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紳士と月夜の晒し台
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紳士と月夜の晒し台の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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二件の殺人ともアリバイと動機がポイントになっている。 第一の殺人ではかなり広範囲の者が疑われていたが、 第二の殺人が起きた時点でほぼひとりに絞られる。 しかしこれは明らかに作者のミスリードで作中明かしてもいる。 犯人の意外性という点でそう驚かなかった。 動機が確かで、推理し得るヒントが随所に隠されている点では好感が持てる。 ケネスがロジャー宅を訪れたことを認めているのにその詳細を語らなかったり、 ややアンフェアな決定的証拠(手紙がその日のうちに届いていた)の提示が 為されるなど瑕も見られる。 推理小説の魅力よりもそれぞれのキャラクターがおもしろく、 とくにバカなのか賢いのかよくわからない人を食った態度の ケネスに惹かれた。 | ||||
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Georgette Heyerの『Death in the Stocks』(1935年)の翻訳。 著者はロマンス小説の大家で邦訳も何冊かあるが、本格ミステリもけっこう手がけているのだという。 本書は、ハナサイド警視シリーズの第一作。 イギリスらしいミステリで、莫大な遺産をめぐって一族内で連続殺人が起こる。癖のある家族たち、じめじめした雰囲気、いっこうに進まないストーリー、複雑な人間関係。読んでいて、どこか懐かしい感じがする。ただ、おもしろいかと言われると……。 ミステリとしてはそこそこ。 | ||||
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ジョージェット・ヘイヤーのロマンス小説のうち邦訳で出ているものはすべて読んだ後、 これを、ミステリー小説ではありますが、ロマンスという点から読んでみました。 実は、ミステリーではこれより後に書かれた『マシューズ家の毒』を先に読んでいたのですが、 状況や展開、セリフの使い方が、『マシューズ家~』と酷似しているのにびっくり。 苦境に陥った兄と妹、それを助ける従兄弟というストーリー、既に婚約者がいるという状況、 涙とハンカチと抱擁の使われ方、などなど、あまりにそっくりなことを考えると、 先にこちらの作品で描いたものを、さらに洗練し煮詰めて『マシューズ家~』に使ったのではと思います。 先に描かれたこちらの作品の方が、説明も丁寧で描写も多く、 ジョージェット・ヘイヤーの入門編といったところ、 それに対し、表現が磨かれた『マシューズ家~』が上級者向けといった感じでしょうか。 ちなみに、この本で活躍した弁護士ジャイルズは、『マシューズ家の毒』にも登場しています。 もちろんこの本もミステリーとしても楽しみましたが、登場人物の思わせぶりなセリフや視線の数々に これからどう二人が接近していくのかをワクワクしながら読むことができました。 | ||||
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犯人がわかってみると、「アンフェアなんじゃない?」と疑問が……。翻訳の問題かもしれないし、そもそもが本格推理と呼べるほど「推理小説」になっているわけじゃないので、いうだけ野暮なのかもしれませんが。 人好きのしない登場人物たちがダラダラとおしゃべりを繰り広げているだけで、特に何の展開もないし、ロマンスが盛り上がるわけでもないし、犯人当ての楽しみもなく、結末も至って平凡。せめて黄金時代の香りでもあればだけれど、それも肩すかし。 表紙カバーはとてもきれいで雰囲気があります。ただ、作中に出てくる晒し台とはちょっと構造が違うような気がしますが、知識がないので断定はできません。 | ||||
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悪くはないけどそこまで良くはないという感じでした。 増える登場人物の割に世界が狭く、読み手がすぐにストーリーの流れに察しがつく。 登場人物の会話は大して面白みがなくて途中で飽きてきます。 パラパラと数ページめくってもまだ同じ場面だったりと、殆ど動きが無いので結構しんどいです。 最後はスパッと切られるように終わって、今までは何だったの?と少し苛立ちが残ります。 会話の面白さがないのは翻訳がまずいのかなぁとも思いますが…。 | ||||
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イギリスの往年のロマンス小説の名手ヘイヤー女史が著したミステリー小説12作の中の代表作の初紹介です。本書を一読して最も感心した点はミステリーとロマンスのどちらにも巧妙な仕掛けが施されていて決して読者を不愉快にさせず最後には全てを丸く収めて満足させてくれる著者の達者な才能です。 深夜ロンドンから遠く離れた小村アシュリー・グリーンの広場で晒し台に両足を突っ込まれた姿の紳士の刺殺体が見つかる。捜査に当たるスコットランド・ヤードのハナサイド警視は被害者の異母妹弟ら多くの容疑者を取り調べるが、何れも動機があってアリバイのない疑わしい状況に却って苦労するのだった。 本書の題名の「月夜の晒し台」はミステリーの小道具としては文句なく魅力的なのですが、実際には冒頭の描写が印象的なだけで全体に怪奇色が希薄なのは勿体ないと思います。けれども著者の本領はカーや横溝正史がお得意の怪奇趣味にはなく、少々ふざけた不真面目な気味のある容疑者達を多数取り揃えアリバイも不完全にして誰が犯人であってもおかしくない状況の中で、それでも最後にはきちんと本格ミステリーらしいサプライズを用意して締め括る見事な手際にあると思います。唯やや惜しいと思うのは探偵が示す犯人の根拠がイマイチ説得力に欠け説明が呆気なく感じる点と、真相の解明に繋がる決定的な手掛かりが読者に与えられるタイミングが犯人の名が明かされる直前である点です。探偵小説としての完成度には少し改善の余地があると思いますが、著者の本職であるロマンスの面では怠惰な風情でミスマッチに思える恋愛関係が事件の推移につれてぎくしゃくし破綻するかに見える不幸な状況が一転してこれまた劇的に幸福へと向かう素晴らしい人間ドラマが描かれており読者の誰もが大満足を得られるだろうと思います。 本書はハナサイド警視シリーズの第1作ですが、残念ながら本書では警視が苦しんでその実力を発揮出来ずに手柄を横取りされた感がありますので、続いて紹介予定の第2作では本領を発揮して活躍し今度こそリベンジしてくれる事を期待したいと思います。 | ||||
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