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珍妃の井戸
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珍妃の井戸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全78件 41~60 3/4ページ
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「蒼穹の昴」の続編的小説でありながら、全く違ったテイストを持つ作品です。 「蒼穹の昴」が一大歴史絵巻であったのに対して、「珍妃の井戸」は 同じ時代を舞台にしたミステリーに近い内容です。 しかし、日本・イギリス・ドイツ・ロシアの各国大使という、 様々な立場の人間の思惑が描かれ・・・ その伏線が最後に一つにまとまって導き出された結論に、 驚き、涙させられます。 「蒼穹の昴」の続編として読むと肩すかしを食うかもしれませんが、 単品小説としても秀逸な内容だと思いますので、オススメさせていただきます。 | ||||
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最初はミステリーだけど、終わりは恋の物語。 時代に翻弄された悲しい愛のお話でした。 感謝とか思いやりの気持ちを持つ人は、身も心も美しいのですね。 | ||||
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珍妃(チエンフエイ)とは、中国清朝末期の皇帝である光緒帝の寵姫です。光緒帝は親政に失敗し、光緒帝と珍妃は西太后によって別々に幽閉されます。幽閉中に義和団の乱が発生し、8カ国連合軍が殺到する大混乱の中、珍妃は井戸に投げ込まれて殺されます。一般的には、というか、中国の通説では、珍妃を殺したのは西太后とされます。しかし、本当の犯人は誰なのか・・・というのがこの小説のテーマです。「蒼穹の昴」の続編のため、蒼穹の昴のキャラクターが中心となります。なので、蒼穹の昴の読んでからこの本を読んだほうがいいと思います。 ・西太后・・・有能、リアリスト、責任感が強い、でもちょっと弱い ・光緒帝・・・英明、無垢、貴公子、甘っちょろい という設定です。 イギリス伯爵のソールズベリー達は、珍妃殺害の真犯人をさがすべく、さまざまな人達にインタビューします。宦官、珍妃の姉、袁世凱、皇族の子・・・そして光緒帝。みんないうことがバラバラです。真実は一つなのに、証言は食い違いまくる、しかも、みんな本当っぽい・・・そんな小説です。結局、真実を確かめる手段はないわけですが。 | ||||
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光緒帝に愛された妃、珍妃が義和団事件の混乱の中、井戸に投げ込まれて死んだという歴史があります。中国の人にとっては、誰でも知っているような事件なんだそうです。犯人は西太后。この定説をミステリーに仕立て上げた作品です。真犯人を捜索するのはイギリス、ロシア、ドイツ、日本の高官です。当時立憲君主制であった4カ国は、この事件を国体の危機と捉えます。珍妃の死に、何が隠されているのか。それは、芥川の『藪の中』にも似た迷宮の入り口でした。中国清朝を舞台にしたミステリーを成立させた著者の力量に唸らされると同時にこの時代への関心が高まります。清朝末期の中国の様相が活写され、歴史が血肉を持って甦ってくるようです。ただ、難点を挙げれば、同じ漢字を使いながら日本語の発音と異なる点です。著者は、固有名詞など中国の音を振っていますがこれがなかなか読みづらいのです。「珍妃(ちんぴ)」を、文中では「チェンフェイ」と振り仮名を当てています。読みづらかったのは、この振り仮名の影響が大きいと思われます。袁世凱には、ユアンシーカイ。西太后にはシータイホウ。別称として老仏爺(ラオフオイエ)、老祖宗(ラオヅツオン)。光緒帝(エンペラー・クンシユイ)。別称、万歳爺(ワンソイエ)などが充てられています。『蒼穹の昴』の続編にあたると思われますので、順番どおりに読まれるのが良いかと思います。 | ||||
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蒼穹の昴の続編とのことで、今更ながら読みました。蒼穹の昴読後では、登場人物もおなじみで、出来事も登場人物と本の中で一緒に体験済みなので、抵抗なく読み進めます。問題は、ミセス・チャンや珍妃の姿や心が見えてこないことです。多面的に、それぞれの人物の話で、それぞれの人物の性格も掘り下げられました。が、ミセス・チャンと珍妃は、みえにくかった。蒼穹の昴の続編というより、別の角度からの蒼穹の昴でしょうか。 | ||||
