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グランド・フィナーレ
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グランド・フィナーレの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 1~20 1/2ページ
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著者の作品の多くは、傍目から見て問題を抱えているのが明らかなイタいやつが主役だ。内省するほどに、自己欺瞞に陥ってしまうというパターンが見られるが、本作品は幾分おとなし目だろうか。 ロリコンが発覚し、妻や娘に愛想をつかされ、友人たちからも蔑まれている男の物語。出だしから波乱の予感だが、二部構成の後半から様相が変わってしまう。 故郷に戻った男が小学生の女子に芝居を教えるようになるのだ。破綻へむかってまっしぐらと思いきや、転調したかの如くで戸惑うばかり。キレイなまとめ方がかえって薄気味悪さを感じてしまう。 ミニシアター系の映画のワンシーンを切り取ったかのような描写が特徴的ではある。 本作品は、『ニッポニアニッポン』との接点があり、いわゆる神町サーガを形成しているんだろう。 | ||||
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彼の著書で初めて読んだ。 その印象はどうにも退屈で、芥川賞であることにも輪をかけてがっかりだった。 だがその後、『ニッポニア・ニッポン』、『インディヴィジュアル・プロジェクション』、『無情の世界』と読んでいったら 私はもう彼の虜になってしまった。 とくに『ニッポニア・ニッポン』にはドハマリした。これをきっかけに次々と彼の著書を立て続けに読んでいったのだが。 さて、正直言うと、挙げた三作品に比べるとこの『グランドフィナーレ』は正直弱い。面白くない。 にもかかわらずどうしてこれが芥川賞なのか。 まあおそらく彼のこれまでの著書の評価を鑑みて、そろそろ芥川賞をあげるべきだろうと考えたに違いない。 そしてちょうどその年に書き上げたこの『グランドフィナーレ』があったので、これに賞を与えたのだと思う。 そうでも思わないと、あまりにも作者の実力と、賞を与えた『グランドフィナーレ』の完成度に乖離がありすぎるからだ。 つまり、阿部和重はすごい作家だ。しかし、この『グランドフィナーレ』は正直、これまでの著書に比べると面白くない。 だから、これだけを読んで評価を下し、そのために『ニッポニア・ニッポン』といった彼の著書を読まないのはあまりにももったいないということだ。 | ||||
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安部和重はデビュー当時から知っていました。いくつかの作品は読んだようなのですが、あまり覚えていないのは肌に合わなかったからかも。 さて「グランド・フィナーレ」は、冒頭から悪夢というか幻覚を喚起される記述が続きます。 しかしそのイメージがどこかで見た映像と直ぐに結びつき、脳内をかき回されるような快感に結びつきません。硬質な文体にかろうじて情念が押さえ込まれているといった風でもなく、同時多発テロやチェチェンをめぐる国家テロ、アフリカの大虐殺や少年兵の悲劇といった世界についても語られるのですが、それがロリコン主人公の過去の未成年レイプや語られなかった娘への欲情といったものを覆い隠すベールのような役割を果たしているのだとしたら、その平板さもまた仕掛けといえばそうなのだろう。 が、しかし、どうもどちらの側もスカスカ感を否めない。それよりも短編「馬小屋の乙女」の全体を貫く不穏な空気、トーンには感心しました。目から鼻へと一気に抜けていく心地よさ、ラストの一点に向かって収斂していく手際が素晴らしい。 この本の作品の中で何回も言及されている神町を舞台とした長編を次は読んでみたいですね。 | ||||
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伊坂幸太郎との合作を読んだ後に阿部さんの本を読んだことがないのに気付いてこちらを読みました。個人的には設定や登場人物にも共感できるものが少なくまた読みたいという作品ではなかったです。 | ||||
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捏ねくり回す平時の思考の活写こそが書くことなのだ。過去一連の作品と世界を共有する短編集だが気にせず軽く読める。 | ||||
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この作品に対する私自身の理解度の低さを自覚しつつ、でも人間ってこんなふうに笑ってしまうくらい悲哀に満ちた生き物なのだろう、との思いに至りました。「時代を切り取る」ものを現代文学をと定義するならば、エキセントリックなストーリー展開や文体も含めて、間違いなく“今”を代表する作品ではないでしょうか。 | ||||
