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シャイロックの子供たち
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シャイロックの子供たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全236件 221~236 12/12ページ
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大手銀行のとある支店を舞台にした連作短編集だが、途中からは長編ミステリーに様相 を変えていく。 前半の一話完結スタイルが心地よかっただけに、途中からの変わりようには少々残念な 気もするが、謎解きには素直に引き込まれる魅力もあり面白い。 本書の各話に出てくる各々の銀行員の苦悩ぶりは、違う業界で働く私にも身につまされ るものがある。減点主義は辛いよなあ。こういうことが隠蔽体質に繋がっていくのだよ な・・・などと。 悪役と思われていた人物にも家族があり(それも素敵な奥さんと可愛い子供なんだな)、 その家族の今後のことを思うと胸が締め付けられそうになる。「オレたちバブル入行組」 にも似たようなの話があるが、この辺りの挿話のセンスが池井戸氏は絶妙だなと思う。 出世のためとはいえ、妻や子供のためにも行過ぎた事はやってはいけませんね。 | ||||
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銀行にまつわる短編集。 かなり緻密に描かれた小説で、 作家の経験が大いに発揮された作品。 と思って読んでたんですが、 それどころではなかった。 連作短編だと思ったが、 もっと野心的な長編だったことが分かる。 途中から、 推理小説へと一変するのだ。 その手際の良さに脱帽。 短編それぞれに主人公がいて、 なんというか、 いい奴も、悪い奴もいて、 きっちり、一つの話が終わっている。 そして、ラストのどんでん返しに持っていくのだ。 おもしろいのは、 登場人物への作者の愛情。 たっぷりの愛情で、 ディテールを描き、 銀行内部の人間関係が赤裸々に語られている。 銀行員=エリート、 というイメージ通りであるが、 そうあり続けることの大変さがにじみ出ている。 人生の勝ち組みというものが、 何が勝ちかなんてわからない。 ただ、 日々を生きる。 生きようとすることこそ、 勝利者ではないだろうか。 なんてことも考えました。 | ||||
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同じ金融業勤務ですが、数字に追われていた熾烈な営業時代を思い出し、熱くなりました。 とある銀行に勤務するひとりひとりに焦点をあてつつ、大きなひとつの問題に流れ込んでいきます。 話の構成がとても上手いです。 うまい流れで、あっと騙されました。 面白いです。 個人的には「傷心家族」の友野の話が良かったです。 | ||||
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大手銀行の某支店を舞台に、そこで働く人々の悲喜こもごも が描かれる本作は、銀行出身の筆者ならではの作品といえる。 本書で描かれる銀行員の悲哀はサラリーマンの悲哀そのもの でもあり、同じサラリーマンとして身につまされる思い。 あまりにもリアルで、少し悲しくなってしまい☆は一つ 落としましたが、非常に精緻にかかれております。一読の 価値あり。 ただし、元気なときに読む本。落ち込んでいるときに読むと…。 | ||||
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銀行から現金100万円が紛失した。ある女子行員に疑いがかかるが、上司の西木は他に犯人が いると考え独自に調査を進めていた。その西木が失踪!?紛失事件の裏には、驚くべき事実が 隠されていた。10編を収録。 現金紛失事件をめぐり、さまざまな人間関係や銀行の裏事情が浮かび上がる。「業績」「対面」 「立場」などの言葉に縛られた人間の行動には悲壮感が漂っているように思えた。職場は戦場で、 そこで働く男も女も戦士なのだ。 この作品の中には10の話があり、同じ銀行に勤めるさまざまな人間が描かれている。一見バラバラの 物語のようだが、実は微妙につながっている。短編集なのに、読後は長編を読んだような感覚になる。 構成がよく、ラストも意外性があり、そこまでの持って行き方も見事!楽しめる作品だと思う。 | ||||