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歴史モノで、謎解きモノで、恋愛モノで、戦争モノな一冊です。重さと面白さがあります。秋の夜長におすすめの一冊です。 | ||||
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蒼穹の昴を読んだ後に購入して読みました。珍妃が何故井戸で死んだのかは実際に未だ明らかになっていない訳ですが、浅田次郎の解釈はすごい。こういう解釈もあるんだ!という感想です。そこには作者の哲学が入っているし、読者に向けてのメッセージも込められていると思いました。でも、もしも蒼穹の昴を読んでいなかったとしたら、もしくは自分が10代の頃に読んでいたとしたら、理解できなかったと思います。今の年(30代)で出会えて良かった本です。 | ||||
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義和団の騒乱のさなか、紫禁城で皇帝の寵妃が井戸に投げ込まれ殺された事件があった。 それを知った日英独露の高官4人が犯人を突き止めようと、事件の当事者達に話を聞いてまわるが……。 推理の謎解きの展開と、歴史小説の面白さをあわせもった筋立てです。 日英独露の貴族である高官たちがそれぞれの正義を胸に調査をはじめるのですが、当事者達の話を聞くにつれ当初の推理からは大きく離れていきます。 調査をする貴人達のほか、話をする紫禁城の関係者達のそれぞれの立場からの発言が興味深く、話の合間に描かれる清王朝の風俗が生き生きと華麗な姿に描かれていて趣深いお話になっています。 重々しい後宮にあって仰々しく高官たちを呼び寄せた瑾妃が側近が去ると一挙に砕けておしゃべりをはじめたり、 帝国大学教授の小柄でやせっぽちの松平が剣の達人であったりと、 ハッとする展開をおりまぜてあり興味深く読みました。 とても面白かったです。 | ||||
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「蒼穹の昴」からよむべきだったんでしょうか。最初の長い長い女性のとりとめない話にまずうんざりしてしまった。次から次へと、人が変わっては、つかみ所の無い話をするのだが最後までどこがおもしろいのかわからずじまい・・・ | ||||
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蒼穹の昴に続く、浅田次郎の中国歴史ミステリーシリーズ。義和団事変の混乱の中、西太后に殺されたとされる、光緒皇帝が寵愛した珍妃。彼女の死の謎を追う、4人の外国人貴族たち。そして、それぞれの思惑で証言する7人の発言。美しき妃は、なぜ、誰に殺されたのか。戊戌の新政の失敗で幕を閉じた蒼穹の昴。その後、更に没落の色を濃くしていく清朝末期の様子を、光緒皇帝の愛妾・珍妃の謎を追う形で、描いている。蒼穹の昴を読んだものとしては、登場人物のその後を知ることが出来るっていう意味合いもある。蒼穹の昴では、春児と史了の周りの出来事を中心に描いていましたが、本作では、同じ「珍妃の死」という出来事を、7人の証言の元に検証するというスタイルで描かれている。それぞれの立場、思惑で少しずつ違うことを言う証言者たち。最後の光緒帝の発言が事実という形で小説は終わっているけれど、果たして史実はどうなのか。答えはひとつなんだろうけど、宮殿の奥深くで起こった出来事の真相はいかに。中国人が義和団事変を歴史的にどう捉えているのかよく知らないけれど、外国人に侵食され、植民地化する清国を憂い立ち上がった義和団と漢人からの一方的な支配に耐え切れず声を上げたチベットの人たちと、どんな違いがあるのだろう。いけない。話が脱線してしまいました。また、こうやって紫禁城の中の話を読んでいると、是非その場に行って、見てみたいという気持ちが再びこみ上げてきました。というわけで、この週末にまた北京に行ってきます。珍妃が暮らした景仁宮を、そして彼女が最期を迎えたその井戸をこの目で見てこようと思います。 | ||||
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ミステリーとしても面白く、日本ロシアドイツ英国の国民性の違いもよくわかり、義和団事件の清朝への影響なども勉強になりました。 | ||||