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うーむ、なんだろうこれわ(最近こんな感想ばっかりだ)。 ・文章は硬い。芥川賞らしいと言うか、純文学っぽい気はする。 ・グランドフィナーレで扱われている主題は面白い。 ・グランドフィナーレ第一章の最後は盛り上がりがあり良い。 ・ただしまとまりには欠ける。 ・おまけのような短編は全滅 とりあえずもう一作くらいこの人の本を読んでみようかと言う気にはなる。 と言うことで期待をこめて星3つとします。 | ||||
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娘を溺愛するもロリコンの趣味が妻にばれて離婚させられ愛娘に会うこともできず・・・・ そんな主人公を通して物語だが・・・ 確かに読みものとして面白くもありページは進んでいくが・・・ でもロリコン趣味の内面というものにまったく筆者は迫っていない・・・ 人間の癖で最も修正がきかないのが性癖だというが・・・ そういった特異な性癖を持つ人間の物語の割には上辺だけでの描写が目立ったような気がして・・ 文学作品として私個人はできのいい部類のものではないと思う | ||||
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阿部和重氏の芥川賞をとった作品です。 めちゃくちゃ読みにくいと最初は思いました。 物語のスタートがその描写がややこしく暗い感じです。 我慢して読んでいくとだんだん、理解できるような気がしました。 読み進めるうちに、意外と笑える、さわやかな?物語に思えてきます。 でもこの小説のテーマは何でしょうか? 離婚しそうな男、離婚した男のやるせなさ。でしょうか? やはり重いです。 その他3篇の気難しい中編の小説が個性的です。 どれも、ギザギザしています。思考がなかなかついていけない。 ニヤニヤして読んでしまいましたが。何か?って感じです。 多分、何冊か読まないと阿部氏の小説は読みこなせないかもですね。 個性的過ぎるのかもね。いまだよく分からない。いいんだけどね。 | ||||
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著者が作った架空で実在の街,神町。 阿部氏は,この脳の中の町で,神として振る舞い、 人と町の関係に鉄槌を下すつもりだったのだろうが、 逆にしっぺ返しを食らって, 街はすごく薄っぺらなものとなった。 作家の想像力と言うより,シムシティが作った町のようだ。 そろそろ、芥川賞を上げておかないと息切れになる、 ということか。 | ||||
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冒頭からいきなりピンクのウサギと青い子グマが登場する。 『レモン風味のドロップみたいな味がする雨粒』など、 表現は可愛らしいが、難漢字を多用する文章に 読みながら流れを中断させられることもあった。 (悉く・恰も・纏る・齎す‥など) 加えて主人公の“性癖”のおぞましさは 不気味さと気味悪さを醸し出していく。 あきらめずに読み進めていくと再生していく希望の光が見えてくる。 受け入れがたい“性癖”に焦点を当てながら、 しっかりと彼を非難してくれる、Iという女性を登場させた点が救い。 作者は新人の時から小説を発表するたびに何かの賞を受賞している。 注目されているだけに、この作品でMDMA(合成麻薬)を 安易にディティールとして持ってくるのはどうか? 作者は服用経験があるのでは、と思ってしまう。 あの“性癖”も作者自身の傾向でないことを祈ります。 前半のテーマを浄化させる後半は秀逸だが 評価の分かれる作品だと思います。 | ||||
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昨年に比べあまり話題にならなかった第132回芥川賞受賞作。 ロリコンの男が趣味が高じて幼女ポルノのビジネスに手を染め、 その結果、妻を失い、最愛の娘を失っていく。 ビジネスに付随して犯してしまった罪が明らかになっていく中で、 落ちるとこまで落ちていく前半と、 友人の言葉そして刹那的な悲壮感の漂う双子のような少女2人との出会いにより、 過去に犯してしまった罪の真の深さを理解し、 おぼろげながらも自分が次に進むべき道を見つけていく後半、全2章。 共感は抱かないけれどリアル。自分を投影できないけれど主人公の葛藤は刺さる。 そんな内容。村上春樹が「医者も、本屋も、政治家も、女子高生も、 なったことはないけれど、その人の気持ちはかける。だから小説家をやっている」 といったことを昔あるインタビューで話していたことを思い出した。 作者本人がどこまでこの主人公と嗜好が近いのかは全くしらないけれど、 ここまで描けるのはさすがだな、と。 エンディングは突然で賛否両論分かれそう。多少救われそうであったことはよかった。 フラストレーションがたまる手前の良いタイミングで種明かしの情報が提供されていくので、 テンポがよく一気に読める。わかりやすく文章も短いので、悪くないのではないでしょうか。 | ||||