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有名大学を卒業していながら、なんの才能もない人間の就職先がメガバンクだとすれば、小説を書くという才能を持って銀行村から脱出できた著者は、いまはどんな感慨をもって古巣の澱みを眺めているのだろうか。 精神に異常をきたす者、子供のようにわがままな上司、汚い手を使って実績を上げようとする同僚。どれもメガバンク勤務の友人たちが現実に搾り出した愚痴そのままだ。しかし、そうした弱者の集まりであるからこそ、銀行内部は格好の題材となった。 …著者の古巣への感慨は、“シャイロック”という、金融業者を見下したキーワードをタイトルに持ってきたことで、すべて語られているのかもしれない。 | ||||
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池井戸さんの御著書はコチラが初体験。 途中で止められなくて、ドキドキしながら一気に読みました。 とても面白かったです。 銀行という、日々オカネを多く扱う舞台では、 すべてが事務的に処理されるイメージを持っていました。 でも人間味(感情や背景の描写、心理の表現など)が生々しく、 お金の重たさ、組織で仕事をすることの人間クサさなどがリアルに想像でき、 素晴らしい個性を感じられる文脈だと思いました。 池井戸さん本を初めて読む私のような方にも、 一冊目としてオススメしたい本です! | ||||
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本書の評価が100点満点であってもきっと90点以上をつけると思うほど完成度の高いミステリーです。池井戸氏は元銀行マンだけあって銀行を舞台とした小説が多いのですが、同氏の本を読むたびに減点主義で保身しか考えていない銀行という組織に失望を覚えます。さて本書ですが東京第一銀行長原支店を舞台に、各章ごとに支店内の人物が主人公になって話が進みます。その登場人物が現在だったり過去だったりします。出世しか考えていない人、社内恋愛をする人、失恋をする人、ノルマに苦しむ人、社内のエースとして期待される人、それら多くの人たちの話がいつの間にか一つの事件と関連付けられ謎をよびます。まさに計算しつくされたミステリーです。 | ||||
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池井戸潤氏の「オレたちバブル入行組」、「オレたち花のバブル組」、と並んで本書「シャイロックの子供たち」は単行本で文藝春秋から出版されている。これらトリオの装丁がハードカバーでない300ページ以上が良い。またいずれも表紙の絵が良い。このトリオを先ず続けて読んだ。しかしながら最近本書も文庫版が出たので、恐縮ながらこちらでレビューを書くことにする。 合併メガバンクの東京第一銀行、大田区の長原支店、中小企業、商店、個人という典型的な住宅街の古い店舗だ。この支店内という密室での組織、店務運営、事故、そしてミステリーの推理と、支店長席から新人まで各行員の葛藤や生活を織り交ぜた10話は期待に違わず非常に面白い。1話完結でそれぞれ主人公が代わるが、10話で支店内の問題は通しで展開されていく。支店長の九条馨はできる人間だが出世欲が異常に強い。副支店長の古川一夫は相手のプライドも平気で傷つける叱責で部下を萎縮させる。その奥には学歴コンプレックスが強い。その下に業務課、融資課、営業課の課長、課長代理、若手、女子行員等々の多くが出入りし、読者は銀行のカウンターの中で支店内を見ているようだ。池井戸氏の作品の面白さは、銀行本店の高層階の役員、秘書室はじめとする中枢エリートは関係ないこと。普通の支店の普通のどこにでもいる行員を描いているから興味が尽きない。つまり現実にあること、支店幹部や行員の悩み、業績目標・実績の過酷なまでの追い込み、最後には不祥事事件も出てくる。それも富士/赤坂、東海/秋葉原、興銀/料亭女将事件のような派手なものではない。本書では上司のパワハラ、支店や個人ノルマ、人事考課、家庭の事情という身近な怖い話が数多く登場する。組織内での上下関係、上司の命令・人事権は絶対、一度引込み線に入ってしまうとなかなか本線に戻れない銀行世界。自信満々で入行してきたエリート勘違い派行員ほど大変な世界である。現役学生も就職活動には本書を読んで覚悟を持って銀行にエントリーすべきである。そうでないと後で周りが苦労するので。 | ||||
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東京第一銀行長原支店を舞台とする連作短編集。第1話の副支店長に始まって、第10話のパート社員に至るまで、各話ごとに主人公を変えながら、一つのミステリーとして成立させる手腕はなかなかのもの。淡々と読んでいる内に、いつの間にか引き寄せられ、それぞれの主人公に共感したり、反発したり、喜怒哀楽を共にしながら、事件の意外な真相へと導かれる。 一昨年に発売された単行本の文庫化だが、そのときの書評も好意的で、高く評価するものが殆どだったが、読んでみて納得しました。一人ひとりの人物像が生き生きと的確に描かれていて、過不足の無い描写は素晴らしい。ミステリーとしてだけではなく、企業小説として読んでも質の高い作品。 休日にゆっくり時間の取れるときに、一気に読むことをお勧めする。 | ||||