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「蒼穹の昴」の続編というか番外編というべきか。実際にあった光緒帝の側室珍妃の殺害事件の犯人を関係者の証言を元に検証する話。(通説は、西太后が命じて殺させた、ということになっている)「蒼穹〜」の世界観、キャラクターをそのまま引き継いでいるので、前作が好きな人は期待したくなるが、個人的には、犯人を捜そうとする背景や、列強の中国侵略、皇帝という地位と人間性などが短編に詰め込まれている感じで、前作にくらべるとやや拍子抜けという感じ。春児、文秀、西太后というメインキャラクターが出てこないせいか(敢えてそうしたのだろうけれど)物足りなさもある。ただ、やっぱりよく取材されているんだろうな、という箇所も多いし、「泣ける」シーンもあってよくできていると思う。独特の歴史解釈(というか創作)もさすが。 | ||||
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蒼穹の昴みたいな壮大なスケールの作品の後、ちょっと軽快な、本作のような作品も書ける浅田次郎のテクニックを感じます。蒼穹の昴と流れを汲むけれど、まったく別の作品だと思うと味わい深く楽しめる物語です。 | ||||
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私にとって初めての日中歴史物だったためか、登場人物の名前や背景を覚えるのがまず大変。更に通勤途中のバスで読んでいたので、毎回読み始めに頭の整理をしなければならないのが厄介でしたが、基本的に「殺人事件」というオドロオドロしい雰囲気もなく楽しんで完読する事ができました。、が恐らく理解度は正直70%位かも...よって”蒼穹の昴”も既に手元にあるのですが、もうちょっと間を置いてから読んでみようかなと思っています。各場面に登場する子供の動きが”王妃の館”とちょっとかぶっている気がしたものの、中国感満載で読破後に中華料理を食べに行ってしまいました。 | ||||
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他の方も書いていますが、蒼穹の昴の外伝として読んだほうがよく、したがって、蒼穹の昴を先に読んだほうが本書を理解しやすいのですが、小説の出来としては、蒼穹の昴の方が上なので、蒼穹の昴と比較するとやや失望してしまうという厄介な(?)問題を抱えた本です。でも、単体として十分面白いので星4つとしました。 同じ著者による「壬生義士伝」と同様な手法をとり、いろいろな人物とのインタビューを通して、ある事件(壬生義士伝の場合はある人物)を解き明かしていく形をとりながら、インタビューされる人物や当時の世相までが明らかになっていき、全体としてひとつの真実に収斂して行くという形をとります。あくまでもフィクションですから、この場合の真実とは著者のメッセージに他なりません。ちなみに、壬生義士伝の場合は、小説として十分面白く、「真実」への収斂の仕方が無理なくリアルであったのですばらしい小説に仕上がりました。他方、本書の場合、「真実」への収斂の仕方に無理があります。たとえば、英・独・露・日の高官が、どうして珍妃の死因を必死で探ろうとするのかの動機が納得できません。小説の冒頭で、その理由は示されますが不十分だと思います。また、インタビューする相手によって、相互に矛盾する証言が得られますが、証言をした本人が、その証言を翻すに決まっている人物を次の証人として推薦するというのも不自然です。また、高官たちが襲われる事件が起こりますが、その理由が十分には明らかにはなりません。 名手である浅田さんをして、どうしてそういうことになったかというのは、本書の最後のどんでん返しで明らかになる真実=著者のメッセージで明らかになります。ヒューマニストとしての浅田さんが、蒼穹の昴の創作過程でいきついたひとつの思想(壬生義士伝におけるメッセージとも重なる)を主張するためにこの本は書かれたと私は思います。「歴史は繰り返す」の格言通り、昔、清国で生じたことは、現在も国をかえて行われています。そのことが、本書を書いた浅田さんの動機で はないかと私は思いました。 | ||||
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中国清朝末期を描いた『蒼穹の昴』と『中原の虹』に関連し、2つの小説の中間の時代――義和団の乱の混乱期――に発生した珍妃殺害事件の真相を追求する小説です。 物語は、西洋かぶれで有名な載沢殿下の舞踏会で幕を開けます。義和団の乱に乗じた8ヶ国連合軍がどれほどひどい掠奪行為を働いたか、その実態を調査する役目を負い、英国からソールスベリー提督が北京に乗り込んできました。 ソールスベリー提督は、皇帝の妃である珍妃が殺害されたという噂を知り、仲間3人と真相究明をスタートします。 真相を知る証人を求めて、4人は袁世凱やら珍妃の姉やら、次から次と証言を聞いてまわりますが、同じ証言は全くなく、犯人像も混沌としたままです。 とうとう最後に、決定的な証言者から話を聞くことになりました。 その証言者とは誰なのか。そして、最後の証言者が明かす真実とは……。 