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「グランド・フィナーレ」は、阿部和重の小説の中で、決して出来のいい部類の小説ではない。「インディヴィジュアル・プロジェクション」の方がはるかに完成度が高いし、デビュー作の「アメリカの夜」の方がずっと阿部らしい。「シンセミア」の方が小説としてはずっと面白い。全体、芥川賞、直木賞といったものは、どういった基準で選んでいるのか首を傾げるものが多い。横に並べて選んでいるのか。この作品を読んで物足りないと思った人は、前に挙げた小説を読むことを薦めます。 | ||||
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私は女なので、男性がこの作品を読んだ時の感想とは違うかもしれませんが、正直受け付けられませんでした。 中年エロオヤジの悲哀というものを描きたいのであれば、もっと心情の持っていきかたに 少なからず共感させる部分が必要だと思うし、 エロティシズムというものを表現したいのであれば、読んでいて恍惚とするようなシチュエーションなり 掛け合いであったり、行動ひとつにも登場人物の抑えがたい衝動や消失感が感じられなくてはならない。 そのどちらも無く、ただちょっと変わったものが書きたいというそれだけのものしか感じられなかった。 読み終わった時にマンジリともしない嫌な気持ちだけが残り、「時間をこの本に使ってしまった事がもったいなかった」と思ってしまったんです。 途中からはもう「読み始めたんだから、最後まで見届けてやる」という意地にも似た感覚がありました。 でも、考えてみればそんな感情を読み手におこさせているという点で、他の作品とは違った味があるのかもしれません。 この作品はエンターテイメントではない、読み取るべきような深さもあまり無い。 ただ、頭のいい人がこれを読んで、わけのわからなさを補うべく自分の中で勝手に「深い意味」を持たせてしまったんだと。 それが文学というなら私は文学を理解したいとは思わないです。 文学の名作と言われているような巷の作品は、読んでいて沁みてくるような美しさがあり 「ああ〜」とため息の出るような一文があったりするものです。 これはそういう心に残る一文というものさえ無くて、表層だけをたどったような雑多な感じがしてしまうんです。 | ||||
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グランド・フィナーレ他、短編三作が収められている。タイトル作品だが、所謂ロリコン趣味の男を扱った作品。ふわふわとした今風の文章かと思うと、「すなわち」とか「~の如く」とか妙に古風な言い回しも出て来る。一人称で語られているが、どうもロリコン男の心理をさらっと人畜無害に表したような感じで、途中出て来るロシアのテロの話とかが、何のためにあるのかよく分からない。作者自身はロリコン傾向があるのだろうか。「て、いうか」日本の男はだいたい潜在的にロリコンだけどね。残りの、三作はより習作的な色合いが強いように思う。最後の、「20世紀」など、どこかで聞いたようなメディア理論が出てくるが、それ以上のものではない。思想の深まりを、今後いかに作品に反映できるか、それを見守りたい。 | ||||
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この表題作「グランド・フィナーレ」は、著者の小説の中で果たしてどの程度の位置付けなのか。著者自身はどう思っているんだろう。 この作品は普通だ。 著者のテイストは染み出ていても、対して新しいことも、目を引く表現も偉大なプロットも感情もない。今までに登場し続けてきた土地、「神町」の名に頼っている感さえある。 著者の今までの作品群に比べて、これはどうなんだろう。確かに芸術に順位付けは無意味だが、それでもこの作品で受賞するというのは、どうなんだろう。 確かに著者は、アブノーマルな精神状態や嗜好を正面から掴んでこねくり返して描写するのが味のひとつだが、このまま著者の小説は、こんな陰気なだけのものになっていくのだろうか、と思うと元気がなくなる。 これは「受賞時作」だが、決して「代表作」だと言われてほしくない。 表題作以外の掌編には、何のおもしろみも感じなかった。 | ||||
