまだ存命だから幽霊であるはずはなし、というささやかな謎を千秋が解いていきます。そこに浮かび上がるのは、いつの世にもある男女の出会いと別れの物語です。 「向き合えば、後は心は、重なるというより重ねて行くものです」(72頁)という一文が心にしみました。 ◇「覆面作家、目白を呼ぶ」 :『推理世界』の新人賞を受賞した金山真奈美に会うため、良介は福島まで車を飛ばす。その帰路、金山の職場の主任・森崎が車で先導してくれるが、山道で突然森崎の車は迷走を始め、崖から転落してしまう。果たして森崎の車内で何が起こったのか。 ひとつの殺人トリックが施される本格推理物といえるでしょう。千秋が鮮やかな推理で解き明かすそのトリックは、やろうと思えばたやすく真似ることができる類いのものですから、模倣犯が出やしないかと少々ひやひやしながら読みました。 ◇「覆面作家の夢の家」 :ミステリ作家の由井美佐子と評論家の藤山秀二はドールハウスが趣味の同好の士。ある日、藤山は自らが殺害されているミニチュア人形を入れ込んだドールハウスを由井に送ってくる。死体の藤山はダイイングメッセージとして「恨」の文字を書いている。果たしてこのドールハウスの意味するところとは? 暗号推理物として凝りに凝った物語が展開します。その詳細については控えますが、国語教師だった北山薫氏らしい、教養溢れる暗号解読劇を大変面白く読みました。 そして二重人格探偵・新妻千秋と岡部良介の物語もこれでおしまい。最後の場面で探偵作家の「夢の家」が何であるかが描かれ、心が温まりました。 ------------------------------- この「覆面探偵シリーズ」が気に入った読者ならば、以下のミステリシリーズもきっと面白く読めると思います。 ◆三上延『ビブリオ古書堂の事件手帖』(アスキーメディアワークス) :古書店を経営する人見知りの若き女性探偵とアルバイトの学生君がコンビを組み、書物をめぐる謎を解いていくミステリシリーズです。 . | ||||
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北村薫さんの推理小説は、難しくて苦手だったりするのですが、このシリーズはすんなり読めました。 設定もユニークでかわいらしいです。 全体を通して、やや内容が難しかったり、ちょっと単調すぎるきらいもありますが、それでも読み終えて満足できるものでした。 上記の一点を除いて、とてもいい作品でした。全体的な評価として星4で。 | ||||
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シリーズ物の完結編。読まなきゃね。 | ||||
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心穏やかに楽しみたい時に、この雰囲気は心地良い。 楽しませて頂きました。 …ふと、思ったがお嬢様の「素」は一体どっちなんだろう?できれば、彼には「どっちかがどう」じゃなく、両方を愛しんで頂きたいなー、と。 | ||||
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北村薫さんお得意の、三部作です。 はじめの2作を読み終えた頃から、あ〜こういう終わり方になるのかなって、予想してた通りで、安心したような拍子抜けしたような。 でも、そこがいいなって思いました。 連作ミステリのおもしろさは、鈍ることがありません。 人の心理の隙や、「魔がさした」結果犯罪に至ってしまった感じが、とてもリアル。 でも、陰惨さがなく、さっぱりした読後感が、やっぱり好きです。 著者の作品の中でも、ひときわ軽やかなこのシリーズ。 すてきなエンディングでした。 | ||||
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覆面作家シリーズは、北村薫の多くのシリーズもの中でも一番ほんわかとしたムードが漂うような肩の力が抜けた展開で進みます。難しいことを考えなくても自然にふんわりとした読後感が得られるので好きなシリーズです。久しぶりに通読しましたが、新妻千秋がいつも以上により可愛く描かれているのは、本作のラストを予見させるものでした。岡部良介のキャラクターは愛すべきものですし、周りの人たちも善人ですので、読後感は悪くありません。推理小説らしくないキャラクターと展開があるからこそ、根強い北村薫ファンが存在しているのだとも言えるでしょう。 「覆面作家、目白を呼ぶ」は、珍しいもの(ネタばれのために書けません)をある場面で登場させています。推理小説らしい展開ですし、その意味ではこのシリーズの中では異色な作品なのかも知れません。 ラストの置かれた「覆面作家の夢の家」は、ドールハウスという人形の家を利用しながら、見事な謎解きを示しており、その鮮やかとも言える切れ味が良かったですね。北村薫がその昔国語の先生であったことを彷彿とするような知識と知恵が本作の至る所に散りばめられています。 その展開もさることながら、一番最後のシーンにタイトルと関連のある象徴的な言葉が用意されていたわけで、実に上手くまとめています。ここあたりに北村薫の冴えを見ました。 | ||||
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大きさ12分の1のドールハウスで殺人事件が!被害者は死の直前に ダイイング・メッセージを残していた。「恨」一文字・・・。この文字に 込められた、ドールハウスの作成者の思いとは?表題作を含む3編を収録。 覆面作家シリーズ第3弾。 収められた3編の中では、「覆面作家、目白を呼ぶ」が一番印象的だった。 この話の中では、作者がマルハナバチを実に効果的に使っている。また、 事件が起こるきっかけとなった出来事や犯人の動機など、読んでいていろいろ 考えさせられる部分もあった。人の心の中にひそむ恐ろしさもよく描かれて いたと思う。表題作「覆面作家の夢の家」は、とても凝った作品に仕上がって いる。作者の奥深い知識が如何なく発揮された作品だと思う。ただ、内容が 緩慢過ぎて、読んでいて退屈な思いを味わった。謎が解き明かされていく 過程でのワクワク感もあまり感じられなかった。私としては、期待はずれの 作品だった。 | ||||
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1997年に出た単行本の文庫化。覆面作家シリーズの最終作。 シリーズ化を狙った前作『覆面作家の愛の歌』から再度の方向転換をして、物語としての決着をつけた一冊。 覆面作家と岡部良介を結び合わせるために書かれた三編が収められている。覆面作家は名探偵としての性格を弱め、『探偵作家は二人いる』で見たような魅力的なキャラクターに戻った。名探偵からひとりの人間へと戻ったことで物語の中の時間が再び動き始めている。北村薫はミステリ作家である。しかし、読者が北村薫の本に引き込まれ、取り憑かれたように読み進めてしまうのは、謎そのものの結末を知りたいからではない。人間関係や物語の結末を知りたいからなのだ。謎を中心に据えたシリーズ化は不可能なのだろう。 結末は「二人の覆面作家」という問題への結論。しかし、最大の謎が残ったような気も…。 | ||||
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「外弁慶」お嬢様探偵とリョースケ、どうなることやらとハラハラしてましたが・・・ こちらがにっこりしてしまうようなラストでした。 このラストに合わせてか、ほのぼのとした謎で構成された3作で、安心して読めました。 | ||||
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このシリーズ中盤のあたりでもうラストは見えていたと思う。後はどういう終わり方にするかにかかっている。最終編で、お嬢様のお父さんが現れたときには、ああなるほどこう終わるのかな、と思ったのだが、最後までしてやられた、という気持ちだ。まるで落語のような終わり方だ。見事な「下げ」であった。 | ||||
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