物語の背景には、清朝末期の混乱した世相が横たわっていますが、本書は犯人捜しの独立したミステリーとして読むことができます。 次から次へと証人が出てきて、独白文で証言する。しかし真実は分からない。 ……どこかで聞いたことのある構成です。 私が思い当たるのは、黒澤明監督の映画『羅生門』と、その原作である芥川龍之介の『藪の中』です。証人の数が7人というのが、本書と同じ数ですので、間違いないでしょう。 同じモチーフで全く違う作品を作る、というのは音楽の世界でもよく見られることで(「ハイドンの主題による変奏曲」とか、「パガニーニの主題による変奏曲」が有名です)、決して盗作ではありません。 小説や映画の世界でも、「7人の○○」や「12人の○○」という作品をよく見かけます。 本書を一言で解説すれば、 芥川龍之介『藪の中』の秀逸な本歌取りと言えるでしょう。 | ||||
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『蒼穹の昴』を読破した後に呼んだほうが面白いですが、そういった歴史背景等を考慮しなくても、充分に楽しめる一冊だと思います。「誰が珍妃を殺したのか?」をキーワードに話が展開していくのですが、若干マンネリ化していた浅田作品に新たな一石を投じたような、改めて浅田次郎のシナリオ力(筆力)に感心できる一冊です。『蒼穹の昴』が長編すぎて手を出せていない方でも、是非読んでみてください。「誰が珍妃を殺したのか?」犯人探しだけでも充分に楽しめますよ。 | ||||
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蒼穹の昴を読んでから手をつけないと、最初からなんとなく中途半端な感覚を受けると思います。つまり著者の静かな意図としては、蒼穹の昴の読者が次に読む、という前提があって仕上げた作品だろうと考えられます。もちろん単品として読んでもそれはそれでショートミステリーとしてのおもしろさはありますが、なにしろ登場人物のほとんどすべてが蒼穹の昴出身者ですから、やはりあの超長編を押さえたうえでページを開いたほうが取っ掛かりはいいでしょう。しかし逆に、蒼穹の昴のペースとノリのまま無邪気な期待でページを開くと、誰もが確実に失速感を味わう事必至です。物足りないのです、内容もストーリー展開も。そして、物足りないままに終わってしまいます。ちょとした不完全燃焼感が残るかもしれません。西太后との政治対決に破れた光緒帝の寵姫である美しい珍妃は、清朝帝国崩壊寸前の混迷を極める紫禁城の片隅で、何者かの手によって井戸に投げ込まれ暗殺されてしまいます。これは史実で、井戸は現在でも残っています。また、珍妃の肖像も残っているので、興味のあるかたはインターネットで検索してみてください。涼やかな切れ長の目が美しい姫です。しかし、現実にわかっているのはここまで。西太后の指示による暗殺という噂は絶えないものの真実は依然として闇の底に沈み、判然としていません。その謎の部分に焦点を当てて、蒼穹の昴メンバーたちがひとり語りにそれぞれの思いや知っている事を述べ合い、その話がまたいちいち食い違ってゆく、というミステリーオムニバスのような形式で本書は進みます。そして著者なりの美しい結果には違和感を覚えるかたも少なくないでしょう。ただ、現実として謎のまま解き明かされていない史実に一応のまとめをつけるとなると、やはりこうならざるを得ないのかもしれない、とも感じつつページを閉じました。皆さん、どうお思いでしょうか・・・。 | ||||
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本来の話の大筋に対する感想とはいえないが、個人的にはとても読みたかった事が描かれていたので、それだけでも星4つである。つまり、私は「蒼穹の昴」を読んでいる時点から、「蒼穹の昴」の主人公たる「春児」が、作中の登場人物・第三者からどのように思われていたのか、とう受け止められていたのかという事が気になってしょうがなかったのである。その一番気になっていた事が、ほんの少しであれ垣間見る事ができただけでも嬉しかったので、全体的な面白さ云々をさしおいて、星4つをつけた。 | ||||
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あざとくもありながら一気に読ませきる浅田氏の筆力は、「蒼穹の昴」で如何なく発揮されたが、しかし氏は調べた事は全部出さねば気がすまない性質なのでしょう。ちょっと本書はクールダウンした様な。閑話休題。西太后以外にも醇親王、恭親王、李鴻章、袁世凱、珍妃はじめ結構皆、写真が残っていますよ。読後に月餅妃の写真を眺めるのもリアル感があって余韻に浸れます。 | ||||
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