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「20世紀」は、まあ何かいっかなと思う。許せる程に。「グランドフィナーレ」は大惨事を予感さす終わり方が不気味という芥川賞選者がおったが、それは意外だ。芥川賞はみんなで育てましょうみんなで人気者にしましょうといった綿谷事件から失地を回復させるのに、いまさらの阿部氏を慌てて当選させたのではないか?ただ主人公を悪の道へと導く同僚の幼児写真集の大家は、現時点で活躍中のカメラマンの一人「会田我路」その人を描いたのではないかと思い、阿部氏の着眼に寒気がした。奇妙にいい人ぶりを発揮している主人公には、昨日のもあった殺傷事件の未成年者のような、キレるとか、突然の悪への怒濤な身の持ち崩しは起きないように見える。ポテトのぬいぐるみが殺害を仄めかすようにして終わるが、その示唆すらも生ぬるく、続きがあるとしても主人公沢見の妄想の範囲で終わりそう。作者が敬愛するカーペンター監督の描くような活劇的惨劇も起きないようだ。だが、阿部氏はきっとそのようなものを書いてくれるに違いない。 | ||||
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この話は1章を少し捲って直感的に主観性の視覚的な問題群だと感じた。惰性的であり、直情的な男に対して違和感はなかったが、高い評価はできなかった。しかし、得てしてこうした流れはあると思い直し、続きを読んだ。映像化し続ける、内包化し続けるということで予期すべきものは当初からあったが、それはそれとしてページを捲った。2章に入り、話は進む。世界と対峙する少女二人組と見放された男、神町という名乗られた町での出来事。男は自分を是正しようとする。直接世界と対峙する少女たち(それは仮に兄の話がなかったとしても)、その悲痛さを見兼ねてクッションになろうともがく男。悲痛な現実として聳え立つ世界と直接対峙せざるを得なくなった今を映し出す(多くの若者にとってそれは粗暴な形となる)。 男を断罪するだけでは何も変わらない。少女たちと向き合うことにより、男は変化の兆しを見せる。主眼はかわらないが、独善性は少しずつ廃れつつある。映像が彼を変えられるのか、それはこれからの彼によるだろう。限りなく内包化するホームビデオと違い、他者と向き合わざるを得ない舞台作品を映像化することにより、男は着実に前を歩き出した。最後の2編は補完的な役割も果たすが、微妙にズラしている。敢えてそう読める人物を移行させたのだろう。20世紀で終えるのはバランスが良い。私もそうであったように、あの男にもこういった時期があったはずなのだ。「グランド・フィナーレ」で参った人はこちらの方に惹かれるかもしれない。 こういう形にしたのも、客観的に見た後だからだろう。この眼鏡は三つ星と見た。いい意味で私は捉えている。それにしても、「限定チョコレート」の枠組みの狭さはいただけない。阿部和重君、「限定チョコレート」に惑わされずにらしく振舞って欲しい。取り敢えず、今日の眼鏡はこのままに。 | ||||
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芥川賞受賞ということで、ミーハー心を動かされて読みました。読後の感想、「それで?」という感じです。 表題作「グランド・フィナーレ」はロリコン男がちょっと良い事をしようと思い立つまでを描いた作品。著者の狙いであるでしょう、主人公の男の自己正当化論理は嫌気が差します。しかし、今の世の中はこの手の人間の以下に多いことか・・。このリアルには滅入りますね。 残りの3篇「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」、正直、意味解りません。私の理解力は悪いのでしょうか? 「新宿・・」は森山大道さんとの写真のコラボということで文章だけでは伝わらない何かがあるのだと思いますし、「20世紀」もインターネット上での表現の試みで作られたような文章なので、これも文字で読むだけではなあ、という感じです。 芥川賞=傑作という図式は、一般庶民の知識では理解の及ばないところなのでしょうか? それとも私の問題かな?(笑) 正直、面白くなかったぞ!!! | ||||
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ロリコンの心理・少女と性・主人公の改心の過程、全部中途半端です。まあ、作者はそんなこと意図して書いてないのでしょうが・・。少女性愛者を今の時期に書くんだから、そこんとこ詰めてかいて欲しかったなあ。この作品、登場人物のほとんどが「自分勝手」です。正義とか欲とか刹那とか、なんだかんだ言い訳つけて人を傷つけてる人のオンパレード。でも、実際の世の中もそんなもんだよね。そうゆう人たちに嫌悪感を抱いている方には、お勧めいたしやせん。 | ||||
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