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どの話も実はうまく関連付けられているが、独立した話として読むこともできるので、とても読みやすかった。副支店長、課長代理、OL、パート、それぞれが仕事・恋愛と別々の悩みを抱える銀行員だが、特に「みにくいアヒルの子」が印象的だった。現金100万円が足りない中、北川愛理のバックから帯封見つかり、上役は全員北川を疑うのだが、直属上司の西木だけは北川を信じ、犯人探しに乗り出すという話。最終的に西木は行方不明になり、曖昧な終わり方をするのだが、こんな上司が増えたなら銀行ももっと楽しいのかもしれない。 | ||||
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銀行の一支店で、不毛なノルマと顧客への良心のせめぎ合い、出世競争、行員間の嫉妬と諍い。不祥事隠し・・・それらに疲弊し、心身を病んでいく行員たち。 偉そうに訓戒を垂れる検査役や役職者にもある暗い過去と加虐趣向。 神の前で全く真っ白い人など、いるのだろうか? 銀行員でなくとも長年サラリーマンをやっていれば、この本には我が事として思い当たるシーンが幾つも出てきて合点する筈だ。 「負け犬は最初から負け犬なのではなく、負け犬だと思った瞬間から負け犬になる。(p.264)」は、不当な処遇を受けて気持ちが萎えそうになっている中高年サラリーマンへの、著者の叱咤激励だと思った。 | ||||
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池井戸作品の特徴は、結末のあとにもうひとつの結末を匂わせること。これに尽きる。ほとんどの作品を読んだが、必ず最後に絶妙な一捻りが隠されており、読み手は、それぞれの結末を持つことになる。そこがたまらなくいい。この作品も、短編を重ねながら、本当の犯人は、影に隠れている。断定はできないが、多分、本当の犯人は、あいつかと想像してしまう。 あとは、読んでのお楽しみ!とにかく、一度に読んでしまう作品なので、読む前に、仕事は片付けてたっぷり時間を準備しておくことをお勧めする。 | ||||
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「果つる底なき」でデビュー以来、三菱銀行出身ということで金融ミステリ作家とされてきた池井戸潤。 知られざる銀行マンの日常も興味深いのだが、 架空の都市銀行の大田区にある支店を舞台に、 副支店長や女子行員、新人、検査部員、パートタイマーなど それぞれ別な主人公の短編10話で、 ここまでのストーリーをつくれる技量は並ではない。 奥田英朗や石田衣良が高い評価を得ているが、 池井戸潤も彼らに勝るとも劣らない作家である。 命令に従わない部下を殴ってしまった副支店長。 融資ノルマに向けて起死回生の大型融資に暗雲が立ち始めた十年選手。 家庭の事情で懐具合の厳しいOLにかけられた100万円紛失の容疑。 実績が上げられず精神を病んでいく中堅行員。 ある日突然失踪した係長。などなど。 それぞれの短編で主人公は変りつつも、 下町の支店の大変さと消失した100万円が底流となって 話が展開していく。 登場人物同士の過去のいきさつも絡みつつ、 ついには思いも寄らない結末が待っている。 この作家の別な世界を舞台にした作品を是非読んでみたくなりました。 | ||||
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中盤までは銀行を舞台にした出来事を淡々と綴った短編集といった趣ですが、中盤から正当派ミステリー(?)になります。唐突というほどではないですが、前半が雑誌連載、後半が書き下ろしということなので、この「変調」を納得しました。前半同様、後半も日常の切り取りでも良かったかなと思ったので、星4つです。 | ||||
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何処にでもあるような都市銀行の郊外型支店。 そこで、ある日百万円の現金不足が生じた。 誰の仕業か…?しかし、これは序章に過ぎなかった。 それから間もなく中年課長代理が謎の失踪。 百万円を盗った犯人を追ううち見えてきた更なる事件は…。 不祥事が色々続く金融業界だが、銀行マンの日々の苦悩が ありありと描かれ、これから銀行に勤める人には参考になる 話が多い。ただ、話が一本筋の通った展開ではなく、少し 遠回りしながら核心に迫ってゆくため、少々戸惑う。また、 結局どうなったのかが今一つ釈然としない所があるが、 銀行舞台のミステリーとして楽しめるだろう。 | ||||
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